復讐に染まった俺は、この世に地獄を作る   作:龍座

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あの光景は、今でも目に焼き付いている…。

それは、全てが灰色に見えていた世界の中でやっと『本物』と呼べる物を手にいれたと思っていた。

だが実際それはどす今まで味わってきた以上に全てが黒く歪んでいて、そして醜い『偽物』だった…。

俺に向けられたあの眼差しを…。

俺に放たれたあの言葉を…。

俺の人生を潰した彼奴ら(くずども)を…。

俺はそれを死んでも絶対に忘れない…。


二話 愚者達の末路…

俺はニヤリと口角をあげ、呆然として立ち尽くすクズ共を見つめ返した。

 

八「未だに信じられない様だな。この俺が生きていたと言う事に」クック

 

八幡は笑いながら言う。

 

八「まぁ、当たり前か…。何せ俺は死んだ事になってんだからな」

 

未だに動かない奴等をよそに八幡は話を続ける。

 

八「しかし、悲しいねぇ。変装していたとはいえ、少しの人しか気づかないなんてさ…」

 

八「しかも折角の感動の再会だってのに歓声の一つもないと少し寂しいぞ…」

 

八「なんか言うことはないか?ほら何でもいいからさ」

 

八幡は相手に何かを言うように催促していると…。

 

雪「…何で私達の前に現れたの?」

 

雪乃が俯きながら口を開いた。

 

八「何でって…我慢の限界だったんだよ。俺が受けた理不尽に対してな」

 

八「何で俺がこんな目に遭ってお前らは幸せそうに生きているんだと何度も思った」

 

八「だから俺は裁かれなかったお前らに罰を与えるために現れたという訳だ。俺が受けた仕打ちを倍にしてな。要はお前らの自業自得という事だ」

 

八幡は雪乃の質問に淡々と答えた。

 

問いの答えを聞いていた彼女等はなにも言えずにいた…。

 

雪「…下らない」

 

だがその静寂な時間も雪乃が喋った事により直ぐに終わった。

 

雪「私達は貴方の下らない復讐心のせいで人生を滅茶苦茶にされたというの…?」

 

雪乃は震えながら話し続ける。

 

雪乃は感情を抑え続けていたが…。

 

雪「ふざけないで!!!」

 

それも我慢の限界だった。

 

雪「そんなのただの逆恨みじゃない!!」

 

声を荒げる彼女の表情は醜く歪んでおり、その目は闇よりも暗く、そして汚く濁っていた。

 

彼女と同様歪んでいる人物もいたが、中にはそれを受け止める事が出来ずに呆然としてる人物もちらほらといた。

 

八「逆恨みて…その逆恨みの原因がお前らなんだけど、分かってて言ってる訳?」

 

八幡は彼女達の様にただ呆れるしかなかった。

 

八「まあいい。そんな事より何で俺がお前達を此処に呼んだか教えてやるよ」

 

彼女達を余所に八幡は話を続ける。

 

八「…と言いたい所だがその話をするには少し昔話をしなきゃなんねえな」

 

八幡はどこからか椅子を取り出し、ドカッと座った。

 

八「それじゃあ話そうか。俺が経験した最低最悪な転落人生を」

 

ーーー

 

俺が高三になって奉仕部が新しく復活してからしばらく経った後。

 

俺は一人で部室へと向かっていた。

 

その向かっている途中でふと高二で起きたこれまでの事が思い浮かんできた。

 

ここまで本当に色々とあったな…。

 

平塚先生に無理矢理奉仕部に連れてこられ…。

 

そこで雪ノ下や由比ヶ浜と出会い…。

 

関わる事はないと思っていたリア充グループと関わる事になったり…。

 

天使とづかや川…ナントカさん、そして一色など様々な人と知り合って…。

 

ある一件で仲違いしてしまった奉仕部に自分の思いをぶちまけて関係を戻し…。

 

そして雪ノ下と恋人関係になったりと…。

 

本当に生きてきたなかで濃い学年生活だった。

 

そうしている内に奉仕部の部室が見えてきた。

 

俺は『本物』と呼べる様なこの場所に来れて少し良かったと思っている。

 

こんな俺には似つかわしくないが、この部室で歪だがどこか暖かい、そんな青春を送りたいという理由が出来たからだ

 

まぁ、あまりあの教室にいたくなかったし、早く最愛の妹に会いたいからという理由もあるが…。

 

八(本当…俺らしくもない考えを持つようになったな…)

 

俺はそんな思いを持ちながら奉仕部の扉を気だるげな挨拶をしながら入っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

だがそんな思いも直ぐに吹き飛んでしまった。

 

八「な…」

 

八幡は驚愕のあまり目の前の光景に言葉が出なかった。

 

マグカップは割られ、椅子やテーブルは散乱しており部室内は滅茶苦茶になっていた。

 

そしてその中には一人の女性が立っていた。

 

「来たのね」

 

彼女は八幡の方を向きそう言った。

 

八「お前が…やったのか…?」

「ええ、そうよ」

 

八幡の問いに彼女は余裕の態度で答える。

 

八「何…で…何でこんな事を…!!」

 

八幡の表情が険しくなる。

 

「何でって…そんなの決まってるじゃない」

 

「貴方がムカついたからよ」

 

彼女は淡々と余裕の笑みを浮かべながら答えだした。

 

「だってそうでしょ?何で最低最悪な陰キャの癖に隼人くんや雪ノ下さん達と一緒にいるのよ。あんたと釣り合うわけがないのに」

「だから私は思ったの。貴方が彼女達を脅迫、又は洗脳してるんじゃないかとね」

八「俺はそんな事…」

「信じるわけないでしょ?犯罪者の言葉なんか」

 

八幡は彼女の言葉を否定しようとしたが、信じてくれなかった。

 

「だから私は皆を守る為にお前を社会的に排除しようと決めたという訳」

 

それを聞いた八幡は…。

 

八「だったら…。俺だけを狙えば良いだろう…!」

 

八幡は彼女を睨み付ける。当然だ、唯一の居場所が壊されたのだから。

 

「勿論、そのつもりよ」

 

彼女は歪んだ笑みを浮かべながらカッターを取り出す。

 

「今から貴方の様な屑にお似合いの人生を送らせてあげる」

 

ビリビリビリビリッ

 

彼女はそう言うと持っているカッターで自分の制服を切り裂いた!!

 

「キャアアアアーーーーーーー!!!!」

 

彼女の悲鳴が辺りに響いた。

 

そこからはあっという間だった。

 

その声を聞いた先生や生徒が駆け付けて来て俺の話も全く聞いてくれず職員室に連行された。

 

その後も俺が犯人だと決めつけられ俺の言い分が通ることはなかった。

 

そうしていると雪ノ下達が入ってきて俺は少しホッとした。

 

だが俺に放たれた言葉は…。

 

「落胆」「怒り」「嘲り」などと言った「負」の感情を凝縮した最悪な物だった。

 

友達と呼べたかもしれない人達。

 

腐れ縁のグループ。

 

最愛の妹。

 

そして「本物」を一緒に探してくれるかけがえのない存在。

 

その全員が俺がやったと信じて疑わなかった。

 

どこかで「信じてくれる」という感情があった。

 

だがそれはことごとく砕かれてしまった…。

 

そして止めと言わんばかりに一人の生徒が『俺が相手を襲った』という偽動画を見せられたことで俺の退学が決まった。

 

俺の退学が決定的となり帰路についている途中で懐かしい人物達と出会った。

 

いや、「出会ってしまった」という言葉が正しいか…。

 

どうやら彼女等は雪ノ下達からの報告で俺の今の現状を知って俺の元に来たらしい。

 

その人達からも心無い言葉を言われたのだから。

 

やっとの思いで家に帰ると小町から話を聞いた親が色々と言ってきて最終的に「縁を切る!」と言われた。

 

その後、俺は家から追い出された。

 

何故かわからないがあいつらに言われた言葉を思い出すことが出来なかった。

 

俺が宛もなくふらふらしていると俺に向けられた視線が妙に痛い事に気づいた。

 

実は俺が嵌められ連行された後、偽動画がSNSなどで流されてしまったのだ。

 

これまでの状況もあって俺は視線に耐えきれなかったのか俺はいつの間にか人気のない公園まで来ていた。

 

ー俺はこれからどうすればいいのだろうか…。

 

俺はベンチに座りボ~っとしていた…。

 

学校を退学され…。

 

雪ノ下達や妹は信じてくれず…。

 

家を追い出され…。

 

本当にこれからどうすれば良いのか迷っていた。

 

そうこうしていると…。

 

「比企谷君」

 

聞き覚えのある声が聞こえ、俺はゆっくりと声が聞こえた方を向くと…。

 

そこにいたのは…。

 

俺が復讐心を燃やすきっかけになった元凶…。

 

雪ノ下陽乃だった。

 

俺はそこから離れようとしたが、流石の俺も今回の事がこたえてしまい動くことが出来なかった。

 

その間にも陽乃は俺の隣に座り話を続ける。

 

陽「雪乃ちゃんから話は聞いたよ…。君が悪いの一点張りだった…」

八「…」

陽「皆も酷いよね~。比企谷君はそんな事する人じゃないのに。ましてやそんな度胸も無いのに」

八「…」

 

俺はそれを無言で聞いていた。

 

陽「…言い返す気力も無いのか…まあ、当然か…」

 

すると陽乃はベンチから立ち上がり八幡の方へと向く。

 

陽「よし、それじゃお姉さんが助けてあげよう」

 

陽乃は俺にハッキリとそう言った。

 

陽「そうと決まったら早速証拠集めをしなきゃ♪」

 

陽乃が証拠集めをしようとしたその時…。

 

八「…て下さい」

 

八幡が口を開いた。

 

「もう俺の事は放っといてください」

 

陽乃は八幡をじっと見つめ…。

 

陽「いいや、君を放っとかないよ」

 

八幡の言葉を否定した。

 

八「俺は家族や「本物」と呼べた存在から信じてくれず。俺の情報も拡散されて俺の人生はもう終わったも当然なんです!今更俺の濡れ衣が晴れた所でもう手遅れなんですよ!!」

 

八幡は全てを吐き出すかの様に声を荒げる。

 

八「だからもう俺に…ッ!?」

 

陽乃は八幡を抱き締め八幡の言葉を遮った。

 

八「離れて「頑張ったね」…!?」

陽「私を遠ざけるのって私に被害が来ないようにする為でしょ?」

八「!?」

 

図星なのか八幡は目を丸くした。

 

陽「あんな目にあってもまだ誰かを守ろうとするなんて…君は本当に優しいね」

陽「でもね君は神様じゃないんだよ。一人で背負わなくたって良いし、時には逃げたって大丈夫なんだよ」

八「だけど…「それに」…?」

陽「言ったでしょ?助けてあげるって」

 

俺はその言葉が凄く響いた。

 

陽「これは私の我が儘だけど、今まで貴方が背負ってきたものを私にも背負わせてほしい。私を貴方の「本物」にさせてほしい」

陽「だからこれからも笑って生きていけるように今だけは思いっきり泣いてほしいからこの言葉を言うね…」

陽「お疲れ様。今まで君は本当によく頑張ったね」

 

その言葉を聞いた俺はいつの間にか大粒の涙を流しながら泣いていた。

 

~数年後〜

 

陽「ごめんね。さすがに私だけじゃどうすることもできなくて…」

八「 別に雪ノ下さんが悪いわけではありませんよ」

 

俺は今、久しぶりに雪ノ下さんと二人でベンチに座りながら話している。

 

この数年で俺は相当変わったと思う。

 

それは俺がホームレスになったということだ。

 

何で俺がこうなったかというと…。

 

あの動画が流れた所為で職や日雇いのバイトには就く事が出来ず、気づけば俺はホームレスになっていたという訳だ。

 

最初、雪ノ下さんは俺と二人で住む計画を考えていたが…雪ノ下さんへの監視が厳しくなってきた為それはできなくなってしまった。

 

その為、俺達は別々に行動してバレないようにしている。俺も何かしようとしたのだが雪ノ下さんに…。

 

『二人で動くと下手したら相手にバレるかもしれないから比企谷君はそのまま待っててほしい』

 

『大丈夫。私、結構強いから』

 

と言われ実質、雪ノ下さんが一人で動いてくれてるという状況だ。

 

八「むしろ謝るのはこっちですよ。俺のために色々としてくれているのですから」

陽「それは言わない約束でしょ」

 

雪ノ下さんは俺がこんな風になっても変わらずに接してくれる…。

 

いつの間にかそれが俺にとって唯一安心できる時間となっていた。

 

陽「実はやっと君の冤罪を晴らす証拠をつかむことが出来たんだ」

八「!!」

 

俺はそれを聞いて気分が高まった。

 

これでやっと自分の濡れ衣を晴らすことができるのだから。

 

だが雪ノ下さんの表情は少し悲しげだった。

 

おれはどうしたのかと思い聞くと…。

 

陽「ああ、ごめんね。詳しい話は別の場所で話すから」

 

雪ノ下さんはそう言い場所と時間の書いた紙を俺に渡した。

 

陽「それじゃそこで待ってるから」

 

雪ノ下さんはその場から去っていった。

 

俺は雪ノ下さんの表情に疑問を持ちながらも紙に書いてある通りの時間帯にその場所に行く事にした。

 

~深夜〜

 

紙に書いてあった通りの場所に行くとそこはもう使われてない廃墟だった。

 

俺はその中に入るとそこには雪ノ下さんが待ってくれていた。

 

陽「はいこれ、喉が乾いてるだろうと思ったから」

 

雪ノ下さんが渡してきたものに俺は目を見開いた。

 

なぜならそれは俺の愛する千葉のソウルドリンク「マッカン」の愛称をもつ「MAXコーヒー」だったからだ。

 

俺は久しぶりのマッカンにたまらずに一気に飲んでしまった。

 

それを見た雪ノ下さんは

 

「そろそろ良いかな?」

 

苦笑いをしながら俺にそう言った。

 

俺は惜しみながらもマッカンを飲むのを止め陽乃さんの話を聞くことにした。

 

陽「とても辛い事を話すけど覚悟して聞いて」

 

陽乃は真剣な表情をした。

 

それにつられて八幡の顔も少し強張る。

 

陽「実は証拠の他に別の事もわかっちゃって…」

 

雪ノ下さんは手に入れた情報を話した。

 

一体、雪ノ下さんは何を言っているんだ…。

 

俺は最初、冗談だと思った。

 

今までの事が全部嘘だったなんて信じたくなかった。

 

もしそれを受け入れてしまったら今までの事が全部嘘だという事になってしまうからだ

 

俺は冗談は止めてくれと言った。

 

だが雪ノ下さんは首を横にふった。

 

そして雪ノ下さんは止めと言わんばかりに録音音声を聞かせてきた。

 

これで雪ノ下さんの言った事が本当だと言うことが決定的になってしまった。

 

ーそんな…。

 

ーあり得ない…。

 

ーそれじゃ俺が今までしてきたことは全部無駄だったと言うのか…。

 

…ざけ…な…。

 

…ざけんな。

 

ふざけるな!!!!

 

「悲しい」を通り越して「怒り」がわいてくる。

 

陽「君の気持ち、よくわかるよ…こんなの理不尽過ぎるもん…」

 

雪ノ下さんが俺に慰めの言葉を掛けてくれる。

 

そのお陰で少し軽くなった気が…。

 

陽「まぁ、私も雪乃ちゃんと同類なんだけどね♪」

 

笑顔でそう言った雪ノ下さんを見て真っ白になった。

 

 

その後、体の自由が効かず俺は床へと倒れた…。

 

ーーー

 

八「そして雪ノ下姉もグルだと知った俺はお前らに復讐を誓ったという訳だ」

 

八「酷いことしてくれたよな、千葉のソウルドリンクであるマッカンに毒を入れるなんて」

 

淡々と話す八幡を余所に彼女等は今も彼を睨み付けている。

 

八「さて、俺がお前等をここに呼んだ理由だが…」

 

八「此処は俺が復讐を誓った場所でね、そこでお前達にも俺と同じ苦しみを味わってもらうことに決めた訳だ」

 

八幡は蛙の面を被った後、ガスマスクを一つだけ彼女等の方に放り投げた

 

八「今からここに毒ガスが放たれる。それを俺の最後の復讐にするつもりだ」

 

八「死にたくなかったらそのガスマスクを使うことだ。一つしかないがな」

 

八「ちなみにこの面はガスマスクとしても使うことが出来るんだぜ。スゲーだろ」

 

八「それじゃせいぜい一つのガスマスクを取り合って俺を楽しませてくれよ」

 

今正に毒ガスが放たれようとしたその時…!

 

~♪~♪

 

八「?」

 

スマホの着信音が鳴り出した。

 

八「どうした?」

 

八幡はそれを手に取り、電話を掛けそう言うと…。

 

『やあ、久しぶりだね』

 

八「…!?」

 

その声は女神の声ではなかった。

 

八「てめぇ…何者だ」

 

八幡が低い声で言った。

 

『何者かって?それは…』

 

バンッ!

 

扉が強く開き、そこには…。

 

「この窮地を覆すためにやって来た正義のヒーローさ!!」

 

拘束されている女神と男の二人がいた。

 

八幡はその男に見覚えがあった。

 

お前は…、折本と同じ高校にいた…。

 

玉縄…!

 

女「ごめんなさい…。油断しました…」

 

そう言う女神に対して玉縄は…。

 

玉「その様子だとやっぱり彼女は君にとって大事な人のようだね」

 

余裕の笑みを浮かべながら話す。

 

八「…情報源はテメー等か…」

 

八幡は雪ノ下達を睨み付ける。

 

雪「やっと気づいたようね。私たちの作戦に」

八「いつから入っていた…」

 

この屋敷には監視カメラがいくつも設置されていたはず…。

 

雪「こんなの私と姉さんが手を組めばどうってことなかったわ」

 

俺に復讐する為に手を組んだという訳か…。

 

八「まさかお前が大嫌いな姉と手を組むとはちっとも思わなかった」

雪「貴方に復讐する為ならなんだってするわ」

 

雪ノ下は八幡を睨み付ける。

 

雪「それで、どうするつもり?こっちには人質がいるのだけれど…」

 

その言葉に対して八幡は

 

八「…クソッ」

 

素直に従うしかなかった。

 

女「あぁ…そんな…」

 

女神が涙を流すが雪ノ下達にはどうでも良い事だ。

 

雪「よくも私達をあんな目に会わせてくれたわね。倍にして返してあげるわ」

 

拘束されている八幡を雪ノ下達は冷たい目や笑みを浮かべながら見ている。

 

その時。

 

八「…フッ」

 

八幡が突如鼻で笑った。

 

雪「何が可笑しいの?」

 

雪乃の顔が険しくなる。

 

八「何…。こうでもしねーと俺を捕まえられないお前等が滑稽でな」

 

ドカッ!

 

辺りに鈍い音が響いた。

 

雪乃が八幡を蹴飛ばしたのだ。

 

雪「口を閉じなさい。その声を聞くだけでも虫酸が走るわ」

 

嫌な顔をしながら雪乃はそう言う。

 

するとー。

 

陽「もう、先に始めちゃ駄目じゃん♪」

 

陽乃が横槍を入れてきた。

 

陽「比企谷君」

 

陽乃は八幡の方を向きー。

 

陽「いい加減私達にかかっている呪いを解いてくれない?二度目は言わないよ」

 

とても低い声で八幡に言った。

 

それは「自分の体にかかった呪いを解け。もし応じなかったら人質は無事では済まさない」という意味だ。

 

それを察したのか八幡は。

 

八「…」パチン

 

指を鳴らした。するとその直後。

 

陽&彩「…?」

 

陽乃と彩加は何か違和感を感じ、指を動かしてみるとー。

 

ピクッ。

 

陽乃と彩加の指が動いた!

 

陽「!!」

 

陽乃は直ぐに他の部位を動かしてみた。

 

長い事催眠術にかかっていたせいか立つことは出来なかったが腕や足を動かすことが出来た!

 

陽「…動く…体が動く…!」

彩「腕が…腕が上がった!」

 

陽乃と彩加は喜んだ。今までかかっていた呪いがやっと解けたのだ。

 

これが喜ばずにいられるか。

 

これをみた陽乃に付き添っていた城廻は少し悲しい顔をした。

 

陽「そんな悲しい顔をしないで。便りにしてるから」

 

そう言われた城廻の顔は明るくなった。

 

陽「さて…それじゃ始めようか」

 

愚者たちへの制裁を…。

 

陽乃は周りを見回した。

 

陽「誰か最初にこいつに復讐したい人いるー?」

 

陽乃がそう言うと彼女等は手を拳げた。

 

静「私だ、私にやらせろ!」

翔「俺が先だべ!やられたぶんを何倍にもして返してやる!!」

陽「あっはははは!やっぱり全員したいんだー。でもあまり多すぎると何も出来ない人が出るから入れ替わり制にしたら良いんじゃないかな?雪乃ちゃんもそれで良いよね?」

雪「確かにその通りね…。姉さんの提案に乗るわ」

陽「それじゃまず誰から先にやるか私が決めまーす♪まずは君とあの子とー」

 

目についた人を指差しながら指名していく陽乃。選ばれたのはー。

 

戸塚彩加、川崎沙希、平塚静、玉縄、折本かおりの五人だった。

 

みんな復讐心で目が血走っている。

 

彼女等の復讐が始まろうとしたその時…。

 

陽「ちょっと待った」

 

急に陽乃が止めた。

 

陽「聞きたいんだけどさ、君達はこいつにどんな復讐をするつもり?」

彩「どうって…殴ったり、蹴ったり、後は刺したり?」

 

はあと溜息をついた陽乃が、正気かという視線を投げ掛ける。

 

陽「本当にそれだけで良いの?忘れたの?こいつに酷いことをされたのを」

 

そう言われた彼女等の顔は、悔しさと怒りによって凶悪な方へぐわっと歪んだ。

 

彩「忘れる訳がないさ…。僕はこいつに腕をやられてテニス業界を追放されたんだから…」

沙「そしてアタシ達は理不尽な慰謝料を支払う事になって昼夜問わず働くことになり弟妹達も被害を受けた…」

陽「だったらそんなんじゃ足りないでしょ?そうじゃなきゃすっきりしないでしょ?」

彩「そうだ!その通りだ!」

 

勇ましく声を上げる彼等を見て、陽乃はにっこりと頷いた。

 

陽「それじゃ早速始めよっか♪」

彩「よし!それじゃまずは…沙希」

沙「ああ」

 

彩加は沙希と共に八幡のところまで近づくと。

 

沙「よくもウチ等の人生を台無しにしてくれたね」

彩「その苦しみを今痛みにしてー」

 

八幡の腕を掴んで足を上げると…。

 

彩&沙「「返すっ!!」」

 

腕を思い切り踏んづける!

 

ゴキッ!

 

突如、鈍い音が辺りに響いた

 

八「…ぁがあああああああっ!!!!」

 

突然叫ぶ八幡!

 

その腕を見てみると両方とも見事に折れていた!

 

彩「あははは!無様な声!!」

沙「ザマーみやがれ!」

 

二人は不気味な笑みを浮かべながら八幡を嘲笑った。

 

静「二人だけで楽しむんじゃない。次は私だ!」

 

次に静が出てきた。

 

静「貴様、よくも私の結婚式を台無しにし、私の十八番を勝手に使ったな!その行為万死に値する!!」

静「見せてやる!本物の技を!!」

 

静が変なポーズをした後、拳を引くと…。

 

静「衝撃の!ファーストブリットオオオオッ!!」

 

八幡に拳を思いっきり殴り付けた!

 

八「ガハッ…!」

 

静の猛攻はまだ続く。

 

静「撃滅のセカンドブリット!」

八「グアッ!」

静「止めだ!抹殺のぉぉ…!ラストブリットオオオオッ!!」

八「ガァ…!」

 

八幡は静の猛攻を受け倒れた。

 

静「どうだ!これが本物の技だ!貴様の偽物とは全く違う!!」

陽「良いね良いね~。盛り上がってきてるよ♪」

 

それを見ていた陽乃は無邪気な子供の様に喜んだ。

 

陽「さて、次はあの二人の番だけど…」

 

陽「どうやらもう終わったみたいだね」

八「…!」

 

何かを察した八幡は陽乃の向いてる方向を見ると…。

 

折「比企谷、アンタの所為で私達の人生は最悪な物になった」

玉「でも君は自分がどんなに傷つこうが平気な様だからー」

 

かおりと玉縄の二人とー。

 

玉「少し趣向を変えてみた」

 

アザだらけで拘束されている女神がいた。

 

八「貴様あアあアあアアあ!!!」

 

それを見た八幡は激昂した。

 

だが直ぐに取り押さえられた。

 

玉「どうやら的中の様だね」

折「アッハハハハ!何本気で怒ってんのさ。マジウケる!」

 

かおりが「ねぇ、どんな気持ち?今、どんな気持ち?」と八幡を囃し立てる。

 

陽「良かったね。彼女も君と同じ立場になってくれて♪」

 

陽乃は笑顔で…。

 

陽「二人とも仲良く私達が楽しく遊んであげる 」

 

そう彼等に言った。

 

彼女等は入れ替わりながら彼等に復讐をしていく。

 

留「あなたのせいで誰も私の言うことを信じてくれなくなった!!」

 

い「お前のせいで住所をさらされ私は気の休まらない毎日を送ってるんだぞ!!」

 

南「よくも私の薔薇色の人生を踏みにじりやがって!!」

 

彼女等の憎悪はとどまることを知らない…。

 

小「ゴミの分際で私達『家族』に刃向かいやがって!!」

 

比父「テメーは黙って死んでればよかったんだよ!」

 

比母「この世に生まれてきた事を後悔させてやる!!」

 

め「陽さんの姿を騙った偽物め!私がせいばいしてやる!!」

 

陽「あはははは!!その絶望した顔、最高だよ!」

 

その憎悪は歪んだ「正義」へと変わり…。

 

翔「クズの癖に余計な事をしてんじゃねーよ!!」

 

大岡「ふざけやがって!」

 

大和「絶対に許さねえ!!」

 

優「あーしの恨みを思いしれー!!」

 

姫「テメーのせいでBLが読めなくなったじゃねーか!!」

 

隼「確かに俺達は君に恨まれて当然な事をした…。だが子供達にまで悲しい思いをさせたお前は俺たちと全く変わらない『悪魔』だ!!」

 

じわりじわりと着実に…。

 

結「アンタの下らない逆恨みにアタシ達まで巻き込みやがって!!」

 

雪「見なさい、これが『正義』よ。『正義』は必ず勝つ事を思い知りなさい!」

 

彼等の心と体を蝕んでいく…。

 

どれくらいが経っただろうか…。

 

八幡と女神の四肢は折れ、服も体と同様ボロボロになっており全く動かなくなっていた…。

 

陽「もうちょっと楽しみたかったけど…」

 

陽乃は一息ついた後…。

 

陽「どうやらここまでの様だね」

 

陽乃はそう言ったが…。

 

雪「何言ってるのよ!私達はまだ満足なんてしてないわ!!」

結「そうだし!!もっとアタシ達にヤらせるし!!」

 

雪乃達は陽乃の提案を否定した。

 

『私達の復讐の邪魔をするな!!』と言わんばかりに。

 

だが陽乃は…。

 

陽「そのまま続けて刑が重くなるのと、ここで切り上げて保護されるのとどっちが良い?」

 

その言葉で彼等を黙らせた。

 

雪「…わかったわ…」

 

陽「他の皆もそれで良いよね?」

 

雪乃達は渋々と承諾した。

 

陽「それじゃ警察もそろそろ来る頃だから行こっか?」

 

彼女等は次々と部屋から出ていく。

 

陽「ついでにこの二つも貰っていくね」

 

陽乃の手に持っていたのは二つのガスマスクだった。

 

陽「後、君たちの変わりに毒ガスを放っといたから…」

 

陽乃は車椅子を動かし八幡の方を向きニタリと笑うと…

 

陽「せいぜい苦しみながらの垂れ死んでね♪」

 

そう言い陽乃は甲高い笑い声をあげながら去っていった。

 

そして陽乃達全員が部屋から出たと同時に、扉はゆっくりと閉まった。

 

ーーー

 

私達が外に出ると大量のパトカーが止まっており、サイレンが鳴り響いていた。

 

後は警察に保護してもらえば私達の計画は終わる。

 

私達がここにいる理由に「気づいたらここにいた」と証言すれば全部あの八幡あれの所為に出来る。

 

八幡と女神あれらについて聞かれた時は正当防衛だと言い切り、世間に認めさせれば自然と手を引いていき、「最後に彼等は『自害』した」とまとめられるだろう。

 

その為、私達の体に傷までつけてそれらしくした。

 

これで晴れ晴れとした思いを持ちながら生活を送る事が出来るだろう。

 

今正に私達が「被害者」として保護されようとしたー。

 

ーその時。

 

『貴方に復讐出来るまたとない機会をみすみす逃すわけがない…いや、逃しはしない!!』

 

突如、謎の音声が周りに響いた。

 

「…!?」

 

陽乃達は少しの間、呆然としてたが直ぐに正気を取り戻した。

 

もしかして…これは…私達が言った…

 

雪『それで、どうするつもり?こっちには人質がいるのだけれど…』

 

陽乃は平静を装っていたが内心は焦っていた。

 

音声が聞こえる方を向くと…。

 

陽『誰か最初にこいつに復讐したい人いるー?』

 

自分の持っているカエルの面からの音声だった!

 

陽乃はそれを直ぐに壊そうとしたが、原始人みたいな警察官に取り上げられてしまった。

 

そして、八幡に向かって言った音声もそのまま流れだしてしまい、もうどうする事も出来なくなってしまった。

 

更にある事に気づいた

 

か「そういえば、あいつ…玉縄は…?」

 

そう!玉縄がいつの間にかいなくなっているのだ!!

 

一体どこに…ッ!?

 

…まさか!!

 

パチパチパチ

 

どこからか拍手の音が聞こえてくる。

 

「「!!?」」

 

彼女達は拍手のする方を向くと…。

 

「いやー、テメー等のその青ざめた顔、最高だわ~」

 

そこには無傷の八幡が扉の前で立っていた。

 

八「しかし、本当良くここまでやったよな。逆に尊敬するわ」

 

八幡は引きずっていたものを放り投げた。

 

その放り投げたのはボロボロになって動かなくなっている八幡と女神だった。

 

八「まさかまた気づかなかったとはな…流石に泣くぞ」

 

八幡は悲しいふりをしながら話すと…。

 

「そうなるようにオメーが思考鈍化の催眠なんかをかけてたんだろ?」

 

メガネを掛けた少年が俺を睨み付けながらそう問いかけてきた。

 

八「まあ、そうなんだけどな…」クックッ

 

八幡は小さく笑いながらそれに答える…。

 

八「お前らも知ってる通り、こいつらは偽物。そして俺がー」

 

八「正真正銘、本物の八幡であり、今起きてる事件の元凶と言った所だ」

 

警察や彼女等の前で正体をばらした。

 

「とうとう追い詰めたぞ八幡。神妙にお縄につけい!」

 

帽子をかぶった警部らしき人物が八幡を睨み付けているが…。

 

八「本当、全く懲りねーよなお前らって…」

 

八幡は半ばあきれた顔で彼等を見ていた。

 

八「そんな事よりもさ…こいつらの正体、知りたくないのか?まあ一人目は勿論」

 

八幡は玉縄のマスクを見せながら八幡の姿をしたマスクを取った。

 

八「お前らもわかってるよな?俺、こいつに変装してたんだから」

 

未だに動かないそれは玉縄だった。

 

八「二人目は驚くぜ。お前達の計画に加担していた人物なんだからな」

 

八幡は女神の形をしたマスクを取ると…。

 

俺ガイルのキャラ「「「!!??」」」

 

彼女達は丸い目をしながら驚いていた。

 

そりゃそうだ、完全に逃がしたと思ってたんだからな。

 

そうだ、こいつはー。

 

俺に濡れ衣を着せた張本人。

 

富岡美緒だ!

 

八「お前達が海外に逃がしたつもりだろうが、こいつ俺が死んだと知って日本(こっち)に戻って来てたんだぜ。ホント馬鹿だよな」

 

まあ、逃がしはしないんだけどさ。

 

八「にしても久しぶりの再会だと言うのにここでも喜ばないとは…ここまで冷たいとは思わなかったよ…」

 

八幡は呆れた口調で陽乃達に言う。

 

八「まあ良いか、こいつらも重要参考人だから後はよろしく頼むぜ」

 

八幡はそう言って屋敷のなかに入ろうとすると…。

 

「待ちなさい!これ以上好きにはさせないわ」

「散々逃げ回りやがって、もう逃がさねーぞ!」

 

女刑事とヤクザの二人が止めてきた。夫婦かよテメー等…。

 

八「いいのか?そんなに近づいて」

 

だが八幡は余裕を崩さない。

 

八「この屋敷には可燃性のガスが充満していてな、少しの火花でこの辺りは火の海になるんだぜ」

 

「「「!?」」」

 

それを聞いた警察達は驚いた顔をする。

 

雪ノ下達に至っては顔を崩しながら我先にと逃げようとしている。

 

それを見た俺は…。

 

八「…憐れだよなぁ…」

 

八「あれが愚者達(あいつら)末路(さいご)だと思うと…」

 

俺はそう吐き捨てた。

 

八「一段落したらお前達の所に行くからその時はよろしくな」

 

八幡は警察に向かってそう言い。

 

八「それじゃ。俺はもう行くぜ」

 

八屋敷の奥へと入っていった。

 

「待ちなさい!!」

「待ってください!!」

 

ー誰が待つかよ。

 

八幡は取り出したライターに火を付けると…。

 

ボオォオオォォッ!

 

火が広がり八幡を包み込んだ。

 

ーーー

 

八「待たせたな」

女「いえ…」

 

あれからしばらく経ち、俺は女神と合流した。

 

俺はあの爆発で警察が手薄になったのと、女神から貰った「影が薄くなる能力」のお陰で簡単に逃げる事が出来た。

 

体も防護服のお陰でなんとも無かったし。

 

あの屋敷は最初から耐火性と耐久力が抜群で使ったガスも薄く少量だったから崩れる心配も無く他の住宅の被害も全く出なかったそうだ。

 

女「やっと…終わりましたね…」

八「ああ…」

 

八幡は頷いた。

 

八「長かったな…」

女「はい…」

 

今度は女神が頷いた。

 

八「…ありがとな。こんな俺に付き合ってくれて」

女「今更そんなこと言わないで下さい」

 

すると女神は。

 

女「それよりも覚えていますか?」

八「?」

 

八幡は女神の言葉に首を傾げる。

 

すると女神は八幡を抜いた後、そのまま振り向き。

 

女「復讐が終わったらアーンしてくれる約束です♪」

 

女神は無邪気な笑顔をしながら言った。

 

ーあれ、まだ生きてたのか…。

 

八「…また変装することになるけど良いか?」

女「勿論!」

 

女神は八幡の質問に頷いた。

 

八「…なあ」

女「?」

八「これからもずっと一緒にいてくれるか?」

女「…勿論 」

 

二人はそのまま去っていった。




八章 最後の復讐 完
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