メルクストーリア〜長き旅のあと〜   作:ドーン・ハイド

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奏鐘士を探しに旅に出たユウ達だったが、まずはユウの村にまだいるであろう、スティーノスを迎えにとんぼ返りするのであった


奏鐘士を求めて

 

       〜ユウの村入口〜

 

シスルの転移魔法で、再び村へと帰って来たユウ達一行

因みに今回は転移魔法が成功し、無事着陸する事ができた

 

「ふう、流石に3回目は成功したわね。」

「有難うシスル、ゆっくり休んでから帰ると良いよ。その間は暇だろうし村の祭りでも見て回ると良いよ。」

「そうさせて貰うわ。どう頑張っても、転移魔法は1日1回が限度ね。」

「転移魔法はかなり高度な魔法だし、気にしなくても良いわよ。」

「有難うテオ。それじゃワタシは宿屋へ行って、少し安んでくるわ。皆、気を付けて行ってね。」

「ああ、有難う。さて、スティーノスさんは何処にいるんだろう…」

 

シスルと別れ、スティーノスを探すべく、辺りを見渡してみた

すると広場の中央辺りがやけに賑やかなのに気が付いた

 

「あー若、多分てか間違いなく彼処に居るわな…」

「間違いないわね。喧しそうな歌声も聴こえてくるし…」

「あ、相変わらず色々な意味で目立つ人だなあ。」

「あなたの知り合いってホント色々な人がいるわよね…」

「ははは…返す言葉が見つからない。」

「呆れてる場合じゃないのですよ……早くスティーノスさんの所に行くのですよ。」

「あ、ああそうだな…」

 

メルクに促されスティーノスの所へ行こうとした時、後ろから声を掛けられた

 

「あれ?ユウ達じゃないか。もう戻って来たのか?」

「あ、お祖父ちゃんだ。」

「父さん。いや一時的に戻って来たなんだ。」

「一時的?」

「実は……」

 

ユウはお菓子の国で見た世界鐘の事をファザに、事細かに説明した

 

「成る程、色のない世界鐘とはまた不可思議だな……それで解決の糸口を見付けるべく、奏鐘士達の協力を得るべく迎えに行くと。そしてそこのステージで、えらいオペラ調で歌ってる男が奏鐘士の1人で迎えに帰って来たという訳か…」

「ああ。まだ居てくれて助かったよ。探しに行く手間が省けたし。」

「そういう事なら早く行ってこい。丁度ステージが終わったみたいだしな。」

「そうするよ。父さん達も体に気を付けて。」

「ああ、お前達も無理だけはするなよ。」

「それじゃ行ってくるよ。」

「ああそうだ、旅立つ前にレクルス女王様に会いに行って、今回の出来事を伝えといた方が良いと思うぞ?」

「レクルスに?確かに報告はしておいた方が良いかもな…有難う父さん、行く前に会いに寄ってみるよ。」

「ああ、気を付けてな。」

 

ユウ達はファザと別れ、スティーノスのいる舞台まで向かっていった

 

その姿をスティーノスは、舞台上から見付けると、そのまま舞台から下りてユウ達の所へと向かって行った

 

「なんだお前らも我がステージを観てたのか?」

「いや、今来た所ですよ。それよりスティーノスさん、話があるんです。」

「うん?俺に話だと…どんな用件だ?」

「実は……」

 

ユウは世界鐘がお菓子の国に出現した事、その世界鐘の色が特殊である事、そしてその世界鐘の事変を解決するべく奏鐘士達の協力を得るべく旅に出た事を説明した

 

「…世界鐘が再び現れるとはな。一体どうなっていやがるんだか……良かろう。小僧、俺も協力してやろう。」

「良いんですか?有難うございます、スティーノスさん!」

「良いも悪いも無かろう。世界鐘を鳴らすとなれば、鳴らせるのは奏鐘士である俺や、他の小童達だけなのだからな。無論、他の小童達も迎えに行くのだろう?」

「勿論そのつもりです。誰が鳴らせるか分かりませんからね。」

「仮に俺が鳴らせなくとも、あの時と同じ面子であれば問題はあるまい。」

「そうですね。それじゃ早速で悪いですが、そろそろ……」

「待て小僧。まさかとは思うが、歩いて行く気ではあるまいいな?」

「え?そのつもりでいましたが…?」

「馬鹿かお前は?急ぐのであれば、飛行船の一つも用意しとらんのか…?」

「いや、飛行船は流石に無理ですよ。レクルスが持っている飛行船は今、封印してる状態らしいですし…」

「ならば俺の飛行船で行けば良かろう。」

「あん?いやあんた、飛行船なんて持ってたっけ?」

「見くびるでないぞ侍。あの後、我がエルシアムの宣伝や巡業をする為に、俺が独自に開発し作り上げた飛行船があるのだよ。」

「飛行船作るとかどんだけよ……」

「フハハハ!!驚きの余り声も出ないか、魔法使いの小童よ。」

「呆れてるだけよ!!まったく、相変わらずのオッサンね…」

「相変わらずぶっ飛んだオッサンだな……」

「な、何だか凄い人ねこの人…ホント色々な人が集まるわねあなたには……」

「それがデフォルトだわよ、トゥル太郎の王様に若の奥方。」

「ま、まあまあ。それじゃあスティーノスさん、すみませんが宜しくお願い致します。」

「ふん、まあ大船に乗ったつもりでいるんだな。我が飛行船は快適性は勿論、娯楽も多数揃えてある故に、退屈する事はないぞ?」

「は、はあ…まあ取り敢えず出発する前に、レクルス…王国の女王様に報告と挨拶をしてから行きますから、スティーノスさんは準備等があれば整えておいて下さい。」

「レクルス?ああ、何時ぞやの癒術士の王女か。王位を継いだのか。」

「2年前に継いだばかりで、まだ少し慌ただしい部分はありますけどね。それじゃ、俺達は一先ず城へ行きますから、スティーノスさんはゆっくりで良いので支度を整えてて下さい。」

「分かった。と言っても特には支度する事はないのだがな……まあその間ゆっくりさせて貰いうとしよう。」

「それじゃ、また後で。」

 

スティーノスを迎え入れたユウ達は一旦、王国の現在の女王であるレクルスへ、今回の出来事を報告するべく王国の城へと向かうのであった

 

 

 

        〜王国の城〜

 

 

 

暫くしてユウ達は王国の城へと辿り着き、城門の衛兵に謁見を申し込むと、すんなりと許可がおりて謁見の間へと案内された

 

「女王様、ユウ殿達をお連れ致しました。」

「案内ご苦労様です。引き続き警備をお願いしますね。」

「はっ!!では私はこれにて失礼致します!」

 

そう返事をすると衛兵は城門へと戻って行った

 

「久し振りですねユウ。それに皆さんも…お元気そうで何よりです。」

「久し振りだな、レクルス。忙しそうだな。」

「これでも大分落ち着いたほうではあるんですよ?」

「先王のシリウス様が病で倒れられた時はどうなるかと思ったけど、快復して良かったな。」

「ええ。父も今は隠居をして、ゆっくり余生を満喫しているみたいです。」

「みゅ〜…良かったのですよ!」

「うきゅっ!」

「フフ、有難う2人とも心配してくれて。」

「レクルス女王の大変さは俺も分かりますよ。俺も親父の跡を継いだばかりで、色々大変ですからね。」

「そういえばトゥルータさんはお父様の跡を継いだのでしたね……ですが噂で先王に負けない位の善政を行っていると聞き及んでいますよ?」

「はは…そうだと良いんですけどね。レクルス女王様も頑張って下さい。」

「ええ。有難うトゥルータ王。それより、何かお話があるのでは?」

「おっとそうだった。実は……」

 

ユウは世界鐘の事、そして今後の事をレクルスに報告し伝えた

 

「成る程…話は分かりました。世界鐘が再び現れるとは、また不思議な事が起きましたね。それで、支度が整い次第、スティーノスさんの飛行船で奏鐘士の皆さんを迎えに行くのですね?」

「ああ。スティーノスさんがその方が早いだろうって、飛行船を使わせてくれる事になってね。正直助かったよ。」

「ごめんなさい…本来ならメフテルハーネ号を貸し出したい所なのですが、今は整備も兼ねて封印中だったので…」

「気にしなくて良いよ。また何かあった時に備えての処置なんだし。それよりもアルディハラさんは?」

「姉上なら今は旅に出てますよ。城での生活は退屈なので、世界を見て回ると行って…」

「相変わらずだねえあの姉ちゃんも。ま、何処かで会う様な事がありゃ1杯飲み交わしたいとこだわねえ。」

「りょうばおじさんも相変わらずだと思うけどね…」

「ウフフ、もし姉上に会う様な事があれば、城の事は気になさらずに、ゆっくり見て回って下さいと伝えて下さい。」

「分かった。もし会えば伝えとくよ。」

「父さん、そろそろ行かなくて良いの?」

「ん?もうそんな時間か…そうだな、スティーノスさんも待たせてるしな。それじゃあレクルス、俺達はそろそろ行くよ。レクルスも頑張ってな。」

「ハイ、有難うございます。ユウ達も道中、気を付けて下さいね。ハーネ君も、ユウの奥様も気を付けて行くのですよ。」

「うん、有難うレクルス様。」

「お気遣い有難うございます、女王様。女王様もお体に気を付けて下さいね。」

「皆様に始祖メフテルハーネのご加護があらん事を…」

 

レクルスに謁見したユウ達は、スティーノスと合流するべく村へと戻って行った

村の近くまで戻ると、巨大な飛行船が村の入口付近に停まっているのを発見した

 

「で、デカい……おいユウ、これメフテルハーネ号と同じ位あるだろ…負けず嫌いにも程があるだろあのおっさん。おいユウ、大丈夫か?固まってるぞ?」

「トゥルータ?あ、ああ悪い…まさか個人でこれ程の規模を作るだなんて……予想よりかなり凄すぎてつい…」

「うわあ、大きいね母さん。」

「そ、そうね……飛行船て凄いのね……」

「こ、これ墜落なんかしないわよね?」

「おテオちゃんよ、目立ちがりのあのおっさんが、そんな欠陥品作る訳がないでしょうよ?」

「流石はスティーノスさんと言うべきなのですよ…」

「きゅ〜……」

 

ユウ達がスティーノスの飛行船に圧倒されていると、飛行船の方から小さな妖精が、ユウ達の方へと近寄って来た

 

「来たわね。ほら、ボサッとしてないで早く乗りなさい。」

「ヒュチュカさんなのですよ、お久し振りなのです!」

「ヒュチュカ、久し振りだな。スティーノスさんは?」

「アイツなら中で寛いで待ってるわよ。話は大まかには聞いたけど、アンタ達も大変ね。」

「はは…まあ皆がいるからそこまでではないけどな。」

「そう。ほら、急ぎの旅なんでしょ?さっさと乗りなさい。」

「ああ、それじゃ宜しく頼むよ。」

 

ユウ達はヒュチュカに連れられ、飛行船の中へと案内された

飛行船の中に入ると中は豪華絢爛な装飾と、様々な娯楽施設や、これまた豪華な客室が所狭しと設置されていた

 

「す、凄い…何よこれエルシアムと大して変わらないじゃないのよ……」

「さ、流石スティーノスさんだな……」

「こりゃ確かに退屈はしないわな流石のおっちゃんも驚きだわ…」

「此処までくるともう、何でも有りだなあのおっさんは……こんなのが俺の国に来たら大騒ぎになるなあ…」

「これが飛行船なんだ…父さんこんな凄いのに乗ってたんだね。」

「あなた…飛行船ってこんなに派手なものなのね…」

「いや、俺達が乗ったのは此処まで派手じゃなかったし、娯楽施設なんてなかったぞ……」

「何にしても凄すぎでしょこれ……」

「みゅ…何だかさっきから圧倒されてばかりなのですよ…」

それぞれが飛行船の中の施設に圧倒されていると、スティーノスがユウ達の方へ歩み寄ってきた

 

「来てたのか。どうだ、我が飛行船は?中々のものであろう?」

「凄すぎますよ…何だか落ち着かないなあ。」

「フハハハ!!まあ直ぐに慣れるから安心しろ。それより、最初は何処へ行くつもりだ?」

「あ、ああ…えっと、最初は科学の国へ行こうと思ってました。」

「科学の国か…とすると、あの喧しい小娘がいる所か。」

「科学の国っていうと若、彼奴等の所へ行くつもりですかい?」

「ああ。一応、所在がはっきりしていて近い所といったら、科学の国になりますから……お願い出来ますか?」

「ふん、任せておけ。科学の国ならばゆっくり進んでも、2日あれば着くからな。施設内は好きに使用してくれて構わんからな、着くまでの間好きに過ごすと良いだろう。」

「有難うございます。じゃあ皆、取り敢えず着くまでは各自で自由行動って事で。」

「OK。なら俺は部屋で少し休むとするわ。」

「なら俺は1杯やりに行こうかねぇ……おテオちゃんはどうするよ?」

「私もトゥルータ兄ぃと同じで部屋で休んでるわ…何か落ち着かないし此処。」

「そうかい。ま、ゆっくりしてりゃ良いさ。若達はどうするんで?」

「父さん、僕お腹すいた。」

「そう言えば私も少し…ねえあなた、何か食べに行かない?」

「そうだな…それじゃりょうばさん、俺達は何か食べに行くとしますよ。」

「そうかい、じゃあ一緒に行きましょうや。」

「ふむ。さっそく自由に過ごしておるようだな…それで良い、旅は始まったばかりだ……思う存分に、この夢のような空間を楽しむと良いだろう。」

 

かくしてユウ達一行は、スティーノスの飛行船に圧倒されつつも、まずは科学の国へ向かう事となった

かつて共に、世界の危機を救う為に一緒に手を取り合った

仲間、そして奏鐘士の友人に会いに……

 

 

 

 

 

 

 




レクルス…王国の第二王女で、現在の王国の女王
ユウ達の仲間でもある
かつては癒術士としても活動しており、現在は内政等がある為、癒術士としての活動は控えている

アルディハラ…王国の第一王女でレクルスの姉
弓の使い手でその腕はかなりのもの
昔は国内のでの揉め事等、色々あったものの、現在はレクルスとも仲良く…というかかなり溺愛しておりとても大事にしている
自由奔放に過ごすのが好きで、現在は世界を見て回っているとの事

ヒュチュカ…ホテルエルシアムのスタッフの1人で医者の妖精
スティーノスの付き人でもある
スティーノスの事を五月蝿いと思いつつも、何だかんだで気に入ってはおり側にいる
短気な性格

メフテルハーネ号…かつてレクルスが中心となり、各国と協力し、メフテルハーネの危機を救うべく建造した飛行船
いまは整備も兼ねて封印されている
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