今頃になって問題児が一人異世界から来るそうですよ?   作:神園龍一郎

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あら?今頃になって?
1話


上空4000mから落下する天月は落下地点に用意してあった緩衝材のような薄い水膜を幾重も通って湖に投げ出される。

「うおっ!」

ボチャン、と着水。

水膜で勢いが衰えていたため彼は無傷ですんだ。

このまま湖に浮かんでいても仕方がないのでとりあえず陸に上がる。

「しっかしなんなんだ?いきなりこんなところに飛ばされて、しかも湖に落とすなんてよ」

そう言いながら水で濡れた服を絞る。

「それに招待しといて出迎えもなしかよ」

周囲を見渡しても誰もいない。

人の気配すらもない。

「とりあえず落ちる時に見えた街みたいなところに向かってみるか。服は…どうせ歩いてたら乾くだろ」

そうして天月は街に向かって歩き出した。

 

 

少し時間は遡る……

________″アンダーウッドの地下都市″最下層・展示保管庫

ズドォォォォォン!!!と雷鳴が轟いた。

迸る稲妻が貫いたのは、全長5mはありそうな食兎植物。

枝の触手、花弁の触手、樹液の触手と様々な触手が生えたカオスプラントは、緋色に髪を染めて怒る黒ウサギの稲妻に貫かれて燃え落ちた。

無残に飛び散ったラビットイーターの破片を拾いながら、耀は深々とため息を吐く。

「……勿体無い」

「お馬鹿言わないでください!こんな自然の摂理に反した怪植物は燃えて肥やしになるのが一番なので御座いますっ!」

フン、と顔を背ける黒ウサギ。

その黒ウサギのウサ耳が突然ピクピクっと動いた。

「あら?」

「どうしたの黒ウサギ」

「そ、それが…今頃になって耀様達に送ったのと同じ招待状を開けて召喚された方がいるようでして…」

「私達以外にも手紙を送った人がいるってこと?」

「はい…実は耀様達以外にも一人送っていたのですが…耀様達と同時に来なかったので何か不都合で届いていないのかと思い込んでいましたたので…」

そう言って黒ウサギのウサ耳が申し訳なさそうに下を向く。

「でも、新しくノーネームに人が増えるのはいいことだよ」

「入ってくれるといいんですが…それにまた問題児が増えるかもしれませんし…」

「でもこのまま放っておいたら駄目でしょ?」

「そうですよね。じゃあ迎えに行ってきますので耀様達は収穫祭を楽しんでいてくださいませ」

「うん、いってらっしゃい」

そして黒ウサギは再び黒い髪を緋色に染めて新しい問題児を出迎えるために駆け出した。

 

 

________箱庭ニ一○五三八○外門。ペリベッド通り・噴水広場前

「は〜、でっけえ門だな」

箱庭の外と内側を繋ぐ門を見上げながら彼は感嘆の声を上げる。

湖からさして距離はなかった為すぐにここについた。

「とりあえず入ってみるか」

箱庭に入ろうと階段を上ろうとしたその時、門の向こうから一人の老人が歩いてきた

老人は階段を降り、俺の目の前で立ち止まった

「なんだじいさん。俺に用か?」

「一つ頼まれごとを聞いてくれんか?」

「頼みごと?初対面の俺にか?」

「うむ、厚かましいのは承知の上じゃ」

「内容によるな」

「なに、それほど難しいものではない。ある果実を取ってきてほしいだけじゃ」

「果実?」

「うむ、ここを南にずっと進んでいくと燃える山があるんじゃ。そこに生えている木になる実を取ってきてほしいのじゃ」

「距離はどれくらいだ?」

「この世界の果てくらいまでじゃな」

「はあ!?そんなところまで俺に行かせようってのがじいさん」

「なに、それについてはこれをお主にやろう」

老人は手に下げていた袋から羽のついた黄金の靴取り出した。

「これはヘルメスの靴と言っての、空を飛ぶことができる靴じゃ。昔はわしが履いて果実を取りに行っていたのじゃが…もう歳でな。宝の持ち腐れになってしまうのじゃ。じゃからこれを報酬として果実を取ってきてくれんか?」

「う〜ん……わかった、行ってこよう」

「おお、ありがとう」

天月は老人からヘルメスの靴を受け取りそれを履いた。

靴は思っていたより羽が邪魔にならず、意外と軽かった。

しかも初めて履いたのに妙に足にしっくりとくる。

「驚いたじゃろ?その靴が勝手に足に合わせてくれるんじゃよ」

「へえ、この世界にはこんなものがあるんだな」

「お主この世界には来たばかりか?」

「おう、ついさっき来たばっかりだ」

「そうか、ならば戻ってきたら色々とこの世界について教えてあげよう」

「お、そりゃ助かるな。ありがとよじいさん」

「うむ。それと幻獣に気をつけるんじゃぞ」

「幻獣?ユニコーンとかそういうのか?」

「ユニコーンはまだ比較的安全な方じゃが箱にはの外は様々な幻獣がおる。くれぐれも気をつけるんじゃぞ」

「わかった。じゃあ行ってくる」

「うむ、よろしく頼むぞ」

天月は足に力を入れ飛び上がった。

すると体が重力に逆らって空中を浮いた。

「おお!こりゃすげえ!」

天月は歓喜の声を上げる。

再び足に力を入れ今度は地面に垂直に空中を蹴った。

すると地面に垂直なまま飛んだ。

さらに飛びながら空中を蹴ることで更に加速した。

そして天月は目的地に向けて空を駆け出した。

 

 




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