バルシャイン王国王都…王宮玉座の間でソルシエ王国第一王子ジェフリー・スチュアートを筆頭にラーナ・スミス、ジオルド・スチュアート、マリア・キャンベル…そしてカイル・スランタニアと御園愛良が国王に跪く。
愛良はソルシエ王国へ外交特使としてカイルと共に招かれて今回、ソルシエとバルシャインの親交を深める為に…そして同盟まで話を進める為にスランタニア王国の代表としてカイルと同行していた。
本日は謁見のみで夕食までは時間があるのでジェフリーはジオルドにマリアと愛良を簡単な観光に連れて行く様に伝えた。
「分かった。兄さんはこの後はどうするんだい?」
「僕はカイル王子、バルシャイン国王、宰相殿と明日の打合せだ。」
「愛良、護衛と観光案内はバルシャインの方で付けてくれる。何かあればその者に頼む。」
「分かりました、カイル殿下。」
「出来るなら私も君に付いて行きたかったが…」
「駄目だよ、カイル王子。僕だって本当はジオルドと観光したいのを我慢しているのだからね。」
そして二人は向き合ってガッカリだと言わんばかりに溜息を吐く。そんな顔を見た愛良は彼の心配してくれた仕草が嬉しかった。
王宮の出入口には二人の男女が愛良達を待っていた。灰色の髪の毛をした好青年と綺麗な黒髪ストレートの少し虚ろそうな目付きの女性であった。
「始めまして、パトリック・アッシュバトンと申します。」
「ユミエラ・ドルクネスと申します。」
「始めまして御二方、私はソルシエ第三王子ジオルド・スチュアートです。隣の女性達はマリア・キャンベル、アイラ・ミソノと言います。」
ジオルドが自分達を紹介すると黒髪の少女…ユミエラの動きが止まった。
「ユミエラ?」
隣の青年…パトリックが心配そうに声をかけると彼女の顔が無表情にフリーズしていた。
(あのユミエラが…
どうやら彼女は驚いている様だが、本人は驚くどころか…“驚愕”していた。
(えっ?ジオルド?マリア・キャンベル?…それに…)
ソルシエ王国とは聞いてまさかとは思っていたが、心に焦りを感じながら愛良を見る。実は彼女、ユミエラ・ドルクネスもまた転生者…このバルシャイン王国も“乙女ゲーム”の舞台なのである。“光の魔法と勇者様”(略称ヒカユウ)と言うRPGで彼女、ユミエラ・ドルクネスは…
王宮、客間にてバルシャイン国王と宰相がソルシエ、スランタニア第一王子二人と向かい合って座り、明日の会議の議題について話し合っていた。スランタニア王子であるカイルは気難しそうに国王に視線を向けている。
「バルシャイン国王陛下、こちらとしても同盟は此方としてもとても助かるがそんな簡単にこの様な場所で決めてよいものなのでしょうか?」
「私としても直ぐに決めてしまうのどうかと、正直…この国に旨味のある話ではない様に思えるのです。」
「確かにな。…しかし私はこう考えいるのだよ。
君達ソルシエとスランタニア、そしてパレッティアの三国同盟はその為なのだろう?
だからこそ我が国バルシャインに声をかけて来たのではないかね?
L99の戦力を保有する我が国へ…。」
カイルは何も言えず、ジェフリーは苦笑する。
「見透かされていましたか。」
「推測はしていたがね、確信したのはだね。」
すると客間に騎士団長アドルフと衛兵が二人…メイドを連れて入ってくると、カイルが青褪めてジェフリーが頭を抱えた。メイドはラーナで二人に軽く手を振った。
街の観光も一段落し、マリアと愛良はユミエラに
「折角なのだからご令嬢同士で愉しんでくれ。」
「私は一度兄さんの所へ行かなければね。」
そう言って帰ってしまった。二人して淑女同士の会話の場を作ってくれたのだろう。
ドルクネス邸食堂、ユミエラが上座に座る長いテーブル右手にマリアが座り左手に愛良が座って晩餐となった。
「美味しい♪」
お皿のカルパッチョを食べた愛良の顔が緩み、同じくコンソメスープを口に含んだマリアもその味に感動する。
「んん、すごいコクがあって美味しいです♪」
ユミエラは二人が料理を気に入ってくれたのを見て小さく笑う。
「気に入って貰えて嬉しいです。…二人に聞きたい事があるのですが宜しいでしょうか?」
マリアと愛良は特に警戒せずに了承すると、ユミエラの顔が真顔になった。
「愛良さんとマリアさんは“FORTUNE LOVERS”って、知っていますか?」