復讐に染まった俺は、この世に地獄を作る   作:龍座

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幕間

平塚の結婚式から数日。

 

変装している俺達はボロアパートに来ていた。

 

次の獲物がそこにいるからだ。

 

俺達は奴が住んでいる部屋の扉をあけると、そこに奴がいた。

 

そいつは面白くもない小説を書き続けている中二病である。

 

「やっと来てくれたのか…」

 

その男の名前はー。

 

「待っていたぞ…」

「八幡…」

 

ー材木座義輝。

 

ー時は少し遡りー

 

俺達は材木座(あいつ)の復讐の下準備のために奴に近づこうとしていた。

 

どうやら彼奴はラノベ作家として成功しているらしい。

 

そこで俺達は彼奴の「ファン」という設定で奴に近づくことに成功した。

 

銀髪と着ているロングコートは変わっていなかったが、滅茶苦茶変わっていたところがあった。それは、体型だ。

 

真ん丸だった体が痩せていたのだ。

 

これには流石に俺も驚いた。

 

俺達は奴との接点を増やす為に、彼奴の書いた小説や、その容姿を誉めたりしていた。

 

すると奴は少し悲しい顔をして色々と話し出した。

 

材「最初から凄かったわけではない、俺は昔は酷い小説ばかり書いていたし、体も太っていた。性格も「中二病」全開であまり友達もいなかった…」

 

材「ここまで来れたのは、今はいない彼奴のお陰なんだ。それなのに、俺は裏切ってしまった…。」

 

材「君達に友達がいたり、できたときの為に教えておこう。

 

どんなことがあっても、最初から疑ったり、裏切ったりしてはいけないよ。そうなってしまえば、失ったときにはもう取り戻せないからね…」

 

今更もう、遅えよ…。

 

その時、女神が質問した。

 

女「もし、また会えたとしたらどうしたいですか?」

 

お前っ、何勝手なことを…!

 

材「謝りたい…。許してくれなくてもいい…。それでも俺は彼奴に謝りたい…」

 

材「もし、また彼奴に会えるのなら、俺はなんだって受けよう!」

 

俺は、呆然としていた…。

 

材「ハハハ…済まないね、しんみりさせてしまって。何故か分からんが色々と話してしまった」

 

その後、こいつはとんでもないことを言いだした。

 

材「もしかしたらー

 

今、目の前にいたりしてな」

 

「!!」

 

材「何てな…。それじゃあ、俺はこれで」

 

材木座は去っていった。

 

俺達はそれを見ていることしかできなかった…。

 

…何でだよ。

 

…何でクズ共(あいつら)と同じじゃないんだよ…!

 

…何で今更、後悔してるんだよ!!

 

もう、遅いというのに…。

 

八「…行くぞ」

 

女「行くって、どちらに…?」

 

決まってるだろ…。

 

八「あの材木座(ばか)のところに!!」

 

ー現在ー

 

八「どうしてわかった…」

材「何…、ただの勘さ」

 

俺達はとっくに奴にばれていることを知り、変装を外していた。

 

材「しかし、まさか変装しているとはな」

八「俺は現世ここじゃあ、死んだことになってるんでね。」フンッ!

材「威張りながらいうことか…?」

 

材木座は苦笑いをした。

 

材「その人は、お前の彼女か?」

 

女神は顔を赤くし、ニヤケだした。

 

八「いや、俺の協力者だ」

 

女神はこの世の終わりみたいな顔をした…。

 

材「相変わらず、鈍感だな…」

 

何だよ、鈍感って…。

 

八「そう言うお前だってモテてるらしいじゃねーか」

 

しかも、女子の告白をいつも断りやがって…、憎たらしいったらありゃしない。

 

材「俺は誰かを幸せにすることはできないからな。ここに住んでいるのが証拠さ」

 

嫌みかよ!このやろー!

 

材「そういえばお前、修学旅行でもやらかしていたとはな…」

八「まあ…、あの時は何とかなったがな…」

いつの間にか穏やかな空気が流れていた。

 

材「さて…」

 

その穏やかな空気もつかの間、突如、空気がピリッとなった。

 

材「すまなかった!!」ドンッ!

 

材木座が土下座をし、謝り出した。

 

八「…なんのことだ?」

 

八幡は平然としていた。

 

材「あの時、お前は奴等に嵌められたというのを知っていながら、助けなかったことだ!」

 

材「…言い訳になるかも知れないが、聞いてくれ」

 

材木座はあの事について語り出した。

 

材「ラノベの感想、遊戯部と、お前には色々と迷惑をかけてきた」

 

ああ…、確かにそうだな。忘れていたけど…。

 

材「それなのに俺は、お前の善意に甘え続けてしまっていた!」

 

材「そのせいで、俺はお前を見捨て、奴等の行為に便乗してしまったのだ」

 

材「今だから言おう!文化祭の件も含めて、あれは言わなかったんじゃない!」

 

 

材「言えなかったのだ!!」

 

材「俺は怯えたのだ!」

 

材「巻きこまれるのを恐れ、楽な方に逃げ、大切なものから目を背け、怯えた!!」

 

材「そのせいで、あんなことが起きてしまった…」

 

材「俺は過去に戻って、やり直したいと何度も思った…」

 

材木座は悔し涙を流しながら、これまでのことを話した。

 

材「話が長くなってしまったな…」

 

材木座はあぐらをかいて座った。

 

材「お前達は、俺に復讐しにきたのだろう…?」

 

材「さあ、とっととやれ。俺はどんな罰でも受けよう!」

 

材木座は覚悟を決めていた。どんなことでもするし、どんな苦しみも受ける覚悟はあると。

 

だが、そんな材木座を見ていた八幡はー。

 

 

八「…アホか」

 

 

ー呆れていた。

 

材「わかっている…。友を見捨てた俺はなんてー」

八「別にお前、何も悪いことしてねーじゃねーか」

 

材「…え?」

 

材木座はきょとんとした顔で八幡を見上げた。

 

八「嫌な目に遭いたくないというのは、俺だって同じだしな」

 

俺は呆然としていた。

 

否定ではなく、肯定されたのだから…。

 

俺はお前の復讐を受ける覚悟をしていたというのにだ。

 

そいつは自分の犯した罪を肯定したのだ…。

 

八「そもそも俺はお前に復讐する気はさらさら無いし…、恨んでも無いからな」

 

しかも恨んでも無いと言われてしまった。

 

八「俺もお前には色々と世話になってるからな」

 

ーやめろ。

 

八「お前がいなかったら俺は変わって無かったかもしれないし…」

 

ーやめろ。

 

八「遊戯部の件だって、お前も立派な被害者じゃねーか」

 

ー頼むからやめてくれ。

 

俺にこれ以上そんな言葉をかけないでくれ!

 

俺は罰を受ける覚悟をしているというのに…。

 

その言葉が重く乗っかってくる…。

 

八「それに俺はお前に報告しに来たんだよ」

 

ー報告?

 

八「遊戯部部員に復讐をしてきた。これであいつらの人生は終わりだろ」

 

遊戯部(あいつら)にあって俺にはないというのか…!

 

八「それじゃ、言いたいことは言ったし俺はもう行くぜ」

 

材「ま…待て!、待ってくれ!!」

 

八「…何だよ?」

 

材「俺に何もしなくていいのか!?俺はお前の人生を壊したのだぞ!それをほっといていいのか!?」

 

材木座は八幡を止め、自分にも罰を与えるようにと願った。

 

だが、八幡は。

 

八「あのな…、俺もお前も同じ被害者なんだ、さっきも言ったようにー」

 

八「俺はお前に復讐はしないし、する必要もない!」

 

それを断った。

 

材「そ…そんな…」

 

材木座はへたりこんだ。

 

必要ないとはっきり言われたのだから。

 

八「そういえば、他にもお前のような奴はいるのか?」

 

材木座は横に首を降った

 

八「そっか…」

 

その時の八幡は無表情だった。

 

八「言っとくけど、お前は被害者として認識されてるから、『自分も共犯者』と証言しても無駄だぜ」

 

八幡達はマスクで変装した後、この場から去ろうとした。

 

八「それじゃあな」

 

ー盟友。

 

材木座はその場で泣き崩れた。

 

女「何もしなくてよろしかったのですか?」

八「…ああ…」

 

ああいうやつはあれが一番効果的だからな。

 

八「しかし、いいことを聞いたな」

 

これで心おきなく復讐ができる。

 

殺し(なさけ)(すくい)なんてしないしさせもしない。

 

死よりも恐ろしい地獄を絶対に与えてやる。

 

八「奴等の絶望する顔が楽しみだ」

女「その顔…、やはり貴方は美しい…」

 

ーさあ、次の復讐へ行こうか。




次回 二章 天使とヤンキーのデュエット
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