そこでは様々な出来事が起きて、振り回されながらも充実した日々を送っていた。
だが
今この場所は紅茶の香りはしないし、楽しげな話し声も聞こえない。
様々な出来事が起きたこの懐かしい場所は今からお前らを裁く断罪場へと変わった。
その断罪が今、始まる。
雪「私たちを裁く…?ふっ…馬鹿を言わないでちょうだい」
雪乃は少し笑ったと思ったら直ぐさま蛙の面の男を睨み付けた。
蛙「随分と余裕じゃねーか。」
雪「とぼけないで!これまでの事件全部、貴方が仕組んだ事なんでしょう!?」
蛙「はて?なんの事やら」
しらばっくれる蛙の男を見て雪乃は怒りの眼で男を睨み付ける。
雪「そんな態度でいられるのもここまでよ。逆に私が貴方を裁いてあげる」
俺を…裁くか…。
蛙「言っておくが俺は知ってるんだぜ」
蛙の男は雪乃に詰め寄る。そしてあることを呟いた。
蛙「お前達が立てた『計画』をな」
始まりは入学式が始まる前の出来事。
お前が車で送ってもらってる時に事件は起きた。
突然、前方から犬が飛び出してきたのだ。
もし、このままいけば飼い主の管理不足で起きた不運な事故という形で上手く収める事が出来たのだがそれが出来なくなってしまった。
とある一人の青年が犬を庇って事故に遭ったのだ。
幸いにも金で上手く収める事が出来たが。
もし、彼が事故の件を公表してしまったら雪ノ下家が危うくなる。
だからお前たちはその青年を潰す計画を立てた。
雪「待ちなさい」
雪乃が蛙の話を遮った。
蛙「なんだよ」
雪「あなたは一つ間違いを侵したわ」ニッ
雪乃が笑みを浮かべる。
雪「私が事故の相手が解ったのはそれからしばらく経った後」
雪「つまり私はそれまで相手を知らなかったって事よ。だから計画を立てるなんて無理なのよ」
雪乃がしてやったりな顔をする。
それを聞いた蛙はー。
蛙「はぁ…」
ーため息をついた。
蛙「あのなぁ、お前聞いてなかったのか?」
蛙「俺は『事件の件を公表してしまったら雪ノ下家が危うくなる』と言ったんだぞ」
蛙「だったらそうなる前に対処するのが妥当なんじゃないのか?」
雪「ッ…それは…」
雪乃は険しい顔をした。
それを余所に蛙は話を続ける。
蛙「お前は入学式の後、葉山と共に雪ノ下家に呼ばれて事故の相手を知った。そしてお前の母にこう言われた」
蛙「『この子を監視、あるいは完膚なきまでに潰しなさい』と」
雪&結「「!?」」
彼女たちは蛙が急に雪乃の母の声を出したので驚愕した。
蛙「しかも総武高も雪ノ下家の息がかかっているので計画を予想以上に進める事が出来たという訳だ」
そうとは知らない青年が総武高に通って早一年。計画は実行に移された。
その青年は一人の女教師に作文の事で呼ばれある部活に強制入部されることになった。
その部活の名は「奉仕部」。
そこが彼を潰す計画の場所だった。
理由なんてどうでもよかったんだろうな。
それでも入らなかったら殴る蹴るなりして無理やりにでも入部させるつもりだったらしいから。
そこで雪ノ下お前は、罵詈雑言で青年の心を壊す事にした。しかも徹底的にな。
だがその青年はこれまでにも辛い人生を歩んできていたのでこれくらいじゃあ壊れなかった。
そこでお前達は別の方法を考えることにした。
それから直ぐに転機は訪れた。
飛び出してきたペットの飼い主である「由比ヶ浜結衣」が依頼で目の前に現れたのだ。
そこでその青年が離れた隙に飼い主に問いただしてみた。
そしたら彼女も同じ意見だったらしく、二人で同盟を組むことにした。
飼い主である由比ヶ浜も事故の件を公表されるのが怖くてどうしたらのかわからずにいたのを奉仕部の顧問である教師に見つかり、此処に訪れるように言われたらしい。
彼女たちは蛙が急に雪乃の母の声を出したので驚愕した。
蛙「しかも総武高も雪ノ下家の息がかかっているので計画を予想以上に進める事が出来たという訳だ」
彼女らが同盟を組んでからしばらく経ち、奉仕部はテニス部の依頼を受けた。
だが、その途中でトップカーストに所属してる「葉山隼人」とそのグループが現れた。
そしてテニスコートを懸けて勝負することになった。
実は彼女らはその依頼を利用して、彼を陥れる計画を立てていたのだ。
その計画はテニス勝負で青年を負かし、テニスコートをとられた責任を全部彼に押し付け、それをグループで広めるという計画だった。
だが彼を一人で闘わせても中々負けず、遂には勝ってしまい計画は失敗に終わってしまった。
彼女らは次の計画を考えることにした。
その後も彼女らが立てた計画は次々と失敗に終わってしまった。
チェーンメールを利用して青年を犯人に仕立てあげる計画。
川崎の深夜バイトの件は雪ノ下の財力でお前達の事を揉み消せるのだが、あまりにもリスクが高いので実行されなかったらしいな。
その他にも遊戯部などの計画が成功せず、そこから時間が過ぎていった。
それから時は夏休み。青年はその妹と手を組んだ教師に無理やり林間合宿に連れてこられた。
そこでは小学生達のサポートをするのだが、その中にある虐められている少女を見つけた。
ただその少女には時々不自然な姿が見られた。
そこでわざと虐めさせていると感付いた雪ノ下、お前は自分の虐めを有利にする代わりに彼を陥れる様に交渉した。
まあ、結局は失敗に終わったがな。
だが直ぐに転機は訪れた。
文化祭の準備期間になり青年は庶務を担当することになったのだが、そこである事件が起きた。
雪乃の姉、「雪ノ下陽乃」が現れ実行委員である「相模南」に色々と吹き込み相模を利用して文化祭を潰そうとしてきたのだ。
おそらく、計画が失敗続きで雪ノ下母がしびれを切らしたんだろうな。
もしこのまま文化祭が中止になってしまっても青年に全部責任を押し付けるつもりだったらしいが、スローガン決めの時にそれは起こった。
青年が「人〜片方楽しんでる文化祭〜」と出して自分にヘイトを集めることで少なくなっていた人を委員会に呼び戻し、文化祭開催にまでこぎつけることが出来たのだ。
だがハプニングはこれで終わりではなかった。
文化祭終盤で相模が集計結果を持ち出しどこかにきえてしまったのだ。
それを聞いた雪乃はあることをひらめいた。
それは青年に相模を探させ、私達はライブで時間を稼ぐというものだ。
その青年の事だから自分を自己犠牲して無理やりつれてくるだろう。仮に失敗したとしても責任は彼にあるから心配はないと考えた。
陽乃もそれを察したのか雪乃の提案に乗ることにした。
その結果、相模が戻り文化祭は成功し、彼は学校一の嫌われものになったのだ。
それを知った雪乃は思い付いた。
彼の性格を利用し尽くして、彼をそのまま潰してしまおう。そして私達は有意義な学園生活を送るのだ。
そうして彼女達の計画は実行された。
修学旅行が近づいてきたその日、葉山グループの「戸部翔」から依頼が来た。
その依頼というのは「海老名姫奈」に告白したいからサポートをしてほしいというものだった。
奉仕部はそれを了承した。その後、海老名が入ってきて、話をした後、でていってしまった。
そして修学旅行の当日、告白の日がやって来た。戸部が告白しようとしたその時、青年が先に告白をしてしまった。
実は彼は戸部の依頼の他に海老名の「現状維持」という依頼での板挟みを受けていたのだ。
その二つを解消するために彼は嘘告白をすることを決意したのだ。
結果的には依頼は解消されたが、奉仕部の二人からは…。
雪「あなたのやり方、嫌いだわ。上手く言えなくてもどかしいのだけれど…、あなたのやり方、すごく嫌い…」
結「人の気持ち、もっと考えてよ。何でいろんな事がわかるのにそんなこともわからないの?そういうの、嫌…」
そう言われ二人との仲が悪くなってしまった。
その後、その場を去っていった二人は…。
楽しく二人で乾杯をしていた。
実はこれは全て彼女たちが立てた計画だった。
始めに戸部が海老名の事が好きなのを知っていた葉山は、戸部に奉仕部で告白の依頼を受けるように促した。二人は事前に葉山から聞いていたんだろうな海老名は付き合う気が無いという事も。この依頼は絶対に失敗すると解った二人は。その責任を彼に全部押し付ける為に、演技をしながらその依頼を了承した。
その後、葉山達は青年に海老名に付き合う気は無いことを気づかれないように知らせ、葉山本人からの後押しもあったお陰で計画は大成功した。
その時の青年への言葉も全部演技で、青年から離れた後は計画が成功した記念に楽しく笑いながら宴を開いたそうだ。
まあ、念には念を入れてそれを学校中に言いふらすことは出来なかったらしいがな。
生徒会選挙の時期になり雪ノ下は青年に見切りを付けるために生徒会委員長になる事にした。
由比ヶ浜も奉仕部が無くなると思って寂しそうにしてたが、それは演技で実際は奉仕部なんてどうでもよく雪ノ下同様偉い地位に就く予定だった。
「一色いろは」からの依頼があったがそれも対策済みであり、『生徒会委員長になった時は雪ノ下の権力で虐めてた奴等を親ごと社会的抹殺し貴女の後ろ楯になって好きなようにさせてあげる』という契約をさせ、これで完璧だったのだが…。
青年が一色が生徒会委員長に成る様に後押ししたせいで雪ノ下の計画が潰れてしまった。しかも署名もあったので一色の生徒会委員長就任は確実なものになってしまった。
さすがの雪ノ下達も怒りを抑えられず、気づかれないようにだが青年に殺意を出していたそうだ。
時はクリスマス。
雪ノ下お前は今度こそ青年との見切りを付ける為に動くことにした。
そこに一色からの依頼が来た。その依頼とは、『海浜総合高校と合同クリスマスイベントすることになったのだが、生徒会長が意味不明なことばかり言って全然進まないので助けてほしい』というものだった。
その依頼は青年が一人でやることになって、雪ノ下はそれを利用することにした。
彼を見放せば自然と壊れていくだろうし、そうでなくても録な人生を送る事は出来ないだろう。
それにもし依頼の通りだったらクリスマスイベントは失敗する可能性が高いし、責任は全部青年が被る事になる。仮に成功したとしてもいい雰囲気は持たれないであろうから依頼を受けている間に実行することにした。
イベントが間近になった時に実行する事を決めた彼女は、そこで青年と会い『もう、無理して来なくていいわ』と言って彼と見切りを付ける事に成功した。
ーこれで彼とはもう関係ない。
ー私はもう自由だ!!
呪縛から解放された彼女は男女共に目惚れるような綺麗な笑顔をしながら帰っていった。
これでもう大丈夫だと思ったのだが…。
しばらくして、奉仕部に青年が入ってきた。
そして『本物が欲しい』と涙目で変なことを言ってきたのだ。
あまりの予想外な事にたまらず出ていってしまった雪ノ下は青年から離れた後、もしかしてと思い平塚先生に電話した。
そしたら見事当たり、平塚先生曰く『この男にはまだ利用価値がある。だから我慢して部室に置け』とのことで雪ノ下は仕方なく彼をまた迎え入れることにした。
その後彼女は彼の顔を思い出す度に何度も吐いた。
…説明するのも面倒くさくなってきたからここから色々と省かせてもらうぜ
雪ノ下達二人が嫌々ながらも奉仕部での活動や行事を行って結構時間が経ったその日、一色からプロムの依頼が来た。
そこから雪ノ下と青年が対決することになって、なんやかんやあって雪ノ下の勝ちになった。
勝者には敗者に命令できるというルールがあったので雪ノ下は由比ヶ浜の願いを叶えて欲しいという命令をした。
要するに我慢の限界だった雪ノ下は青年を由比ヶ浜に押し付けることにしたのだ。
だが由比ヶ浜に押し付け返された雪ノ下は仕方なしに最終手段を取ることにした。
それは彼を付き合ってそのまま利用し尽くして飼い殺すというものだった。
幸いにも彼が自分に恋愛感情を持っていることを知っていたので簡単に付き合うことができた。
これからコイツと付き合う事になるのかと思った彼女は、もう諦め何も考えない様にする事にした。
近い内に嬉しい事件が起きる事も知らずに…。
蛙「これで説明はおしまいだ。どうだ、お前達の本性をさらされた気分は」
沈黙の中で蛙が二人に問う。それに対し雪乃は…。
雪「おしゃべりはこれでおしまいのようね」
平然とした態度で答えた
雪「蛙の鳴き声のせいで時間を無駄にしたし、耳までおかしくなったわ」
未だに戸惑っている結衣を余所に雪乃は淡々と話す。
蛙「戸惑ってた癖によく言えるな」
雪「戯れ言はもういいといってるのよ」
ー余裕を取り戻したという所か…。
雪「その余裕もこれまで。貴方はもう終わりよ」
蛙「俺が終わりだと?何故だ?」
蛙が雪乃にそう問うと。
雪「フフフ…ハハハハハハハ!!」
雪ノ下が急に笑いだした。
蛙「何がおかしい」
雪「馬鹿ね。貴方はー」
ー喋りすぎたのよ!!
ウーーーーーウーーー!
外から何やら音が聞こえる。
その音を聞いた蛙が窓から除くと…
『『『ウーーーーーウーーー!!』』』
外には大量のパトカーが停まっていた。
蛙「成る程な…。これはお前の作戦と言う事か」
雪「ええ、そうよ。フフフ…、驚いた?この状況に」
雪乃はほくそ笑みながら蛙に言う。
雪「何でこんな事になったのか知りたい?」
蛙「…一応聞いといてやる」
蛙は昔青年が座っていた場所に座り、雪乃の話を聞いてみることにした。
雪「私にはね発信器が付けられてるの。もし私に何かあった時の為にね。」
雪「後はその事を事前に知っている警察に自分が何処にいるかを突き止めさせるだけ。簡単でしょ?」
雪「ちなみに逃げようとしても無駄よ。此処はとっくに警察が包囲しているから」
蛙「袋の鼠…と言う訳か」
雪「あら、案外物分かりが良いじゃない」
雪ノ下は笑みを浮かべながら蛙を見る。
結「そ…そうだし!とっとと諦めて降参するし!!」
結衣が雪乃に便乗してきた。
そうこうしてる内に警察が中に入ってきた。
雪「これでもう貴方も終わりね。ちなみに貴方には感謝をしてるの」
雪「貴方のお陰で私達は『事件を止めた英雄』として広く知られるのだから」
雪乃は勝ち誇った顔を浮かべる。
結「つまりアタシ達は有名人になるってことだよね?」
雪「その通りよ由比ヶ浜さん」
結「やったー!私達有名人だー!!」
雪乃の言葉に結衣は笑顔ではしゃいだ。
警察の足音が聞こえてくる。すぐそこまで近づいてきているようだ。
雪「今更後悔しても遅いわ。おとなしく降参し、貴方の死刑宣告が来るまで震えながら待つ事ね」
警察が奉仕部内に入って周囲を取り囲んだ。
雪乃は少し怯えた顔をしていたが内心では笑いをこらえていた。由比ヶ浜も必死で笑いをこらえている。
勝った…。
勝った!
あの忌々しい姉にも
あの母にも。
私はあの雪ノ下家の奴等を負かす事が出来た!
私は勝ったの!!
これで私のー
《b 》ー勝利よ!!!《/b》
雪乃達の勝利は確実なものとなった。
蛙「とでも思ってんのか?」
警察は蛙を捕まえようとせず、ただ周囲を囲んで立ったままだ。
雪「何をやってるの、貴方達?早くそいつを捕まえなさい!」
いつまでも動こうとしない警察に我慢ならなくなり、雪乃が成り立てる。
蛙「残念だが雪ノ下、コイツらは俺を捕まえに来たんじゃねーよ」
蛙は肩を竦め、怪しげな笑い声を出した。
雪「…は?」
一瞬、雪乃がその言葉に固まった。
ー蛙こいつを捕まえに来た訳じゃない…?意味が分からないわ…。コイツは今まで多くの犯罪を犯してきたのよ。それを捕まえないなんてあり得ない!!
結「何言ってんのさ!とっとと早くコイツを捕まえてよ!!マジキモいんだけど!!」
結衣も警察に怒鳴るが警察は微動だにしない。
蛙「だから無理なんだよ。もし命令に背いたら何をされるか分からないからな」
雪「…命令?」
雪乃が蛙の言葉に疑問を抱く。
雪「今回
ー雪ノ下雪乃。
ー由比ヶ浜結衣。
蛙「お前達の二人だ」
雪&結「「…」」
蛙の言葉に二人は固まった。
蛙「そしてそれを命令したのが…」
雪ノ下を指差し。
蛙「雪ノ下雪乃、お前の母親だ」
雪&結「「!!!??」」
その言葉に二人は声も出なくなった。
雪「お母さんが私を逮捕?あり得ないわ!私を騙すんだったらもう少し頭を使いなさい!!」
ー余裕が無くなってきたな。哀れさが、より際立っている。
雪「大体お母さんが私を見捨てる訳ないでしょう!!」
ー信じられないようだな。まあ当たり前か…。
雪「ふざけるのも大概に「ピリピリピリッ」ー!?」
突然、雪乃のポッケから妙な音が鳴る。
蛙「電話だぜ、取り出さなくていいのか?」
蛙がそう言うが、雪乃の反応はない。
蛙「なんだったら俺が変わりにとってやろうか?」
雪「…ッ!?勝手なことをしないでちょうだい!」
そう言って雪乃が恐る恐るとポッケからスマホを取り出す。そしてー。
蛙「これが証拠だ」
雪ノ下母の名前が出ている画面を見た瞬間、雪乃の顔色が眼に見えて変わった。
それを見た結衣はただ呆然と見ているだけだった。
蛙「ほら、とっとと流せよ」
蛙が掛けるよう促し、雪乃は震える手でスマホの通話ボタンを押す、そしてその内容を聞いた途端、雪乃の震えが激しくなった。
雪「うそ…うそよ…、そんな…」
スマホから流れていた内容は。
雪母『貴女の人生などもうもはや何の価値もありません』
『ですのでその命を持ってその方の恨みを鎮めなさい』
『無意味な人生のまま終えるのではなく、『罪を償う』という意味のある人生を送らせてあげるのです。私に感謝しなさい』
『心配ありません。貴女の子供達は私が立派に育てますので』
『そしてこれが貴女との最後の会話ですのでそこを忘れないでくださいね』
そういうとスマホの通話が切れた。
雪乃が急いで母の電話に掛けるもー。
『お客様のお掛けになっている電話番号は現在使われておりません』と流れ、何度掛けてもそれは同じだった。
蛙「オメーの母ちゃん、声だけじゃ信じないだろうからわざわざテレビ電話にしたんだぜ。本当に優しい母親だよな」
今はもう赤の他人だけどな。
雪「…し、信じない…。私はこんなもの絶対に信じない!!!!」
雪乃がスマホを叩きつけた。勿体ねぇ…。
雪「貴方達ッ!早くそいつを捕らえなさい!!!」
警察はピクリとも動かない。
雪「早くしなさい!!この役立たず共がァアアア!!!」
雪乃が頭をかきむしりながら絶叫する。
豹変した雪乃に結衣はただ震えながら見つめることしか出来なかった…。
それを見た雪乃は…。
雪「貴女も黙ってないで何か言いなさい!!!」
結衣に向かって叫んだが、結衣は泣きながら震えるだけだった。
蛙「あははは!!取り乱しすぎ…ッ!お前、面白すぎるだろ!!」
雪乃の取り乱しっぷりに蛙が笑いだすとー。
雪「…嗤ったわね…。今…貴方…」
騒音がピタリと止み、雪乃がそう言う。
雪「全部…、全部…ッ」
すると雪乃がすごい形相で蛙の方に振り向きー。
雪「全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部!!!おまえのせいかああああ!!!!」
そのまま蛙の方に突っ込む。
蛙「…」
ガタッ!
だが警察がそれを無言で押さえつける。
そして蛙が雪ノ下の顔を覗き…。
蛙「ククク…。いい眺めだぜ雪ノ下」
そして蛙がいい放つ。
蛙「目も見事に出来上がってるじゃねーか」
そう言った蛙が、スマホで自分の姿を見せる。
「…ッ」
そこに写っていた雪乃の目は光を通さないかのような濁った目をしていた。
その後、蛙が未だに押さえつけられている雪乃の拘束を解放させた。
蛙「さて、そろそろ終わりも近づいてきた。何か言い残すことはないか?」
蛙が二人に問うと…。
結「…ねぇ、私を解放してよ」
雪「!?」
結衣が自分を解放するよう頼んできた。
雪「貴女!裏切る気!?」
結「裏切るもなにもアタシはアンタに巻き込まれた被害者だからね!!」
雪乃が怒鳴るも結衣も負けじと反論する。
結「お願いだよ。私なんだってするから」
蛙「…」
結衣の願いに蛙は考え…。
蛙「…本当の事を言ったら考えてやる」
結「…!本当!?絶対だからね!」
蛙の言葉に結衣の表情が明るくなった。
蛙「それじゃあ聞くが、入学式初日の時、お前、犬の散歩をさせてたよな?」
結「う…うん。そうだよ!」
蛙「その時、飼い犬のリードが外れたよな?」
結「うん!」
蛙の質問に結衣が首を縦に動かす。
蛙「お前、そのリードが壊れることを知っててわざとつけたんじゃねーか?」
蛙の問いに結衣は…。
結「うん!その通りだよ!」
あっさりと答えた。
蛙もこれには呆気を取られていたが直ぐに持ち直して質問を続ける。
蛙「…何でそんな事をしたんだ?」
結「何でって…そりゃ…」
結「運命の王子様を見つけるためだし!!」
はっきりと結衣はそう答えた。
結「それなのに彼奴がいらないお節介をかけたせいでホント最悪だし」
蛙「…もし見つからなかったらどうしたんだ…?」
結「その時はその時で『まぁ、仕方ないかぁ…』って感じだけどそれでも絶対に諦めない!代わりはいくらでもいるから!!」
結衣がそう高らかに言った。
蛙「そっか…、分かった」
蛙「連れてけ」
蛙は警察に連れていくように命ずる。
「!何で!?解放するっていったじゃん!」
ー言ってねーよそんな事。
蛙「俺は『考えてやる』と言っただけだぜ。そして考えた結果がこれだ」
結衣は警察に取り押さえられ、そのまま連行されようとしている。
結「離して!私は被害者なんだよ!!」
蛙「大人しくお縄を頂戴しろ」
そうやり取りしてると…。
雪「あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!」
雪乃が蛙目掛けて突っ込んできた。
もうなにも残ってないと思いヤケになったのだろう。
そのまま襲われるかと思ったその時。
蛙がヒラリとかわし、袖を掴み足を引っ掛け雪乃を仰向けに倒した後…。
ーゴシャッ!
雪乃の顔を思い切り踏んづけた!
ダンッ!ダンッ!
そしてダメ押しするかの様にもう二回踏んづける!
雪「ガアアアアアーーー!!!」
雪乃は激痛にのたうち回った。血も出ている事から鼻が折れているのだろう。
蛙「無様だな。信じてたものに全て裏切られ、自分の力だと思っていたものが全てまやかしだったんだからな」
のたうち回る雪乃にそう吐き捨てる。
そして雪乃警察に両腕を捕まれ、連行されようとしている。両腕を捕まれたことで、踏まれ醜くなった顔が露になった。
蛙「楽しませてもらったぜ。良いものを観せてもらったよ、雪ノ下」
雪乃にそう言うも顔を見られたからなのか雪乃はピクリとも動かなかった。
念のため生きてるかどうか確認する。
蛙「どうやら生きてるみたいだな。まあ殺すなんてヘマはしないがな」
生きてることを確認した蛙はその場を後にすることにした。
そとに出ると、そこには大量のパトカーと警察がいたが…。
蛙「敬礼」
警「「「バッ!」」」
蛙には無意味だった。
ーーー
八「まさかあんなのに引っ掛かるとはな」
アイツのスマホに写っていたの母親は本物じゃあない。
俺が変装してた偽物だ。
その録画したのを女神が雪ノ下母から奪ったスマホに写し出していたのだ。
そんな事にも気づかないなんて、彼奴も堕ちたもんだな。
因みに雪ノ下母も今頃は檻の中だろう。
雪ノ下娘あいつに変装して同じ方法を使ったけど引っ掛かるとは思わなかった。
今頃は母娘二人仲良く刑務所で暮らしてる事だろう。
仮に出所して別れたとしても今までの行為はしっかりと撮ってそれをばらまいてあるから嫌でも二人一緒に過ごす事だろうな。
あの警察官も俺が事前に催眠をかけて雪ノ下を逮捕するように命令した。簡単に引っ掛かるとは思わなかったけど…。
でもまぁ、これで…。
やっと…。
やっと…。
やっとここまで来ることができた。
本当に長かった…。
でもこれで…。
八幡がそう思っていると…。
女「…」
女神が俺の前に現れた。
女神が俺の方に近づいてきて…。
…ギュッ
そこで俺の思考が停止した。
それは少し苦しくて…。
それなのにそれを忘れる位に優しくて…。
そして何より暖かかった。
思考停止していた俺がこれがどんな状況なのかを理解した。
俺は今、女神に抱き締められている。
ーいきなり何なんだ一体。
俺は引き剥がそうとしたが上手く力が入らなかった。
ー何故だ!こいつを引き剥がせねぇ!!
八幡が困惑してると…。
女「やっぱり…」
女「力が入らないのですね…」
俺は女神の言葉に驚いた。
八「テメェ…、いったい何をした」
女「私は何もしていません」
八「嘘を付くんじゃねぇ…」
八幡は力を振り絞るかのように言った。何故か怒鳴ろうとしてもそれが出来なかった。
女「貴方は全てを復讐に捧げてきました」
そうだ。それが俺の目的…。
女「ですがそれも限界を越えています」
八「……………は?」
俺はその言葉に困惑した。
女「貴方は今までに辛い人生を送ってきました」
女「騙され、裏切られ、虐げられ、貴方の心は既にボロボロの状態」
女「それでも貴方は生き続けた」
女「いつか「本物」に巡り会えることを信じて…」
女「そしてやっと『本物』に巡り会えたと思ったら…」
女「それは最低最悪の『偽物』だった」
女「そしてまた騙され、裏切られ、虐げられ、理不尽に飲み込まれ、命を落とし…」
女「貴方はとうとう復讐を誓った」
女「最初は貴方は復讐に快感を持っていたでしょう」
女「ですが貴方は復讐相手の本性を知ってしまい、知らず知らずの内に精神がすり減ってしまっていたのです」
女「そして、今のように力が出せずにいます」
その言葉を聞いた八幡は顔を険しくした。
女「お怒りはごもっともです。ですが、神は身体的な能力は授けられますが精神的な能力は授けることはできません」
女「仮にできたとしても貴方は取り返しのつかない所まで来てしまっていた為、処置は出来なかったでしょう」
女「それだけ貴方の心に限界がきてしまっており、今、立っていられるのが奇跡なのです」
一体こいつは何を言っている。
俺の心に限界が来ている?
この幼少期から精神を鍛えた俺に限界など…。
女神は八幡の頬に触れる。
女「それに貴方は復讐に優越感を持てなくなっているのではないのですか?」
八幡「!?」
女「その証拠に貴方が復讐をすればするほど悲しい顔をしているではありませんか」
図星なのか八幡は少し硬直した。
女「貴方は凄い人です」
女「普通の人なら自殺するレベルの人生を貴方はめげずに生きてきたのですから」
女「そんな貴方だからこと私は貴方に言わなければいけません」
女「お疲れさまでした。今まで良く頑張りましたね」
女「そして…」
女「産まれてきてくれてありがとう」
八幡は大粒の涙を流し泣いていた。
ーーー
女「もう大丈夫なのですか?」
女神が微笑みながら八幡に問う。
八「…」
八幡は女神と視線を合わせないようにしていたが、女神は八幡の頬が赤くなっている事に人目で気づいた。
女「どうやらもう大丈夫のようですね」
女神は笑顔でそう言った。
すると八幡が口を開いた。
八「俺は最初から復讐に優越感を持てなかった訳じゃない」
八「最初は復讐に優越感持っていて、そいつらの事ざまーみろと思っていた」
八「だが俺が…その…変な感じになったのが陽乃の復讐が終わった時だ」
八「お前が俺に怒鳴った時、なんて言うか…、変な感じになった」
八「それで…その…」
八幡は何か言おうとしていたが、どう言ったらいいのかわからずしどろもどもになっていた。
八「とにかく俺は最初から復讐に対して不快感は無かったしどうとも思っていなかった。それを良く覚えておけ」
女「はい」
女神は八幡の言葉に暖かい笑顔で頷いた。
七章 偽物だった場所 完
八「一応聞くが…」
八「お前、俺の復讐がこれで終わったと思ってるんじゃないのか?」
女「?違うのですか?」
女神は八幡の問いに首を傾げた。
八「ちげーよ、俺の復讐は…」
八「まだ仕上げが残ってるんだからな」
女「仕上げですか?」
八「ああ、そうだ」
復讐がまだ続くと知った女神は少し悲しそうな顔をした。
八「まぁ…お前のお陰で吹っ切れて力も出るようになってお前にも色々と世話になった。俺だけでも出来たが、お前に助けられた部分もある。一応感謝するぜ」
女「…!!はい!」
悲しい顔から一転、女神は凄く嬉しそうな顔になった。
八「それじゃあ早速準備するぞ。……手伝ってくれるか?」
女「勿論!!」
さあ、これが俺の…
最後の復讐だ!!
次回 八章
最後の復讐