魔法少女リリカルなのは STAND BY ME   作:ユキアン

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遅くなった上に今回は短いです。


決意

目を覚ますとそこは私の部屋だった。いつの間に寝てしまったのだろう?部屋の中を見渡してもアルフが居なかった。一人でご飯を食べにいったのかな?部屋から出て、食堂の方に向かう。

 

「何、これ?」

 

今までは何も無かった所に階段が出来ていた。とりあえず注意深く降りてみる。普通の階段だったし、降りた場所もいつも通りの場所だった。なんだったんだろう?

 

「えっ?」

 

背後から声が聞こえてきた。でも、その声は私?振り向くとそこには

 

「「私?」」

 

目の前にいる私は私と瓜二つ、服装さえ同じなら鏡を見ている様な感覚に囚われる。

 

「あなたは、誰?」

 

私は目の前の私に尋ねる。

 

「私はアリシア。アリシア・テスタロッサ。あなたは?」

 

テスタロッサ?

 

「私はフェイト。フェイト・テスタロッサ」

 

アリシアもテスタロッサ性に疑問を感じたのだろう。

 

「ねえ、フェイト。フェイトのママの名前は?」

 

なんとなくだけど、先程の会話だけで色々と分かってしまった。初めて会ったはずなのに、なんとなく互いが何なのかが分かる。分かってしまったから、余計に悲しくなる。

 

「私の、私の母さんの名前はプレシア・テスタロッサ。私は、アリシアの「ストップ。それ以上は、言わないで。お願い。言わなくても分かってる。だけど、違うかも知れない。知って辛くなるのなら知らない方が良い。貴方は私の妹、それで良いんだよ」

 

そう言ってアリシアが私を抱きしめてくれる。だけど、だけど、はっきりとさせなくてはならない。

 

「私は、私はアリシアの「クローンよ」えっ?」

 

振り向くと母さんが胸元を血に汚したまま立っている。

 

「母さん」

「ママ」

 

「フェイト、貴方は私がアリシアを救う為に産み出したクローンよ」

 

なんとなく理解していた事実を受け入れる前に、母さんに突きつけられる。

私がアリシアの代わりだから、だから母さんは私に笑いかけてくれなかった。記憶にある母さんの笑顔は、アリシアの物。

身体が震え出す。傍で呼びかけているアリシアの声が遠くに聞こえる。

 

「分からなかったかしら、フェイト。貴方は産まれるはずの無かった子よ」

 

その言葉を聞いた私はアリシアも振り払い、走り去った。何処をどう走ったのかすら分からずに走り続ける。足を滑らせて倒れたのは庭園の一角だった。

 

「助けて、助けてよ、ジョジョ」

 

口から零れるのは二回しか出会ったことがない男の子の名前。二回しか出会っていないのに、彼は私を助けてみせると言った。無理だとは分かっている。ジョジョはここまで来れないし、私がクローンであるという事実を変えることも出来ない。だけど、誰かに頼りたかった。こぼれ落ちる涙で視界が悪くなる。けれどそれが目に着いた。一カ所だけ赤色に染まるそこは誰かが倒れていた様な痕を残している。

 

「そこはね、貴方を助ける為にやってきた男の子が寝ていた所よ」

 

顔を上げるとそこには母さんが立っていた。

 

「フェイトを助ける為に機兵を維持管理用以外全て破壊した上に、私と本気の殺し合いまでして、自分の身体と引き換えに瀕死だった私とアリシアを救った男の子が居たのよ」

 

私を助ける為に男の子が?私が知っている男の子は一人だけ

 

「東条城矢、そう名乗っていたわね。確かジョジョと呼ばれる者とも」

 

名前を聞いて心が震える。

 

「……ジョジョが?」

 

「最初から最後まで貴方を助けるの一点張りで一歩も退かずに、最後の最後だけ変化して私たち全員を救う為に自分を犠牲にしたわ」

 

「えっ?」

 

犠牲?

 

「何をしたのか分からないけど左腕に左足、内臓のほとんどと右目にリンカーコアの半分が無くなっていたわ」

 

「私の、私のせいなの?」

 

「いいえ、本来ならそうならなかったでしょうね。最後の最後で私やアリシアを救おうと無理をした結果よ。私やアリシアを見捨てればそうはならなかった」

 

悲しそうに母さんが顔を伏せる。

 

「そう、見捨てても良かったはず。最後の最後まで彼とは反りが合わなかった。アリシアはともかく、私を救う必要などなかった。だから彼に貴方達を任せようとも思っていたわ。だけど彼は言った、残される者の気持ちを理解しろと。私に残された時間はなかった。その時間を作ってくれた彼の為にも私は全てを話すわ」

 

そう言って母さんは話し出す。

 

「事の始まりは私が開発していた新型魔力炉の、第三者による暴走事故によってアリシア、貴方のオリジナルが瀕死に、私もリンカーコアが壊れたわ。あとは、死を待つだけなんて私は許せなかった。そして、私は時を遅らせるスタンドに目覚めたの」

 

「スタンド?それってジョジョが言ってたスキルの事なの?」

 

「ええ、能力は全く別物だけどね。その力を使い、なんとか死を遠ざける事だけは出来たわ。アリシアは極限まで時間を遅らせ、私は治療法を捜すのに邪魔にならない程度に。でも20年の月日をかけても助けられる方法が見つけられなかった。根本的に身体が高密度の魔力に浸食されていて除去にも魔法を使わなければならない。アリシアはそれに耐えられなかった。諦められなかった。私にはアリシアしか居なかった。残された道はクローンとの肉体交換。それしか無かった」

 

「……そして産まれたのが私」

 

「そうなるわ。出来ればこんな事はしたくなかった。アリシアの命を救う為とは言え、クローンとは言え私の愛する娘を犠牲にしなければならないのだから」

 

「えっ?」

 

「貴方は確かに産まれるはずの無かった子よ。私がお腹を痛めて産んだ子でもない。だけどね」

 

「あっ」

 

私が私として持ってる記憶の中で初めて、母さんに抱きしめられる。

 

「貴方をこうして抱きしめてあげたかった。だけど、そうすれば別れが怖くなる。私にとって大切な娘を選ばなければならなくなる苦しみから私は逃げだした。私が与えてあげられない愛をリニスに与えさせて、私は貴方を道具として扱う。そうすることで苦しみを和らげようとしたわ。そして、今日、全てが終わるはずだった。私の身体は限界で、残っている全ての力を使ってアリシアの世話を見させる独立した使い魔を作る予定だったわ。だけど彼はその全てを破壊した。誰も失わなくてすむ未来を私に掴ませてくれたわ」

 

「ジョジョはどうしたの?」

 

ジョジョが助けてくれた。それは嬉しい事だけど、ジョジョは自分を犠牲にする事を選んだのは悲しい。

 

「私では彼を救う事は出来なかった。だから、救う事が出来る人物に託したわ。それの代償に、私はまた罪を犯したわ」

 

また罪を犯した?

 

「治療の対価に私はプロジェクトFの完成データを、クローン技術のデータを渡したわ。そして彼を託した人物は次元犯罪者。そいつからデータが流れれば、おそらくは人造魔導士を作ろうと色々な勢力が動く事になる。時空管理局なんかは特にね。あそこは馬鹿に手を伸ばして足下がお留守になっている無能な組織だから。まあ、それは別に良いわ。私は貴方達が独り立ちした後に、犯した罪の贖罪の為に新たな罪を犯す旅に出るわ」

 

「何を、何をするつもりなの、母さん!!」

 

「この命が尽きるその日まで、プロジェクトFに関わった者を滅ぼし続ける。産み出されたクローンに罪は無いけど、それ以外の全てを闇に葬るわ」

 

「そんな!?駄目だよ、そんなの。私も」

 

「駄目よ、フェイト。これは私の罪なのだから。貴方には幸せになる権利がある。私は貴方達が幸せならそれで構わない。自分勝手だとは思うわ。でも、私はこうしないと貴方達の親だと、胸を張れなくなるわ」

 

「どうしても、どうしても駄目なの?」

 

「ごめんなさい、フェイト。今の私にはこれだけは譲るわけにはいかないわ」

 

母さんが私の頭を撫でてから離れる。

 

「こんな駄目な母親だけど、まだ私を母と呼んでくれるかしら?」

 

「アリシアがそれを許してくれるなら」

 

「そんなの許すに決まってるでしょ!!」

 

いつの間にかアリシアが傍に来ていた。

 

「私はフェイトのお姉ちゃんなんだから」

 

そう言って私を抱きしめてくれる。普通の人間じゃない私でも受け入れてくれた。それがとても嬉しくて、私もアリシアを抱きかえしながら涙を流す。

 

「ママから聞いたけど、ジョジョって男の子が元気になったらお礼しないとね。色々と助けて貰ったし、迷惑もかけちゃったから」

 

「うん」

 

ジョジョには本当になんてお礼を言えば良いのか分からない。本当に私を救ってくれた。私だけじゃなく、母さんと姉さんまで、自分の身体を犠牲にしてまで。私にその恩が何処まで返せるか分からないけど、絶対に恩を返す。

 

「さあ、二人とも部屋に戻ってなさい。私はこの庭園の被害を調べる事があるから。ここから部屋までは大丈夫だけど、あまり変な所には行かない様にね」

 

「うん、分かったよママ。行こう、フェイト」

 

姉さんに腕を引かれて庭園からアリシアの部屋に連れて行かれる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

娘達が去るのを見送り、背後を振り向く。そこに居るのはフェイトの使い魔、アルフという名前だったかしら。

 

「これが私がフェイトに対してしてあげれる全てよ」

 

「ああ、フェイトがそれで納得してるんだ」

 

「だけど、貴方は納得出来ていない」

 

「当たり前だ。私はあんたを殺す気でいた。それでフェイトが悲しもうとも、それが一番良いと思ってた。だけど、城矢がほとんど壊しちまった。私のこの気持ちはどうすれば良い」

 

「だからこそ二人を戻したのよ。来なさいアルフ。貴方の気持ちを全てぶつけなさい」

 

構えもせずにアルフに向き合う。それどころか殴り易い位置にまで近づく。

 

「っ~~、ぅぅうううわあああああああああ!!!!」

 

色々と悩みながらも決心がついたのか拳を振り上げて、それを振り下ろしてくる。だけど、その拳は開かれて頬を打つ。

 

「今は、これだけにしといてやる。一度だけだ、一度だけ、あんたを信じてやる。フェイトを泣かしたら、今度こそ命を貰う。覚えとけ!!」

 

そう言ってアルフは何処かに駆け出す。やはり使い魔はどこか主人と似るみたいね。フェイトと同じで根は優しい子ね。

 

「ありがとう、アルフ」

 

もう姿は見えないが言っておかなければならないと思いそう呟く。

 

「さて、久しぶりに買い物に行かなければね。何を作ろうかしらね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なのは、準備出来たよ」

 

「うん、行こうユーノ君」

 

一瞬で景色が変わり、昨日と同じ場所に転移する。そこで待っている人を迎えに行く為に。でも、転移した先にジョジョ君の姿は見えませんでした。

 

「……ごめんユーノ君、少しだけ待っても良いかな?」

 

「……うん。レイジングハート、サーチャーで捜してみて」

 

別れる前にユーノ君に言っていた言葉を思い出さない様にする。約束したんだもん、絶対に帰ってきてくれるって。

しばらくするとサーチャーが戻ってくる。つまり、この庭園にジョジョ君は居ない。つまりは……もう会えないということなのだろう。そう自覚した途端、身体から力が抜けるのを感じた。目の前が真っ暗になって、だけど倒れずに踏ん張る。ジョジョ君は、フェイトちゃんを助けようとして戦った。それを叶えられていないのなら私が後を継ぐ。

魔法に出会って最初に思った事、それはこれで私もジョジョ君の隣に立てるという思いだった。ジョジョ君はどこまでもヒーローを目指そうとするだろう。目の前にどんな苦難が待ち受けようとも、助けを求める声と自分を思ってくれている人を背中にどこまでも歩き続ける。それはどこまでも気高く美しく見える。皆が賞賛するだろう。だけど、隣には誰もいない。稀に協力してくれる人は現れる。でも、共に歩き続けてくれる人が誰もいない。ジョジョ君は誰かが自分の事を思ってくれていれば頑張れると言った。それは倒れてしまえば起き上がれないかも知れないという事だ。だから決めたのだ。ジョジョ君の隣に立って倒れそうになった時には支えてあげようと、倒れたのなら私が後を継ごう。ジョジョ君が生きていた証を残す為に。

バリアジャケットを纏い、レイジングハートを強く握る。

 

「ユーノ君、私は行くよ」

 

「なのは!?」

 

「私がジョジョ君の変わりにフェイトちゃんを助ける」

 

「なっ!?駄目だよ。ここから逃げるんだ。彼にも言われたはずだ。もしも居なかったら二度と来るなって」

 

「うん、だから帰らなければいいの」

 

「それは屁理屈だよ」

 

「私は一人でも行くよ。ジョジョ君に出来なかった事を私がやってみせるの」

 

「何やってんだい、あんた達?」

 

ユーノ君と言い争っているといつの間にかアルフさんが傍にやってきた。

 

「アルフさん?あれ、じゃあフェイトちゃんは」

 

「ああ、あいつが、城矢が助けてくれたよ。心配する必要は無いさ。少ししたらお礼に行くつもりだ」

 

「よかった。じゃあ、ジョジョ君も無事なんですね」

 

そういうとアルフさんの顔が難しい顔になる。どうしてそんな顔をするの?フェイトちゃんは助かったってことはジョジョ君も無事のはずだよね。

 

「……あいつは、バ、プレシアとアリシア、フェイトの姉を助ける為に自分を犠牲にした」

 

「ぎ、犠牲って何を!?」

 

「左腕、左足、右目、内臓のほとんどが無くなっていた。ここじゃあ助けられないから、助けれる人の所に送られた。いつ帰って来れるかは分からない」

 

「生きているの?」

 

「ああ、それは大丈夫さ」

 

それを聞いて安堵する。生きているのなら、ジョジョ君は絶対に帰ってきてくれる。そう確信しているから。レイジングハートを握っている力を抜いてバリアジャケットを解除する。

 

「あの、フェイトちゃんに会わせてもらえます?」

 

「ああ、こっちだ」

 

アルフさんに案内されて奥へと進んでいく。ジョジョ君は私に魔法に関わって欲しく無さそうにしているけど私は魔法を放す様な事はしないよ。温泉の時に出せなかった答えを私は見つけたよ。私はジョジョ君の隣に立つ。そのために私は強くなる。ジョジョ君が無理をしなくても良い位に。だから、待っていて下さい。

 




次回、無印A's間空白期ミッド編をお送りいたします。


スタンドステータス

クロス・アルケミー
「パワー」C「スピード」C「持続力」A
「射程距離」E「精密動作」A「成長性」E(完成)
能力:城矢が波紋を通した物体を素材として登録、またはストック(何処にストックされているかは分からない)して好きな時に素材を利用して錬成を行なう。その際の錬成場所は視認出来る距離ならば好きな場所で出来る。またストックをある程度加工(エネルギーを取り出すなど。例としては本編中でやったジュエルシードから魔力を抽出する。分かり易い例としては核燃料から熱量だけを抽出して核廃棄物にするなど。エネルギーもストックとして扱われる。しかしエネルギー自体を直接ストックする事は出来ない)する事も出来る。

クロス・アルケミーACT2
「パワー」B「スピード」C「持続力」C
「射程距離」E「精密動作」B「成長性」D
能力:城矢が波紋を通している状態の物体が動く際に発生する運動エネルギーをストックし、ACT2を中心に全方向に衝撃波を発生させる。尚、城矢も衝撃波に巻き込まれる欠点を有する。


カバード
「パワー」A「スピード」D「持続力」A
「射程距離」A(30m)「精密動作」B「成長性」D
能力:通常時は2m程の大男に見えるが、実際は5cm程の郡体が集って姿を形度って居るスタンド。郡体に取り憑かれると1%程度、流れる時間が遅くなる。遅くなるだけで完全に止める事は出来ず、また大量に郡体を取り憑かせると本体の大男のステータスが下がる。
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