魔法少女リリカルなのは STAND BY ME   作:ユキアン

4 / 14
不幸な出会いと一時の別れ

 

 

 

 

午前中に自宅から高町家に荷物を運び終えたオレは士郎さんにお願いして軽く手合わせをしてもらった。結果としてかなり悲しい現実が待っていた。

 

「やっぱりだけど、攻撃が軽いね。いや、普通の子に比べれば十分重いけど大人からすれば普通に感じてしまうね」

 

昨夜の吸血鬼退治の際はクロス・アルケミーに殴らせていたので気にもしていなかったのだが、身体が子供になった為に体重が軽くなり全体的に弱体化してしまったのだ。今のオレは全盛期の4割の力が出せれば良い方でこればかりは成長するのを待つしかない。一応波紋を使い続けていれば成長が促進されるのだが、それも多少の差異としか言えない位だ。精々が小6で中2位の肉体を取り戻すのがやっとだろう。最悪、成長中の身体でワムウ、カーズ、エシディシとやり合わなければならなくなると思うと結構辛い。辛いだけで負けるとは思わないけど。ディオが居たらかなり不味い。一撃貰えば死亡なんて絶対に避けたい。

 

「当分は武器を使ってなんとかするしかないですね。使う事が無い方が良いんですけど」

 

何を使おうかな。クラッカーヴォレイにパチンコ玉、トランプ程度しか思いつかない。こういう時に近接パワー型だと何も考えなくて済むのにな。そこら辺が中途半端なんだよなオレのクロス・アルケミーは。とっておきの必殺技もあるにはあるんだけどな。文字通り必殺になる強力すぎる技だ。あまり使いたくはない。

 

 

 

 

 

「お帰りなのは」

 

「ふぇ!?」

 

学校から帰ってきたなのはを出迎えると当然のごとく驚いている。

 

「士郎さんに誘われてね、今日からオレもここで暮らす事になったんだ」

 

「あの、もう、大丈夫なの?」

 

「大丈夫だ。以前の様にとまではいかないけど、それでもなんとかやっていけるさ。なんせオレはジョジョだからな」

 

「……うん、けど辛かったら」

 

「その時は頼らせてもらうさ、よろしくな」

 

 

 

 

「久しぶりだな、アリサ、すずか」

 

「「ジョジョ(君)」」

 

スクールバスになのはと共に乗り込み、ほぼ指定席になっている場所にいるアリサとすずかに挨拶する。

 

「あんた、もう大丈夫なの?」

 

「ああ、大丈夫だ。いつまでも落ち込んでられないからな。あれ?すずか、願いを叶えて貰ったのか?」

 

オレがその事を指摘すると寂しそうな顔をしながら頷いた。

 

「うん。それからね、これをジョジョ君に」

 

そう言ってすずかはポケットから先日渡した真紅の宝石のペンダントを取り出した。

 

「エイジャの赤石!?なぜそれをすずかが持っているんだ?」

 

驚いた様に見せてすずかに詰め寄る。

 

「私、ジョジョさんに会ったの」

 

「名前は!!名前はなんて言っていた」

 

「ちょっとジョジョ、何を興奮してるのよ」

 

「あ、ああ、すまない。それでエイジャの赤石を渡してくれた人はなんてなまえだったんだ?」

 

「ジョセフ・ジョースターって名乗ってたけど」

 

「まだ生きてたのかあの人。もうずいぶん歳を取っているはずなのに」

 

頭を抱える振りをして溜息をつく。

 

「知り合い?」

 

「オレの師匠のおじいさん。70位だったはずだ」

 

ディオと戦ったのがそれ位だったはず。原作だとその後はめっきりと老いてボケてたな。訃報は届いてなかったから長生きしたんだろうな。

 

「あの、それでジョセフさんがジョジョ君が立ち直ったら渡してくれってこれを」

 

「……悪いがすずか、それ、預かっていてくれ。今のオレにそれを受け取る資格は無いんだ」

 

「でも」

 

「良いから預かっていてくれ。オレが自分を一人前だと思える様になったら返してもらうから」

 

「……うん、わかったよ」

 

そう言ってポケットに仕舞おうとするのを止めて首にかけてやる。

 

「それに矢を使って何も無いのは寂しいだろう」

 

「ありがとう」

 

すずかの返事と同時になのはとアリサに脇腹を摘まれる。分かってるから離してもらえると嬉しいんだけどな。

ポケットからイルカと太陽の髪留めを取り出して、イルカをなのはに、太陽をアリサに付ける。

 

「それで勘弁してくれ。エイジャの赤石は本来師匠から弟子に送る一人前の証なんだ。さすがにこれはオレも持っていないんだよ」

 

不満そうにはしているものの納得はしてくれたのか普段通りに振る舞う二人を見て、ようやく日常に戻った事を理解する。このまま何も大きな事件が起きない事を祈るばかりだ。

 

 

 

 

 

 

季節が巡り巡って小学2年生の夏。アレから『石仮面』『柱の男』『矢』『エジプトで石仮面を売っていたババア』の情報が入る事は無く大きな事件も起こらずに平凡な毎日を送れている。まあ、高町家に居候している事がバレた時のアリサとすずかの暴走も今となっては良い思い出だ。二度と経験したくないけどな。

そして現在オレはクロス・アルケミーを纏い、海鳴市を駆けている。

以前、『石仮面』の情報を集めてもらった情報屋に紹介してもらった何人かの情報屋の一人にオレの周辺の人間の情報収集を依頼している。その情報屋からアリサが拉致されたと情報が入り、それの救出に向かっている。犯人はアリサの父親のライバル会社に雇われた下種共で、最悪トラウマで規制が入りそうな事を平気でするとの事なので慌てて追いかけている。現在進行形で情報は入って来ているのでそれらを統合した結果から先回りを行なっている。丁度先日、急遽借り主が出来たそこそこ大きな倉庫、そこに連れてこられるみたいだ。しかし、なぜ倉庫に隠れようとするのかイマイチ分からない。どうせなら二手に分かれた方が確実に事を運べるだろうに。自ら逃げ場を捨ててどうするんだ?

とりあえず倉庫に侵入したオレは天井に波紋で張り付いて待機する。最近になってようやく波紋の威力が上がってきたのか安定して水の上に立ったり出来る様になってきた。この分なら今週中には地獄昇柱に挑戦しても良いだろう。

しばらく待っていると2台の車が倉庫に入ってくる。その車から9人の男とその内の1人に気絶して担がれているアリサが降りてくる。そして最後に明らかに別格の男が降りてくる。何処か懐かしい様な気配に頭を捻る。

あいつを知らないはずなのに何処か惹かれるこの感覚。相手もしきりに辺りの様子を伺い、傍によく知ったものが現れる。ああ、そうか。

 

「スタンド使いは惹かれあう」

 

天井から飛び降りスタンド使いの男の前に降り立つ。

すかさず殴り掛かってくる相手のスタンドを観察しながら攻撃を躱す。攻撃がかわされた事に男は驚いている。

 

「スタンドはスタンド使いにしか見る事は出来ない。それすらも知らないという事は他のスタンド使いに会った事は無いみたいだな」

 

男のスタンドはトカゲと人間が混じった様な外見をしている。おそらく中距離型のスタンドだろう。能力はまだ分からないが使いこなせているとは言い切れない。存在がかなり希薄だからだ。所々が消えかかっている。姿を隠す能力なら所々が消えるなんて動作は全くの無駄であるし、何よりアレは消耗していてスタンドが出し難い時に見られる現象だ。覚醒したのはつい最近、ここ数時間から昨日と言った所か?とりあえず出して感覚を共有することまではなんとか出来るといった所だな。

 

「この不幸な出会いを恨むぞ」

 

スタンド使い同士は惹かれあう。この法則からいえば延々とスタンド使いはこの街にやってくる。オレがいる限り。

この街を離れるしかないな。なのはやアリサ、すずかの命の為にも。悲しませる事になろうとも。危険と隣り合わせの世界に彼女達を巻き込みたくない。またイタリアのエア・サブレーナ島にでも引き蘢ろう。だけど、いつでもこちらに駆けつけられる様にだけはしておこう。

思考を切り替えて殲滅を開始する。まずは目の前のスタンド使いからだ。波紋をクロス・アルケミーの右腕に集中させ本体の顔面を殴り砕く。同時にスタンドも消失する。一応殺してはいない。アリサが何時起きるか分からないからな。

 

「さて、その少女を置いて退くなら私は何も見ていない。退かないのなら、残念だが沈んでもらうしかないな」

 

気絶しているスタンド使いを錬成したドラム缶に放り込み隙間をコンクリートで埋める。それを持ち上げて男達の中央に投げる。

 

「1分だけ待ってやる。それまでに答えを出さないのなら、全員沈んでもらう」

 

結果、全員が海に沈む事になりました。まったく、材料が大量に無くなってしまった。男達から奪っておいた携帯でアリサの家に電話を入れる。

 

「娘を保護した。今から言う場所に迎えに来い」

 

オレはアリサにマントをかけてから天井に再び張り付く。しばらく待っていると3台程の車が倉庫にやってきて、そこから執事の鮫島さんとSPらしき人が14人、どこかアリサと似ている男女がアリサに駆け寄る。それを見届けてから姿を見せずに家に戻る。

 

 

 

 

 

 

 

その晩、オレは士郎さんには全てを話しておく義理があると思い。皆が寝静まった後に道場に来て貰う様に頼んだ。

 

「待たせてしまったかい」

 

「いえ、大丈夫です」

 

「大切な話なのかい」

 

「はい、オレは数日中に此所から去ろうと思います」

 

「どうしてだい!?」

 

「その為には説明しなければならない事があります。クロス・アルケミー」

 

オレの隣に姿が見える様に布を錬成したクロス・アルケミーが現れる。急に現れたクロス・アルケミーに士郎さんが咄嗟に身構える。

 

「こいつの名前はクロス・アルケミー。オレの『スタンド』です」

 

「『スタンド』?」

 

「簡単に言えば超能力に姿形を与えたものと認識していただければ大丈夫です。そしてスタンドは普通一般人には見る事が出来ません。今はこいつの能力を使って見える様にしていますが」

 

「なるほど。だけどそれがどうしたんだい?」

 

「スタンドには色々とルールがあるのですが、その中でも厄介なのが一つ、『スタンド使い同士は惹かれあう』という性質があるのです」

 

「ということはその別のスタンド使いと出会ったということだね」

 

「はい。そしてスタンド使いは、いえ、人間が急に他人には無い強力な力を手に入れてしまったら、どうなるかは分かりますよね」

 

「周囲に害をバラまくのか」

 

「はい。自制できるのは僅かな人数で、自分の為に力を振り回すのが大半です。今までは出会わなかったことから日本には居ないと、もしくは他のスタンド使いの所に居るのだろうと思っていました。だけど、今日スタンド使いに出会い、そいつもオレもどこかで惹かれあっているのを自覚しました。おそらく、オレがこのままこの街に居れば次々とスタンド使いが集ってくる。そうなればなのはやアリサ、すずかに危険が及びます。彼女達には危険と隣り合わせの世界に居て欲しくないんです」

 

頭を下げて、土下座をしながら士郎さんに訴える。

 

「初めて会った時に言ったあの言葉に嘘はありません。だけどオレは守れなかった。両親を、戦友を。今の力不足のオレには彼女達から離れることでしか守れないんです」

 

そのことが本当に悔しかった。老いた状態なら、全力を出す方法は幾らでもあったが、若返った状態では何も無い。

 

「例え悲しませる様なことになっても、オレが危険を運んでくるのなら離れるしかないんです」

 

「そうか。君がそう決めたのなら僕はそのことには反対しないよ」

 

「すみません」

 

「ただ、手紙とかでも良いから連絡を貰えるかな」

 

「はい、必ず」

 

 

 

 

 

 

 

数日後、諸々の手続きを終わらせクラスメイト達が開いてくれたお別れ会も終わり、後はこのまま空港に向かうだけとなった。

 

「本当に行っちゃうの?」

 

なのはが涙目になりながら聞いてくる。

 

「ああ、向こうに行ってもちゃんと手紙は送るから。それに一時的なことだ。ちゃんと帰ってくるさ」

 

一応中学に上がる頃には帰ってくる予定だ。状況次第ではもっと早くに帰ってくる。情報屋には常に彼女達を守る様に依頼もしてある。この街で異常な事件が起こればオレはすぐに駆けつける。そのようなことがないことを祈りつつ、オレは三人の為に用意しておいた物を取り出す。

 

「こいつはその約束を守る証拠だ」

 

前世でのオレのトレードマークであった星と雲を象ったブレスレットを三人に手渡す。

 

星は昼間は見えなくとも常に傍にあり、雲は常に形を変え流されているだけに見えるが、それでも雲の一部は常に空にある。

常に愛する者の傍に立つ。そう決意して結婚前から使っているトレードマークだ。

 

「オレのトレードマーク。意味は教えないから居ない間に考えてみてくれ」

 

「ジョジョ君、そろそろ時間だよ」

 

士郎さんが時計を見ながらそう伝えてきた。空港までは士郎さんが来るまで送ってくれることになっている。

 

「じゃあな、何時の日かまた会おう」

 

そして、オレは第2の故郷であるイタリアへと飛んだ。

 




次回から本編無印に突入です。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。