今頃になって問題児が一人異世界から来るそうですよ?   作:神園龍一郎

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8話

白夜叉は不敵な笑みを浮かべながら両手の拳を天月に向け聞く。

「石を握っているのはどっちの手じゃ?」

普通の人では見えるはずもない速度で隠された石。

神格を持っている炎神も

「あたしでも見えなかった…」

人知を超えた速度を捉えることはできなかった。

たとえ相手が白夜叉であっても、神格を持つ者としてこんな遊びのようなもので相手に圧倒されてプライドが傷つかないわけがない。

「なあ…」

プライドを傷つけられ自信を無くしかけた炎神の隣から唐突に声が上がる。

「あんたこんなもんじゃないだろ?」

「えっ…」

天月の口から出たのは解答ではなく白夜叉が本気を出していないという指摘の発言だった。

「俺はもっと面白いことを期待してたんだぜ。あんまりがっかりさせてくれるな」

「あ、貴方何を言って…」

白夜叉を挑発する天月を慌てて止めようとする。

「ほう、私に本気を出せと…」

だが時はすでに遅く、白夜叉は天月を鋭い目つきで睨んだ。

「ああ、そんな蠅が止まるような速さで右手で石を捕まえるようじゃあ誰にだってわかる」

そう言い白夜叉の握られた右手を指差した。

白夜叉が右手を開くと、そこには確かに石が握られていた。

「よかろう、次からは本気を出させてもらおうかの」

「そうこなくっちゃな」

両者は口元に笑みを浮かべながらも睨み合う。

人知を…いや、神格を持つ者すらも超えた勝負に炎神は今の自分では到底届かない世界があるということを久しく思い出した。

そして、再び石が空中に放たれる。

1回目よりも最高点が少し低い。

そして白夜叉の目の前で消える。

やはり炎神にはどちらの手で取ったのか見えなかった。

だが、

「いいぜいいぜ、そういうのを待ってたんだ」

隣の男は嬉しそうに笑みを浮かべる。

「右手に2つ、左手に1つだ」

天月の解答に炎神は驚いた。

石は確かに一つしか投げられていなかった。

ならば当然どちらかの手にしか収まらないはず。

なのに両手に、しかも合計3つもの石が握られているとこの男は答えているのだ。

もし仮にこの解答があっていたとしても残り2つはどこから持ってきたというのだ。

足元からまた拾い上げたとでもいうのか。

それとも恩恵でも使ったのか。

「納得いかねぇって顔してるな」

「そりゃあそうよ。石は一つしか投げられてないのに3つになるなんてわけわかんない。白夜叉様が見えない速さで2つ石を拾ったの?それとも恩恵?」

「違うな。石は最初から最後まで投げられた石1つだ」

「じゃあどうやって!」

「砕いたんだよ」

炎神の顔が驚愕の色に染まる。

「手に握る瞬間石を3つに割って握り直したんだよ」

「正解じゃ」

白夜叉が両手を開くとそこには右手に二つ、左手に一つずつ小さい石がそれぞれに手の上にのっていた。

「そんな、そんなことできるわけ…」

ない、といいかけたが相手はあの白夜叉様だ。

確かに白夜叉様ならこれぐらい。

いや、この程度のこと造作もないことだろう。

事実、白夜叉様もやったのだから。

炎神は、はぁっと一つため息をつき、

「やっぱり凄いわね。貴方も、白夜叉様も」

二人の人外の強さを再び確認したのだった。

 

 

 

 

「さて、というわけでおんしのギフト鑑定をするわけじゃが…どれどれ…」

白夜叉はゲームの商品として依頼を無料で引き受けてくれるらしい。だが、専門外らしく無関係もいいところらしく困ったように白髪を掻き上げ、着物の裾を引きずりながら天月の顔を両手で包んで見つめる。

「ふむふむ……うむ、素養が高いのはわかる。しかしこれではなんとも言えんな。おんしは自分のギフトの力をどの程度把握している?」

「黙秘権行使」

「うおおおい?いやまあ、仮にも対戦相手だったものにギフトを教えるのが怖いのは分かるが、それじゃあ話が進まんだろうに」

「別に鑑定なんていらねえ。人に値踏みされんのは好きじゃねえし」

ハッキリと拒絶する天月に、困ったように頭を掻く白夜叉は、

「ふむ、何にせよ炎神に頼まれたのじゃからちょいと贅沢な代物だがおんしにこれをやろう」

白夜叉なパンパンと柏手を打つ。

すると天月の眼前に光り輝くカードが現れる。

カードには天月の名前と、体に宿るギフトを表すネームが記されていた。

 

レモンイエローのカードに

天月 零

ギフトネーム″絶対領域″ ″眼光″ ″真実の果実″ ″ヘルメスの靴″




絶対領域の読みは「アブソリュートテリトリー」です。
眼光はそのまま「がんこう」です。

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