魔法少女リリカルなのは STAND BY ME   作:ユキアン

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星光

 

今日は訓練とかはお休みで、フェイトちゃん達とは都合が合わなかったのでふらっと街の方まで出かけていました。最近、アリシアちゃんが基礎を終えて本格的に魔法を習う為に同じ宿題が出されたその日に終わってしまいました。アリシアちゃんはユーノ君の様に治療系を中心に補助系の魔法を覚えていくそうです。何でも、目の前で倒れたプレシアさんと、助けを求めたジョジョ君が無理をする姿が印象的で、何も出来ない自分が悔しかったからだそうです。新しく開発した魔法はサーチ魔法の一種でどの部位がどのように悪くなっていて、それを解決するにはこうすれば良いと回答付きで出てくる物だそうです。似た様なものは既にある様なのですが、効率はこちらの方が良いらしいので合格したそうです。今はその魔法の精度の向上と医学を学んでいるそうです。私は、未だに悩んでいます。ただ少しは道が見え始めてきました。他の皆が出来ない事が一つだけ見つかったのです。それは一定範囲内に存在する残留魔力を範囲内で好きな場所でかき集める事が出来るみたいです。一応これを利用した魔法を作っては見たのですが、あまり私には向かなかったみたいです。フェイトちゃんは面白い様に引っかかってるけど。

 

 

 

特に収穫も無く今日は家に帰ろうとした所で周囲の景色が変化する。

今まで周囲にいた人たちが居なくなった瞬間、バリアジャケットを身に纏う。先程まで放置していた魔力を持った誰かがこちらに近づいてくるのが分かる。一応設置型のバインドを用意してっと。

 

「それで、私に何か御用ですか?」

 

目視出来る距離にまで近づいてきたのは赤いゴスロリっぽいバリアジャケットを纏った女の子で、その手にはハンマーみたいなデバイスが握られています。

 

「お前に恨みは無いけど、その魔力奪わせてもらう」

 

「魔力だけが目的なの?」

 

「そうだ、命まで奪う気はねえ」

 

「まあ、魔力位なら分けてあげてもいいけど、それはまた後日にして少しだけ付き合ってもらえるかな。どうせ今は半分位しか残ってないし」

 

レイジングハートに訓練用のリミッターを解除してもらって戦闘態勢に移る。威嚇も兼ねて誘導弾を3つ精製して待機させる。

 

「それで半分って、化け物かよ!?」

 

「さあ?鍛えれるうちに鍛えてたらこうなっただけだよ。元からも多かったみたいだけど、初めての頃に比べると2倍くらいかな?ランクで言うとSS+位って言われたけど、使いこなせないんだよね」

 

最近は重力も日常では1.6G、朝の修行とフェイトちゃん達との模擬戦では1.3Gで魔力効率はかなり悪い状態を保っている。一日で重力制御以外の魔法を使わなければ7~8割を消耗する位、分かり易く言えばフェイトちゃん達とアルフさんを足した位の魔力を無駄に消費し続けてます。ちなみに現在も成長途中なので、行ける所まで行ってみようと思ってます。

 

「それでどうするの?付き合ってくれるなら2日後位に丸々あげてもいいよ。定期的に必要なら2週に1回程度でならあげれるよ」

 

「……しかたねえ、付き合ってやるよ」

 

そう言って赤い女の子は手に持ったハンマーで殴り掛かってくる。典型的な後衛魔導士だと思われたのだろう。見た目はそうだし、ミッド系の魔導士ってバレてるみたいだし。でもね

 

「簡単には終わらないよ」

 

レイジングハートに魔力を通して強化し、恐れる事無くハンマーにレイジングハートを横から当てる。それだけで私に当るはずだったハンマーが外れる。驚いた表情を見せたのも一瞬だけで今度は横薙ぎで振るわれる。それを待機させていた誘導弾の一つを下から当て、軽くしゃがんで躱す。更にお返しとばかりに残りの誘導弾を顔面に向かって飛ばす。それらは赤い女の子のオーラ系の防御魔法で防がれてしまったけど帽子を遠くに飛ばす事は出来た。

 

「てめぇ!!」

 

「甘く見ちゃ駄目だよ。私は、もっと先を目指してるんだから」

 

そう、ジョジョ君ならもっと上手くやれるはず。ジョジョ君なら今ので終わらせていた。最初の一撃でデバイスを壊して、驚いている所に重い一撃を加えて。

 

「この地球にあるとても良い言葉を教えて上げる。『獅子は兎を狩る時も全力でかかる』油断なんてしてると痛い目みるよ」

 

「ちっ」

 

赤い女の子が距離を取るのを黙って見過ごして、先程吹き飛ばした帽子を拾い、投げ渡す。それを受け取った女の子は被り直してから再びデバイスを構える。

 

「ああ、自己紹介がまだだったね。私は高町なのは、こっちはレイジングハート」

 

「……紅の鉄騎 鉄槌の騎士ヴィータ、こっちは鉄の伯爵グラーフアイゼン」

 

騎士ねぇ、ということはプレシアさんの授業で習ったベルカの騎士かな?ちょっとだけ厄介だな。その方が特訓になるんだけどね。さてと

 

「仕切り直しだよ」

 

今度は直射弾を30ほど、愚直なまでに真直ぐと次々に飛ばす。ヴィータちゃんはそれを受けるのでもなく、躱すのでもなく、撃ち落とす事を選ぶ。同じ様に魔力弾を作って的確に当ててくる。そして距離を詰めてくる。今ので私がどっちの距離の方が得意なのか分かったのだろう。今の所、私は接近戦では防御しかできない。お父さんがまずは自分の身を守れる様になってからと言ってあまり攻める術を教えてもらえていないから。さっきの攻防もただ単にこうした方が避け易いと思ってやっただけ。つまりは接近戦は不得意です。だから頭を使って戦う。牽制の直射弾を撃ちながらバック走で距離を取り始める。昔はこんな事は出来なかったんだけどなと、しみじみ思いながらバック走を続ける。それでもヴィータちゃんの方が早いのでどんどん距離を詰められていきます。だけど、それでいいの。

 

「なっ、バインド!?いつの間に」

 

最初に設置しておいたバインドにヴィータちゃんが引っかかる。さてと、それじゃあ今の所の私の大技の準備をしようか。ちょっと残留魔力が少ないけど、別に良いや。意識を自分の身体から溢れる様に大きくしていき残留魔力をあちこちで集めていく。いつもより少ない残留魔力の変わりに自分の魔力を使って代用して、とりあえず20個のスフィアを形成する。これで準備完了。

 

「受けてみて、これが今の私の最高の魔法」

 

狙いをヴィータちゃんに付けて、レイジングハートを高く掲げて振り下ろす。

 

「ディバインレボリューション!!」

 

20個のスフィアから同時に砲撃が放たれる。フェイトちゃんとの模擬戦ではこのスフィアを回転させたり、移動させながら砲撃を撃つのでまるで光の檻というか網と言うか、もの凄い圧迫感があるらしく、初めて使ってからフェイトちゃんが私の魔力光に過剰に反応する位トラウマになったみたいだ。自分を対象にしてやってみたけど、それほど怖くもなかったし見た目だけで威力もそれほど無かった。やっぱりフェイトちゃんも少しは防御面を気にした方が良いと思うの。

あまり期待はしていないけどこれで落ちるかどうかをこの目で確かめる。

 

「アイゼン!!」

 

ヴィータちゃんが自分のデバイスに呼びかけると、ヴィータちゃんのデバイスから何かが排出される。あれは、薬莢?同時にヴィータちゃんの魔力が急速に膨れ上がる。薬莢に魔力を込めて持ち歩いて、必要な時に解放してるのかな。確かカートリッジシステムとか言うのだったはず。使用者に危険を及ぼす為に一度廃れたはずの技術を使うヴィータちゃん、その後ろには誰か守りたい人が居るのだろう。守られるんじゃなく、守る側に居るヴィータちゃんが少しだけ羨ましくて、妬ましくて、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

気が付くとヴィータちゃんがボロボロになって転がっていた。いつの間にか魔力もほとんど空になっていて、私もボロボロになって地面に倒れていて、誰かに剣を突きつけられていた。身体を動かそうにも力が入らない。このまま死ぬのかな。ヴィータちゃんは命まで奪う気は無いって言ってたけど、あそこまで傷つけたのなら前言撤回しても仕方ないし、この人がどう思っているのかも分からない。うっすらと覚えているのはヴィータちゃんが少しだけ羨ましくて、妬ましくて、八つ当たりの様に魔力をぶつけ続けた事と、ヴィータちゃんを助けに目の前の女性と今は見えない位置に立っている男性に襲われて負けたという事実だけ。感覚的にはもう一人位居そうだけど、関係ないのかな。

これで終わりなのかな。

まだ何も出来ていない。目指す場所は分かってて、進むべき道の欠片が見つかっただけ。

まだ何にも成れていない。まだ小学生だし、魔法に出会ったのも半年前。今から頑張れば大抵のものに成れる。だけど全てが中途半端。

まだありがとうを伝えられていない。魔法も含めて受け入れてくれた家族にありがとうを、些細な切っ掛けでケンカしちゃったけど友達になれたアリサちゃん達に友達になってくれてありがとうを、魔法に出会って知り合えたユーノ君やフェイトちゃん達に力をくれてありがとうを、そして私を孤独から救ってくれたジョジョ君にありがとうを。

終われない。こんな所で終わるわけにはいかない。

意識がはっきりと戻り、落ち着いて体調を確認する。骨折とかはしてないし、大きな傷も無い。動くと痛いとは思うけど我慢出来る。魔力は3%位かな。ほとんど無いけど、大気中の残留魔力がかなり濃くなってるからそれを使えば問題無い。僅かにでも私の魔力を混ぜれば、それは私の魔力に変わるのだから。問題は私の状態よりもレイジングハートの状態だった。コアに罅が入っているのにリカバリーもされない。それだけの重傷を負ってしまっている。これ以上、無理をさせれない。複雑な事は出来ない。ならば私が取るべき行動は次に繋げる事。ユーノ君やフェイトちゃん達が結界に気付いていないはずが無い。これだけ大規模でミッド式とは違う結界が張られているのに誰もやって来ないのはこの結界が侵入を拒んでいるからだろう。だから、私は全力でこの結界を壊せば良い。意識を拡大させると、まだとある一角に設置型のバインド群がある事が分かる。そこに誘い込んで時間を稼いで結界内の残留魔力を全てかき集めて砲撃として使えば結界を抜けるはず。運が良ければ、そのまま相手も逃げてくれるかも知れない。覚悟は決まった。

突きつけられている剣を空いている右手で掴む。

 

「むっ、まだ意識が有ったか。これ以上無理をするな。命に関わるぞ」

 

今の会話だけで分かった。この人たちは私の命を奪うまではしないと。まさしく騎士と言える。その精神は素晴らしい物だけど、もう決めた以上私は止まらない。

 

「ま、だ……だよ」

 

喋るのが辛い。だけどそれがどうした。

 

「勝負……終わ、あき……た」

 

「もう止せ。ヴィータとの勝負はこちらの負けで良い」

 

それはただの口実、私は進むんだ。ジョジョ君の背中を追いかける為に。だから諦めない。

なけなしの力を使って突きつけられた剣を横にずらす。これで後は身体を支える分の力しか残っていない。一瞬だけフラッシュムーブを使って斜め上に飛ぶ。これで後は最後の砲撃分しか魔力は残っていない。重力に引かれて放物線上に地面に落下する。受け身すら取れずにバリアジャケットでの防護に身を任せる。着地の衝撃で残っていたバリアジャケットが更に壊れる。だけどこれで目的地にはたどり着けた。ビルの壁に掴まりながら何とか身体を立たせて左手を掲げる。こちらに向かってくる女性は設置していたバインドに捉えられてここまで来るのに時間がかかるだろう。だからこれで魔力をかき集める時間は作れる。意識を結界の範囲と同じだけ広げて私の目の前に集めていく。無色だった残留魔力が私の魔力光に染まっていく。それがどんどんと大きくなっていく。これだけの魔力ならブレイカークラスかな。そう言えばまだこの魔法の名前を決めてなかったな。

ふと目に入ったのは左手に付けているブレスレット。半分に欠けてしまったそれはジョジョ君のトレードマークで、雲の部分しか残っていない。半分に欠けてしまったのなら私が残りの半分に成ろう。残りの半分の星に。良い名前が決まった。それにたぶんこれが私が進むべき道なんだろうな。バインドやシューターで足止めしてバスターやブレイカーで決める。典型的な後衛魔導士。それを記念する魔法も完成した。かき集めた魔力で術式を構築していく。射線上の魔力も吸収しながらただ単純に突き進むだけの砲撃。だけど、最後の最後でそれが纏まらない。これ以上はデバイスの補助無しにはできない。

 

「……レイジングハート」

 

「Please employ master, me. Therefore there is me(マスター、私を使って下さい。私はその為に居ます)」

 

「ごめ……ね、絶対、直して、貰うから」

 

レイジングハートが補助してくれ始めると術式が纏まりだした。それと同時にレイジングハートから嫌な音が聞こえ始める。もう少しだけ、もう少しだけ耐えて。相手もこの魔法の恐ろしさに気付いたのかヴィータちゃんを連れて下がり始めた。そこでやっと完成する。いくよ、レイジングハート。

 

「スターライトブレイカー!!!!」

 

砲撃を撃つのと同時にレイジングハートが砕けていく。だけど、砲撃は減衰する事無く、それどころか集め切れていなかった残留魔力を吸収して更に大きくなりながら突き進む。やがて結界に触れた砲撃は吸収する為にある程度四散したものの結界を破壊して空へと吸い込まれていった。

 

「やっ……た」

 

それを見届けた所で限界だった。手に持っていたレイジングハートが待機形態に戻り、残っていたバリアジャケットも消えて私服に戻る。そしてまた街を結界が覆っていく。私がやっとことは無駄だと言う様に感じられ、心が折れそうになる。もう立っている力も無くなり身体が倒れ始める。冷たいアスファルトが私を抱きしめる

 

「頑張ったな、なのは」

 

ことはなく、聞き慣れているのに、最近は聞く事が出来なかった声の持ち主が受け止めてくれた。

 

「アル、治療と防御の結界を頼む。溜めている分、全てを使え」

 

「了解だ。それからその子のデバイスの方も危険な状態だ。ある程度の魔力を分けるが構わないか?」

 

「もちろんだ」

 

アルと呼ばれたのは、たぶんデバイスなのだろう。すぐに私を覆う様に2種類の結界が敷かれたのが分かる。山吹色に光るそれがジョジョ君の魔力光なのだろう。まるで太陽の様に優しくて温かい。

 

「少しだけ待っていてくれ。すぐに戻る」

 

そう言ってジョジョ君が私にコートを掛けて離れようとする。それを止めたかったけど、身体が動かない。後1秒だけで良いの。声を出すだけでも良いの。お願い、動いて。だけど私の意志に反して身体は動かず、まぶたが降り始める。

 

「大丈夫だ。今度はちゃんと帰ってくる」

 

よく頭を撫でてくれた手が若干震えている。たぶん、いや、きっと怒っている。色々な事に。

 

「できれば、ここからは見ないでいて欲しい。なのはにこんな情けない姿を見て欲しくない」

 

離れていくジョジョ君を止める事も出来ずに私の意識は闇に落ちていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

時は少し遡り––––––

 

 

「海鳴市に巨大な結界、しかも古代ベルカ式?」

 

そろそろ地球に到着するという頃になり、一応魔力強奪犯の魔力反応があるか確認する為に調べた所、海鳴市に巨大な結界が確認され心当たりが無いかオレに確認が来たのだ。

 

「いや、全く心当たりがない。オレが出会った事があるのはミッド式の使い手だけだ」

 

「そうか、なら魔力強奪犯と見ておいた方が良いな。エイミィ、他に何か分かる事は?」

 

「あまりよく分からない。あっ、待って、今新しい反応が二つ結界内に侵入したから少しだけ情報が取れた。て言っても内部に居る誰かの魔力波長を捉えれただけだけど」

 

「一応、それ、見せてくれますか?もしかしたら知り合いかも知れないので」

 

「いいよ」

 

オペレーターのエイミィさんが表示してくれた2つのモニターを確認する。ミッドで学習した知識から魔力波長から来る魔力光を調べる。片方は紅で、全く知らないな。アリシアだとしてもフェイトと同じ様にしたから金色のはずだからな。もう片方は、桜色。それを見た瞬間にセットアップを終え、ジュエルシードから抜き出した魔力任せに海鳴市に転移する。

目の前に広がる懐かしい町並みに目もくれずに結界に接近する。

 

「アル、構築を調べ上げろ」

 

「どうするつもりだ」

 

「結界をすり抜けて奇襲をかける」

 

「了解だ」

 

普通なら結界をすり抜けるなんて事は出来ない。だが、先程ここに二つの反応が侵入している。つまりは結界が弱い部分か、弱くなる条件があるはずだ。そこを突いて侵入するのだ。一つだけ問題が有るとすれば、古代ベルカ式の術式を知らないことだ。ベルカ式と古代ベルカ式の違いは、簡単に言ってしまえばイギリス英語とアメリカ英語の違い位のものだが、結界をすり抜けるという高度な技を使うにはその誤差が失敗に繋がる。だからこそ慎重に、丁寧に、しかし急いで構築を調べ上げていく。強引に結界を破壊してしまえば流れ弾が周囲を破壊する可能性がある。それは避けなければならない。なのは一人の為に何も知らない大勢の人を巻き込むわけにはいかない。焦る心を必死に押さえつけて解析を急ぐ。

 

「見つけた」

 

8割程解析した所でようやく条件を見つけ出せた。その条件に合う鍵となる術式を構築して打ち込む。これによって数秒だけ結界の一部に穴が開く。素早く飛び込み、視界に飛び込んで来た光景に見惚れる。結界内の残留魔力が一カ所に集っていき、無色のそれらが桜色に染まっていく。その桜色はとても大きく、まるで空から落ちてきた星の様に周囲を照らす。そして、星の傍に立つのは

 

「なのは」

 

この一ヶ月の間、会いたくても会えなかった相手。ボロボロになりながらも、それでも必死に星を制御しようとしている。それを止める事は出来ない。なのはがあそこまで必死になって、死という恐怖に立ち向かうのを止めるわけにはいかない。幸いにも敵は距離を取り始めている。ならばオレはすぐにでも駆けつける準備をしておこう。

 

「スターライトブレイカー!!!!」

 

撃ち出された砲撃は集め切れていなかった残留魔力すら吸収しながら突き進み、結界に触れる。ある程度四散したようだが結界を破壊して空へと吸い込まれていく。それを確認すると同時になのはの元に走り出す。今にも倒れそうそうな身体を抱きとめる。

 

「頑張ったな、なのは」

 

近くで見ると、予想以上に酷い怪我を負っている。クロス・アルケミーで治療してやりたかったが材料の補充が済んでいないので魔法で治療するしかない。

 

「アル、治療と防御の結界を頼む。溜めている分、全てを使え」

 

「了解だ。それからその子のデバイスの方も危険な状態だ。ある程度の魔力を分けるが構わないか?」

 

「もちろんだ」

 

アルにプールしていた分の魔力を全て使い治療と防御の結界を敷く。山吹色に輝くそれがオレの魔力光。波紋で産み出す物と全く同じ色、太陽の色だ。

 

「少しだけ待っていてくれ。すぐに戻る」

 

結界に不備が無いのを確認してからその場を離れようとする。一瞬、なのはの目が何かを訴えてくる。それが何か分からないが、たぶんまたオレが帰って来ないと思ったか、将又オレも敵にやられると思ったのか、そんな事は無いだろうが敵をボロボロにしないで欲しいと思ったのか。

 

「大丈夫だ。今度はちゃんと帰ってくる」

 

頭を撫でて安心させる様に囁く。

 

「できれば、ここからは見ないでいて欲しい。なのはにこんな情けない姿を見て欲しくない」

 

たぶん、なのはに気付かれたと思う。オレが怒っている事に。なのはを傷つけた敵に、ここまで無茶をしたなのはに、何より傍に居れなかった自分に。波紋で肉体を強化してなのはから離れる。

意識を8割程戦闘用の思考に切り替える。残りの2割は感情、すなわち怒りに染める。

 

 




うちのなのはさんは若干すれている上に病んでしまわれたようです。
どうしてこうなったorz
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