ワールドツアーやガリア解放直後でさらなる期待の高まった、連盟空軍第72統合戦闘飛行隊航空魔法音楽小隊こと、「ルミナスウィッチーズ」。ガリアからブリタニアに帰還したルミナスウィッチーズは、ひと時の休みを堪能していた。
そんなある日の事。スオムス共和国の元エースパイロットにして、ルミナスウィッチーズのリーダーを務める、アイラ・ペイヴィッキ・リンナマー少尉こと”アイラ”が、ブリタニアの軍事郵便機関である
その老兵が持っていた手紙は、ルミナスウィッチーズの隊長兼プロデューサーであるグレイス・メイトランド・スチュワード少佐宛のものだった。老兵の階級は准尉で、左胸にはDistinguished Service Orderことブリタニアの殊功勲章が着用していた。老兵とは思えぬ佇まいで、アイラに対して・・・いや、ルミナスウィッチーズに対してだろうか?とても美しい敬礼をしていた。
老兵から手紙を受け取ったアイラは軽く感謝すると、老兵は頭を下げて、ルミナスウィッチーズの宿舎から小走りで去っていった。
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曇り行く空。
そんな空を見て、一瞬の不安を感じたアイラは宿舎に入っていった。宿舎の中で、グレイス少佐に宛てた手紙の主を文字を見て、驚きを隠し切れなかった。手紙の主の名は、”ガウディ”。リベリオン義勇軍の一人で恐らく、グレイス隊長の同僚と思われる。ただ、グレイス隊長がリベリオン合衆国陸軍に対して、ガウディは合衆国海軍と聞かされていた。
ガウディの人物像は明かされていない。ただ、ダンケルク撤退戦の際、ウィッチ以外で唯一ネウロイを撃墜した男性パイロットとして知られ、撤退作戦中で4~6回ほど出撃を繰り返し、ダンケルク港から最後の1隻をネウロイからの攻撃を守る為に決死の体当たり攻撃を行い、撃墜を果たしている。「死」を躊躇わない、命を投げ捨てる行動で守り通し、彼自身も無傷でブリタニアに帰還していた。が、作戦終了後、彼の消息は不明とされていた。だが、彼の英雄的行動は全ての兵士、いや人類全てに勇気付けられた。
ここまではアイラも知っていた。まさかここで、”ガウディ”の名を見れるのは幸運なのか、はたまた・・・いや、わからない。アイラが悩んでいる内に、アイラの親友、ガリア共和国出身のエレオノール・ジョヴァンナ・ガション軍曹こと”エリー”が近づいてきた。
「アイラ、どうしたの?」
「あぁ・・・エリーか。ガウディというリベリオンの男性パイロットを君は知っているか?」
エリーは間髪入れずに言った。
「うん、知ってるけど。なんで?」
・・・エリーらしい率直な返答だが、アイラは気にせず手紙に目線を落としながら言った。
「それが、そのガウディがグレイス隊長宛てに手紙を書いたらしい。さっき、ブリタニア軍郵便局から受け取ったんだ。」
「へぇー。まさか恋文だったりして?」
「なっ!?」
いつも鈍感なアイラがエリーの言葉で顔面が真っ赤になり、慌てふためいた。エリーは、慌てるアイラから手紙を取り上げて言った。
「でも、今は隊長居ないし・・・こっそり見てもばれないよね。」
「エ、エリー!いくらなんでもそれは駄目だ!」
エリーの大胆な行動に、アイラは大声で制する。しかし、その大声でルミナスウィッチーズの他のメンバーが集まってきた。アイラの大ファンであるオラーシャ帝国出身のリュドミラ・アンドレエヴナ・ルスラノヴァ軍曹こと”ミラーシャ”が第一声をあげた。
「アイラ様!どうしましたの?」
「あ、いや・・・なんでもない・・・」
アイラは僅かな赤面でミラーシャから目を逸らした。ミラーシャはアイラが赤面してるところを瞳を輝かせて、アイラに迫った。
色んな意味でイチャイチャしだすアイラとミラーシャを他所に、ブリタニア連邦出身のヴァージニア・ロバートソン軍曹こと”ジニー”がエリーが持つ手紙に気づいた。
「エリーさん、その手紙は?」
「あぁ、これ?グレイス隊長への恋文じゃないかなぁって。」
「「こ、恋文!!?」」
エリーの「恋文」に反応した初々しい少女達に衝撃をもたらした。アイラもエリーもまだ初々しいのだが、ウィッチの魔力の関係上、20歳に近づくと魔力の減衰が弄るしく発生する。アイラは負傷によって第一線から外れており、エリーはウィッチとしては遅咲きだったので、そもそも戦闘経験が無い。
それはともかく、エリーの言葉に赤面する少女もいれば、慌てる少女、口がひらきっぱの少女もいる。そんな中「恋文」に反応しなかった、ニューゼーラント出身のマナイア・マタワウラ・ハト軍曹こと”マナ”が疑問に思いながら口に出した。
「でも、なんで隊長にこいぶみ?なんか送ったんだろう?」
「それを解明するために隊長がいないときに、皆で見ちゃおうって訳。」
エリーの言葉と笑顔に反対する少女もいた。
「それは規律的に大丈夫でしょうか?」
そう言うのは、帝政カールスラント出身のマリア・マグダレーネ・ディートリヒ曹長こと”マリア”。どんなときも規律を重んじており、カールスラント軍人としての志と誇りを持つ。それでもエリーは笑顔で返した。
「まぁまだ、帰って来ないんだし・・・ちょっぴり見るだけだしいいでしょ。」
エリーはそう答えるが、アイラは黙っていなかった。
「ちょっと待つんだ、エリー!いくらなんでも手紙の主の想いというものが!」
「だって隊長の同僚とはいえ、リベリオン義勇軍の中で最年長かつ男性パイロットなんでしょ?」
「その人物が一体、どれだけの人々に勇気付けられたのかわからないのか!」
「わかるよ?だって、唯一ネウロイに対抗できる歴代最高のパイロット、”魔術師”だから出来たことだし。」
エリーの「魔術師」という言葉に反応した少女が一人居た。「魔術師」の異名を持つガウディと同じリベリオン出身である、ジョアンナ・エリザベス・スタッフォード曹長こと”ジョー”が、エリーに食い気味に言った。
「魔術師って、リベリオン合衆国海軍パイロットの頂点に立つと言われたあの人!?」
「そうなの、ジョー?」
ジョーに反応したのは、ロマーニャ公国出身のシルヴィ・カリエッロこと”シルヴィ”。
「そうなんだよシルヴィ!魔力を持っていないはずの男性パイロットなのに、ウィッチを対等に相手できて、対ネウロイの教本まで作り上げて、ウィッチを除いたリベリオンパイロットとして唯一無二の存在にして海軍パイロットの頂点に立つと言われた・・・ガウディ大尉のことだよ!」
「す、すごい。そんなパイロットがいるんだね。」
そう呟いたのは、扶桑皇国の渋谷いのり軍曹。ニコニコしながらエリーは懲りずに手紙を”みんな”で開けようと試みる。
「そんなパイロットからの手紙が気になる人は手を上げて!」
「「はーい!」」
「え、えっと・・・はーい・・・」
アイラとミラーシャ、マリアを除く全員が手を上げた。アイラはともかく、ミラーシャはアイラにしか興味ないし、規律を重んじるカールスラント軍人のマリアは嫌だろうから手を上げなかった。
「お前達!仮にも上官宛ての手紙なんだぞ!」
アイラは口酸っぱく言ったが、食卓に向かうエリーたちには届かなかった。
~ウェルトン・”ガウディ”・トリスコル大尉という人物像・元ネタ~
ウェルトン・G・トリスコル大尉
【オリキャラ設定】
・アイルランド人移民系アメリカ海軍のエースパイロット
・ウェルトンはアイルランド人名
・トリスコルはアメリカ国籍を有してから命名
・旧式機体を好むローテクパイロット
・父親も”魔術師”の異名を持っているが、テスト飛行中亡くなっており、その跡を継ぐ
【元ネタ】
・スペイン内戦のエースパイロット、James Lincoln Holt Peck (ジェームズ・ペック)中尉。
彼は操縦士の資格を持っておりながら、アメリカ海軍に志願したものの断られ、単独でスペインに渡航。そのままスペイン共和軍エースパイロットに開花する。しかし、英仏主導による非介入委員会によって帰国。
スペイン内戦に関わっていたことから、アメリカ海軍は彼に関しての情報やスペイン内戦当時の隠蔽し、マスメディアに対しては回答控えていた。将官どころか軍人にすらなれずに米国商船で一生を過ごす。
だが、アフリカ系エースパイロットということもあり、国内の黒人から憧れの象徴だったとも。
【本シリーズでは】
この世界線ではスペイン(ヒスパニア)内戦すら起こらないので、本来ならば民間航空士として義勇軍に参加する可能性がある。そこで最初に着眼点としたのが、第一次リベリオン義勇軍。
海軍に志願しているので、海軍所属パイロットに決定。しかしながら、元ネタだと操縦士の資格を取ってから大学1年間を経ている。
その情報に基づいてリベリオン義勇軍の年長者パイロットとして仮組みして、グレイス少佐と対になるよう構想して、話の流れも最終話までフローチャートは完成してある。
【最後に】
本シリーズで出てくるパイロットは主にワールドウィッチーズに出てこないパイロットばかり・・・
つまり第二次世界大戦以外のパイロットが多い。メインとして第一次世界大戦のエースパイロットがほとんどである。
因みに「恋愛」のジャンルは今回で初めてだ。ただ、期待して悪いが青春物語ではない。「戦い」の中で生まれた「恋愛」だ。洋画に例えると・・・プライベート・ライアン的な?