Decide Zone Zero   作:犬咲夫藍

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ついに原作開始前最終章開始!


二七話 You're my sun

金曜日、夕日が差す教室にて。

 

「皆さん、この進路希望調査は来週月曜日に提出してもらいます。ちゃんと書いてくださいね」

 

「「「はい!」」」

 

中学三年生になった俺に、進路を選ぶ時期が訪れていた。

 

「そして来週のホロウ探索記録録音テープ作成実習についてですが〜〜〜」

 

キーンコーンカーン! コーン*1

 

「では今日はこれまでです。気をつけて帰ってくださいね。さようなら」

 

「「「さようなら〜」」」

 

 

 

 

 

♢

 

 

「しかし進路、かぁ……」

 

クレタと一緒に帰っている最中、思わずそんな言葉が溢れてしまった。前世では何となく周りに流されるがままに高校へ進学したんだが、今世ではなぁ……。

 

「なんか、進路の事考えるように言われてからずっと上の空だったよな。そんなに悩んでんのか?」

 

「ああ、年相応にな……」

 

☆☆☆☆☆☆(ロックスター)中学の主な進路は進学だ。H.A.N.D隊員や治安官になる為の高等専門学校に進学したり、適当な高校に進学したりする。ちなみにエレンは後者だ。そして俺は、母さんと父さんから進学を望まれている。

 

「お、猫だ。良いなぁ〜飼いてぇなぁ〜」

 

【猫ですニャン♡飼ってほしいニャン♡】

 

【俺、ネコなんだよね。夜はな】

 

【お前が猫になるんだよ!!】

 

キッショ……。選択肢君さぁ、人が真面目に考えてる時に何をさせようとしてんの?? ダメだよね? どれ選んでも大変な変態になってしまうのはダメだよね?

 

特に下二つはド下ネタじゃねえか全く!

ペットの上では人間だけどベッドの上ではネコだって? やかましいわ! ペットの上では人間ってなんだよ!

 

まあ、そんな未来も悪くないがな。

 

取り敢えずここはまだ友達同士のジョークで済まされそうな【上】を選ぼう。クレタのスルースキルは、長年選択肢の奇行に巻き込んでしまったお陰で超高レベル。今更こんなの何でもないはず。残念だったなぁ選択肢ィ……!

 

ピコン!

 

「猫ですニャン♡飼ってほしいニャン♡」

 

「……」

 

(´・ω・`)

 

「……」

 

(´;ω;`)

 

「……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ハハ! 面白い冗談だな!」

 

(●´ω`●)

 

 

一時はどうなる事かと思ったが、やはり俺の目論見に間違いは無かったようだな! 俺達の友情パワーの勝利だ!

 

「ほら、猫ちゃんよしよ〜し! なんちゃって!」

 

はわわ///(*>_<*)

 

なんとクレタが背伸びして頭を撫でてくれた。ふふ、この頭は一生洗わなくても良いだろう。

 

 

◇

 

 

ちらりと隣を歩くクレタを見る。夕日に照らされたその姿は、人生の帰路の半分以上を共に歩いた今ではお馴染みのものだ。……半分以上、ずっと一緒に居たんだよな。

 

「クレタは、社長に専念するんだろう?」

 

「ああ。本格的に学生生活と経営の両立が厳しくなってきたからな。うちも従業員が増えて、段々規模が大きくなってきたし。それに、元々中学を卒業したら専念するつもりだったんだ」

 

そう、クレタは卒業したら、社長として経営に専念するつもりなのだ。ご立派ぁ! そして正直に言おう。俺は卒業したら白祇重工で働きたい。けれど、母さんと父さんの願いも無碍にしたくない。心が二つある……。二つ……お尻と同じだ……!

 

「でもまあ、ちょっと惜しいけどな」

 

クレタは小石を蹴りながら言った。惜しいって何がだ? もしかしてケツは二つじゃないとか? まあ二つで一つみたいな所あるもんな。

 

「なんか変な事考えてないか?」

 

「いや全然」

 

「そっかぁ……」

 

「で、実際何が惜しいんだ?」

 

私、気になります!

 

「……あー、なんというか。

 

 

お前と離れるのは結構惜しいなって」

 

"ずっと楽しかったからな"と続けたその顔の赤らみは、夕焼けのものではないだろう。そうか。お前と離れるのが惜しい、か。

 

ドドドドドドド

 

「ん? 地震か?」

 

鼓動(トキメキ)だよ。俺のな。

 

フッ、まあ落ち着け俺。落ち着いてさっきの話を整理しようや。一瞬俺と離れるのをクレタが残念がっているような言葉に聞こえてびっくりしたが、その文を整理すると真の意味が浮かび上がってくるだろう。

 

"お前と離れるのは結構惜しいな"

 

まず文脈的に、クレタの言う"お前"とは、俺の事を指していると解釈して相違ない。

 

つまり"お前と離れるのは"という事は俺ことクロト、つまり俺と離れるのはという意味。

 

で、"結構惜しいな"。この言葉を多角的視点から見てみると、"惜しい"という感情が見えてくる。

 

ということは

 

"お前と離れるのは結構惜しいな"というクレタの言葉からは、"俺と離れるのをクレタが残念がっている"という事が読み取れる訳だ。*2

 

やれやれ全く、そういう意味だったのか。一瞬俺と離れ離れになるのをクレタが残念がっているのかと思ったぜ。

 

全く……

 

 

〜〜〜

 

 

「ママー! みて! おりがみおったよ! なにかわかる?」

 

とある休日の昼下がり。新築の白い一軒家に少女の声が響いた。

 

「おお! 上手な鶴だな」

 

「えへへ! せいかい! つるさん!」

 

そう嬉しそうな声を響かせたのは、母親譲りの燃えるようなオレンジの髪が特徴的な幼い少女。俺とクレタの娘だ。

 

差し出されている鶴は少し形が不格好で、何度も折り直したのか皺も多い。しかし、親にとっては世界で一番素敵な鶴だ。折り紙に刻まれた娘の営み、その全てが愛おしい。

 

「いつの間にこんなに手先が器用になっちまって……」

 

「わたし、おとなになったらはくぎじゅうこうではたらくからね!」

 

「はは、そうなったら会社は今の百倍大きくなるな!」

 

二人が親子の団欒をしている姿を眺めていると、自然と頬が緩んだ。紆余曲折があったものの、クレタと築いた温かな家庭。二人の笑顔だけで、これまでの全ての苦労が報われた気がする。

 

「ふふ……」

 

これが幸せというものか。なんて感慨に耽っていると、トコトコと我が娘が近づいてきた。

 

「ねぇねぇ、パパもなにかつくって!」

 

ふ、ここは親として娘の期待に応えねばなるまい。

 

 

〜〜〜

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はは、パパは手裏剣作っちゃおうかな」

 

 

「?」

 

おっと。俺としたことがうっかりクレタと二人で幸せな家庭を築くところまで想像してしまった……。全くうっかりさんだな。そんな俺にも理解のある妻と娘がいます。*3

 

「すまない、つい未来に思いを馳せてしまってな……」

 

「そんなに真剣に考えてるのか……。しっかりしてるな」

 

「フッ……

 

 

 

 

 

 

 

 

否定はせん」

 

「カッケェ……!」

 

はは、そんな顔されちゃあ君との結婚生活を勝手に想像してたなんて言えないな。どんな顔でも言えないけど。というかあれが愛の告白じゃないってマジ? 人類の敗北だろ……。

 

「ま、何はともあれ、お前が悔いのない選択が出来るといいな! ちなみに白祇重工は暫くは……後三年〜七年くらいは絶対安泰だぞ!」

 

!

 

三年〜七年……振れ幅がデカすぎる。高校から四年制の大学までバッチリ! ストレートで卒業できればの話だが。*4どうやらクレタには俺の悩みがバレバレだったらしい。気を遣ってくれてまあ……これが社長の器ってやつか。

 

クレタァ! お前は俺にとっての新たな太陽(ひかり)だ!*5

 

 

……結婚生活の下りはバレてないよな?

 

 

 

 

 

ゴゴゴゴゴゴ

 

 

 

 

 

 

「ああ! バレてないぞ!」

 

よかった。なんかクレタの顔が赤い気がするけど多分気の所為だ!

 

「ありがとうな。なんか気遣ってくれて」

 

「へへ、それはこっちのセリフだ。ホロウ修行を手伝ってくれたお陰で協会からブレイカー*6に認定されたし、なによりお前がグレースを手伝ってくれたお陰で、うちの規模が大きくなれたんだからな!」

 

どうやら俺は、いつの間にか白祇重工の発展に貢献していたらしい。はぇ〜? 何の話かにゃ? 本当に心当たりがない。にゃん。

 

「それは本当です?」

 

「ふっ、お前の事だから、そうやってとぼけるのは分かってた。けどしっかり伝えとく。じゃないとあたしの気がすまねぇからな」

 

"ありがとう"

 

……よく分からんが、感謝されるならそれに越した事はないな。ハッピーハッピーハッピーってやつだ。やったぜ。

 

「えへへ」

 

「ま、真剣な話はこれくらいにしようぜ。明日は何する?」

 

「そうだな……」

 

 

夕焼けが差す住宅街を、ああでもないこうでもないと笑い合いながら、二人で歩いた。

 

「それじゃ、明日は地下鉄駅に集合な!」

 

「ああ」

 

 

 

◇

 

 

翌日

 

クレタは来なかった。

 

 

 

 

 

ウィ〜ッス! どうも、クロトでーす。今日は遊び(オフかい)当日なんですけども、参加者は、誰一人来ませんでした。誰一人来ること無かったです。

 

一体何が駄目だったんでしょうかね〜。

 

今日は二人で六分街に行く予定だったんだぜ。ゲームしたりラーメン食ったりするんだぜ。そしてビデオ屋で店長のオススメ映画を借りて帰って観るんだぜ。楽しみだったんだぜ。

 

遅れる時は必ず連絡をくれるのに。何かあったのかもしれない。

 

【このまま待つ】

 

【クレタの家に行く】

 

う〜んどうすっかなぁ……。迎えに行ったら入れ違いになってしまうかもしれないし……。一旦このまま待つか。

 

 

〜一時間後〜

 

 

「……まだ来ないな」

 

何処にいる? って送っても返信が無い。

 

【このまま待つ】

 

【クレタの家に行く】

 

う〜ん、このまま待つのはちょっとな。クレタの家に行ってみるか。

 

 

 

◆

 

 

 

「のどかな〜住宅街を〜抜けると〜♪

そこには〜クレタの〜家〜♪

イェ〜イ♪」

 

ピンポーン

 

「クロトで〜す」

 

「おや? ちょっと待っててね」

 

ガチャ

 

「やあやあよく来てくれたねクロト君」

 

*7

 

「おはようございますグレースさん。クレタを迎えに来ました」

 

「……? 迎えに来たって、クレタは君と一緒じゃなかったのかい?」

 

ウェ?

クレタと俺が一緒? ということはこの家にもクレタは居ないのか?

 

「おかしいな。昨日君の家で泊まるから帰らないってメッセージが」

 

!?

 

「クレタって俺の家に泊まったんですか!?!?」

 

疑問が増殖しやがる……。何だ? どういうことだ? 何が起きて……? クレタが家に泊まったのなら俺が気付かない筈がない筈(錯乱)

 

というか昨日の時点で家にいなかったのか。それで俺の家に泊まるってメッセージがあって、でも俺の家には泊まってなくて……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それ、なんかヤバいことに巻き込まれてるんじゃ??

 

「何かがおかしいようだね……!

取り敢えず治安局に電話を──」

 

プルルルル

 

俺と同じ結論に至ったのか、冷や汗を流したグレースさんがスマホを取り出そうとした時、彼女のスマホが鳴った。

 

「ッ! おチビちゃんから! もしもし! 今どこn「クレタ・ベロボーグは預かった。返して欲しければ白祇重工の特許技術を転送しろ。そして知能重機、百万ディニーを指定の場所に届けろ。治安局に通報したらクレタ・ベロボーグの命は無い。二日後、月曜日にまた連絡する。それまでに準備しておけ」待っt」

 

通話が切れ、沈黙が辺りを支配した

 

 

 

 

 

【犯罪に巻き込まれるのはちょっと……。解決するまでドロンですw】

 

【うだうだしてる場合じゃねぇ! 探すぞ!!!】

 

 

ヤバいぜこの状況はヤバいぜ(錯乱)

 

クレタが誘拐。ゆうかい? 夢じゃねぇよな? えぇ??? 上手く、事態を飲み込めない……。というかクレタを誘拐できるってどんな強者なんだよ。結構怖いな? しかもなんかスゲェとんでもない条件突き付けてきたし……。普通に白祇重工が潰れるやつ。

みんな頑張って結構立て直したのに?

 

そんなの駄目だろ(冷静)

 

ハッ!

 

【【犯罪に巻き込まれるのはちょっと……。解決するまでドロンですw】】

 

【【うだうだしてる場合じゃねぇ! 探すぞ!!!】】

 

 

冷静になって気が付いた、選択肢出てたのか。通りで静かな訳だ。けどああ、そうだな。その通りだ! 今はうだうだしてる場合じゃねぇ。クレタを探すぞ! 探すしかねぇ!

 

 

ピコン!

 

「俺、クレタを探してきます!!」

 

ダッ

 

「えぇ!? ちょっと待っ……速いね!?」

 

待ってろよクレタ……! すぐに迎えに行くからな!!!

 

 

◇

 

 

と、いうわけで一時間程クレタを探したわけだが……

 

〜〜〜

 

路地裏にて。

 

ザッ!

 

『クレタ!?』

 

『にゃ〜ん』

 

なんだ猫か……

 

 

ザッ!

 

『クレタ!?』

 

『ワンワン!』

 

なんだ犬か……

 

 

ザッ!

 

『クレタ!?』

 

『あら、久しぶりじゃない!』

 

なんだ痴女(ニコ)か……

 

『ぶっ飛ばすわよ!?』

 

〜〜〜

 

 

「何も手がかりがねぇ!!」

 

くそぉ何もわからん! というか俺の捜索方法は合ってんのか? 路地裏を探してはみたが。俺、行方不明になった親友を探すの初めてだから分かんねぇや……。

 

いや本当にどうしたもんかな。取り敢えず、もう一走りしてみるk「フッフッフッ……お困りのようだね、お兄さん」

 

!

闇雲に街を走り回ろうとした俺に、背後から声がかかった。

 

「具体的には"誘拐された親友を探そうと飛び出したは良いものの、どこを探せば良いのか分からない"って感じで困ってそうだね!」

 

スゲェ全部当たってる。脳内エスパーか?*8 というかなんだか聞き覚えがある声だな。

 

「まさかその声は」

 

「えへへ、久しぶり!」

 

俺が振り向くとそこには、かつてクリティホロウでヤケを起こしていたところをなんとか説得して止めさせた相手

 

「トリシノだよ!」

 

トリシノがいた。本当に久しぶりだ。あの頃よりも背が伸びているな。感慨深い。

 

金髪でショートカットのサラサラヘアー。可愛い。

 

だが男だ!

 

色白の肌にパッチリした大きな目、長いまつ毛に小さな顔が相まって、とても可愛らしい。

 

だが男だ!

 

完全に活発な美少女にしか見えない。

 

だが男だ!

 

(S)he is so cute!

 

だが男だ!

 

「久しぶりだな。でもなんでここに?」

 

「いやぁ、街を歩いてたらお兄さんが人を探してる顔で走ってたから、一緒に探そうかなって。僕、治安官の息子だし、治安官志望だし!」

 

はぇ〜

 

「今は飛び級して治安官の専門学校行ってるんだよ!」

 

???

 

君、三年前俺と出会った時は小学二年生くらいじゃなかった??? まさかの超天才ヤローじゃったか。あの幼気な(美)少年が、ね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

オリキャラだからって滅茶苦茶やり過ぎだろ……。*9

 

 

まあ正直その申し出は滅茶苦茶ありがたい。こっちはド素人で捜査のノウハウをなんも知らんからな。けどな〜

 

「申し出はありがたいんだが、今回は少しな……」

 

ただの人探しじゃなくて誘拐事件だから、もしかしたらお前に危険が及ぶかもしれないんだよな。猫の手も借りたい状況だし一刻も早くクレタを見つけたい。だが、飛び級したと言っても年齢的には小五の子供だろう? そりゃあ駄目だって。巻き込むわけにはいかないって(転生者並感)

 

ここは断らざるを得ないな。折衷案として何処をどう探せば良いかだけ教えて貰おう。

 

「って、考えてそうだね」

 

読まれた!? 心を!(倒置法)

最近の俺心読まれ過ぎでは? まだまだ心眼が足らんか。

 

「僕はね、"覚悟(エゴ)"を持って一緒に探そうって言ったんだよ」

 

そう言ったトリシノの佇まいは身に覚えがあった。同じなんだ。こいつを助けようとした時の俺と。

 

「僕のお父さんは治安官で、困ってる人を助ける皆のヒーローだった。そんな姿が大好きで、だからこそお父さんを亡くした時は自暴自棄になっちゃったんだけど。でもその時、見ず知らずの僕を助けてくれた人がいたんだ。そう、あなただよ、お兄さん。僕はね、そんな二人の姿に憧れたんだ。"いつかああなりたい"って」

 

憧れは理解から〜なんて、茶化せる雰囲気じゃないな。いや俺の場合はそんな大層なもんじゃないんだけどね。結構頑張ったけど。

 

「それから目の前で困っている人がいれば助けるようになって……そして今、僕の目の前で、あなたが困っている。僕は、あの日憧れた"いつか"が今この瞬間だと確信してるよ。だから助けないって選択肢は無い。そこにどんな危険が待っていたとしても、ね」

 

……お前本当に成長したなぁ。だがそれでも、俺はその提案を断r「僕はいつだって全裸になれるよ」ギュッ!(鋭い眼差し)

 

な、なんて据わった目をしてやがる……。俺を助けるためなら俺を殺すことを厭わないかのような目だ(矛盾)

 

確かにお前の協力があれば俺は超助かりそうだ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

だが断る*10

 

 

 

【オッスお願いします!】

 

【俺を死刑にしてください】

 

三権分立!! せっかく意地張ったのに邪魔してんじゃねぇ! 命は大事にしろ! 【上】だコラァ!!

 

「オッスお願いします!」

 

「任せてよ! 

 

 

 

 

じゃ、今から僕の事は"シノ"って呼んでね! お兄さん!」

 

なんでそんな事する必要があるんですか?

 

「身バレ防止の為だよ!」

 

あ、そっかぁ……。確かにそれは大事だな。犯人に本名がバレたら危険が危ない。

 

「うんうん本当にね! 別に家族にしか呼ばれてない呼び名をお兄さんにも言って欲しいなんて思ってないから!(全体的に嘘をついていなさそうな目)」

 

ふっ、みなまで言うなよ。こんな目をされたら信じるしかないだろ。じゃ、捜索にイクゾー!

 

デッデッデデデデ!

 

 

 

 

◇

 

 

 

──シノの捜査力は本物だった。

 

 

身元が割れないための変装、最後に俺がクレタを見た地点の周辺住民に聞き込みを行い、足取りを追った。そして目撃証言が途絶えた場所の周辺をくまなく捜査。派手さは無いが地道に足を使い、焦りを抑えて静かに粘り強く取り組んだ。そうしてすっかり日が暮れて来た頃

 

「これは……ブレイカー認証バッジ?*11 なんでこんなところに……」

 

!!

 

この前クレタはブレイカーに認定されてバッジを貰ってた! そしてあいつの足取りが途絶えた周辺に認証バッジがあったということは……!

 

「クレタの物である可能性が高いな」

 

ついに手がかりを発見したようだな。

 

「ちょっと貸してくれ」

 

「うん」

 

俺はそのバッジを受け取り匂いを嗅いでみた。成る程、地面に置かれていたせいでアスファルトの匂いが混じっているが──お日様の香りがする。クレタの物で相違ないな。

 

「うん、これはクレタの物だな。ということは誘拐はここで発生したということか。ありがとう、ついに手掛かりが見つかった! ……ん?」

 

気のせいかな

 

「何だか遠い気がするんだが」

 

「はは、気の所為じゃないかな?」

 

「あ、そっかぁ……」

 

気の所為なら仕方ない。

 

「でも、このバッジからどうやってクレタさんの居場所を辿ろうか。一番いいのは治安局を頼ることだけど、でも……」

 

「ああ、もしバレたらクレタの命が危ない。今だって細心の注意を払いながらコソコソ動いてるからな」

 

治安局の訓練された犬ならここからクレタの匂いを辿ってくれる気がする。が、迂闊に頼れないとなると……。

 

あれ、割と詰んでる??

いや、治安局は極秘作戦で悟られずに凶悪犯を捕まえる事もあっただろうし、飛び級したとはいえまだ学生のシノや一般人の俺とではノウハウが違うはずだ。

 

う〜ん、今のままなら誘拐犯にバレる事は無いだろうが、バレたらヤバい。クレタが殺される事は無いだろうが、こっちの命がな。どんな方法を使ったのか知らんが、クレタを誘拐できる奴らの実力を楽観的に見れない。でも最悪クレタを見つけられずに白祇重工は潰れ、多くの人が路頭に迷う事になる。皆の苦労が誰かに奪われて水の泡だ。

 

「う〜ん……」

 

けど治安局に協力してもらえば居場所が分かるかもしれない。しかしもしバレたらクレタが死ぬ。犯罪者がどんな情報網を持っているのか未知数。複数なのか単独なのか。結構な賭けになるな。

 

……クソ、悪い事ばっかり頭に浮かんでくる。本当はバレないのかもしれないし。

 

「う〜んんん」

 

というか何で皆の努力を踏みにじるカス共に怯えて頭を悩ませなきゃいけないんだよ全く。とか思ってる場合じゃなくて、どうするか考えなきゃな。

 

「う〜んんんんんん……」

 

……八方塞がりだわ、これ。どうすんの???

 

「ンッナッナッ……ンナンナ!(フッフッフッ……お困りのようですね!)」

 

突如後ろから響いたボンプの声!*12

 

「お、お前は!」

 

「ンナナ! ンナ!(お久しぶりですね! クロトさん!)」

 

「ビルド!!」*13

 

*1:
カーン!が入っている。+114点

*2:
一巡した世界

*3:
いません

*4:
やめて差し上げろ

*5:
サブタイ回収

*6:
撃破戦術においてずば抜けた実力を持つと認められた者

*7:
開かれた扉から、女神が現れた。少しだけ、オイルの匂いが香る。肩ほどまでの黒髪を一部後ろで結った触角ヘア。陶器の様に白い、柔らかな肌。上半身はファスナーの付いた黒いブラトップ一枚という軽装。けれど下半身は、スキニーパンツの上に重なるように黒い布を腰に巻いていた。曲線と曲線。豊満な胸と、なだらかなくびれ。しかし非常に大人びた身体に反して、彼女の顔は少し幼さを感じさせた。それは、彼女のあり方・意思の表象のように思われる。幼子の様な純粋な心根。自分が携わる分野に関して優れているという自負。それは自惚れではなく、確かな実績と評価に基づく当然の帰結である。大切な人を失って悲しむ人が増えないようにとの、慈愛の心。その目のオレンジは、彼女が燃やす情熱と意志が反映されているかのようだ。その道を歩む彼女に幾多の困難が襲い、それでも彼女は進んでいった。白を覆う黒。しかし白は失われない"高潔"。まさに慈愛の女神の体現。しかし彼女は神ではなく、矜持と責任、慈愛と博愛を持ち、良き現実を作り上げる為に一刻一瞬を藻掻く一人の人間なのである

*8:
エスパーなんて大体脳内

*9:
お前じゃい!

*10:
状況一致率七〇%

*11:
撃破戦術においてずば抜けた実力を持つとホロウ調査協会から認められた者だけが得られるバッジ

*12:
白祇重工、ボンプ、DecideZoneZero……まさか!

*13:
誰だよ




ビルド……一体何クタが改名した存在なんだ……!?
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