今頃になって問題児が一人異世界から来るそうですよ?   作:神園龍一郎

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プロローグ

季節は夏

太陽の陽射しを避けるように建物の影を転々と移りながら街中の歩道を天月零は歩いていた。

昼頃でもあり、人も多く、日陰を通っているにもかかわらずかなり熱い。

それに黒いパーカーをきてフードを深くかぶっているわけだからさらに熱い。

こんな熱い日は自宅でゴロゴロとアイスを食べながら過ごしたいものだ。

しかし家にいると少し面倒なことがあるためこうして熱い中外に出てきているわけだ。

面倒なこといってもそんなに大したものではない。

いや、本当に大したことない……はずだ………

「見つけたぞ天月!!」

「やばっっ!」

背後から突然大きな声が上がった。

振り向きもせずに全力でその場から駆け出す。

足音からして追ってきているのは2人か…

(こりゃあいい、2人くらいならいける)

方向を変え、人気の少ない裏路地に駆け込む。

2人も追いかけてきているようだ。

しばらく進むと突然天月は立ち止まり二人の方を向く。

「はあ…はあ…ようやく捕まる気になったか…」

そう言いながら二人は歩いて近づいてくる。

「いい加減金を返しな。まだ中3の癖して歳隠して金借りてる方が悪いんだよ」

男の一人が天月の肩に手を置こうと軽く手を挙げる。

そして肩に手を置こうとしたその瞬間

「ひっっ………」

男は突然怯え震えだした。

「お、おい、どうしたんだ」

もう一人の男が異変を感じて近づいてきた。

天月の視線がその男に移る。

「ひぃっ!」

その男も睨まれた瞬間怯え震えだす。

二人の男は膝を震わせ怯えている。

天月はその二人を睨みながらその場に佇んでいる。

そして、天月が二人から視線を外して振り返り、歩き出すと、二人は緊張の糸が切れたようにその場に倒れた。

 

再び歩き始めてしばらくするとまた人気の多い歩道に出た。

「はあ…やっぱりつまんねぇ…」

そう呟き歩きながら右のポケットに入っている手紙をとった。

1ヶ月前に突然空から降ってきた「天月零殿へ」と書かれた謎の手紙。

怪しすぎて開けるのに戸惑いつつも気になり、今まで開かずにいた。

たがこんな刺激のない日常にも嫌気がさしてきた。

そろそろ新たな刺激が欲しい。

なにか面白いことが起こってくれと願いつつその手紙の封を切った。

そして、その手紙の文章を読んだ。

 

 

『悩み多し異才を持つ少年少女に告げる。

その才能を試すことを望むのならば、

己の家族を、友人を、財産を、世界の全てを捨て、

我らの″箱庭″に来られたし』

 

 

「うおっ!」

天月の視界は突然切り替わった。

急転直下、上空4000mほどの位置に投げたされたのだ。

そんな危険な状況の中天月は嬉しそうに叫んだ。

「おいおい!なんだよここは!最っっ高に楽しそうじゃねえかよ!」

視界の先に広がる地平線は、世界の果てを彷彿とさせる断崖絶壁。

眼下にみえるのは、縮尺を見間違うほどの巨大な天幕に覆われた未知の都市。

彼の目の前に広がる世界は完全無欠に異世界だった。

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