彼が自殺未遂を行った数時間後。もう間もなく夜明けの時間だ。既に彼自身は正気に戻って彼女らを一旦、宿舎に戻しては再度大聖堂に向かった。数時間前はアレだったのに正気に戻って大聖堂に向かうその姿勢が分からない。
現にグレイスは泣いたまま放ってかれたままだ。彼曰く、
「アイラお嬢にエリーお嬢。君たちで彼女を頼む。是が非でも彼らの命を落ち着かせる必要がある。」
と言っていた。
それでグレイスは泣き止むとでも?と口に出したエリーがいたが、
「済まない。約束された鎮魂が必要なのだ。」
と非情にもグレイスを突き放して更に泣かしたのだ。その影響でルミナスどころか予備役ウィッチが起きてしまい、非常事態のように慌て始めた。
最初こそは憶測が飛び交っていたが、アイラとエリーによって統制された。それでもグレイスは・・・彼女は泣き叫ぶ。彼女は彼というストッパーがいなければ止められないのにも関わらず、彼は非情にも彼女を突き放したのだ。彼の持ち前の
だが、先に亡くなった兵士を赦しを請うし、鎮めてから慰問活動を行いたいという彼なり配慮でもあった。だからルミナスには大聖堂で民間人と亡き兵士への慰問を最初に指定していた。あとからはどうにでもなる。という非現実的なスケジュール管理が彼なのだ。
どこまでが
まだ幼いルミナスと予備役ウィッチには解らなかった。解るのはグレイスを泣かせたことは事実として受けとめなければならない。
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夜明けの直後に
そしてそのまま任務を全うするために、ルミナスたちの宿舎を避けて基地司令室で指揮系統を維持していた。臨時での緊急発進訓練も実施され、民間人避難訓練も同時に行ってからルミナスによる慰問活動が始まる予定だ。慰問活動中は防空網が筒抜けにならない為にもノリッジ野戦基地から北海になぞって防空任務と偵察任務が行われるように立案した。
その立案に対して異議を発するものはルミナスを含めて1人以外居なかった。
そう1人以外は・・・
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慰問活動中の昼下がり。
次に防空任務に上がる小隊がガウディだったこともあり、唯一反対異議を申し立てたグレイスが基地司令室に駆け込む。いうまでもなくガウディの驚きはなかった。反対の異議が出るのは十分承知の上で防空任務を立案した張本人であの先の件以降、少しでもグレイスと離れたかった気持ちもあった。先の件はガウディに責任がある。だから別の形で任務を全うしたいか?というと違う。グレイスと再び和解の手を打つためにこのローテーションを組んだ。
現にこうしてグレイスと会えたのだ。ただ1つ気になるとすればグレイスがまだぐずっていたことだった。彼はグレイスの元に行っては、抱きしめる。
扉を完全に閉めては、グレイスを抱きかかえソファに下ろす。何事もなかったかのように甘い紅茶を茶器に注いでは、グレイスの元にササッと届く。でもグレイスは飲まなかった。飲めなかったのほうが正しいか?グレイスは彼が注いだ紅茶を手を付けずに居た。
それを見たガウディは彼女の横に座り、彼女を抱きしめる。
「すまない。」
と一言を添えて。彼には”感情を受け取る”という気持ちが解らないのだ。理解できないわけではない。
戦いで失ったのだ。ただそれを彼女の前で言い訳出来るのか?いやもっと彼女を悲しむだけだ。これ以上、グレイスを悲しませるわけにはいかない。彼が出来る唯一の手段が「抱きしめる」しかなかったのも事実。
これだけではーーー。
「ねぇ・・・」
グレイスが彼の袖を引っ張る。彼は無言のまま答える。
「なんで突き放すの?」
グレイスの素朴な疑問に彼は黙ってしまう。言い訳が出来ない。無言を貫く彼にグレイスは、
「嫌いなの?」
と言ってしまう。慌てて彼は言い訳を始めた。
「ち、違う!断じて違う。寧ろ逆だ!」
「なら私たちの慰問も元に戻せないの?」
「むっ・・・それはそうだが・・・規律とーーー」
「軍による規律なんて放浪癖のある貴方には関係ないじゃない。」
痛いところを突かれた。グレイスは微笑む。
「もう、無理しすぎよ。もっと楽になってもいいのよ?」
「楽にしろって・・・どうすrーーー!」
彼が言い終わる前にグレイスは彼の口を奪う。紅茶が冷めきり、防空任務すら慰問活動すらも忘れてまで2人の果実は実るほど愛しい時間が長引いた。