「愛良さんとマリアさんは“FORTUNE LOVERS”って、知っていますか?」
突然のカミングアウトに等しい問い掛けであった。FORTUNE LOVERS…、それは愛良がいた世界で人気のあった“乙女AVG”所謂テレビゲームである。しかしこの異世界にはTVゲームどころかテレビすらない。そんな世界でFORTUNE LOVERSを知っている人間は三通りしかいない。
壱〜異世界転生者。
弐〜異世界転移者。
参〜その両方から話を聞いた者。
参は先ず有り得ないので除外、ならユミエラが転移者が転生者となる。マリアには話にはついてはいけないだろうから愛良が意を決して聞いた。
「その…、ユミエラ様は…転移者ですか?それとも、転生者?」
「転生者です。もっと気さくにユミエラ…で良いですよ、アイラさん。漢字だと、愛の“羅”刹のらですか?」
「えっ、愛に良いの“
いきなり沈黙、愛良はいきなり羅刹とか言われて困惑し、ユミエラは“何か悪かった?”とか思う。因みにマリアは漢字自体分からない。
取り敢えず今度はユミエラから質問してみせた。
「あっ、愛良さんも転生で
「いえ、私はスランタニア王国に聖女召喚の儀でこの世界に来ました。」
「えっ?」
異世界召喚、そう聞いたユミエラの顔が曇った。それはつまり家族から無理矢理引き離されて連れて来られたと同義、極端な解釈をすれば拉致されたもの同じとユミエラは考えてしまった。
「この世界にいきなり何も解らず…貴女はそれで良かったんですか?」
ユミエラの言葉を聞いた愛良は元いた世界にいる両親を思い出す。
「良いか悪いかなんて分かりません。召喚されて一年以上経つけど、朝起きたら泣いた後があった時も度々あります。
…でも、一人じゃないんです。同時に召喚された人がいて、聖さんって言うんですけど、私よりもずっと大人でいつも励ましてくれました。友達のリズもドレヴェス師団長も優しくて、カイル殿下は不器用ですけど…とても大切にしてくれます。私はスランタニア王国が大好きなんです。」
それを聞いてユミエラは思う。状況は全く違うがこの娘は自分と同じで
「そうですか、
「なっ!?」
一気に愛良の顔が赤くなった。ユミエラのちょっとしたからかい、当てずっぽうだったがどうやら当たりの様だ。
「あっ、アイラさん、カイル殿下の事お好きだったのですね!」
「マリアさん、真に受けないで!」
「因みに私はパトリック・アッシュバトン様と婚約の話が進んでます。マリアさんは現在好きな方がいますか?」
「はい、カタリナ様をお慕いしております。」
「…はい?」
「
「…ジオルド・スチュアート様ではなくって?」
「ジオルド様はカタリナ様の婚約者です。」
ユミエラの頭が円を描いて回り“?”がいくつも浮かんでは消え、愛良が彼女に教える。
「ユミエラさん、実はカタリナ様も
そこで頭の回転が止まり、ユミエラは腕を組んで真っ直ぐ前を見据えて言った。
「女子会…もといパジャマパーティーをしましょう。いろいろとお話が聞きたいです。今日は
愛良とマリアは彼女の目線に目を向けるとその先には侍女のリタがいた。
「かしこまりました、ユミエラ様。」
こうしてマリアと愛良はそれこそいろいろと一晩中ユミエラの質問攻めに合うのであった。
王宮、客室でソルシエ王国魔法省研究室部署長…ラーナ・スミスがバルシャイン王国国王の後ろに立ち、ジェフリー、カイルと向き合っていた。
「ラーナ嬢、まさか貴女はバルシャインに我等の情報を流していたのではあるまいな…!?」
ラーナを睨むカイルだが隣に座るジェフリーが直ぐ様否定した。
「それこそまさかだよ、カイル王子。彼女の悪い癖が出た結果だよ。そうだろ、ラーナ?」
「すまないジェフリー、ちょっとメイド服が手に入ったから変装してアレコレ聞いてたら騎士団長に見破られて捕まってしまった♪」
「全く可愛いな、君は♪」
…などと言って笑い合う二人。
「何だそれは、面白いじゃないか♪」
ついでにバルシャイン国王も妙なテンションで大笑いをしてカイルと周りの者達は取り残される。
「何なのだ、一体?」
そう零して溜息を吐くと、向かいのアドルフ団長も深い溜息を吐いていた。
保管小話…
ユミエラ達がパジャマパーティーズの最中、リタは一人部屋で考え事をしていると、其処に彼女の妹が仕事を終えて戻って寝間着に着替える。
「お姉ちゃん、何考え込んでるの?」
「…てんせいしや、て何の事かしら?」
「てんせいしゃ?」
姉と妹はその言葉の意味を考える。
「もしかして天の声を告げる者?」
妹が呟くとリタはユミエラが天と関わる事象を起こしたいくつかの案件が頭を過ぎった。
「それって…。」
彼女は天…空に出現する闇属性最強魔法、ブラックホールを思い深べ、呟く。
「天より滅びの声を告げる者…。」
無理矢理過ぎである。