魔法少女リリカルなのは STAND BY ME 作:ユキアン
ISの方もたぶん打ち切り。
現在は『暁』様の方での作品に集中してます。
「でだ、ここからはお説教タイムが始まります」
「うえぇ~~」
「反論は聞かない。プレシアとレイジングハートに色々と事情も聞き終わったからこの半年の事はよく分かった。本格的なお説教は士郎さん達にして貰うからあまり言わないが、一つだけ。一つだけどうしても聞かなければならない事がある」
「……ヴィータちゃんをボロボロになるまで攻撃した理由、かな?」
「ああ。話したくなければ話さなくても良い。その場合はこれだけは答えてくれ。私怨だな」
「うん」
即答するとは思ってなかった。少しだけ唖然としたがすぐに立ち直る。詳しく話してくれるみたいだ。
「最初はそこまでするつもりはなかったの。だけどね、ヴィータちゃんがカートリッジシステムを使った所からは、何も覚えてないの」
「……レイジングハートが言うには過負荷にならないギリギリの魔力を術式に通し続けてカートリッジシステムの魔力を上回っていたそうだ。あとは完全にセオリー通りの戦闘だったそうだ。フラッシュムーヴで的確な位置取りを行ない、直射弾と誘導弾を混ぜて牽制、隙があれば確実にディバインバスターを当てていく。普通に及第点が与えられる戦いぶりだったそうだ。というか被弾ゼロ。その後レイジングハートの制止を振り切り、意識を失っている相手に攻撃を加え続けていた所に相手側の増援との戦闘。魔力が少なくなっていたせいか大した反撃も出来ずに撃墜されたみたいだ。詳しくはレイジングハートに聞いてくれ」
戦闘データは見せて貰ったが教本の様な動きだった。アレならスタンド使いの様な初見殺し以外となら十分やり合える。後は経験を積むだけだろう。十年もすれば歴戦の勇者になれるはずだ。ジョナサンやジョセフ、承太郎の様な主人公に。
「プレシアさんに習ったんだけど、カートリッジシステムは使用者に負担をかけるから今では廃れちゃった技術なんだよね」
「ああ。管理局では現在、人手不足とランク不足を改善する為に安全性を高める研究がされているがな」
「そうなんだ。だけど、ヴィータちゃん達はそれとは違う古いのを使ってるはずだよね。それを使ってまで助けたい人が居る。それが凄く羨ましかった。ヴィータちゃんが助けようとしている人じゃなくてヴィータちゃん自身が」
「あの少女が?」
「うん。助けれるだけの力を持つヴィータちゃんが。私には無い力が」
「なのはは十分に強くなったさ。少なくともあの温泉の時よりは」
「でもね、私はもっと強くなりたい。強くならないといけないの」
「何故だ?何故そこまで力を求める」
「ジョジョ君の隣に立てないから」
オレの隣?どういう意味だ?
「ジョジョ君は、誰かの助ける声が聞こえたらそれを助けに行く。それで自分がどれだけ大変な目に会っても。ジョジョ君は今の生き方を変えないんでしょう」
「ああ、そうだな」
「皆がジョジョ君を賞賛する。誰もがその後ろ姿に憧れる。一緒に協力してくれる人も居る。だけど、何処まで行ってもジョジョ君は一人になっちゃう。誰もがその隣に立っていない。だから私はジョジョ君を支えてあげたい。倒れそうになった時、隣に居て支えてあげたい。挫けそうな困難も協力して乗り越えたい。だけど今の私には隣に立つだけの力も覚悟も足りない。私はジョジョ君に守られてばかりだから」
「オレと比べるのが間違っているんだ、なのは。なのはには魔法があるが、オレには魔法に波紋、そしてスタンドがある。この差はなのはが思っているよりも大きい。カードゲームでもそうだが、手札が多い方が有利なのは分かるだろう?ある程度の差ならそれを覆す事も出来るだろう。プレシアがそうだった様にな。見たんだろう」
「うん。プレシアさんもジョジョ君も凄く強かった。普通はスタンドは見えないけど、プレシアさんがCGで表示してくれたのを見たよ。それからプレシアさんが分かる限りでのスタンドの事も教えてもらったの」
「スタンドのルールか。ちなみにルールは全部で八個、スタンド使いに関するルールというか特性が一個ある。プレシアにも教えておいた方が良いな。通信を繋げるから少し待て」
アルに指示を出してプレシアに通信を繋ぐ。
「プレシア、スタンドに関しての講義をしようと思うのだが参加するか?」
『そうねぇ、受けないとデメリットになることは?』
「不安要素が幾つかある。対して時間は取らないがそこそこ覚えなければならない事がある」
『分かったわ。私もスタンドに関してはあまり詳しくないからね。本職に任せるわ』
「別に本職ではないのだがな。では、簡単に説明を始める。尚管理局にはあまり知られたくないので誰かが来た際には適当に世間話を振るのですぐに切り替える様に。まずスタンドに関するルールは全部で八個、スタンド使いに関するルールというか特性が一個ある。なのは、おさらいとしてプレシアに教えてもらったルールを言ってみてくれ」
「えっと、『スタンドはスタンド使いにしか見えない』でしょ。それから『スタンドに触れるのはスタンドだけ』『スタンドが傷ついたらスタンド使いも傷つく』『スタンドは特殊能力を持ってる』の四つだよ」
「概ねは合っているな。補足するなら魔法のエリアサーチには反応する。しかし、シールドなどは干渉する事が出来ない。あくまでもそこにいるというのが分かるだけだ。だがスタンド使いが触れたいと思えば触れる事が出来る。
それからスタンドが傷ついても本体が傷つかないタイプも存在する。こいつは自動型と呼ばれるスタンドだ。特定の規則、よって自動で動くタイプのスタンドだ。スタンド使いとの繋がりが薄い所為なのかスタンドを破壊してもダメージが入らない。
次に『スタンドは一つの形態に付き一つの特殊能力を持つ』姿が変わると能力も変わるのが基本だ。オレはACTで呼称を分けているな。残りの三つのルールは『スタンドは基本的に一人、一体。ただし数十数百に分裂しているタイプの物も存在する』ちょうどプレシアがこの郡体型のスタンドだ。
もう一つは『スタンドには射程距離が存在する』この射程距離は2種類有る。一つはスタンドがスタンド使いから離れられる距離の事と、スタンドの特殊能力が届く範囲の2種類だ。ちなみに射程距離はスタンドごとにバラバラだ。前者の方の射程以上にスタンドが動こうとするとスタンド使いが引っ張られる。また、スタンド使いから離れる程弱くもなる。例外は自動型だな。
そして最後の一つ『スタンドは成長する』危機的状況に追い込まれてそれを乗り越えようと成長して特殊能力が変化する事さえある。オレ自身も三種類の形態に変化するスタンドに成長している。能力に関しては、もうバレているACT1以外は秘密だけどな。これはスタンド使いとって生命線だ。魔法と違ってスタンドは一点特化型だ。自分の最も適した土俵での戦いを望むのがスタンド使いの戦い方だ。その土俵が何なのかを悟らせないのが勝敗を分ける切っ掛けとなる」
『実際に私のスタンド能力が露見しなければここに居る大半の人間が居ないでしょうね。おそらくはなのはちゃんしか生きていないわ。ちなみに私のスタンドは郡体型のスタンドで、能力は時間操作。郡体が取り憑いた物の時間を遅くするという物だったわ』
「だった?何で過去形なんですか?」
『……原因は不明よ。今の私は辛うじてスタンドの姿を見る事しか出来ないわ』
「それはそれで良かったとオレは思うぞ。理由はスタンド使いに関する特性『スタンド使い同士は惹かれあう』一番厄介な事だ。理由は分からないが、何故かスタンド使いは初対面であろうとも相手がスタンド使いだと直感で分かる。更には何故だか分からないが些細な事で出会う。買い物に出かけた時に道ですれ違う、旅行に行ったら旅行先を拠点にしている奴に出会う。まるで引力に引かれる様にだ。海鳴市でも一年前にアリサが攫われた時に救出に行ってみればスタンド使いが誘拐犯にいたしな」
「一年前、もしかしてジョジョ君がイタリアに行く事になったのって」
「たぶんなのはが考えている通りだ。皆を巻き込まないためだったんだが、なのはが魔法に巻き込まれて急遽帰国してそのまま治療の為にミッドまで運ばれてな。すぐに戻って来ようにも航路が安定していないと言う理由で今まで動けなかったんだよ」
「でも、ジョジョ君は腕を生やしたりも出来るんでしょ。なんでミッドチルダに運ばれてたの?」
「それがオレのスタンド能力だからな。クロス・アルケミーACT1の能力は物質の分解・再構築だからな。能力の延長上として分解した物質を貯蔵しておく事も出来る。貯蔵分が無くなればオレはその場である物でしか何もする事が出来ない。この3日でストックは十分に貯めてきたし、治療も終わっている」
「治療?そうだ!!ジョジョ君、身体は」
「安心しろ。既に生身の身体だ。ちゃんとした人間の身体だ」
「よ、よかったの~」
なのはが安堵して涙を零す。
「プレシアさんが、あと3年しか生きられないって」
「プレシア、お前はオレの能力の事を知っていたはずだろう」
『ええ、知っているわ。だけど、不死身ではないでしょう?ストックが切れれば治療は出来ないし、何より即死してしまえばどうしようもない』
「確かに頭を吹き飛ばされればどうする事も出来ないな。心臓ならすぐに治療すればどうとでもなるが」
『他にも在るでしょう。寿命は3年という診断だったけど、貴方は自分の身を犠牲にして戦う以上、死の危険は常に隣り合わせ。違わないでしょう?』
「そうだな。スタンド使い同士の戦いは常に危険と隣り合わせだ。厄介な能力を持つスタンドは幾らでもいる。触れた物を何処かに送り込む能力、自分が許可した物だけを鏡の中の世界に引きずり込む能力、スタンド使い本人すら巻き込んでしまう毒の能力、水と同化する能力、自分の描いた絵を見せるのを条件にその人物の全てを知れて命令する事が出来る能力、指定した空間を爆破する能力、下に降りると腐る能力、極めつけは時間が停まった世界を自由に動く能力に平行世界を運用する能力。挙げれば切りがない。同じ能力は一つも見た事がない。そいつらとの戦いは精神的にも肉体的にも消耗する」
『本当になんでもありね。その歳で妙に大人っぽいと思っていたけど、大人になるしかなかったのね』
「波紋を習っていた時点で覚悟していたさ。スタンド使いに覚醒してからは余計に」
『何故、そこまでして戦う道を選ぶの?貴方のスタンド能力なら逃げる事だって出来るはずよ』
「まあ色々な理由があるんだよ。色々な」
『……そう。これ以上は聞かないでおくわ。それじゃあ、なのはちゃん、ちゃんと休むのよ』
「はい、プレシアさん」
『レイジングハートの事は任せておきなさい。ちゃんと元通りにしてみせるから。それからジョジョ、貴方は明日私の家まで顔を出しなさい。住所はアルフォンスの方に送っておいたから』
いつの間にかアルのデータ内に住所が送られてきていた。
「分かったよ。昼の一時位にそっちに行く」
『ええ、待っているわ』
通信が切れると部屋の中が静かになる。
「ああ、そうだ。なのは、これ」
壊れていたブレスレットを修理してなのはに手渡す。
「新しく作り直しておいた」
「これもスタンド能力で作ってたの?」
「オレ自身はそこまで万能じゃないからな。まあスタンドはオレと一心同体だからな、手作りと言えない事も無い」
出来るのは掃除洗濯炊事位だな。長年一人暮らしだったからな。
「ねえ、ジョジョ君」
ブレスレットを受け取ったなのはがオレに声をかけてくる。
「どうした?」
「私もスタンドを使う事って出来ないのかな?」
「分からん。そもそもスタンドの覚醒条件は二つ程分かっているが確実性は無い上に命がけだ。オレはそのどちらでもないし、プレシアとも違う」
実際の所、オレは判明している覚醒条件である『矢』で自分を射抜いているが、教えればなのはは試したいと言うだろう。プレシアが覚醒したのは、おそらくは魔力炉の暴走によって『悪魔の手のひら』に繋がったか、擬似的に発生したのだろう。なのはとオレに血縁関係は無いから影響を受ける事は無いし、『ホワイト・スネイク』も居ないからDISCも無い。生まれつきスタンド使いという訳でもない。なのはがスタンド使いになるには特定分野を極める事で覚醒するしかない。
「じゃあ、波紋は?」
「あれは人間であれば誰でも使える力だ。最も訓練の必要はあるがな。だけど、今は教えない。ゆっくり休んで、今起こっている事件が解決してからだ」
あれは才能が有っても実践レベルになるまで付きっきりで1ヶ月はかかるからな。なのはがまともに使えるまで半年から1年はかかるはずだ。
「さてと、オレはそろそろ行くよ。ストックが十分にあるから戦闘に不安な所は無いから、適当に釣って、潰す」
「駄目!!」
なのはがオレの腕を掴む。
「何故だ?」
「あれは私が悪かったから。それに約束も破っちゃってるから」
「約束?」
「ヴィータちゃんに魔力を分けるって」
「状況が変わったんだ。何の為にあいつらが魔力を集めているのかは分からないが、かなり無茶に集めているらしい。分かっている分だけでも相当な量だ。せめてその魔力の使い道が分かれば対応も変えれるんだがな」
「じゃあ、私が聞くから。だから待って欲しいの。理由を聞いて、それでジョジョ君が駄目だと思うならそれで良いから」
「……なのはがそこまで言うのなら、オレは一度矛を収めても良い。だが、管理局の職員は今も捜索している。そちらを止める事は出来ないぞ」
「分かってる。だから、連れて行って。ヴィータちゃん達の所に」
「身体をちゃんと休めてからだ。それまでに探し出しておく」
「約束だよ」
「ああ、約束だ」
それだけを言うとなのははまた眠りについた。その髪を一度だけ梳いてから医務室から立ち去る。
「さて、なのはにはああ言ったが、場合によっては潰させてもらうぞ。八神はやて」
三日間の間に情報屋に依頼して既に奴らの拠点は判明している。そこに住む一人の少女の存在も。出来ればオレが手を出さずに済めば良いのだが。