魔法少女リリカルなのは STAND BY ME 作:ユキアン
ちょっとこれからのことに対して疑問に思ったりした部分などがあり、色々と当初の予定を変更することにした結果投稿が遅れました。
今話はおそらく今までの中で最も批判を貰いそうだと思っています。
厳しい感想は私にとってもタメになることがあります。なので正直な感想を頂けると幸いです。
終局は唐突に始まった。
温泉旅行から一週間経った現在、奪還屋から渡されたジュエルシード6個で海鳴市に落ちたジュエルシードを全て回収することが出来た。これで全てが終わったのなら良かったのだが、そうも上手く行かなかった。
なのはを見送る為にスクールバスの停留所に向かう途中、ボロボロになったアルフを発見した。
「アルフ、一体何があった」
なのはに結界を張ってもらい、治療に移る。傷は大半が火傷による物で、所々に強い衝撃を受けた様な痕がある。おそらくは魔法による物だ。それもかなり強力な魔法でだ。
「ユーノとレイジングハートは治癒魔法の術式をなのはに、なのははオレの指示で治療を」
命の危険がある傷から最低限動ける様になるまで治療を施す。ユーノ達が所有する術式ではそこまでが限界だった。クロス・アルケミーで治そうにも使い魔がどういったものなのかが分からないので治療の施し様が無い。
「一応はこれで大丈夫のはずだ。アルフ、フェイトはどうしたんだ」
「あんたの、あんたのせいで、フェイトが!!」
何処にそんな力があるのかと疑問に思う位の力でアルフが掴み掛かってくる。
「フェイトがどうした」
「あんたがフェイトに偽のジュエルシードを渡すから、あのババアがフェイトを痛めつけてるんだよ」
ちっ、渡した分だけのジュエルシードを使って何かを行なおうとして、空であることに気付いたのか。
「フェイトの所に案内しろ」
「どうする気だよ」
「オレが原因ならオレが責任を取る。それだけだ」
オレが原因で悲しんでいる女の子がいる。ならば救わなければならない。
「案内しろアルフ、その為にお前は生かされているんだろう」
あれだけの傷を負いながらも致命傷が少なすぎる。明らかに手加減されている証拠だ。おそらく非殺傷設定のままで高威力の魔法を撃たれたのだろう。理由はオレに接触させ、連れて来させるため。
「ジュエルシードは既に揃っている」
フェイトに渡した4個となのはが所有する3個除いた14個のジュエルシードをクロス・アルケミーに錬成させる。
「……それが偽物じゃない証拠は」
「少し待っていろ」
アルフにジュエルシードを預けたまま結界の外に出て、適当に野良犬を捕まえて戻る。ジュエルシードを一つ、野良犬に飲み込ませて暴走させる。
「これで本物だと証明されたな」
話しながらクロス・アルケミーに鉄の棍棒を錬金させて殴りつけて気絶させる。体内からジュエルシードを取り出して野良犬を元に戻す。
「……分かったよ。案内する。だからフェイトを」
「分かっている。フェイトは必ず助ける」
アルフに案内されて次元を越えた先に広がるのは綺麗に手入れされている庭園だった。空は雷雲が占めているが、中々趣味が良い。
「ここにフェイトちゃんが?」
一緒に着いてきたなのはが不安そうにしている。
「なのは、オレの後ろにいろ。熱烈な歓迎が用意されているようだ」
建物の入り口と思われる場所から金属同士がぶつかる音が聞こえてくる。
「全部破壊するが、問題はあるかアルフ?」
「無いよ」
「なら、久しぶりに暴れさせてもらおう!!」
波紋で肉体を強化しつつクロス・アルケミーに大剣を錬成させる。入り口から鎧の騎士が軍を成して襲ってくる。
「ユーノ、なのはとアルフをしっかりと守れ」
後ろをユーノに任せて鎧の騎士達に突っ込む。
「はあぁぁ!!」
先頭に居た1体を真上から叩き切り、横薙ぎで4体の胴を断つ。前方に向かって跳躍して大剣をクロス・アルケミーに持たせて、新たに武器を錬成させる。両手に一丁ずつ構えるは世界最強の拳銃、パイファー・ツェリスカ。グリップとトリガー周りはオレのサイズに合わせて調整し、装弾数も5発から20発に変更したことで重量は更に上がっている。炸薬も弄っているので火力も上がっている。
「ふっ!!」
それを躊躇い無く空中から鎧に向かって叩き込む。着地するまでに全弾撃ち切り着地地点にいる鎧に向かって投げつける。着地と同時に新たに錬成するのはモーニングスター。
「おるぁぁぁ!!」
通路ギリギリまで鎖を伸ばして周囲に居る鎧を粉々に吹き飛ばす。最後は前方に向かって放り投げる。
これで鎧の第一波は殆ど片付いたが、奥から増援らしき足音が聞こえてくる。
「面倒だな」
そこそこ広い通路とはいえ、所詮は通路。一度に捌ける敵の数を減らされる上に破壊した鎧で足場が減り、どんどん戦い辛くなる。普通なら戦い易い場所まで移動するだろう。だが、オレの場合は違う。
「クロス・アルケミー!!」
全力で波紋を通路全体に流し込み、クロス・アルケミーの材料にする。そしてクロス・アルケミーの力で通路を全て消し去り、大広間を作り出す。
「なっ!?」
「えっ!?」
「嘘だろう!?」
後ろで驚いている三人を無視して鎧達を見渡す。
ざっと140体、その内6体が8m程の大型か。ならば300もあれば十分だろう。
クロス・アルケミーに投擲用の剣をオレの頭上に300振り錬成させ、降り注ぐそれを掴み、波紋で強化し、投げる。それをひたすら高速で繰り返す。それは端から見ればジョジョの奇妙な冒険の世界では定番のラッシュの改変版に見えるだろう。最もスタンドではなく本体が行なうという決定的な差があるが。
「オラオラオラオラオラオラオラオラオラ」
予想以上に大型の破壊に剣を使ってしまったので更に追加しながらクロス・アルケミーにも投げさせる。
「オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラァ!!」
最後の一振りを大型の顔面に叩き込む。大広間の一面にはバラバラに砕けた、あるいは壁に剣で縫い付けられた鎧の騎士達が広がっている。
「アルフ、フェイトは何処に居る」
後ろで唖然としているアルフに問いかけると、ようやく正気に戻ったのかオレの質問に答えてくれる。
「たぶん、一番下の階層だ」
「下だな」
アレだけの大きさの鎧が動けるのだから相当分厚い床だと予測されるが、そんな物はクロス・アルケミーの前では粘土と同じだ。広間の一部を錬成して、下の階層まで降りる階段を作る。下の階層に辿り着いたらまた階段を作り、更に下へ下へと向かう。遅れてなのは達が追って来ている。
「めちゃくちゃだ。一体何なんだい、この魔法は」
「魔法じゃない、スタンドだ。言っただろう、スタンドには特殊な力があると。オレのスタンド『クロス・アルケミー』の能力は見ての通りだ。詳しい解説はしないからな」
「あれって本物だよね?」
「何を持って本物だとするんだ?ちなみにアレは全部贋作だから偽物だと言えば偽物だし、刃は真作と変わらない物だから本物だとも言える」
4つ目の階段を降りながら戦闘体勢に入る。おそらくこの下の階層にフェイト達が居る。念のために水の入ったグラスをレーダー代わりにして確認しておく。
「アルフ、一つ聞いておきたいのだがここには何人の人間が居るんだ?」
「フェイトとババアだけだけど」
つまり2人だけのはず。ならばこの反応はどういうことだ?この下の階層には3人の気配と人に近い何かの気配が一つある。人に近い何かの気配は何となく予想はついている。だが、残りの一人がよく分からない。まあやることは変わらないけど。
「この先にフェイト達が居る。先に言っておくが、必要ならオレは躊躇い無くフェイトの母親を殺す」
「「え?」」
「ここから先は命のやり取りになると言っているんだ。命のやり取りにまでならなくても腕や足が千切れることもあるし、腹に大穴が空くこともある。そういうのが見たくなければ来るな。かなりの確率で荒事になる」
ほぼ100%と言っても良いぐらいだ。できればなのはには見られたくない。もちろんフェイトにも。彼女達には早すぎる。
「それって」
「避けられない。確信しているんだ、相手もこれから命のやり取りをすることを分かっている。アルフにはフェイトを攫って逃げて欲しい。ユーノはなのはと共に地球まで転移してくれ。オレの事は明日にでも迎えに来てくれ。もし、入り口に居なかったらオレは死んだと思って二度と来るな」
「そんな!?」
「それから一緒に来るのなら、死ぬ覚悟をして欲しい。守る余裕は無いかも知れない。今は全力でフェイトを助けに行くことしか考えたくない。だから、なのはにはここで引き返して欲しい」
「どうしてもなの?」
「ああ、どうしてもだ。守ってやれるか分からない。そんな所になのはを連れて行って、もしものことがあったら、オレはどんな顔をして士郎さん達に会えば良いんだ」
「でも」
「頼むなのは。ここは退いてくれ」
頭を下げてなのはを説得する。
「……分かったの。だけど、絶対に無事で帰ってきてね」
「……約束するさ」
「レイジングハート」
レイジングハートからなのはが集めた分のジュエルシードが排出される。それを受け取り、中身を抜いておく。
「それから、これも」
そう言ってなのはは自分の髪をまとめているリボンをオレの右腕に巻いた。
「お守り。こんなことしか出来ないけど、だけど」
右腕に巻かれたリボンに触れる。本当にジョジョみたいだな。死んだ訳じゃないが、これなら確かに共に戦場に立つことが出来る。
「ありがとう、なのは。大事にする」
笑顔を見せながらなのはの頭を撫でてやる。しばらくしてからその手を放し、もう一度リボンに触れてから前を向く。
「ユーノ、なのはと一緒に入り口まで戻ってろ」
「うん」
なのはと共に入り口に引き返すユーノを見送り、入り口まで戻ってこれから地球に転移すると念話が入るまで待機する。
「アルフ、すまないが少しだけ付き合ってもらうぞ」
「あいよ」
足下に階段を作り出して、それを降りていく。今までとは違い、そこには大きな空間が広がっている。床には見たことも無い模様が描かれており、何かの儀式に使用するものだと想定する。部屋の中心には眠っている瓜二つの裸の少女が二人とその傍らに女性が一人立っており、その傍に奇抜な格好をした男が控えている。大体の状況は理解出来た。やはり戦闘は避けれそうにないな。
「アルフ、作戦変更だ。中心に居る二人を結界で囲って待機。オレが負ければお前も死ぬし、フェイトも死ぬことになる。それでも構わないか」
「なんでだよ」
「オレは魔法に関しては詳しくないが、ほぼ確実にこの場は儀式に使うことを想定していて陣の中心にフェイトと、もう一人の誰かが居る。つまりはどちらもが儀式にとって必要不可欠であり、それを守るのが相手にとっての最優先事項だろう。何か防衛策が取られていても問題だし、一番怖いのが既に儀式中だったとしたらフェイトを動かすことで何か問題が発生するかも知れない。それがどういった影響を与えるか分からない以上迂闊なことは出来ない」
「分かったよ。どうせフェイトが死んだら私も死ぬんだから。だけどただで死ぬつもりは無いよ」
「無論そんなことをさせはしないがな」
毛布を二つ錬成してアルフに渡す。それを受け取ったアルフが陣の中心にいる二人に向かう。傍にいる女性はこちらの会話からアルフが何もしないことを知ってかオレに視線を向けている。そしてとうとう向かい合う。
「はじめまして。オレの名は東条城矢、フェイトを救いに来た」
「はじめまして。私はプレシア・テスタロッサ、残念だけどアレは私の所有物よ。どう使おうと私の勝手よ」
「話し合いではどうすることも出来ないんだな。チップはオレの持つジュエルシード21個、そっちはフェイトと全ての事情を話してもらおうか」
「駄目ね。貴方が出すジュエルシードは中身が空ばかり。おかげでこんな面倒なことになったのだから」
バレているか。ならば空にしておく理由は無いな。
「オレとしては危険物を集めて何かを行なおうとしている奴に危険物を渡す訳にはいかないからな。だから先に渡しておこう」
21個の中身もそのままのジュエルシードを取り出した瞬間、プレシアの横に居た奇抜な男、スタンドが殴り掛かってくる。くそっ、かなり速い!?
「クロス・アルケミー!!」
回避は無理と判断してクロス・アルケミーでガードする。パワーは完全に負けているのか大きく弾き飛ばされるがジュエルシードは確保出来た。
「やはり同じ系統のスキルだったみたいね」
「ちっ、まさか他の世界にもスタンド使いが居るとはな」
「スタンド......ね。それがこのスキルの総称だとするとクロス・アルケミーは個体名と言った所かしら。私のスタンドに比べると貴方のはあまりにも非力ね。能力は物質の分解と再構築みたいだけど、それも貴方の近くか貴方を中心に空気以外の何かを媒介にしない限り遠くまで力が届かないみたいね」
ちっ、こちらのスペックの基礎部分を殆ど見抜かれた。ここまでの戦闘を覗いていたのだろうが、ここまで正確に見抜かれるとは思っても見なかった。研究者か何かだったのか?
「そんなので私と私のスタンド、名付けるのなら、そうね、カバード。貴方のより強力なスタンドよ。勝てるかしら?」
カバードね。名前から予測するなら、何かを補うのだろうが目の前の光景を見ると違うんだろうな。プレシアの方から冷たい風が流れてくる。部屋がどんどんと凍っていき、一面銀世界が広がる。covered with snowのカバードなのか?とりあえず凍結系の近接パワー型と思って対応しよう。どれだけやれるか分からないがやるしかない。
「行くってうおっ!?」
まずはスタンドの能力を確認しようと牽制の為に剣を投げようとした所にプレシアがプラズマランサーを13本飛ばしてきた。慌てて躱したので体勢が崩れて床に左手を着く。すると一気に肘まで凍り付いていく。
「ヤバい」
投擲用に握っていた剣で凍り付いていない部分を切り落としてすぐさまプレシアから距離を取り、切り落とした肘先をクロス・アルケミーに錬成させて治療する。
油断しすぎていた。相手はただのスタンド使いじゃない。魔法を使えるスタンド使いだ。かなり万能なスタンドと普通のスタンドを相手にしていると思わなければ。
「へぇ、そんなことも出来るの。なら一撃で仕留めるしかないわね」
「そうはいかないな。オレはフェイトを助けると約束したんだからな」
部屋の温度はどんどん寒くなっていく。とりあえずここまでで分かったことは能力の射程が恐ろしく長いことと、パワーは負けている、魔法での戦闘も中々に慣れているということ位か。
遠距離では勝ち目は無いな。シューター1個でどうしろと。となると勝ち目がありそうなのはインファイトか。見た感じスタンドは近接型っぽいけど本体であるプレシアの方は普通の魔法使いっぽいからな、接近戦は苦手だろう。いや、でも確か昔読んだ漫画に魔法少女相手に接近戦は不利だとかいうセリフを見た気がするな。ある程度接近戦も出来ると考えていた方が良いな。まあ結論としては注意しながらインファイトだな。
「ふっ!!」
波紋で強化した肉体で一気に距離を詰める。プレシアは動かずにカバードが迎撃に動いてきた。こちらもクロス・アルケミーで対応する。右ストレートを両手で反らし、反動を利用して裏拳を顔面に叩き込む。びくともしない所を見るとスタープラチナ並みのパワーを持ってやがるな。一撃貰えばどうなるか分からないが、まあ何時ものことだ。カバードをクロス・アルケミーで捌きながら隠し持っていたナイフでプレシアに斬り掛かる。それをシールドで防がれ、プラズマランサーで反撃される。それを躱し、床の氷を砕いてから波紋で強化して即席のナイフにして蹴り飛ばす。多少でもシールドを削れば魔力を削れるので手数で押し続ける。服に仕込んでおいたトランプや針金、床の氷に床自体を武器にしてシールドを削りにいく。
オレの勝ち目は持久戦による相手の魔力枯渇による防御不能状態に持ち込むこと、あるいは『矢』によるレクイエム化の2択である。後者は奥の手、というよりも今のオレが『矢』を扱いきれるかが不明という点から最後の手段として選択肢から排除する。普段なら足下から刀剣類を生やして串刺しにすることも出来たのだが、今はカバードとの格闘戦に集中しなくてはならない為に錬成をする余裕が無い。ゆえに取れる道は持っている装備品と周囲のものを用いての接近戦のみ。
「魔導士がスタンド使いになるとここまで厄介な存在になるとはな」
ただのスタンド使いなら一撃でも入れることが出来れば勝負がついたりもするが、魔導士の場合シールドを常に展開するだけでその危険度をぐっと下げることが出来る。スタンド能力によっては攻撃魔法の威力が倍増されることすらある。
このままではオレは負ける。今までの経験がそう語りかけてくる。プレシアの攻撃速度が上がってきている。このままでは持って2分20秒で攻撃を捌けなくなる。それまでにカバードの能力を完璧に見破らなければオレは敗北することになる。
本当にこいつは凍結系の近接パワー型なのか?凍結系にしては未だにクロス・アルケミーが凍り付いていないことに疑問が浮かび、近接パワー型にしては操作精密性が高すぎる。つまりは最初の予想を外しているに他ならない。
「やはりなのはを帰しておいて良かった」
残りの時間は30秒を切った。だが、未だに能力が分からない。ここがオレの人生の終わりだろう。なのはやすずかは泣くだろうな、アリサも怒りながらもやっぱり泣いてくれるだろう。士郎さん達は悔しそうな顔をするんだろうな。
駄目だ。ここで死ぬわけにはいかない。『矢』を使ってでも、プレシアを殺すことになっても、最悪フェイトを殺すことになっても、オレは生きなければならない。
「クロス・アルケミー!!」
『矢』を使用する為にクロス・アルケミーを無理矢理傍に来させる。 その隙を付かれカバードの攻撃がクロス・アルケミーの右腕を掠める。オレの腕に巻いていたなのはのリボンがその攻撃で腕から離れてしまう。咄嗟にそのリボンに手を伸ばしてしまう。最後の最後でミスを犯してしまった。もう、『矢』を使ってレクイエム化させる時間は無くなってしまった。残された時間で出来ることは錬成を一度だけだろう。クロス・アルケミーの視界からカバードの腕がオレの頭に目掛けて迫っているのが見える。
「ごめん」
諦めが頭を過りながらも必死に勝つ方法を探り、それを手繰り寄せた。切っ掛けはなのはのリボン。最大のミスは一変して反撃の狼煙となる。
「ACT2!!」
オレが持つもう一つの手札、クロス・アルケミーACT2。ACT1とは異なり、出来ることは限定されている。波紋で強化した物の動いた際に発生する運動エネルギーを貯蔵して全身から衝撃波として放出するだけという能力。全身から放出するという特性上、そこそこの威力を出すだけでもかなりの運動エネルギーが必要になるそれは、今までの人生においてもあまり役に立つことは無かった。だが、現状においては最高に輝く瞬間である。ACT2から発せられた衝撃波によって、大勢の小さなカバードが吹き飛んで消滅していく。
「ぐぅ!?」
プレシアの集中力が切れた為に姿を消したカバードの拳はオレの頭部に当る寸前だった。本当にギリギリだった。リボンを掴み、再び腕に巻き直す。
ありがとう、なのは。なのはのおかげでオレは助かった。
「どうして、どうして気付いたの。私のカバードは完璧だったはず」
吐血しながら立ち上がるプレシアに向かい合う。
「ああ、完璧だったよ。オレも死を覚悟した。だがな、一つだけ誤算があったとすればこのリボンだ。オレの腕から離れた時、一瞬だが小さなカバードを見ることが出来た。何より、リボンの飛ぶスピードが明らかにおかしかった」
スタンドが取り憑いているにも拘らず、リボンは衝撃によって飛んでいた。それにも関わらず、飛んでいく速度がオレの知っている速度よりも速かった。つまりはオレの速度が下がっているのだと判断出来た。その原因がスタンドの能力による物だと理解して。
「オレを心配してくれている一人の女の子のおかげで正体を見破ることが出来た。貴様のスタンドの正体は取り憑いた物の時間を遅くする郡体型のスタンドだ。しかも取り憑いた際に姿を消せるおまけ付きのな。」
傍に立っていた大型のカバードはおそらく小さなカバードが集っているのだろう。それと殴り合えば当った面からどんどん取り憑かれ、気付かないうちに亀の様に鈍くなっているのだろう。最初に部屋の温度が下がり、氷を操っている様に見せたのはカバードによって分子の速度を下げたのだろう。
「さあ、ここからが第2ラウンドだ。他に手札があるのなら早めに切ることをお勧めするぜ」