メメント・モリ   作:阪本葵

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多くの感想ありがとうございます。
返信が遅れるかもしれませんが極力全てに返信するよう努力しますのでお待ちください。

これで鈴と中国の話は終わりです。
さて、救済になりましたかね?


第31話 ハシッシ

「助太刀するぞ鈴!」

 

「……一夏! ありがとう」

 

一夏が凰と照秋の試合に乱入し、凰に助太刀すると言い出した。

 

「……何のつもりだ一夏」

 

照秋は冷たく言い放つ。

その声音には一切の感情が含まれていなかった。

 

「うるせえ! 鈴はこんなところで負けちゃダメなんだ!! 鈴が中国の代表候補生なんだ!! お前みたいな空気も読めない奴には勝たせねえよ!!」

 

吠える一夏に、照秋は呆れる。

そもそもこれはそんな事情を踏まえての一対一での試合なのだ。

なぜ手心を加えなければならないのか照秋には理解できなかった。

もし、箒が凰と同じ立場になり照秋とこういった試合を行ったとしても照秋は手心を加えるなどという愚かなことはしない。

それが、相手への礼儀だからだ。

 

「行くぞ鈴!!」

 

「……うん!」

 

一夏という心強い助っ人が来たことにより落ち込んでいた気持ちを持ち直し、その眼には気迫が灯る。

一夏と二人なら、と希望を抱く。

そして、一夏と凰が同時に飛び上がり照秋に近付いたその時だ。

 

ビーーッ!!

 

『試合終了。凰鈴音、貴様の反則負けだ』

 

突然の試合終了のブザーと反則負けというアナウンスに、突進していた凰と一夏は立ち止まり唖然とする。

 

「……な、なんで……」

 

一夏が呟く。

 

『織斑一夏、貴様は試合に無断乱入したペナルティを与える。すぐに管制室に来い』

 

「なんでだよ千冬姉!!」

 

叫ぶ一夏と、愕然とする凰。

そして照秋は試合終了とわかると、興味を無くしたように一夏達に背を向けピットへ戻ろうとしていた。

そんな照秋の背中を見て、一夏は沸々と怒りが沸いてくるのを感じる。

 

試合終了だ?

ふざけんなよこれからなんだぞ鈴と俺があのクズを潰すのは!

それを反則負けだって?

負けたら鈴は代表候補生じゃなくなるんだぞ!

鈴がIS学園からいなくなるかもしれないんだぞ!

認められるわけねえだろうが!!

 

……クソ……クソクソクソクソクソ!!

 

全部、全部全部全部…

 

「テメエのせいだクズヤローーッ!!」

 

一夏は雪片から[零落白夜]を発動し、ピットに向かって飛び背を向けている照秋に斬りかかろうと瞬時加速を発動し斬りかかった。

予想外の行動に、凰はただ唖然と一夏の行動を見ているしかできず、管制室に居た千冬やスコールでさえ反応が遅れ止めることが出来なかった。

箒とセシリア、マドカも一夏の行動が予想外で声すらあげられずにただ見ているしかできなかった。

 

斬られる――

 

そう誰もが思ったとき――

 

照秋は振り向き、零落白夜を振り降ろす腕を掴んだ。

 

「――なっ!?」

 

この場で誰よりも驚いたのは一夏だろう。

不意打ちによる零落白夜での一撃、当たれば一発でシールドエネルギーをゼロに、さらに零落白夜ならば操縦者にもダメージを与えることができる一撃必殺を、照秋は難なく対処した。

照秋は掴んだ腕を引き寄せ、空いているもう片方の手で一夏の首を掴む。

 

「ガッ……グッ!?」

 

うめき声をあげる一夏は、照秋を睨む。

しかし照秋はバイザーによって表情が読めない。

ギリギリと首を掴んだ腕に力が入る。

 

「――言ったはずだぞ[紛い物]。()の邪魔をするなと――」

 

「ま、まがい……もの……!?」

 

何を言っているのかわからない一夏は、頸動脈が圧迫され頭がボーっとしてきた。

 

「おしおきだ」

 

[ハシッシ発動]

 

電子音声が聞こえ、照秋は一夏の首から手を離すと掌から一本の針が飛び出し、白式の腕部に突き刺した。

 

すると、突然白式からピーッピーッピーッ! と緊急アラームが鳴り響き、「緊急」「危険」「DANGER」といった空間ウィンドウがびっしりと現れる。

 

「え? な、なんだ!?」

 

ジ……ジジ……

 

混乱する一夏だが、今度は白式自体からノイズが発生し始めた。

ノイズが徐々に多くなり、ついには量子形成すらできなくなり白式の装甲が消えた。

 

「うわああああっ!!」

 

白式が消え、地上へ落下する一夏だが、照秋はそれを助けるつもりなどなく、再び背を向けピットへと向かった。

そこに凰が駆けつけ一夏をキャッチし、間一髪事なきを得たのだった。

 

 

 

「この馬鹿者が!」

 

一旦今回の関係者全員を管制室に呼び集めた。

箒やセシリアも一緒にいる。

そして、開口一番千冬が一夏に鉄拳制裁を加える。

拳骨が脳天に突き刺さり、一夏は地面をゴロゴロのた打ち回っていた。

それを呆れ顔で見ているスコールは、すぐに興味を無くし照秋の方へと歩み寄る。

 

「よく対処出来たわね」

 

スコールは素直に照秋を褒める。

あの試合終了後という気を抜いた状態で、さらに瞬時加速による背後からの不意打ち攻撃はハイパーセンサーでは察知していただろうが、照秋自身が反応できるのとは別であり、あんな予想外な行動に対処できたことに驚き、同時に素晴らしいと賛辞した。

しかし、照秋の表情は浮かない。

 

「どうしたの?」

 

スコールは照秋のかを覗き込む。

すると、照秋はぽつりとつぶやいた。

 

「……なんか、その辺の記憶が曖昧なんです」

 

「なんですって?」

 

スコールは一転して厳しい表情になる。

 

「なんとなく、一夏の不意打ちに対処したというのはわかるんです。でも、それが自分のしたことなのか、なんか客観的な感じで……」

 

スコールは照秋の言葉を聞いて考え込む。

客観的視点で自分の行動を見る、俯瞰的視点能力などという特殊能力は照秋にはないはずだ。

もしかしたらあの場で覚醒したという可能性もあるが、それは限りなく低いだろう。

そんな覚醒するような極限状態を要する試合ではなかったし、照秋の言う自身の行いが曖昧になるという事が成り立たなくなる。

 

「一度会社に戻って精密検査を受けなさい、いいわね。さ、後は私たちに任せて今日はもう帰って休みなさい」

 

「……はい。お疲れ様でした」

 

肩を落とししょんぼりとする照秋は、トボトボとスコールから離れ箒やセシリア、マドカに慰められていた。

照秋自身、一夏を問答無用で撃墜したことを後悔している、というよりその過程がショックだった。

照秋が一夏に放った一撃[ハシッシ]は、それほど危険であり照秋ですら躊躇してしまう武器なのである。

 

「大丈夫だ、照秋はよくやった! だからそんなに気を落とすな! あの馬鹿を殺し損ねたのは残念だがな!」

 

「そうですわ! テルさんは胸を張ってくださいまし! あの卑怯者を再起不能にできなかったのは口惜しいですが!」

 

「……うん、この二人の話は流せ」

 

凄い言いようの箒とセシリアである。

まあ、背後から攻撃を仕掛けるような卑怯者にかける情けなどないと言いたいのだろう。

箒もセシリアも、その辺潔癖であるため拒否反応がすごい。

マドカは照秋の肩をポンポンと叩き、引き寄せる。

マドカの方が身長が低いため照秋にぶら下がっているように見えるのはご愛嬌だ。

 

「最後のハシッシはあまり気にするな。真剣勝負や戦場ではたまにああいった説明できない超能力的な事は起こることがある。私も経験がある」

 

「そうなのか?」

 

気落ちしていた照秋が驚きの表情でマドカを見る。

すると、マドカはニカッと歯を見せ笑った。

 

「ま、[ハシッシ]は流石にやり過ぎだとは思ったが、あの時の自分が使用すると判断したんだ、それが最良だったのさ。だからあまり自分を責めるな」

 

「……うん、ありがとうマドカ」

 

「フフン、もっと感謝してもいいぞ」

 

「はは、いつも感謝しているよ」

 

笑顔の照秋と、嬉しそうなマドカ。

それを見て面白くないのは箒とセシリアだ。

 

「……なんなんですの、あの気安い密着度は」

 

「あの二人に恋愛感情はない……はずだ……たぶん……」

 

なんだか危機感を覚えた箒とセシリアは、急いで照秋に駆け寄りアピール合戦を始めるのだった。

そして、管制室を出ていく際にマドカはスコールをちらりと見て、スコールはこくりと小さく頷いた。

 

 

照秋たちが管制室を出て行き、千冬、スコール、一夏、凰の四人だけになった。

凰は終始無言で俯き、会話には参加しない。

参加する気力すら起きないのだ。

勝負の結果、凰は負けた。

ということは、中国政府とワールドエンブリオの関係修復が事実上不可能になったという事であり、同時に自分の代表候補生はく奪、専用機没収が決定したという事になる。

反則負けの原因になった一夏の乱入を責めるつもりは毛頭ない。

あのままでも負けていたのは明白だったからだ。

むしろ、自分の想い人がヒーローのように颯爽と駆けつけてくれたことに喜びを感じた。

だがあれほどバカにして、見下していた人間に手も足も出なかった。

認めよう、照秋は強くなった。

試合開始前に照秋をコケにするような言葉を口にしたのも虚勢だ。

そうでもして無理矢理テンションを上げなければ何もできず負けると予感していたから。

そして実際手合せをしてわかった。

受ける攻撃から伝わる、絶対の自信。

練習を積み重ね得た技量を信じた攻撃。

おそらく、照秋は一夏と違ってかなり前からISに関わり訓練を繰り返していたのだろう。

一夏の言っていたような、ISが高性能でそれに胡坐をかいた強さではない。

明らかに長い年月を重ねて手に入れた絶対の自信が窺える強さだった。

 

自分の才能に胡坐をかき、周囲を見下し愉悦に浸って向上心が鈍化していた自分と違って、才能がないと自覚しながらも苦しい練習を繰り返し得た重厚なバックボーン。

ああ、自分が何と薄っぺらい存在に見えるだろうか。

 

――完敗だ。

 

自分で蒔いた種だ、潔く受け入れよう。

もう見苦しく足掻くのも疲れた。

おそらく、IS学園にはもういられなくなるだろうし、中国に帰ってどんな制裁が待っているのかも分からない。

それに一夏とも離れなくてはならない。

それだけが心残りだ。

 

凰は未だに説教されている一夏を見る。

一夏は確かに重大な罪を犯した。

 

試合中の乱入

試合終了後の背後からの攻撃

 

正式な試合ならばペナルティとして専用機を没収されても文句は言えない重大な罪だ。

これが非公式の試合であり、関係者以外に周知されない事柄であるのが唯一の救いだろう。

しかし、千冬は一夏に3日の謹慎処分を言い渡した。

これでも軽い方だと思うが、一夏は納得いかいないような表情だ。

 

「試合終了後に背後からの不意打ちなど卑怯者以外の何物でもない!」

 

千冬に叱責されグッと歯を食いしばる一夏。

 

「でもアイツが悪いんだ! 鈴の事情を知っていて鈴を叩きのめそうとしてたんだぞ!」

 

「愚か者が! それが真剣勝負というものだ! そもそも原因は凰にある。それを温情で照秋が試合で決着をつけようと言ったのだ。順序をはき違えるな!!」

 

「千冬姉はアイツの味方をするのかよ!!」

 

「私が照秋と同じ立場に立っても同じ行動を取る! 一夏、たとえお前が相手だったとしてもだ!」

 

一夏は、自分の考えを千冬に理解してもらえず、さらに照秋を擁護する発言を受けショックを隠せない。

 

「なんだよ……なんなんだよ! 俺は悪くない! 鈴を守りたかったんだ! 俺は間違っていない!!」

 

一夏はそう吐き捨てなお反論するが、全く聞き入れない千冬に業を煮やし管制室を走り出ていった。

千冬も、スコールもそれを追いかけることなく、失望の眼差しで一夏の背中を見るのだった。

 

「……馬鹿者が」

 

「ま、時間が経てば理解するんじゃないかしら」

 

「だといいが……」

 

落ち込む千冬に、ポンポンと肩を叩き励ますスコール。

そして、また今夜も飲みに行こうと約束を取り付ける二人。

もう酒が手放せない二人だった。

そこで、スコールは一人ぽつんと佇む凰を見て、思い出したかのように声をかけた。

 

「ああ、そうだ、凰さん」

 

「は、はい」

 

突然話しかけられ、声が裏返る凰。

 

「今回の試合結果は反則負けだけど、織斑一夏君の乱入ということでワールドエンブリオとしてはこの結果を『無効』と判断します」

 

「……え?」

 

スコールの突然の提案に、凰と千冬は驚く。

 

「最初にマドカが提案していた竜胆二機の販売、これで政府を納得させなさい。なんなら私が中国政府に手回ししてあげるわ」

 

「な、なんで……」

 

なんでそんな温情をかけるんですか?

そう言いたかったが、言う前にスコールが人差し指を口に当て黙らせる。

 

「あなたのこと気に入っちゃったのよ」

 

怪しく光る瞳に、チロリと舌を出して濡れる唇をなめるスコール。

 

(え? ミューゼル先生ってソッチ系なの? マジで? いや、ちょっと……美人だけど流石にそれは……)

 

凰はノーマルであり一夏が好きなので、スコールのアピールに、それはちょっと……と引いていた。

それに敏感に反応した千冬が凰をスコールから離す。

 

「おい、生徒に手を出すな」

 

「あら、ならあなたが相手してくれる?」

 

「私はノーマルだと言っただろう!!」

 

顔を真っ赤にして反論する千冬に、コロコロと笑うスコール。

置いてけぼりの凰はポカーンと口を開け二人の漫才を眺めていた。

 

「ま、冗談はさておき、照秋君が”アレ”を出しちゃったから、それの口止め条件ってのが本当のところかな」

 

「アレ? ……ああ、もしかしてあの[ハシッシ]っていう武装ですか?」

 

凰は一夏のISが突然消えるという出来事に驚いたが、その原因が[ハシッシ]という電子音声後の出来事であったことを覚えていた。

だから、照秋が[ハシッシ]という何らかの武装を行使し結果一夏のISのシールドエネルギーがなくなり装甲が消えたのだと判断した。

しかし、よくよく考えると白式のシールドエネルギーはフルチャージされている状態だった、にもかかわらず白式は装甲を維持できずシールドエネルギーすらゼロになり消滅した。

さらに、白式のダメージレベルはDにまで達していたという。

ダメージレベルDは大破レベルで至急修復が必要なレベルである。

なので、現在白式は倉持技研に送り修復作業を行ってもらっている。

全く派手な動きではなかったというか、何をしたのかさえ分からなかった[ハシッシ]という謎の武装で、そこまでダメージを与えられるものかと疑問すら起きる。

千冬も[ハシッシ]の事は聞くつもりだったようで、無言でスコールを見つめる。

 

「[ハシッシ]はね、対ISウィルス武装なのよ」

 

「ウィルス?」

 

「手のひらから針を出し、それをIS装甲に突き刺して内部にコンピュータウィルスを侵入させる。あとは感染してシールドエネルギーが勝手に減り、ISは装甲を維持できなくなって終わり」

 

聞くだけでとんでもない武装である。

本来ISには操縦者を守る絶対防御というものがある。

絶対防御とは、全てのISに備わっている操縦者の死亡を防ぐ能力であり、シールドバリアーが破壊され操縦者本人に攻撃が通ることになってもこの能力があらゆる攻撃を受け止めてくれるが、攻撃が通っても操縦者の生命に別状ない時にはこの能力は使用されない。

この能力が使用されるとシールドエネルギーが極端に消耗されるという機能である。

つまり、ISに搭載されているシールドバリアと絶対防御は、あくまで外部から操縦者を守る機能である。

ハシッシの恐ろしいところは、針を通してISの装甲の”内部”に侵入するという事である。

結果、シールドバリアなど意味をなさず、絶対防御は働かず、ダメージレベルDという大破まで招くのだ。

 

「……なんなんだ、あのメメント・モリという機体は……」

 

千冬は戦慄を覚えた。

先日の[インヘルノ]といい今回の[ハシッシ]といい、国際IS条約の武器規制をはるかに違反している武装だ。

[インヘルノ]など論外だが、[ハシッシ]は相手のISに接触しなければならないというリスクはあるが、それでも脅威には変わりない。

メメント・モリは常軌を逸しすぎている。

ISの試合でまともに扱える武装は刀剣型武装の[ノワール]のみである。

 

「まあ、以前にも言ったけどメメント・モリは篠ノ之束博士が関わっている可能性が高い機体であるし、未だに未開放領域があるの。私たちはもちろん、照秋君すらあの機体のすべてを理解していないわ」

 

「……照秋にメメント・モリの使用を禁止させ竜胆に乗り換えることはできないだろうか……」

 

千冬は顎に手を当て考え込む。

メメント・モリには未だに未開放領域があるというが、[インヘルノ]といい[ハシッシ]といい碌な武装ではないだろう。

これから先照秋の事を考えると、メメント・モリはアキレス腱になりかねない。

 

「無理ね、篠ノ之束博士直々のお達しで照秋君はメメント・モリ以外乗れない」

 

マスコミ発表した時の竜胆操縦は特例ね、と付け加えるスコール。

 

「とにかく、凰さん」

 

「はい」

 

「今のあなたはこれまでの自分の行いを反省しているわよね?」

 

「はい。愚かな事をしたと思っています。照秋にも悪いことをしたと思っています」

 

凰の言葉に満足そうに頷くスコール。

 

「なら一言照秋君に今度こそ誠心誠意謝罪しなさい。そうすれば私が中国政府と交渉して、あなたを代表候補生から降ろさないよう口添えしてあげる」

 

ここまで肩を持ってくれるスコールに疑問を持つ凰だったが、厚意は素直に受け取ろうと頭を下げ感謝した。

 

 

 

後日、照秋に正式に謝罪した凰は、スコールを含むワールドエンブリオ社が中国政府と交渉した。

中国政府はなんとか自分たちが優位になるようにと無茶な提案を吹っかけてきたが、ここでクロエが公表されていない中国政府のスキャンダルをちらつかせ、無理やり黙らせた。

さらに篠ノ之束からのメッセージを受け取っていると言って中国政府はワールドエンブリオ側の提案をすべて受け入れるしかなくなったのだった。

 

『この次はない』

 

篠ノ之束にこのような最後通告を受けてしまい、崖っぷちに立った中国政府。

 

結果として、

中国政府はワールドエンブリオから[竜胆]とパッケージ[夏雪]三機を購入

うち一機を趙雪蓮の専用機とする

凰鈴音は代表候補生留任

専用機も継続

竜胆の発注数が変わったが、マドカが最初に提案した内容とほぼ同じ条件で妥結したのだった。

 

「……大人って怖い」

 

スコールとワールドエンブリオの交渉術で涙目になる中国政府の高官を目の当たりにした凰は、ドン引きだったという。

 


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