「こんな感じだけど・・・皆の意見を聞きたいの。」
グレイスはルミナスの全員に言った。ノリッジ野戦基地での慰問スケジュールが書かれてあった。1日だけではなく7日間というスパンで行われる。この7日間にはノリッジ野戦基地に帰還する亡命兵士や負傷兵、出兵予定の兵士などが入れ替えが行われる。だからこの7日間で全てをやり遂げる必要がある。
グレイスとエリーはその目で見てきた故に、やり遂げる必要があると判断したが・・・ここにいるウィッチは見ていない。
口伝ではノリッジ野戦基地の凄惨な情景は解らない。そこでノリッジ野戦基地の唯一のウィッチーズ小隊長であるアンナから、ロンドンに戻る際に写真の類を渡された。アンナが撮った写真にガウディや負傷兵、崩落寸前の兵舎・・・などの凄惨さを物語った情景が1枚1枚込められていた。
グレイスとエリーは、それぞれスケジュールとノリッジ野戦基地の情報の1つずつ役割分担してから再度答え合わせを行った。それを終えた後日、改めてルミナス全員に招集して皆の意見を聞きたかった。
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そして今日。ルミナス全員が集う中で、幼き彼女らは今回の慰問に関して賛同に偏る一方、とある疑問が挙げられた。
それは、
「亡命政府ではなく、独立した組織が正式な査問・認可を連盟空軍に送らなかったのか?」
だった。これを言い放ったのがシルヴィである。
自身がロマーニャ公国の貴族であるカリニャーノ公の世継ぎして、女王様候補の1人でもあるからだ。そう言った正式な手続きを知っているのは、ルミナスの中ではグレイスを除いてシルヴィただ1人。無論、シルヴィも連盟空軍の手続きは少しかじった程度ではあるものの、やはり気になってはいた。
それを聞いたグレイスは戸惑いを隠せなかった。グレイス自身の私情とは別に、彼らの存在が闇の中に葬られているからだ。彼らを大きく取り上げるとなると連盟空軍からルミナスに対して更迭が下る可能性だってある。
だって彼らは、
「逆賊」
なのだから・・・
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グレイスは一語一句間違えないように言う。
「彼らは連盟空軍から追い出された人達なの。だから連盟空軍はこの組織を認めていない。それでも彼らは連盟空軍のみならず北アフリカ戦線やヒスパニア防衛戦の参加、強いて言えばこの世界各地で損耗率が激しい部隊の1つなの。彼らが声を上げたのに、それを救えない立場にあっている。見す見す野放しにできないわ。」
グレイスはシルヴィだけでなくルミナス全員に説明した。
彼らというエースパイロットが居るから、局地戦では僅かにネウロイに勝っている。魔力を頼らず、逸脱した技術力でウィッチを圧倒しているからだ。ガウディ大尉を始めとする小隊は魔力を持たざるものばかり。
そのガウディ大尉でさえも魔力は当の昔に尽きて、教本などの技術力で戦場指揮に立っている。そんな彼らをここで逃したらどうなる?命を落としてまで傷ついている彼らが・・・今度こそ”声”を上げなくなったら、連盟空軍の軍収容所に送られてしまうだろう。だからこそ7日間という短いようで長いスパンを用いて彼らを救う。私たちの”歌”で救わないといけない。
その意味を込めて、グレイスは伝えたかった。
(ちゃんと伝えたかな・・・?)
グレイスは伝えられたのかよく分からない焦った気持ちが浮かび上がる。そんな思いを打ち砕き、ルミナスの全員は頷きながら言う。
「「「行きたいです!」」」
と、グレイスの思う気持ちを打ち砕いたのだ。その横ではエリーがホッとため息をし、アイラはスケジュールを綿密にかみ砕いて見ている。グレイスは幼い彼女たちを見て感じた。
(一時はどうなると思ったけど・・・これでひと段落ね。あとは行ってからのお楽しみって感じね・・・)
グレイスはまだ一抹の不安があった。そう彼らがなぜ”逆賊”と言われたのか?
彼らの実質的な指導者であるガウディの存在・行動が、連盟空軍にとって気に食わないからという軍組織らしからぬ私怨であり、それを真っ向から対立してロンドンの重要施設を焼け野原にした以降、連盟空軍との内部闘争が5年にも渡って小競り合いしているーーー。
というのをアンナを始めとするノリッジ野戦基地所属の亡命ウィッチらが言っていた。
(願わくば争わないで欲しい・・・)
グレイスのそう願うが同時刻では、ノリッジ野戦基地にて連盟空軍からの空襲を受けて彼らが奮闘していた。世界各地の未曾有の危機よりも身近な命をたずさえて・・・