「シャルトルーズがアルガルド様に接触されたのですか!?」
ユフィリアの驚きにオルファンスが答える。
「アルガルド本人からの報告だ、シャルトルーズは
「あ…、“アル”はどうされたのですか?報告に来られたと言う事は王都にいるのですね?」
「あぁ、誘いを断った事で“奴”と戦闘…辺境の屋敷を破壊されたそうだ。」
「屋敷を…!?」
「うむ。」
そこでオルファンスは困ったと大きな溜息を吐き、彼の居場所を教える。
「今は
アルガルド・ボナ・パレッティアは廃嫡された後にアニスフィア、ユフィリアとは和解。辺境で保護したアクリルと云う獣人…狼少女と城で暮らしていた。
「…アルとアクリルも巻き込んでしまいましたね。」
「巻き込んだか、…そうだな。」
オルファンスがユフィリアに頷き、グランツは二人の会話を静かに聞いていた。
次の日の夕方、アニス達はバレッティア王都の離宮に着き、大きなドアをを叩いた。
「イリアー、レイニー、今帰ったよーっ!
いーりあーっ、れーいにーっ!」
アニスの呼び掛けにドアが開き、その宮内より現れたのは背の小さく、背中が隠れる程の長い銀髪に狼の耳を頭に…お尻からふさふさの銀の尻尾を生やしたメイドが迎えてくれた。
「アニス様うるさい。」
「やだ〜、アクリルちゃんだあ♪」
アニスは獣耳のちびメイドに抱きついた。
「うあっ、アニス様離れろ!」
外では聖、アルベルト、カタリナ、アン、ソラ、律花、ミア、メリッサが呆気に取られていた。そんな中、獣兵衛は一人周囲を警戒し、周りを見渡す。
「アニス、お帰りなさい。」
…と、アクリルの後ろに侍女のイリアとメイドのレイニ、ユフィリアが出迎えた。そして彼女の横には反逆の罪で廃嫡され、辺境の土地へと追いやられた弟…アルガルド・ボナ・パレッティアがいた。
「アルくーん、久し振りい♪」
「お久し振りです姉上、声大きいですよ。」
和気藹々と再会を喜ぶ姉弟、しかしドアの外で獣兵衛と律花達に緊張感が走っていた。夕暮れの空からカスミより律花に連絡が入ったのだ。律花は警戒する獣兵衛にその事を方向小さくを指差して伝える。
「獣兵衛さん、カスミから連絡。此処から向こうの方角…700…
町とは昔の日本の距離単位で里町間と示していた。一町約109.1mである。すると獣兵衛は律花の頭をポンと叩き一言呟いた。
「俺の時代に合わせてくれてありがとうよ。…追えるか?」
「もち!マダラ、獣兵衛さんのナビお願い。」
「了解!」
律花の指示で小さなモモンガ…マダラがミアから獣兵衛の肩に乗り換える。獣兵衛達はマダラ、カスミ、オボロが話せる事は既に知っていて彼は律花と共に飛び消えてしまい、只事ではないと気付いたアルベルトが険しい顔でミアとメリッサに尋ねた。
「ミア嬢、メリッサ嬢、二人は何処へ行ったのだ?」
「えっ、あの…。」
まだアルベルトに慣れずシドロモドロするミアをメリッサとオボロがフォローする。
「カスミがこの城を見張ってた怪しい人を見つけたみたいです。」
「リリィと獣兵衛は共に不審者を捕まえに行ったよ。」
「不審者…賊か、私も…。」
動こうとするアルベルトをメリッサは止める。
「先ずは二人に任せた方が良いと思います。“敵”は私達が来たのを察知したから。」
アルベルトはメリッサに言われて考え直す。此処には戦えない者も多数いる。そして目の前には聖もいる。今は自分は動くべきではないとしてメリッサの言う通りにした。
律花が指差した方向の二階建ての宿屋…二階左手の窓部屋に際に立って望遠鏡で離宮を見張る男が一人いた。特に王族貴族とは関係ない…目立たなそうな平民顔だが
(?…二人…小娘と男がいねえ。)
男が気付いた時には既に遅く、突如屋根上から何者かが窓から男を蹴り飛ばして無理矢理入り込んだ。勢い良くゴロゴロと男は壁端まで転がるが上手く体勢を整え左腰の短剣を握ろうとするが、侵入者は即座に柄を右手で押さえ抜かせず、左手の苦無を男の喉元に押し付けた。男の眼前には黒い狐面があった。
「騒がないで、声を出せば喉を掻っ切る。」
黒ジャージを着て黒狐の面を被った律花は離宮を見張っていた不審者の命を握る。
「頷くだけでいい、お前はシャルトルーズって奴の手下か?」
律花が入った窓にはもう一人、モモンガを肩に乗せた忍者…牙神獣兵衛が腰を下ろして不審者に尋ねた。