Sideグレース
な、何を言っているんだいこの子は!?
お姉さん、君たちにはそういうのはまだ早いと思うな!
と、ふたたび動揺していたけれど
彼の覚悟を決めたような顔が、大きな悲しみを携えていることに気がついた。
どうしてそんなに悲しみに満ちた顔をしていて、それに気が付いた時、彼が私達に何を伝えようとしているのかに気がついた。
私達のような奴らにおチビちゃんは渡さない……。
……どうやら、見抜かれていたのは警戒心だけではなく、その背景となる心情も含めてだったようだね。
私達の、おチビちゃんと同じような子供を疑ってしまう程に追い詰められてしまっている心を見抜いていたんだ!
そしてそれによって、おチビちゃんが唯一の友達を無くしてしまうかもしれなかったことを私達に気づかせた。
何も悪いことはしていないのに疑われるというのは大きなストレスだ。
子供なら尚更そうだろう。
そんな行為を私達から受けた子供が、
おチビちゃんと一緒にいると、"こんな嫌な扱いを受けてしまうのか"と、友達を辞めてしまうかもしれない。
私達はおチビちゃんの事を守ろうとして、逆に傷つけてしまうところだった。
間抜けな警戒心とはそういうことだったんだね……。
けれど私達がその言葉の真意に気が付かなかったから……
"お前らみたいなのにクレタを任せられるか!俺がもらっていくぜ!"
か。
……ふふ、いい友達を持ったね、
おチビちゃん。
彼の覚悟を決めた顔と言葉は
"心が摩耗した私達の代わりに、おチビちゃんを支えていく"という意志の表れで、
その中にあった悲しみは、おチビちゃんへの同情の表れだったんだ!
ありがとう、クロトくん。
おチビちゃんの傍に君のような子がいるってだけで、私は救われたような気持ちになったよ。
「坊主、いや兄弟……!オメェ、スゲェ"漢"だぜ……!」
「え?は?兄弟?俺が?ナンデ?」(いつ俺に兄ができたんだよ!?というか何が!?俺まだ何の言い訳もできてないんすけど!)
おっと、どうやらアンドーも気がついたようだ。
まあホルスさんがいなくなったあと、彼は沢山の人と仕事の交渉してきたからね。
こういうのには意外と敏感なんだ。
「なあ坊主、その、なんだ、あんまり俺が口出しすべきじゃないかもしれんが、そういうのは君とお嬢にはまだ早いと思うぞ。」
「すみまs「まあまあベン、落ち着いてよ。」……すみません」
「む?しかしこの年の子供たちがこういう関係になるのは不味いと思うんだが……。」
ふふ、ベンはこういうのに疎いからね。
いつも会社内に籠もってたし。
けれどクロトくんの人柄が分かったし、あと普通に彼に申し訳ないから、今は応急手当を終わらせて、おチビちゃんと普通に遊んで欲しいんだ。
「それは後で説明するから、ね?」
「説明ってグレース、お前は何か分かったのか?
……いや、俺はこの手のことに疎いからなぁ。分かったよ。取り敢えず大丈夫なんだな?」
「ああ。」
ごめんねベン、後でちゃんと説明するから。
さて
「ごめんね、クロトくん。そしてありがとう。」
「あ、え?はい」(なんだ?グレースさんも吹っ切れたような顔をしてるし、警戒心もなくなってるぞ?)
「オレからも言わせて貰うぜ兄弟!本当にすまなかった!そしてありがとう!」
「???」*1
「おっと、オレからも言わせてくれ。
済まなかったな坊主、いやクロト。」(二人がこう言うってことは、俺達は間違ってたんだな……。すまない、本当にすまない。)
「……はい。」(なんかよく分からんが丸く収まってヨシ!)
「?なんだかよく分かんねぇけど、あの言葉には何か意図があったんだな?」
「あ、ああ!もちろんです!」(もうそういうことです!よく分からないけどあなたたちの思ったとおりですよ!)
ふふ、やっぱりね。
「そうだったのか……。ごめんな、そうとも知らずに掴みかかろうとして……。」(凄いなクロトは。何だかよく分からんが、言葉だけで姉貴たちに吹っ切れたような顔をさせちまった……。そんな奴に対してあたしは……。)
「いや……気にするな」(うわあああ!ごめんなクレタ!元はと言えばアホな選択肢が悪いんだ!お前は悪くないんだよ!本当に気にしないでね!)
う、こうして私の行いがおチビちゃんを傷つけてしまった所を見ると本当に自分が嫌になるね。
けれど、逃げることは許されない。
悪いところがあったら直す、それは技術者のあり方でもあるからね。
Sideクロト
なんやかんやあったが丸く収まったのでヨシ!
今回はマジでやばかったな……。
今世で一二を争う激戦だった。
なんか勝手に終わったけど。
なんて安堵していると、グレースさんが
「さて、流石にそろそろ彼の傷の手当てをしないと。」
と言った。
その言葉を皮切りに
「よっしゃ!オレに任せとけ!」
とアンドーさん
「いやここは責任を取ってあたしが。」
とクレタ
「いやいや元はといえば私のせいなんだから私が。」
とグレースさん
「むぅ、俺はこういうの苦手だからなぁ……すまないがそっちで何とかしてほしい。」
とベンさん
「だったらやっぱりオレが」
と再びアンドーさん
「いやいやいやここはやっぱり責任を取ってあたしが」
と再びクレタ
「いやいやいやいや元はといえばやっぱり私のせいなんだから」
と再びグレースさん
「いや、俺はもう断っただろう?」
と再びベンさん
「よっしゃオレが!」
と、またまたアンドー
「いやいやあたしが」
と、またまたクレタ
「いやいやいや私が」
と、またまたグレースさん
「だから俺は……」
と、またまたベンさん
よっしゃ!俺が!とアンドー
いやいやあたしが!とクレタ
いやいやいや私が!とグレースさん
む、だから俺は……とベンさん
よっしゃ!いやいや、いやいやいや、だから俺は……アンドーさん、クレタ、グレースさんベンさん
よっしゃ!いやいや、いやいやいやだから俺は……アンドーさんクレタグレースさんベンさん
よっしゃいやいやいやいやいやだからおれはあんどーさんくれたぐれーすさんべんさんよっしゃあんどおさんいやいやくれたいやいやいやぐれぇすさんだからおれはべんさんあんどうくれたぐれえすべんあんどうくれたぐれえすべんよっしゃいやいやいやいやいやだからおれはよっしゃいやいやいやいやおれはあんどうくれたぐれえすべんよっしゃくれたいやいやいやべんあんどういやいやぐれぇすだからおれはあんどういやいやいやいやいやだからおれはよっしゃくれたいやいやいやだからおれはよっしゃいやいやぐれぇすさんだからおれはよっしゃいやいやいやいやいやべん
うがぁぁぁぁぁぁ!
もう我慢できん!
「じゃあ俺が!」
「「「とうぞどうぞ」」」
うう、この世界にもこのノリあるんだ……。
ちなみにみんなに謝られたあとグレースさんに手当てしてもらいました。
何がとは言いませんがおっきかったです。
気を取り直していっぱい遊ぶぜ!
〜転生者遊戯中〜
楽しい時間はあっという間に過ぎてしまうもので、もう帰る時間になってしまった。
帰りはグレースさんが家まで送ってくれるらしい。
いやあ楽しかった!
クレタって大人びてるけど、やっぱり子供らしいところもあるんだな。
しかしグレースさん達の目が妙に優しかったのが気になったな。
何だったんだあれ。
そんなことを考えていると
「クロト、今日はありがとうな!楽しかった!また明日な!」
見送りに来てくれたクレタは輝くような笑顔で俺にそう言ってきた。
カワ(・∀・)イイ!!
そして、それに続いて同じく見送りにきてくれたアンドーさんとベンさんも
「ありがとうな兄弟!また来てくれよ!歓迎するぜ!」
「お嬢と遊んでくれてありがとうな。あんなに楽しそうにしているのを見るのは久しぶりで、こっちも嬉しくなったよ。」
と言ってくれた。
「いえいえ、こっちも楽しかったですよ!ありがとうございました!」
色々あったけど、来て良かったな!
でも選択肢はお腹いっぱいです……。
「じゃあ、行こうか。」
というグレースさんの言葉に頷いて、家まで送られるのだった。
〜クロト宅〜*2
ついたぜ!我が家!
「グレースさん、ここまで送ってくれてありがとうございました!」
ここまで送ってくれたお礼をグレースさんに伝えると、
「いいんだよこのくらい。こっちがお礼を言いたいくらいさ。君には沢山のことを気付かされたんだ!」
俺を送ってくれる前より生き生きとしてる……。
運転の最中にグレースさんがボソッと「私は、どうすればよかったのかな……。」
って呟いたのを聞いた瞬間
【知るか、死ね】
【笑ってくれ、君の笑顔が見たい】
って選択肢が出やがって、渋々後者を選んでからこんな感じなんだよな。
あんな勘違い男みたいなこと言いたくなかったんだけど、前者がやばすぎたからなぁ。
まあいっか!*3
「そうですか?よく分かりませんけど、力になれたのなら良かったです!」
「ふふ、それじゃあね!」
「はい!さようなら!」
手を振っているグレースさんを背に
俺は我が家に入った。
「ただいまー!」
ついにモンハンワイルズの下位のラスボスを倒しました。いい物語でしたね。自慢ですが、未だに無乙です。