ただ、それはあくまで建設固定設置された核融合炉での話であり、このような動き回る不安定で火薬や兵器バンバンに積んだ物に搭載された核融合炉は不測の事態が起こりうると仮定しています。
今作品の核融合炉は、まあ、ガンダム的な核融合炉と同じだと思ってください。
え、SEEDの核分裂炉?
SEEDってなんですかね?
知らないガンダムですね。
新生ファーストガンダム?
はっ、00の前の番組なんて知りませんね。
フリーダムに積まれたニュートロンジャマーキャンセラーとか核分裂炉とかハイマットバーストてか知りませんねぇ!
スーパーコーディネーター、キラ・ヤマトとかさらに知りませんねえ!!
銀の福音捕獲作戦
作戦開始時間5分前になり、海岸には照秋、箒、マドカそして一夏が待機している。
マドカは腕を組んで海を見つめ、照秋は直立のまま瞑想している。
照秋とマドカはいつもと変わらない表情に見えるが、醸し出している雰囲気が殺伐としている。
殺気立っているのだ。
箒も二人ほどではないが緊張し面持ちで、照秋を見つめる。
一夏は、そんな三人とは別にソワソワしている。
今まで感じたことのない雰囲気に飲まれ、浮ついてしまっているのだ。
ドキドキと鼓動がうるさく聞こえる。
自分の息づかいが耳障りだ。
何も、考えられない。
今の状況が酷く曖昧で、体がふわふわとした感覚。
そのとき、マドカのISからピピピッとアラームが鳴り、一夏はビクッと肩を震わせた。
「時間だな」
「ああ」
腕を組んでいたマドカが照秋達を見ると、照秋と箒はISを身に纏う。
照秋は漆黒に金色の翼を持つ[メメント・モリ]、箒は紅の第四世代機[紅椿]を。
マドカも自身のIS[竜胆・夏雪]を展開する。
それを見た一夏も慌てて展開した。
「作戦内容は先ほど言った通りだ。前衛でテルと箒、後衛で私と織斑。攻撃方法は二人に任せる」
紅椿とメメント・モリは束によって高機動設定に変更されている。
だが攻撃方法は単純明快、箒と照秋が二面で包囲し照秋の[雲耀の太刀]によってダメージを与える。
出来れば一撃で終わらせたいが、下手にダメージを与えるとドローンにもダメージが通る可能性がある。
だから、攻撃には細心の注意が必要で、それは照秋と箒も承知している。
高速機動を行いながら福音を逃がさないよう包囲し、シールドエネルギーのみをゼロにするよう攻撃する。
ISの戦いにおいて、本来ならそれが当たり前で普通のことなのだが、下手に衝撃を与えてドローン内部の核融合炉が暴走してしまえば、核爆発が起こる可能性もあるのだ。
メメント・モリの武装である、[インヘルノ][ハシッシ]委員会から封印解除の許可が下りていないため使用できない。
ハシッシでも使用できれば、また違うのだろうが、無い物ねだりは出来ない。
「テル、くれぐれも無理はするなよ」
「ああ」
マドカの忠告に短く答える照秋。
すでに集中し、戦闘モードに入ってしまっている。
だが、箒はそれを見て頼もしさよりも不安しか感じなかった。
「照秋……これは訓練じゃないんだ。無理はしてくれるなよ」
「ああ」
箒の願いにも近い忠告にも短く答える照秋。
オープンチャンネルで指示を出す千冬の声も歯切れが悪い。
「……あぁ、しかし篠ノ之、作戦内容は先程結淵が言った通りだ。いいな」
「……はい、わかりました。できる限り照秋の支援を行います」
渋々といった感じで答える箒。
そんな箒の気持ちが理解できるのだろう、少し経ってマドカのプライベートチャネルに切り替える。
「……結淵」
「なんだ」
「照秋を、頼む」
「アンタに言われるまでもない。テルは死なせないし、怪我も負わせない」
自身満々のマドカに、若干気持ちが軽くなる千冬。
そして、千冬はプライベートチャネルで照秋と一夏に話しかける。
「一夏、照秋……どうか、どうか無事に帰ってきてくれ」
「了解」
「わ、わかったよ、千冬姉!」
全く抑揚なく短く応える照秋と、緊張しているのがわかる声で応える一夏。
「よろしく頼む、マドカ」
「お前にマドカなんて馴れ馴れしく言われたくねえ。だが、今回は後衛とはいえ運命共同体だ。よろしくしてやるよ」
「あぁ……頼む」
そして一夏はマドカの竜胆の両肩を掴んだ。
「いくぞ!!」
メメント・モリ、紅椿を先頭に、白式を背中に乗せた竜胆。
その四機が太陽光によってきらめきを放ち、晴天の大空へと飛び立つのだった。
「ぐううぅぅっ……」
想像以上のスピードに一夏は必死に歯を食いしばる。
だが、前を飛ぶ照秋と箒はさらにスピードを上げる。
「瞬時、加速、の、比じゃ、ない……!!」
途切れ途切れの声しか出ない一夏。
スピードが速すぎて風圧に圧されているのだ。
「しゃべるな、舌をかむぞ」
マドカに注意され、口を閉じる一夏。
しばらく無言で飛び続けていると、マドカは目の前にモニタを展開し指示を飛ばす。
「暫時衛星リンク確立……情報照合完了。 10秒後に接触する」
その言葉を聞いて照秋は高速飛行のまま蜻蛉の構えを取りノワールを構えた。
[雲耀の太刀]
神速の一撃、二の太刀要らずの示現流の真骨頂、照秋は射程範囲内にはいった目標、銀の福音に狙いをつける。
「行くぞっ……!!」
隣で紅椿のスラスターが更に加速を増し、銀の福音に迫る。
照秋は、瞬時加速を使用し一瞬で銀の福音に肉迫した。
「ちえええええぇぇぇぇぇいいぃぃぃっっ!!」
照秋の蜻蛉の構えから振り下ろした一撃は、まるで風に揺れるように横に動いた銀の福音の真横を通り過ぎた。
「ちいっ!!」
舌打ちする照秋。
やはり力を制御するのは難しいようで普段の雲耀の太刀には程遠い太刀筋だった。
銀の福音に避けられても当然の、腑抜けた一撃に憤る照秋だが、即座に福音から飛びのき距離を取る。
紅椿も福音の背後に回り込み牽制する。
しかし銀の福音は、背中に装備された羽、
直後、高密度に圧縮されたエネルギー弾が発射され、二人を襲う。
「くうっ!? 数が多い!」
箒は何とか避けるが、自然と福音と距離を取る羽目になる。
銀の鐘は自身の周囲に面攻撃を行うため距離を取るしかない。
しかし照秋はその攻撃をノワールで弾き、避け、直撃を避けつつ距離を保つ。
だがそんな芸当長くはもたない。
「箒、背後から側面へ移動、右側面に回れ」
「よしわかった!!」
箒が距離を詰め、銀の福音を中心に照秋と箒は反時計回りに旋回し同時攻撃を仕掛ける。
二人は左右に分かれ、二面同時攻撃を仕掛けながらエネルギー弾を避ける作業を繰り返す。
しかし銀の福音の圧倒的な火力と、出力調整による加減によって近接戦闘向きの機体である二人でも活路を見いだせず攻めあぐねていた。
普通に本気で戦えば圧勝に終わるだろう。
しばらく戦ってみて照秋も箒も、ドローンの戦力はさほど脅威には感じなかった。
戦闘データが少ないのか、ドローンの経験値が低いのか、攻撃に殺気が籠っていないのである。
だが銀の福音の装備が曲者で、箒が一旦離れ距離を取り、空裂と雨月による遠距離攻撃を繰り出すも銀の鐘によって打ち消され、避けられる。
照秋の近接攻撃も当たりはするが、決定的なダメージは与えられない。
「テル、箒どうだ?」
マドカがオープンチャネルで戦況を確認する。
「芳しくないな」
「銀の鐘が曲者だな」
冷静に答える照秋だが、若干いらいらし始めている箒。
マドカはサポートとしてビット兵器の[夏雪]で援護射撃をしようか悩む。
マドカの傍には一夏がいる。
今一夏を銀の福音に突撃させ零落白夜で一気にダメージを与えるか、現状維持のままチマチマ削っていくか。
安全策は現状維持だが、集中力という問題がある。
いくら照秋でも長時間集中は出来ない。
だから、集中力が切れた時が問題で、マドカは悩む。
だが、その一瞬の悩みが、最悪の事態に陥ることになる。
マドカの隣で、きょろきょろと海面を見渡し続ける一夏が、あっと声を上げた。
「船がいる!」
マドカが一夏の指差した方を確認すると、はたして国籍不明の船が一艘、閉鎖海域を航海していた。
「密漁船かよ……ボケがっ!!」
マドカは照秋と箒に通信で密漁船が海域に残っている事を話した。
「なんだと?」
箒と照秋が驚き海面を見る。
確かに船がいた。
その、銀の福音から目を離した一瞬のすきに、銀の福音は照秋に接近し、照秋を殴りつけた。
「ぐうっ!」
「照秋!?」
死角からの攻撃に吹き飛ばされる照秋。
バイザーにノイズが走り、ヘッドホンに雑音が鳴る。
耳障りな音に顔を顰め、再び体勢を整える照秋。
「船は私と織斑がなんとかする。テル、箒、お前らは福音の攻撃を続行だ」
「了解した」
「わかった!」
照秋と箒は再び銀の福音に対峙して攻撃を仕掛ける。
だが、ここからおかしなことが起こる。
今まで銀の鐘を使用して応戦していた銀の福音が、回避に専念し始めたのだ。
追いかける照秋と箒だが、攻撃は当たらない。
回避に専念すると、銀の福音はここまで回避能力が高いのかと驚く二人。
そして、たまに頭を振る照秋。
先程の銀の福音に殴られた影響で、たまにバイザーにノイズ、ヘッドホンに雑音が混じるのだ。
あまりに邪魔ならバイザーを外してしまおうか、そう思ったとき、突如銀の福音が動きを止めた。
全くのがら空きの背中を見せ、ピクリともしない銀の福音。
照秋はチャンスとばかりに、蜻蛉の構えを取り、瞬時加速をしようし銀の福音に接近、神速の一撃を振りおろし斬りつけた。
手ごたえはあった。
ノワールから伝わる、斬りつける感触。
銀の福音は、背中を切りつけられ背中のスラスターが破壊、そのまま落下を始める。
斬り受け破壊したパーツが飛び散る。
その途中で福音はエネルギーがゼロになったのか待機状態へと移行し、そのまま海へと落ちて行った。
終わった――そう安堵した息を吐いた、その時だ。
突如強い力で肩を掴まれ無理やり振り向かせられた。
そこには、ノイズ交じりの焦った表情の箒がいた。
「―――! ―――!!」
ヘッドホンに雑音が入り声が聞こえない。
照秋はバイザーを外した。
「何だ、箒?」
照秋は軽い口調でしゃべるが、箒の顔は真っ青である。
「何をしてるんだ照秋!!」
「何を? 銀の福音を倒したんだろう?」
何を言っているんだと首を傾げる照秋だったが、箒は驚愕の事実を告げる。
「あれは一夏だ! 銀の福音はまだあそこにいる!!」
――え?
照秋は箒の指差す方を見た。
そこには、まるで傍観するように佇む銀の福音がいた。
そして、自分が墜とした銀の福音の方を見た。
そこには、マドカに抱きかかえられ、海から引き揚げられ背中から血を流している一夏がいた。
照秋は自分の手を見る。
手に未だ残る感触。
あれは、一夏を斬った感触。
人間の肉を切った感触。
視界が狭まる。
呼吸が荒くなる。
唇が、震える。
血の気が失せる。
照秋の目の前が真っ白になる。
何で――
どうして――
箒が照秋の横で叫んでいるが、何を言っているのかわからない。
頭に入らない。
もう、自分が今何をやっているのかさえ分からない。
そんな照秋達を前に、銀の福音は動かず、照秋を見ている。
照秋は銀の福音を見てゾッとした。
――のっぺらぼうのような顔のパーツがないドローンのはずなのに、ニヤリと笑ったように見えた。
「ダメだマドカ! 照秋がまったく反応しない!! バイタルにも異常が出ている!!」
「ちいっ! 仕方ない! 撤退する!!」
マドカは傷つき気絶した一夏を背負い、箒は放心状態の照秋を背負い離脱する。
銀の福音は追いかけない。
だが、じっとこちらに顔を向けていた。
まるで、逃げ惑うネズミを見るように。
いいところで終わりましたが、ここで連続更新が途切れると思います。
最近返信出来ず申し訳ありません。
仕事を言い訳にしてしまうことになりますが、忙しいんです。
年末休みなんてありませんよ!
年越しも会社で迎えますよ!
ほんと、最近マトモにパソコン触ってません。
艦これも出来てません。
嫁の大鳳に会えてません。
大鳳に会いたいよー!
ビスマルクに会いたいよー!
あきつ丸に会いたいよー!
榛名に会いたいよー!
隼鷹に会いたいよー!
武蔵に……あ、武蔵いねぇわ。
苦労してケッコンカッコカリしたのに大鳳に会えないなんて拷問だよー!
というわけで、予約投稿がここで途切れます。
なるべく早く再開しますので、お待ちください。