ユウ達が王国を出発してから、丁度2日が経ち飛行船は予定通り機械の国へと近付いていた。
「お早うございます、スティーノスさん。」
「小僧…ユウ達か。もう起きてたのか。」
「ええ、あと少しで機械の国ですかね?」
「ああ。あと1時間もすれば着くだろう。機械の国に奏鐘士…お前達の仲間がおるという話だが、居場所は分かるのか?」
「それは大丈夫です。たまに手紙が来て、やり取りをしていましたから。」
「ふむ、それなら良い。着いたらお前達は、ソイツを迎えに行ってこい。俺は何時でも出発が出来る様、待機してるんな。」
「分かりました。合流でき次第、直ぐに戻りますので。」
「忙ずとも良い。久々に来たのであろう?ゆっくり観光して行っても良いのだぞ?」
「有難うございます、その辺りはまあ追々決めますよ。」
「まあ好きにするが良い。何かあれば戻って来い、可能な範囲内であれば、手助けはする。」
「ハイ、それじゃあ行って来ます。」
ユウ達は一旦スティーノスと別れ、奏鐘士であり、友人でもある人物を迎えに行く事となった。
「う〜〜ん、機械の国も久々ねえユウ兄ぃ。」
「そうだな。此処も全然変わらないな。」
「この国でも色々とあったよなあ。」
「あの時はおっちゃんも、かなりハラハラしたもんだわ。」
「わあ…王国とはまた違う雰囲気があるわね。それに結構、霧が多いのね。」
「母さん、迷子になりそうだから手繋ぐ?」
「そうね。繋ごうか。」
「うん。トトにメルクも側に来なよ。」
「はいなのです。」
「きゅっ!」
「それでユウ、2人目の奏鐘士は何処にいるんだ?」
「えと確か、この手紙の地図と住所によると、この区画に住んでる家があるみたいなんだが……」
「取り敢えず、チマチマ探しながら行ってみましょうや。」
ユウ達は2人目の奏鐘士が住んでいるてあろう家を、探しながら進む事にした。
暫く進んで行くと、目的の場所へと辿り着いたが……
「で、デカい……」
「うわあ、大きい家だね母さん…」
「え、ええそうね……」
「ね、ねえユウ兄ぃ、本当に此処で合ってるの?」
「あ、ああ…此処で良い筈だけど……」
「マジかよ……なあユウ、これどう見ても貴族とかが住むクラスの家だぞ?」
「貴族…あ〜、そういう事か…いや大丈夫だ、ここで合ってるよ。」
「成る程な、おっちゃんにも分かったわ。」
「あ、そういう事ね。」
「ね、ねえメルク、何か皆して納得してるんだけど??」
「みゅ〜。私にも分かったのですが、一緒に来ていないシエットさんが分からないのも、無理もないのですよ。」
「うきゅ〜。」
「ま、まあ取り敢えず訪ねてみよう。」
そう言うとユウは呼鈴を鳴らした。
暫くすると、家主と思わしき人物が玄関まで掛けてきた。
「は〜い、どちら様ですか?今開けます。」
そう家主がドア越しに声を掛け、ドアを開けると家主は驚いた表示をして語り掛けてきた。
「え、ユウ?ユウじゃないの!?それに皆も……」
「やあ、久し振りだなヘキサルト。元気そうだな。」
「久し振りね、ヘキサルトお姉さん。」
「よぉ嬢ちゃん、元気そうだな!」
「ども、ご無沙汰っす。」
「みゅ〜、久し振りなのですよ!!」
「きゅ〜!」
「いや驚いた……急に皆で来たりしてどうしたの?」
「ああ…その事で実は話があるんだが……」
「何か深刻な話っぽいね。分かった、此処で立ち話じゃ落ち着かないし上がってよ。それから詳しく聞くからさ。」
「悪いな、急に訪ねて来た挙げ句にいきなり深刻な話で。」
「ううん、大丈夫だよ。深刻な話が終わったらその後は楽しい話しなるんでしょ?さっさと聞いて済ませちゃおう!」
「はは、相変わらずだなあヘキサルトも。」
「お陰様でねえ。所で、其処のお姉さんと子供はどちら様?
」
「ああ。紹介するよ、妻のシエットに息子のハーネだ。」
「初めまして、シエットよ。宜しくね。」
「ハーネです、宜しくです…」
「あらま、ユウったら結婚してたのかあ。しかもこんな可愛い奥さんに子供に恵まれるとは幸せ者だねえ〜」
「あはは。まあね。ヘキサルトこそどうなんだ?こんな立派な家に住んでるって事はそうなんだろ?」
「えへへ、分かっちゃってたか。うん、してるよ。相手は勿論あの人……カプナートだよ〜。」
「だと思った。良かったな、おめでとう。」
「いやあ照れますなあ。と、深刻な話だったのに惚気話になってしまってたわ…ささ上がった上がった。」
「あ、ああ…じゃあ改めてお邪魔するよ。」
ユウ達はヘキサルトに家の中へと案内された。
家の中はかなりの広さで、所々に高価そうな壺やら絵画やらが飾れていた。
「うっわあ〜凄いわね……この壺なんか魔道具だしお師匠様が見たら興味持ちそうなものばかりだわ。」
「いやはや…中々凄ぇとこに住んでるじゃねえの……」
「もの凄い玉の輿なのですよ、ヘキサルトさんは……」
「ささ、こっちだよ。入って適当なとこに座って。いまお茶を淹れて来るから。」
ヘキサルトに部屋の中に通されると、各自で適当な場所に座り、ヘキサルトが来るのを待っていた。
少ししてヘキサルトがお茶を淹れて戻り、ユウ達は出されたお茶を飲みながら、話を進めた。
「有難う。すまないな、突然来た上にお茶まで。」
「ううん、久し振りに会えて良かったよ。それで話って一体、何なのさ?」
「ああ。実は……」
ユウはヘキサルトに対して、お菓子の国のトゥルータが治めるエリアに新たな世界鐘が出現した事、その異変を解決するべく奏鐘士達を集めるべく旅をし、2人目にヘキサルトを迎えに来た経緯を説明した
「そっかあ。まさかまた世界鐘が現れるなんてね……成る程ねぇ。」
「それで、これまた急で申し訳ないんだけど、ヘキサルトにも一緒に来て力を貸して欲しいんだが、頼めるか?」
「うん、勿論だよ。世界鐘が絡んでるなら私達、奏鐘士の出番でしょうよ。あのスティーノスのおじさんも手助けしてるんだし私が動かない訳にはいかないよ。」
「有難う、助かるよ。」
「直ぐにでも、て言いたい所だけど先ずは旦那様と子供達に報告してからでも良いかな?」
「勿論さ…て、子供達ってヘキサルトにも子供がいたんだな?」
「うん、お陰様で2人程ねえ。可愛い双子ちゃんだよ。今は旦那様と一緒に職場見学もとい子守りをしてるよ。」
「へぇ〜、ヘキサルトお姉さんのお子さん双子なんだあ。」
「職場で子守って……なんかシュールだなあ。」
「あはは…トゥルータ君…じゃなかったトゥルータ王もそう思います?」
「ああ今まで通りで良いっすよ。堅苦しいのは窮屈だしね。」
「そお?なら今まで通りトゥルータ君で。」
「何だか面白い人ねあなた。」
「うん。けどとても優しくて良い人だよ彼女は。」
「ふふ、そうみたいね。」
「あ〜あ、私も結婚したくなって来たかも…」
「先ずは相手を探さないとだなあおテオちゃんよ?」
「分かってるわよ…誰か転がってなあ〜。」
「おいおい…なあユウ、誰か良い人いたら紹介してやったらどうだ?」
「いや心当たりがないし…そういうトゥルータこそ紹介してやったらどうなんだ?」
「右に同じくだよ。あーラクリッズを紹介するって手も…」
「ラクリッズさん…?いや無理だろ…あの人の場合、眼中にないと言うか、そもそもそういうのに興味なさそうだし…テオとはやや歳が……」
「だよなあ」
「2人共…何か失礼な事話してない(#^ω^)?」
「「いや全然」」
「あははは、相変わらずだねえ皆。ねえ、急いでるとは思うけど今日は泊まって行かない?色々と話したいしさ。」
「うーん。けどスティーノスさん待たせているしな……」
「良いじゃないかユウ。あのオッサンには俺が伝えに行くから、今日は泊まって行こうぜ?」
「今日位は良いじゃないユウ兄ぃ、今の所は順調なんだしさ?」
「そうだな…それじゃトゥルータ、悪いけどスティーノスさんに伝えに行ってくれるか?」
「任せろ。足の速い俺が行った方が手早く済むしな。それじゃ早速、行って来るわ。」
「宜しく頼む。」
トゥルータは一晩泊まる事をスティーノスに伝えに行った。
なおスティーノスに伝えた所、二つ返事の即答で了承を得たのだった。
〜夕方〜
「さてと、そろそろ旦那様達も帰って来るしそろそろ夕食の支度をしなきゃね。」
「あ、それなら私も手伝うわヘキサルトさん。じっとしてるのも落ち着かないし。」
「そお?それじゃあお願いしようかな。宜しくねシエットさん♪」
ヘキサルトはシエットと一緒に夕食を作りに、台所へと向かって行った。
その間ユウ達は色々と談笑をしたりしていた。
それから暫くして呼鈴が鳴ったと思いきや、勢い良く玄関のドアが開いた。
「ただいま〜!!」
「コラ、ドアはゆっくり開けなさい。」
「姉さんもっとお淑やかにしなきゃ駄目だよ。」
「ハイハイ…て、あれ?誰か来てるみたいだよ?しかも大勢。」
「うん?誰だこんな時間に。父さんの部下でも来たのか?」
「客室に居るみたいだし、行けば分かるよお父さん。ささ、行こ行こ!」
「コラ、そんなに引っ張るな!」
家主らしき人物とその子供らしき人物が客室まで行き、子供がドアを開け家主が中を覗くと、その家主は驚きの声をあげた。
「誰が来たかと思ったらユウ達じゃないか!!」
「久し振りだなカプナート。元気そうだな。」
「みゅ〜、お久し振りなのですよ!」
「きゅっ!」
「驚いた…急に訪ねて来てどうした?」
「その事なんだけど実は……」
ユウは世界鐘の事変に対処するべく、ヘキサルトに協力を頼みに来た事等を事細かに話した。
「成る程…また世界鐘が現れたのか。それで、アイツは了承したのか?」
「ああ、ヘキサルトからは了承を得たよ。」
「そうか。なら僕からは何も言う事はない。アイツが了承したなら、それで良い。」
「悪いな…久々に会ったのに、妙な事件に巻き込んで。」
「構わないさ。それに世界鐘なら、早めに対処するべきだろうしな。」
「へぇ…昔に比べて、随分と丸くなったんじゃねえの。」
「りょうばおじさんの言う通りかも……昔は頑固と言うか融融通が利かなかったと言うか…」
「失礼だな君達は……僕だってあの頃とは違うんだ。」
「まあまあ良いじゃないの。それよりカプナート、そちらさんは君達の子供か?」
「あ、ああ。そう言えば紹介がまだだったな。双子なんだが、こっちの女の子が姉のサレナで、男の子が弟のルカだ。ほら2人共、挨拶しなさい。」
「初めまして、サレナだよ、宜しく〜。」
「ルカです、宜しくお願いします。」
「可愛い〜、女の子の方はヘキサルトさん、男の子はカプナートさんに似てるわね。」
「そうだな。サレナちゃんの性格はヘキサルトに似てるな。」
「カプナートの旦那も、ちゃんと幸せな家庭築いてんじゃあねえのよ。」
「みゅ〜、可愛いらしい双子さんなのですよ〜!」
「それはそうとユウ、そっちの男の子はもしかすると君の子か?」
「ああ、息子のハーネだ。妻は今ヘキサルトと一緒に、夕食の支度をしてるよ。」
「ハーネです、宜しく。」
「ユウに似て優しそうな子だな。君も幸せそうで良かったよ。」
「はは、まあ何とかやっているよ。」
「可愛い〜!!ねぇねぇハーネ君、歳は幾つ?」
「え、えっと10歳だけど……」
「じゃあ私達と同じだ。ねぇご飯が出来るまで遊ぼうよ!」
「え、えぇ…」
「ちょっと姉さん、ハーネ君が困惑してるじゃないか。」
「ちょっと位良いじゃん?ね〜?」
「ちょ、ちょっと…抱きつかないでよ…苦しい…」
「あらら…ハーネ君すっかり気に入られちまったじゃないのユウ?」
「はは、そうみたいだな。ハーネ、まだ時間掛かるみたいだし、一緒に遊んで来たらどうだ?」
「う、うーん…まあ、父さんがそう言うなら…」
「やった!!ほらハーネ君、私の部屋に行こ!!」
「え?此処じゃ駄目なの?」
「だって何も無いしつまらないじゃない。私の部屋に行けば色々あるからさ?だから行こう〜!!あ、あと其処のダイフク?君も。」
「きゅっ!?!?」
「うわ、引っ張らないで〜!!」
「姉さんやめなよ。ああもう……父さん、心配だから僕も行くよ。」
「あ、ああ頼む。」
ハーネはサレナに、半ば強引にサレナの部屋へと連行され、それをルカが追い掛けて行くのであった……
「やれやれ、アイツに似て落ち着きがないと言うか何と言うか…済まないな。」
「良いさ。ハーネも同じ位の子の友達が余りいないし、それにやや大人しすぎるから、返って良い刺激になるさ。」
「そ、そうか……それならまあ良いんだが。」
「若も何気にスパルタな所があるんだなぁ。」
「みゅ〜、ハーネ君にトト、頑張るのですよ…」
「メルクお前……自分も連れてかれそうだったから、隠れてただろ…?」
「な、何の事なのです〜?」
「誤魔化せてないよメルク姉ぇ…」
ユウ達はカプナートとも再会を果たし、その後は夕食の時間まで色々と談笑をしたりして過ごしていた。
ユウは心の底から、久し振りに2人に再会出来て良かったと思い幸せそうで良かったと思うのであった……
ヘキサルト…奏鐘士の1人で、以前は機械の国を転々としていたが、ある事件がきっかけでユウ達と知り合い一時期行動を共にする。
またこの時にカプナートとも出会い行動を共にしていたものの、当初は彼から毛嫌いされていたが行動を共にする内に、互いに惹かれ合う様になった。
世界が平和になった後はカプナートと結婚、今は2人の子供に恵まれ幸せな日々を送っている。
カプナート…機械の国の警史で機械人形野使い手でもある。 祖父が残した機械人形のイノージュンを、とても大事似している。
ユウ達と知り合う前は他人と馴れ合う事を嫌う所謂仕事人間だったが、ユウ達との触れ合い、そしてヘキサルトとの出会いが彼を変えて行く事になる。
当初はヘキサルトの事をかなり毛嫌いしていたものの、彼女と触れ合うにつれて惹かれて行き、今では彼女と結ばれ、子供達にも囲まれながら、警史の仕事をこなし多忙ながらも、幸せな日々を過ごしている。
サレナ…ヘキサルトの子でルカの双子の姉。
性格や顔立ちはヘキサルトに似ているが、優しい所も受け継いでいる。
ハーネの事をとても気に入った模様。
ルカ…ヘキサルトの子でサレナの弟。顔立ちはカプナートに似ており、性格は真面目でややクールな部分がある。
姉を抑止する役割もしている。