メメント・モリ   作:阪本葵

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お久しぶりです。
お待たせしまして、申し訳ありません。
投稿再開……とはいかず、2話分だけ投稿します。
後少しなのですが、納得いかず書き換えたり消したりの繰り返しをしています。
なので第一部完結はもう少しお待ちください。



第76話 決着

照秋と銀の福音の戦いは終盤を迎える。

 

激しくぶつかり合う照秋と福音。

照秋は鎌[ハルシオン]で攻撃し、銀の福音は巧みに避けつつ体中から生えたエネルギーの翼を光弾に変え、照秋を攻撃。

しかし照秋もわずかな回避行動で光弾を避けさらに攻撃するという互いに一歩も譲らない状況になっている。

福音の流れ弾が近くの島に当たり、爆音と爆風を巻き起こし、さらに海面に落ちた光弾も水柱を起こす。

夕暮れに黄昏はじめた空により、海も暗く成しはじめる。

そんな中を空中で縦横無尽に高速戦闘を行う照秋と銀の福音。

互いのスラスターから出る光と、照秋の持つ鎌[ハルシオン]の刃がエネルギー刃となり紫色に光り輝く。

銀の福音も体から生えたエネルギーの羽根と、光弾が白く輝く。

ぶつかり、交差するとき火花が散る。

二次形態移行した銀の福音は、全ての出力がアップしているため、力の差があった照秋とも互角に渡り合えている。

 

だが、終わりというものは突然だ。

照秋が瞬時加速で再び銀の福音に突撃する。

福音はそれを光弾で牽制するが、照秋はそれを避けず多少の被弾もお構いなしに突撃、その勢いのまま銀の福音に肉迫に頭部を掴む。

ミシリと福音の頭部が悲鳴を上げるが、それを無視し照秋は急降下、海面スレスレを飛行、そして、近くの小島の切り立った岸壁に押し付けるように福音の頭を前に出し激突。

その衝撃で岸壁が崩れ落ちるが、その中から照秋は福音の頭部を掴んだまま再び急上昇する。

福音は、本体であるドローンのどこか不具合が発生したのか、動きが鈍くなっている。

福音は掴まれている頭をなんとかしようと、照秋の腕をつかむ。

しかし、照秋はさらに力を籠め、メキメキと音を鳴らし、ドローンの頭部に指が食い込み始め、福音のバイザーが破壊された。

露わになる目や鼻、口などの顔のパーツが一切ないのっぺらな頭部。

照秋は、そんな福音を見て、バイザーから見える口元がニヤリと口角を上げ歪み笑う。

そして、福音の背中のスラスターの根元を掴み、無理やり引きちぎった。

 

『!#%('?>}`!?』

 

ドローンは、まるで自分の翼を引きちぎられたような悲鳴に似た電子音を鳴らす。

しかし、そんなもの関係ないとばかりに照秋はもう片方のスラスターをガッシリと掴み、引きちぎった。

 

『――――`+~|}_*+I#%$#"%?_~=}!!』

 

体を痙攣させ、背中のスラスター接続部分がバチバチと火花を上げる。

それを興味なさげにポイッと海に放り投げ、もう片方のスラスターを掴み、再び引きちぎった。

 

『ピ―――――ッ!?』

 

ビープ音で悲鳴を上げるという滑稽な姿をさらす銀の福音。

 

そんな銀の福音を、照秋はバイザー越しに見る。

スキャンを開始し、ドローンの体内の温度が上昇しているのを確認する。

過剰な攻撃によって核融合炉の制御に不具合が出始めたのだろう。

そして、どんどん上昇するドローン内部。

どうやら停止する気配はない。

このままだと、放射能をまき散らす可能性がある。

チラリ、とドローンの顔を見た。

目、鼻、口が無いドローンの頭部なのに、何故かニヤリと笑ったように見えた。

 

――ざまあみろ。

 

そう言っているように見えたのっぺらな頭部。

だが、照秋はフンと鼻を鳴らし、空いているもう片方の手を上げる。

掌を広げると、バチッと火花を上げたかと思うと、掌から細い針が出てきた。

 

[ハシッシ発動]

 

照秋は針の出た掌を福音の腕部装甲に突き刺す。

やがて、福音の装甲はハシッシのウィルスに侵され、実体化の限界を迎え待機状態に移行した。

銀の福音の待機状態は羽根の形をしたシルバーアクセのネックレスだった。

照秋はそれを引きちぎり自身の空いている格納領域に格納する。

そして、再び掌を上げると、今度は手のひらから黒い球体が発生した。

 

途端、周囲の景色が激変した。

 

海は荒れ狂い

暴風が吹き荒れ

空には黒い雲と落雷

周囲には竜巻が複数発生し、雨なのか、海の水がせり上がったのかわからない豪雨が巻き起こる。

 

そしてなにより、照秋を中心に空間が歪んでいる。

 

空間に、ヒビが入る。

空間が、悲鳴を上げる。

パリンと空間が割れた。

 

割れた空間から、黒く大きな手が現れる。

大きさにして、指から掌にかけて20メートルはあるであろう強大な手。

そんな手が無数に割れた空間から伸びてくる。

そしてその手たちは、照秋を包むように覆い重なっていく。

 

黒い手によって見えなくなった照秋。

 

割れた空間と伸びた腕の隙間から、無数の目が、照秋を見守る。

 

[アストラル・アンブラー]

 

黒い手に包まれた照秋は、掌で渦巻いていた黒い球体をドローンに押し付ける。

すると、球体を中心に、ドローンが渦にのまれるように変形し始める。

バチバチと火花を散らすドローンだったが、ドンドン黒い球体に吸い込まれる。

 

バチュン!!

 

一際大きな爆発音に似た音と、黒い光を放ったかと思うと、その場にすでにドローンはおらず、包み込んでいた無数の黒い手も無く、割れた空間も元通りで、ただ、照秋のみが佇んでいた。

先程まであれほど荒れ狂っていた海と空、空気が、今は嘘のように静まり返る。

 

無音。

 

海もさざ波も、海鳥の鳴き声も、風の音も、何も聞こえない静寂の世界。

 

そんな世界で、照秋は黄昏の空を見上げる。

そして、今まで口を開かなかったが、ゆっくりと口を開き。

 

「フフフ……」

 

笑い始めた。

その笑いは次第に大きくなり、とうとう腹を抱えるくらいの笑いになっていた。

 

「アッハハハハハハハハ!! ハハハハハハハハハ!!」

 

心底おかしいと体で表現するような笑い。

 

「ザマア見ろ雑魚が!! 私に敵うはずがないだろうが!!」

 

照秋が笑いながら叫ぶ。

それは、照秋の口から出ているとは思えない罵詈雑言だった。

 

 

 

今まで照秋が人を罵る言葉を吐いたところを見たことがない箒たちは、唖然とするばかりである。

未だに信じられない光景。

残虐な、無慈悲な攻撃。

そして、衛星からの映像までも乱れる程空間が歪み、割れた空から出てきた無数の黒い手、覗き込む目、ドローンが消え失せた謎の事象。

そして照秋の狂ったような笑い。

 

全てがフィクションのようで、信じられないものばかりだった。

特に箒たち照秋を慕う者たちは、照秋の豹変に面食らっていた。

そんな中、束だけが忙しくコンソールを操作し、モニタには凄まじい速度で文字が流れている。

 

「ふんふん、面白いね! まさかこんな安定した空間内で時空の歪みを発生させるなんてね!」

 

それを聞いてもピンとこないのがほとんどなのだが、マドカとスコールはギョッとした。

 

「まてまて、時空の歪みだと?」

 

「そ、それって、まさか……」

 

束はにこやかに笑い、そしてはっきりと言う。

 

「メメント・モリは、時空の歪みを故意に発生させ、特異点を固定、シュヴァルツシルト半径の量子サイズを収束、それを安定させ、さらに自らの意思で消滅させることが出来た。簡単に言うとマイクロブラックホールを生成したんだね。そしててるくんを包み込んだ黒い手は、おそらくマイクロブラックホールの被害を最小限に食い止めようとした絶対障壁だろうね」

 

それを聞いたマドカは眩暈がしてよろめく。

慌ててスコールがマドカの肩を抱きかかえた。

 

「……ブラックホールだと? それは、つまり、メメント・モリは超新星爆発以上のエネルギーを内包してるってことじゃないか……」

 

「今メメント・モリを調べたら、全く予想外な結果で驚いたよ。思わず自分の目を疑ったね!」

 

興奮気味の束だ。

 

「は? まさかあなたが理解できない事象なの?」

 

今度はスコールが唖然とする。

 

「いや、理解はできるんだ。ただ、それはISという範疇を超えた為内包しているエネルギーが予想外すぎてね」

 

そう言って、メメント・モリの解析結果が映し出された画面をスコールに見せ、そしてスコールは目を見開いた。

 

「……なにこれ?」

 

映し出された映像は、星の煌めく空間。

星々が集まる空間が、メメント・モリを支配する。

装甲の内側は、指の先から、バイザー、スラスターまで、全てが煌めく空間。

そこには機械などという人工的なものは一切ない。

そして、結果の解答は――

 

――宇宙――

 

「まあ、簡単に言うと、メメント・モリは銀河系と同等のソレを内包してるんだね」

 

「……あ、ありえないわ……」

 

「とはいえ、解析結果に間違いはないからねえ。メメント・モリはすでにISの機械という範疇を超えて、未知の領域に進化したという事だね。うん、面白い!」

 

ニコニコしながらも、目を爛々と輝かせる束に、めまいを覚えたのかふらつくスコール。

ここまで脱線して和やかな雰囲気になるのは、全てが終わったと安心しているからであろう。

だからこそマドカやスコールは警戒せず、束に付き合っているのである。

 

そんな和やかの空気を受け付けない千冬は、モニタに映る照秋を見て未だ信じられないでいた。

 

何事にも動じず、常に落ち着いた雰囲気の照秋。

自己主張せず、一歩引いた位置から物事を見て冷静に判断する照秋。

先程まで、一夏を攻撃したと落ち込み顔を青ざめさせていた照秋。

 

だが、モニタに映る今の照秋はどうだ?

 

腹を抱えて大笑いする、まったく品性のかけらもない仕草。

千冬は、呟く。

 

『アッハハハハハハ!!』

 

未だモニタ越しに照秋の笑い声が聞こえる。

 

「……だれだ、あれは」

 

その疑問は、箒たちも思っていたことで、自分たちの知る照秋とは全く逆の姿に戸惑うばかりである。

 

「照秋……一体、どうしたというんだ……」

 

わなわなと震える唇でつぶやく千冬。

目の前に映る照秋が、まるで別人のように見えてしまう。

そんなつぶやきに、束は言う。

 

「ちーちゃんが追い込んだからだよ」

 

千冬は、ゆっくりと束の方を振り向く。

すると、束はいつもの貼りつけた笑みではなく、真剣な表情で千冬を見つめていた。

 

「ちーちゃん、まったく反省してないよね」

 

「……どういう事だ」

 

千冬は束を睨む。

だが、それを流し、束は手元のコンソールを操作し全面モニタの映る映像を切りかえる。

それは、照秋と箒による最初の銀の福音捕獲作戦の際の映像だった。

それは、千冬も確認している。

照秋視点の映像は、千冬が確認したものを変わらず、途中銀の福音に攻撃を受け、画像に砂嵐、音声に雑音が入りはじめたかと思うと、突如画像の乱れが無くなり、目の前に一夏の背中がハッキリと見えた。

照秋は一夏の躊躇なく背中めがけて瞬時加速で接近、ノワールで一夏の背中を斬りつける。

血を流し海に落ちる一夏。

鈴はこの映像を初めて見たのか、顔を青ざめさせていた。

 

映像を停止させ、束は千冬を見る。

 

「コレ、おかしいと思わない?」

 

「……何がだ」

 

千冬は眉間に皺を寄せる。

束の言う事がわからないのだ。

だが、本当の映像を知っている箒たちは、千冬から視線を逸らした。

 

「コレ、いっくんを攻撃するときに映像の乱れが急になくなったよね。そして、いっくんを斬って視線をずらしたら映像の乱れが復活した」

 

「何が言いたい。はっきり言え」

 

苛立ちを隠さず束を睨む千冬。

束は小さくため息をつき、再び画面操作を行う。

再び、照秋の視点で福音との戦闘が始まる。

また同じ映像を見せて、何だというのだ、そう胡乱げに眺める千冬だが、その表情が凍りつく。

映像の乱れが一層大きくなったとき、照秋の目の前には銀の福音が背を向けて佇んでいた。

照秋は、そんな福音に瞬時加速で接近、ノワールで背中を斬りつけた。

背中のスラスターが破壊され、破片をまき散らし海に落ちる福音。

そして雑音混じりの中、箒の叫び声が聞こえたところで映像を停止させた。

 

「な……なんだ、これは」

 

困惑する千冬。

なぜ、こんな映像が存在する?

なぜ、一夏が福音に変わっていた?

 

「巧妙に隠れてたんだよね、この記録映像」

 

「隠れていた……?」

 

声が震える千冬。

 

「福音の攻撃によって、メメント・モリのハイパーセンサーの認識を操作するウィルスが侵入していた。痕跡も残っている」

 

「基本的にISで記録した映像ってのは消去不可なんだよねー。コアネットワークで共有するし、ISクラウドで保管してるし。もし消去できたとしても復元できるしね。で、このウィルスは消去じゃなく別の方法を取った。ハイパーセンサーを誤認識させた疑似映像とすり替え、本物のハイパーセンサーの映像は全く関係ないフォルダの中で、別名に変更され、さらに拡張子まで変更する徹底ぶり。そうすれば、コアネットワークで共有せずに済むしね。流石の束さんも呆れたねー」

 

「そ、そんな……」

 

愕然とする千冬。

それは、真実をろくに追求せずに照秋を責めてしまったという事を後悔しての愕然だ。

いくら一夏が重傷を負い心身が憔悴していたとしても、弟の意見を無視し頭ごなしに犯人扱いしてしまったのだ。

たしかに照秋は一夏を斬りつけた。

それは事実だろうが、だがしかしそれは照秋の意志ではなかったのである。

戦場での一瞬の判断の遅れが戦況を変える。

照秋は、福音のがら空きの背中を見て勝機と思ったのだろう。

千冬も、照秋と同じ状況であれば容赦なく攻撃をした。

 

「わ、私は……」

 

わなわなと震える手で顔を覆う千冬。

 

私は、なんてことを……!

 

「私は忠告したわよ千冬」

 

スコールは束とじゃれるのを止め、千冬の前に立つ。

 

「よく考えて行動なさい、と」

 

スコールに付きつけられる言葉のナイフが、千冬を傷つける。

とうとう、千冬は膝をつき項垂れてしまった。

そんな千冬と目線を合わせるように束が屈み、覗き込む。

 

「ちーちゃん、てるくんがそんなに嫌い?」

 

「嫌いなわけあるか!」

 

反射的に反論する千冬だったが、束は観察するような目で千冬を見続ける。

 

「じゃあ、もしてるくんとアイツが逆の立場だったとしても、同じように責めた?」

 

何も答えず無言の千冬だが、束は言う。

 

「ちーちゃん、今こう思ったんじゃない?『てるくんならアイツの攻撃避ける』。それか『アイツの攻撃なんか通さない』ってね」

 

確かに、そういう考えが浮かんだ。

照秋の技量は明らかに一夏を超えている。

たとえ背後からの攻撃だとしても、対処できると。

事実照秋は一度一夏の背後からの不意打ちを難なくさばいている。

 

「ちーちゃん、それは信頼じゃないよ?」

 

え? と顔を上げる千冬。

そして、束は言い放つ。

 

「それはね、放置っていうんだ」

 

「放置……?」

 

「ちーちゃん、こう思ってるんだよ。『てるくんなら、出来て当たり前』『出来て当然なんだから、間違いを起こすはずがない』」

 

ピクリと肩を揺らす千冬。

 

「てるくんだって人間だよ? 間違いは起こすし、泣いたり、狼狽えたりもする。誰かに助けてもらいたくて、縋るときもある」

 

千冬は思い出す。

あの恐怖に顔を歪め、違うと叫んでいた照秋を。

 

「ちーちゃん、てるくんのこと、何だと思ってるの?」

 

突き刺さる束の言葉。

いつの間にか束の声にはふざけたものはなく、真剣さを帯びていた。

千冬は、何も言えず、束を見つめ返すしかできない。

言葉が出ないのだ。

照秋の事をどう思っているかと聞かれれば、「当然大切な弟」だと答える。

「愛すべき弟」「守るべき家族」だと答える。

だが、束はそんな事を聞きたいんじゃない。

 

「てるくんはね、ちーちゃんのペットじゃないんだよ」

 

 

 

 

一夏は音速飛行で向かう。

どこへ?

勿論、銀の福音の元へだ。

座標は覚えている。

原作では銀の福音は一夏を堕とした後その場から動こうとせず、無断で出撃した箒たちと交戦しているはずだ。

ここからが俺のターンだ!! と笑みを浮かべる。

多少過程は違ったが、一夏は堕ち、無事に白式は第二形態移行した。

左手への多機能武装腕「雪羅(せつら)」に、大型化したウイングスラスターが4機。

出力が大幅にアップしたためスピードが格段にアップしている。

それに比例してエネルギー消費も上がったが、それも紅椿の絢爛舞踏によって解消される。

これから向かう場所で戦っているであろう原作ヒロインたちの前に颯爽と現れ、銀の福音を倒す。

そうすれば、今までのマイナスイメージを抱いていた箒やシャルロット、ラウラは惚れ直すだろう。

そして、一夏を背中から斬りつけた卑怯者の照秋に愛想を尽かせ、気持ちも離れる。

一夏は、自分の描いた未来予想図に一層笑みを深める。

 

やがて、一夏は最初に銀の福音と会敵した地点に到着したが、周囲は波の音と海鳥の鳴き声しかしない。

日が傾き、オレンジ色に染まる空と海。

その海域を見渡したが、特に怪しいものは無い。

一夏、探索範囲を広げる。

すると、小島を発見した。

その小島は、岸壁が破壊され、砂浜を抉れている。

どう見ても自然に起きた現象ではない。

ここで、銀の福音の戦闘があったのだ。

だが、未だ周囲で戦闘をしているような音は聞こえない。

一夏は周囲のISの反応を調べた。

もしかしたらもっと遠いところで戦闘を行っているのかもしれないと思ったが、一応反応を確認した。

すると――あった。

 

一つ、点在する反応。

 

それは、メメント・モリと表示されていた。

 

一夏は頭に血が上るのがわかった。

 

「あんの野郎! まさか勝手に倒したんじゃないだろうなぁ!?」

 

もしそうなら原作剥離甚だしい。

一夏の最大の見せ場であり、ヒロインたちを共闘してカッコいいところを見せ、惚れ直させる一大イベントなのに。

それを潰してくれた照秋に殺意を覚える。

だが、疑問もある。

もし照秋が倒したのだとして、箒たちはどこにいるんだ?

捜索範囲を広げても、箒たちの反応は無い。

それに、照秋がいつまでもその地点から動こうとしないのも気になる。

 

そして、ふとこんな事を思った。

 

「もしかして、俺を待ってるのか?」

 

何故そんなことを思ったのかわからない。

だが、それだとしっくりくる、とも思った。

一夏は、少し考え、スラスターを起動させ、飛び立つ。

 

向かう場所は、照秋のいる地点。

 

 


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