魔法少女リリカルなのは STAND BY ME 作:ユキアン
今話から無印編スタートです。
途中までは原作通りに進みますが、途中で展開が変化、また原作に近づきながら最後はまた変化する予定になっています。プロットだけは完成しているのですぐに書けるかなと思っていましたが、リアルが多少忙しくなり始めたので更新速度がだいぶ落ちてしまいます。それでも週1、最悪でも2週に1話は更新して行きたいと思っています。これからも応援よろしくお願いします。
イタリアへ飛んだオレは最初にエア・サブレーナ島を買い取り、前世と全く同じ様に作り直した。それからは修行の毎日を送り、たまに買い物の為にヴェネチアに渡って食料を買ったり、宝石を売ったり、手紙を送ったり受け取ったり(途中からビデオレターに変化したけど)、スタンド使いをリタイアさせたりの日々を送っていた。
そして季節は春になる。今頃はなのは達はどうしてるかなと思っていると携帯にメールが届く。その内容を読んだオレは急いで飛行機のチケットを取り、日本へと急いだ。
『スタンドとは違う何かに、高町なのはが巻き込まれている。かなり危険だと判断する』
クソが!!無事で居てくれなのは。
日本に到着したオレはひとまずホテルを取り、翠屋に向かう。今日は休日だから、おそらくなのはは翠屋の手伝いをしているはずだと思った。しかし、運悪くどうやら士郎さんが監督を務めるサッカーチームの応援に三人で行っていると桃子さんに伝えられ、ごちそうを作るから夕飯は楽しみにしててねと言われた。とりあえず試合をやっている運動場に向かう。その途中、あのメールに添付されていた情報にあった動物病院前を通る。既に補修作業は終わって、真新しいアスファルトを踏みしめる。
一撃で人を殺せる何かが此所に居た。それになのはが関わっている。スタンドではない何か、それにオレは対抗出来るのか?いや、対抗するしかない。そのためなら禁じ手も使う、『矢』も使う。その覚悟を持って海鳴市に帰ってきた。
「絶対に守ってみせる。今度こそ」
動物病院前から離れて運動場にむかう。観客席には何組かの夫婦とその子供が居る中、見知った三人の女の子のグループを見つける。なんて言おうか悩んでいると試合の方が動いた。士郎さんのチームの選手が負傷した。確か士郎さんのチームはメンバーがギリギリだったはず。誰か代わりになる子を探そうとこちらを見た士郎さんと目が合う。とりあえず手を振っておこう。
「ちょうど良い所に帰ってきてくれた。すまないけど、試合に出てくれるかいジョジョ君」
士郎さんが大きな声で叫んで来た。
「「「ジョジョ((君))!?」」」
「よう、久しぶり。話したいことは山ほどあるけど今は試合の方を優先させてくれ。当分は時間があるからな」
三人に軽く挨拶してから士郎さんに予備のユニホームの上だけを借りてコートに立つ。
「再会を喜ぶのは後にして、いつも通り攻めまくれ」
見知っている顔にそう指示すると陣形が大きく変化する。キーパーとオレを残して全員が攻めに回るという暴挙に見える行為だ。だが、結果は7-0の大勝利に終わる。波紋使いである上に90まで生きた経験が小学生程度のフェイントに惑わされることも、技量で抜かれることもなく一人でも守り抜けた。途中からキーパーの子も攻撃に回ってシュートを決めていたが、理由を聞くとこの試合に勝ったら幼なじみの女の子に告白するつもりだったらしい。それにも関わらずオレが彼の活躍を奪う形になって焦ったのが原因らしい。
「すまん、知っていればここまですることもなかったんだが」
「いいよ、別に誰にも言ってなかったし」
「だがな、そうだ。告白する時に何か渡すつもりだったりしないか?」
「一応、昨日拾った宝石みたいなのが」
「ならそれをこいつと交換しないか?」
クロス・アルケミーを使い、ちょっとした装飾が施されたペアリングとチェーンを取り出す。
「イタリアで見つけた物なんだが、お詫びの印としてどうだ?」
「すげえ、いいの?」
「ああ、構わない。一応は交換なんだからな。その宝石みたいなのを見せてくれるか」
「ちょっと待ってて。今持ってくる」
少し離れた所にあるカバンから件の宝石を取り出してきた。
「これがその宝石みたいなの。見たことないけど、これなら喜んでもらえるかなって」
受け取って太陽に翳してみる。表面上に傷はないし、宝石にしては若干重い。金属の特徴も無く、不純物も一切無い。
これは地球上の物質なのか?どこか波紋やスタンドとは違う力を、『矢』と同じ位の力を感じる。
「よし、それじゃあこいつと交換だ。うまくいくことを祈っているよ」
受け取った宝石らしき物をポケットに入れて即座に分解してクロス・アルケミーに貯蔵する。それからペアリングとチェーンを渡して交換を終了する。
「ジョジョ君、これから打ち上げをするんだけど君も来るだろう」
「ええ、もちろんですよ」
翠屋に向かう途中、オレはいつもの三人に囲まれて向かうことになる。
「それにしても何で急に帰ってきたのよ」
「話せば情けないことなんだが、オレの師匠のおじいさんのジョセフさんの遺産相続の為の整理をしていた時に隠し子が居ることが判明してな。おばあさんのスージーさんがまじ切れして現在ジョースター家では大騒動が起きている。そんな中、オレの師匠がその隠し子に事情を話す為に日本に帰国してオレも一緒に一時帰国してきた訳だ。短くても2週間、長ければ2ヶ月はこっちに居るみたいだ。飛び火は勘弁だとさ」
「それじゃあ、また一緒に暮らせるの?」
「今日はホテルを取ってるから無理だが、士郎さん達に言って向こうに帰るまでは明日から一緒に暮らすつもりだ。学校の方には行けないから日中は翠屋の手伝いをしてると思う」
まあ、それもこれからの出来事次第だがな。とりあえず情報収集を怠らない様にだけはしておかないと。
「そういえば何か変わったことはないか?ちょうどビデオレターを送る頃だろう」
「そういえばそうね。と言ってもなのはがフェレットを飼い始めた位しか無いわね」
「フェレット?あのイタチみたいな奴か」
「そうよ。怪我してたのを拾ったの」
「ということは元は誰かのペットだったんだろうな。日本に野生がいるわけないし」
怪我をしていたのを拾ったか、なのはが巻き込まれている原因の一つはそれか?動物病院前のことと照らし合わせるとそう考えるのが普通だろう。少し注意しておこう。
「名前とかはあるのか?」
「うん、ユーノ君って言うの」
「後で紹介してくれ」
翠屋に到着して打ち上げが始まる前に件のフェレットを紹介してもらった。
「この子がユーノ君なの」
「ほう、人に随分なれているんだな」
なのはの肩に乗っているフェレットを見て、何かしら特別なフェレットだと認識する。とりあえずスタンド使いかどうかを確認する為にクロス・アルケミーを出してみる。反応は特にない。となるとスタンド使いではないのだろう。別に惹かれあう感覚もない。だが、僅かながら普通の動物には無い感覚を発している。それもなのはと一緒に。これで確定した。このフェレットがなのはを危険な世界に巻き込んだ原因の一つだ。
「そろそろ戻ろうか。打ち上げが始まるみたいだ」
「うん、それじゃあユーノ君、大人しくしててね」
カゴに戻されるユーノを眺めながら他になのはに変わった所がないかを調べる。そこで気付いたのが右手に付けられている赤い宝石だ。
「その右手の宝石はどうしたんだ?」
「これ?これはね、その綺麗だから拾ったんだけど」
「少し見せて貰っても良いか」
「うん」
手渡された宝石を先程交換した宝石と同じ様に確認する。やはりこの宝石も地球上では存在しない物質で構成されている。そして妙な力も僅かながら感じることが出来る。だが、危険は感じない。むしろスタンドの様になのはの力になると直感が告げる。
「ありがとう」
一応の細工として波紋を流してからなのはに返して打ち上げに交ざる。久しぶりに会った友人達と談笑しながら楽しく過ごし、キーパーをやっていた男の子の告白をこっそり皆で覗いたりもした。夕食を高町家の皆と食べ、翌日からしばらくの間お世話になることを許可してもらいホテルへと帰還する。そして携帯で情報屋に連絡を取る。
「確かにヤバそうな事件に巻き込まれている。捜索屋に連絡を取りたい」
『捜索屋ねぇ、数と質、どっちを優先する?』
「質だ。最悪戦闘が起こると判断した方が良い。最悪捜索屋じゃなくても良いから戦闘力に長けてそこそこの捜索力のあるプロを頼む」
『う~ん、奪還屋Get Backersで良いかな?腕の方はあんまり期待しない方がいいけど戦闘力に関しては人外クラスよ。それから運び屋の赤屍蔵人、彼も扱い難いけど腕と戦闘力は抜群ね。とりあえず彼らの情報と彼らの仲介屋の連絡先を送っておくわね』
「助かる」
送られてきた情報に目を通す。なるほど、確かに人外クラスの戦闘力だ。これなら両方とも大丈夫だな。仲介屋に連絡を取るために携帯に番号を打ち込む。
「仲介屋のHEVNか?奪還屋Get Backersと運び屋赤屍蔵人に依頼をしたい」
HEVNに連絡をとった数日後、オレはHEVNに案内されて奪還屋と運び屋との待ち合わせ場所に向かっている。
「まさかこんな子供が今回の依頼主なんてね。まあいいわ、仲介料は先に貰ったことだし、三人は此所よ」
「喫茶店か。旨いコーヒーが飲めれば良いんだがな」
HEVNと共にドアを潜り、奥の席にいる三人の男の傍に行く。
「は~い、今回の依頼主を連れてきたわよ」
「おい、HEVN。まさかそんなガキが依頼主ってボケは止めろよ」
黒髪のウニ頭の男の目の前に持ってきていたトランクを開けて中身をバラまく。
「前金だ」
総額2億の札束を前に奪還屋の二人が額を床に着けて媚び諂う。
「「なんなりとお申し付けください」」
「とりあえず話を聞け。まずはそれからだ」
「へい、おいポール、コーヒーだ。一番良いのを早く」
「ちょっと待ってろ」
席に着き、ポールと呼ばれたマスターがコーヒーを持ってきて、それを一口飲んでから話を始める。
「まずはこいつを見てくれ」
クロス・アルケミーに貯蔵していた地球上に存在しない宝石を取り出してみせる。
「これは?」
「こいつは先日手に入れた物なんだが、この地球上に存在しない物質で構成されている。調べてみた所、莫大なエネルギーを内部に保有していることしか分からなかったが、その莫大なエネルギーが問題になった」
「莫大なエネルギーがねえ」
「それ一個で日本を消し飛ばす位のエネルギーを貯蔵していて複数個が存在していると言えば危険度が分かるだろう」
「ぶうううううっ!?嘘だろう!?」
「残念だが本当だ。しかも何個存在しているのかすら分からない。分かっているのは海鳴市という場所に固まって存在している位だ。詳しい場所までは分からないがな。そして、依頼だが奪還屋には世界の平和を奪還して欲しい。運び屋には海鳴市に存在するこいつをオレの元まで運んでもらいたい。報酬は前金で両方に1億、完了後にもう1億ずつ、必要経費はこちらで負担させてもらう。なお、こいつが確認されてから海鳴市では謎の生物が確認される様になった」
情報屋から新たに回ってきた写真には巨大な生き物が映っている。
「相当な危険が伴うが引き受けてくれないか」
「質問をよろしいですか?」
「ああ、出来る限り答えよう」
「ジャマをする人は消してもいいんですよね」
「できれば避けて欲しい。現地では既に回収を行なっている者もいるかも知れない。こちらでその者達の情報を集め次第、追加で依頼を行なうことになればその限りではないがな」
「では、こちらの生物の方は」
「もちろん狩ってもらって結構だ」
「良いでしょう。この仕事、引き受けましょう」
「オレ達もだ」
「やったね蛮ちゃん、これでもうゴミ箱漁りとかしなくて済むね」
えっ?ゴミ箱漁り?そんなに金に困ってるのか。
「……あ~、奪還屋の二人はこれを持ってきてくれれば一つ1千万で買い取ろう」
「この馬鹿銀次!!こんな子供にまで同情させる羽目になっただろうが」
「だって蛮ちゃん、事実じゃん」
「おい蛮、金があるうちにツケを払ってくれよ」
「うるせえ、分かってるよ。ほら、これで十分だろう」
前金の札束の中から4つをマスターに向かって投げるのを見て本当に大丈夫か不安になってきた。
「では今日の所はこれで。新たな情報が入り次第連絡する。それからHEVNの仲介料は別に払ってあるから抜かれない様にしておけよ」
店から出て海鳴市に戻る。今日は放課後にすずかの家でお茶会をするのに誘われている。一度部屋に戻り、着替えてから待ち合わせ場所である校門に向かう。しばらく待っていると授業が終わったのかちらほらと校舎から生徒達が出てくる。知り合いに軽く挨拶しながら待っているとようやく三人が視界に入ってきた。とりあえず手を挙げて居場所を知らせる。
「ごめんね。待たせちゃった?」
「気にするな。こういう場合は男が待つのは普通だ。ユーノも学校に連れてきているのか」
「えっと、いつの間にか此所まで来ちゃったみたいなの」
なるほど、そこそこの知能を有しているようだな。まるでイギーみたいな奴だ。大人しいようだがな。
四人で雑談をしながらすずかの家に到着する。門を潜ると同時に大量の猫がこちらに向かって走ってくる。飛びかかってくるそれを出来る限り受け止めて、倒れない様に踏ん張る。
「なんだこの状況は?オレにどうしろというんだよ。とりあえず、降ろすの手伝って。今にも落としそうでやばい」
別に本当に落としそうなのではなく、単純に怪しいからそう言い、殺気を放って遠ざけるのもかわいそうなので三人にゆっくりと降ろしてもらいことなきを得る。その後も通された部屋まで猫の群れは着いてきてオレを中心に輪になってじゃれついてくる。仕方なく一人だけイスに座らずにソファーに座り、好きにさせている。おかげで頭の上で眠り始める猛者まで出てきた。
「なんでオレは猫の王国を築いているんだ?」
「知らないわよ。というか好かれ過ぎでしょ、あんた」
「羨ましいのか。隣に来るか?」
隣で寝ている猫を膝に抱いて場所をあけてやる。
「い、いいわよ別に!!」
顔を赤くしたアリサが叫んだことで寝ていた猫達が飛び起き、逃げ去ってしまう。
「あっ」
「あらら、怖がられたか」
ソファーから立ち上がり、イスの方に座り直す。
「まあ、やっとあの状況から抜け出せたから良いか」
肩を回したりして身体を解しながら紅茶を楽しむ。個人的にはコーヒー派なのだがたまには良いだろう。
しばらくすると、なのはとユーノの間に何かの力を感じ、ユーノが庭に向かって走り出す。
「ユーノ君」
「オレが行こうか?」
「大丈夫なの」
ユーノを追いかけてなのはが走り出す。
「大丈夫かしら?」
「やはりオレも行ってくる。すぐに戻ってくる」
イスから立ち上がり、なのはの後を追いかける。本来なら追うつもりはなかった。だが、急になのはの気配が無くなったので急いで現場に向かう。そして、ある程度追いかけた所で異変に出くわす。空の色が変わり、何らかの力が空間に影響を与えている。素早くスタンドを展開し警戒しながらも走る速度を上げる。ふと上空に強大な力を感じ、空に視線を向ける。そこにはオレと同じ位の歳の少女が斧を片手に空に浮かんでいる。少女が斧を空に向けると傍に黄色い槍の様な物が現れる。その槍が向いている先になのはの気配を感じた瞬間、オレは更に速度を上げる。槍が撃ち出されると同時に跳躍、波紋を右足に集中させて蹴り砕く。
「ぐっ」
触れた足に電気が流された様な感覚が流れ、波紋で治療しながら制服に似た服装をしたなのはの目の前に着地する。
「ジョジョ君!?」
「説明は、ってなんだその巨大な猫は」
着地したなのはの傍には体長7m程まで成長した猫がいた。よく見れば先程群れていた一匹と似ている。類似点は額にある例の宝石の有無と大きさ位だろう。
一瞬で状況を理解して全力で殺気を叩き付けて巨大化した猫を大人しくさせておく。こういう時、動物は楽で良い。頭を撫でてから側を離れる。波紋も流しておいたのでいつでも摘出は可能だ。
次は空にいる少女と、その傍に立つオレンジ色の狼の対処だ。
「なのは、この場はオレがまとめるけどいいか?」
「え?うん、ジョジョ君を信じるよ」
「ありがとう、なのは」
なのはを後ろに下がらせて空に浮かぶ金髪の少女と向き合う。両手で構える斧を握る少女に、かつて公園でオレ達を眺めていたなのはの影が被る。
「さて、とりあえずこちらには交渉の用意がある。互いに傷つけあう必要は無いと思うのだが」
「フェイト、話を聞く必要なんて無いよ。あいつらは私に任せてジュエルシードを」
そう言ってオレンジ色の狼が20代位の女性に姿を変える。ここまででスタンドを確認出来ない以上、スタンドとは違う力なのだろう。そう理解して飛びかかってくる女性と戦闘に入る。棒立ちのまま女性を見据え、右ストレートにクロス・アルケミーでカウンターを合わせる。
「がっ!?一体何が」
「アルフ!!」
「とりあえず話を聞いてくれないか。こちらにそちらを傷つける意志はない」
「くっ、プラズマランサー」
今度は少女の方から先程と同じ金色の槍が3本飛んでくる。それに波紋で強化したタロットカードを投げつけて迎撃する。想像以上に威力があるのか一枚では止められずに、1本につき3枚程投げることで撃ち落とすことが出来た。
「これ以上無駄なことは止めろ。君たちを傷つけたくない」
「うるさい、ジュエルシードを渡せ」
「そうか」
ジュエルシードが何なのかは分からないがおそらくはあの宝石だろう。
「これで良いのか」
巨大化した猫の宝石を摘出して少女に投げ渡す。中身の力はクロス・アルケミーに貯蔵したままで器となる宝石部分だけだが。
「「「「え?」」」」
少女がそれを受け止めるのを見届けてから、元の大きさになった猫を抱き上げて異常が無いかを簡単に調べる。問題ないのを確認してから地面に降ろしてやる。
「ジュエルシードは渡した。これで話を聞いてくれるな。オレは東条城矢、友人からはジョジョと呼ばれる。こっちは高町なのは、フェレットの方はユーノだ。君の名前を教えてくれるか」
「……フェイト・テスタロッサ、こっちは使い魔のアルフ」
「フェイト!?」
「フェイトか、良い名前だ。今日の所はそれだけで良いよ」
「……どうして、どうしてジュエルシードを渡してくれたんですか」
「それが危険な物だとは分かっているんだろう。それでも必死になって集めようとしているんだ、集めなければならない理由があるんだろう?おそらくは親の指示で、父親、違うな、母親か」
母親という言葉に二人が反応しているのを見逃さない。今日はこれだけ分かれば十分だ。今は確実な情報をなのはとユーノから引き出す方が優先される。
「怒られるのは誰だって嫌だからな。オレにはそれを絶対に集めなければならない理由は今の所は無い。なら、渡した所で問題ない。次に会った時は分からないけどな。それに」
そこまで言って言い淀む。なのはの機嫌が絶対に悪くなると確信しているから。
「それに?」
視線が集中する中、諦めて続きを言う。
「心の中で苦しんでいる君を助けたい。そう思ったからだ」
なのはと初めて会った日に告げてオレの本心をフェイトに伝える。
「オレはジョジョ、ジョジョとはヒーローの名だ。目の前で苦しんでいる人を救えないでどうする」
スタンド以外の超常現象に遭遇した今でも堂々と宣言する。
「それが理由だ。ほら今日の所は帰りな。でも、いつか絶対にフェイトを悲しませてる原因を払ってやる。楽しみにしてな。戻るぞ、なのは。アリサ達が待ってる」
「う、うん。フェイトちゃん、またね」
スタンドを消してなのはと一緒にアリサ達が待っているテラスとの中間地点でフェイト達が離脱したのを感じ取り、妙な力で出来ている空間から抜け出してから、なのはに話しかける。
「なのは、寝る前に話し合おう。それまではいつも通りに過ごすんだ」
「うん。それにしてもジョジョ君って、本当に魔法使いだったんだね」
「ああ、あれは嘘だ。本当は超能力者で仙人だ。詳しく言えばスタンド使いで波紋使いだがな。まあじっくりと話してやるよ。明日は休みだしな」
アリサ達が見える距離になったので話を終える。その後も新しく練習した腹話術やマリオネットを見せたりして遊んでから帰宅した。
そして、風呂にも入り終わり後は寝るだけになってからなのはの部屋を訪れる。
「なのは、すずかの家でやっていたあの空間を出せるか?」
「うん。ユーノ君」
「分かったよ、なのは」
机の上にいるユーノが喋り、あの空間を作り上げる。
「まずはお互いの能力に関して話した方が良いな。まずはオレから話そう。オレは波紋と呼ばれる東洋の仙道に伝わる秘術を使う波紋使いであり、スタンドと呼ばれる超能力の様な物を扱うスタンド使いだ」
「波紋とスタンド、それが君の力なのかい?」
「波紋はともかく、スタンドはオレ固有の能力だ。もちろん探せば世界中に、それこそ動物のスタンド使いだって存在する。そしてスタンドには細かいルールが存在するがこれの説明は後にしよう。というより覚えなくても良い。このルールはスタンド使いと戦わない限り意味は無いからな。ちなみにオレのスタンドの力はそれほど強くない。精々が大人と同じ位の力しかない。それより、なのはのは魔法、で良いのか?」
「それは僕が話すよ。まずは僕のことから、僕はユーノ・スクライア。こことは違う世界の住人なんだ」
「違う世界?平行世界か?」
「どちらかと言うと、違う次元にある他の惑星、それを次元世界と僕らは呼んでいるんだ」
「なるほど、その次元世界の中に次元跳躍技術を持つ世界があり、その世界で普及しているのが魔法だったという所か」
「うん、僕達が使う魔法はリンカーコアと呼ばれる物から魔力を引き出してデバイス、機械で制御して使うんだ。一応デバイスは無くても魔法は使えるけどね」
「能力に関してはこれでいいな。次にオレから聞きたいことがあるんだが、構わないか」
「ジュエルシードのことですね」
「ああ。アレが危険な物なのは理解出来た。だからこそオレは密かにだが回収を行なっている。アレは一体何なんだ?」
「ジュエルシードはロストロギアと呼ばれる物で発展しすぎた世界を破滅に導いた物だと言われています。今は単に力が強すぎる、再現出来ない現象を引き起こす物に使われています」
「そしてジュエルシードは前者、世界を破滅に導くだけの力がある物だな」
「はい。元々は僕の一族が発掘して、使用者の願いを叶える物と伝わっています。それを時空管理局と呼ばれる組織に渡す途中に次元航行艦が事故に会い、この海鳴市に降り注いでしまったのを回収する為に僕がやってきました。でも」
「あまりにもジュエルシードの力が強くて負けた。ボロボロになったお前をなのはが助けた。ここまでは分かる。だが、なぜなのはがそれを回収している。オレにはそれが分からない」
「それは彼女に魔法の才能が有って、そ……れ、で」
「それで、どうしたんだ」
「危機的、じょ、状況で、やむなく」
「魔法の力を与えて危機を脱したと。ああ、なるほど。そこまでならオレは文句は言わない。緊急事態だからな」
そこまで言って、先程から漏れていた殺気を一旦納め、全力で解放する。
「巫山戯るな!!」
波紋の呼吸法が乱れる位に腹の底から声を出す。
「才能が有った。ただそれだけで命の危機がある戦場になのはを立たせただと。いい加減にしろよユーノ」
ユーノの首根っこを掴み、顔面の前に持ってくる。
「お前、これがどれだけ危険なことか分かっていて、それでなのはを巻き込んだのか。答えろ!!ユーノ!!」
「ジョジョ君、落ち着いて!!」
「なのは、お前は本当に理解しているのか。これは本当に危ないことなんだ。命の危険がある。それをちゃんと理解しているのか。オレは、オレは嫌だぞ。父さんや、母さんみたいにお前と別れることになるなんて」
頭に浮かぶのは前世での戦友シーザー、妻のシャイラ、今世での両親の死に顔と、なのはの……
「ごめんなさい。でも私は、ユーノ君を助けたかったの。ジョジョ君が私にしてくれたみたいに。困っている人を見捨てたくなかったの」
その言葉は、本来喜ぶべき物だ。だけど、今のオレにはなのはを守れるだけの力を取り戻していない。だが、なのはの心は既に決まっているようだ。これを覆すことはオレには出来ない。
「……ユーノ、ジュエルシードは全部で何個ある」
「21、その内3個はなのはが、1個はあのフェイトという少女が」
そこにオレが手に入れた1個で残りのジュエルシードは16個か。
「なのは、なのはが決めたのならオレはそれを止めはしない。だけど、危ないと思ったら迷わず逃げろ。オレの一番よく知るジョジョは勝てないと思ったら死んだフリをしてでも、全力で背中を見せてでも逃げて、次に勝つ為に絶対に生き残ることを優先する。それだけは絶対に守ってくれ。そして出来る限りオレと一緒に行動して欲しい」
オレが退けるのはそこまで。これが受け入れられないのなら力づくでもこの件からなのはを遠ざける。万が一といことを考えると傍にいて欲しい。
「手伝ってくれるの?」
「オレはその為に帰ってきたんだけどな。本当は師匠の方もスタンド絡みの事件に巻き込まれてるんだけど、オレはなのはの方が心配だったからな」
「本当はちょっと怖かったの。だけどジョジョ君がいてくれるならへっちゃらなの」
「当てにしてろ」
「それから、フェイトちゃんのことなんだけど」
「おそらくは母親の命令でジュエルシードを集めている。願いを叶えると言われているものだから、何か叶えたい願いが有るようだが詳細までは分からない。できれば話し合いで決着をつけられると良いのだが」
母親の願い
それがフェイトとの関係を変える切っ掛けになるはずだ。オレに叶えられる願いなら、それを対価にジュエルシードの回収を手伝って貰えるはずだ。そうなれば争う必要は無くなり、スムーズに危険物を地球から取り除ける。できればそうなって欲しい。
「また、出会うことになる。その時はちゃんと話し合おう。それにしても魔法か。オレも使えると良いんだけどな」
「う〜ん、一応魔力は感じるからリンカーコアはあると思うよ。レイジングハート、なのはのデバイスを握ってみて」
なのはが右手に付けている赤い宝石を渡されて握ってみる。
「Dランク、ぎりぎりバリアジャケットを構築してシューターを1個作るのがやっとだね」
「バリアジャケットはまあ分かるが、シューターは?」
「魔力弾のことだね。一般的な攻撃魔法の一つで自動追尾とか色々と種類があるんだ」
魔力弾か。それは使い勝手が良いな。
「ユーノ、それはデバイスが無くても大丈夫か?」
「うん。最初はデバイスの補助を受けながらの方がいいけどシューターの一つ位ならすぐに使える様になるよ」
「なのは、明日の朝まで借りていていいか?それまでにはマスターしておくから」
「ついでにだけど、念話も覚えておいた方が良いよ。あると便利だから」
「分かった。とりあえず基礎を全部教えてくれレイジングハート」
「All right」
「それじゃあお休み、なのは」
「おやすみなさいなの」
さて、今夜は徹夜だな。バリアジャケットはともかく念話とシューターを確実にマスターしなければな。