Decide Zone Zero   作:犬咲夫藍

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おまたせしました……


二八話 スクラップアンドビルド

八方塞がりで途方に暮れていた俺に、突如掛けられたボンプの声!*1

 

「お、お前は!」

 

「ンナナ! ンナ!(お久しぶりですねぇ! クロトさん!)」

 

「ビルド!!」*2

 

「お兄さん、このボンプちゃんは誰なの?」

 

ふっ、説明しよう!

 

「数年前*3、俺とクレタは闇のボンプ売買の被害者であるこのボンプを助けたんだ」

 

「ンナ……(あれは壮絶な一日でした。クレタ社長とクロトさんは見ず知らずの僕を命懸けで助けてくださって……)」  

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふふ、だろうね」コウホウウデクミ

 

なんでシノは誇らしそうなんだ? というか何でちょっと後ろに下がった? 何で腕組み??

 

「ンナナ……(そうして助けて貰った後、僕はクレタ社長に引き取っていただき、"ガラクタ"改め、"ビルド・ドモヴォーイ・ラプンツェル・ラセン・フォアグラ"という新たな名前を授けられたのです)」

 

〜〜〜

 

『ガラクタの雇用が決まったのはいいけど、その名前はちょっとな……新しい名前を付けてもいいか?』

 

『ンナ……!(良いんですか!? 是非お願いします!)』

 

そして命名タイムが始まった。

 

『ラセン! ドリルのラセンはどうだ? 超熱いだろ!』

 

『いや、ラプンツェルがいいと思う』

 

『ドモヴォーイ!』

 

『あー……フォアグラ……いや、忘れてくれ』

 

【作る、創造するって意味のビルドだ!】

 

【✝漆黒の迸る虎(ブラックタイガー)✝】

 

俺は当たり前に【上】を選んだ。

 

『作る、創造するって意味のビルドだ!』

 

『ンナ! ンナ!(全部皆さんが考えてくださった大切な名前です! 全部乗せでお願いします!)』

 

〜〜〜

 

ふふ、懐かしいな。今でも思うよ、✝漆黒の迸る虎(ブラックタイガー)✝は無いだろって。海老じゃん。

 

「でもビルドはなんでここに」

 

「ンナ! ンナ!(実はクレタ社長の捜索と治安局への通報を志願したのです! 普段寮長として働いている僕は外部に顔が割れておらず、捜索を勘付かれないはずなので!)」

 

なるほど。事前に位置情報を割り出してから治安局に突入してもらう電撃作戦か。それならバレる可能性は殆ど無いように思える。顔バレについては確証は持てんが。

 

「しかしそんな危険な事、よく志願したな」

 

「ンンン、ンナ!!(えへへ、今こそお二人に助けていただいた恩に報いる時だと思ったので!!)」

 

ビ、ビルド……!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふふ、分かるよ」コウホウウデクミ

 

シノさん??

君はさっきから何をしとるんだね。

というか一回後ろに行ったのに、なんでもう一度下がる必要があるんですか?(名推理) そのままだと車道に出て危ないから戻って来なさい。

 

 

閑話休題

 

 

気を取り直して……どうやらビルドが助けたいのはクレタだけじゃないらしい。俺の事も助けたいと。凄くありがたい。正直今涙こらえてます。感動で。涙こらえてます。

 

「ビルド、ありがとうな」

 

「ンンン! ンナ!(えへへ、別に当然の事ですよ! それでは早速追跡を始めましょうか!)」

 

フンスと腕を掲げたビルド。いやぁ可愛いね。だが俺達が今直面している問題は人手の多さで解決するようなものじゃない……。

 

「あー……ちょっと言い辛いんだけど」

 

「ナンナン?(何でしょうか?)」

 

「勿論捜索を続けたいんだが、俺達は今どん詰まりの状態でな……」

 

「ンッナッナッ……ンナ! ンナナ!(ふっふっふっ……分かっていますよ! クレタ社長の居場所の手がかりを見つけたものの、良い追跡方法が思いつかないのでしょう!)」

 

「大正解だぜ泣」

 

「ンナ!(しかし今は違います!)」

 

え?

 

「ンゥ!(不思議に思いませんでしたか? 何故僕がクロトさんの元まで辿り着けたのか……!)」

 

何故適合手術を受けずに変身できたのか……。何故変身後に頭痛がするのか……。*4

 

「まさか! 君には匂い追跡モジュールのようなものが搭載されているってこと!?」

 

「ンナ!! (そうその通り! 実は僕には匂い追跡モジュールが搭載されているのですなんで先に言っちゃうんですか!!)」

 

「あ、ごめんね! 当てちゃった……」

 

これが治安局学校飛び級入学者の実力ですか。大したものですねぇ。しかも男の娘属性でバランスも良い。

 

「そうか、匂い追跡モジュール……。しかしいつの間にそんなものを?」

 

「ンナ!(実は以前に、もしも従業員の皆さんがホロウ内で行方不明になった時に探せるようにと、グレース技術長から!)」

 

グ、グレースさん!!

 

「ンナ! (そしてこれを使用し、ここまで辿り着いたのです!)」

 

ビルドが取り出したのは、自転車のサドルだった。しかも俺の。

 

「……? ……??」

 

ほんまごめん。理解が追いつかない。

 

「これは……自転車のサドル?? クレタさんのやつかな?」

 

あぁ、成る程ね。そりゃそうだよな。俺の自転車のサドルがこんなところにある筈がない。これは恐らくクレタの物で、そこから匂いを追跡したんだろう。

 

「ンナ(あ、いえこれはクロトさんの自転車のサドルです。これでクロトさんの匂いを追跡しました)」

 

「ふぇ!?///」

 

はぇ〜やっぱり俺のなんだ。……なんで??

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ンナ……。ンナ。ナ(土曜日なのでクレタ社長の私物は殆ど洗ってしまい、鞄も誘拐された故に無く、どうしたものかと頭を悩ませていましたが……。発想の逆転でクロトさんの下に辿り着ければいいのではと。恐らく何らかの手掛かりを掴んでいるはずなので)」 

 

過大評価が凄いな君は。一人だと大分何もできてなかったぞ俺。だが良い発想だな。

 

「そ、そうなんだね……///ちょっと触ってみても良いかな??」

 

なんでシノは顔を赤らめてんの??

 

「ンナン(勝手に持ち出して恐縮ですが、これはクロトさんの所有物です。クロトさんに聞いてみましょう)」

 

筋の通った変な理論だ。

 

「確かにそうだね。お兄さん、いいかな///」

 

聞くな、シノよ。駄目に決まってるだろ。

 

「いいよ」

 

良くないぞ俺の口よ。混乱し過ぎてなんか出力する言葉間違えたんだけど。訂正させてください。

 

「はぅ……お兄さんの、硬くておっきい……!*5

 

はい訂正する間も無く文字通り掌握されました。恥ずかしいから止めてくれ本当……。というかその反応何?? サドルだよ?

 

【欲しいならくれてやる。大切に使え】

 

【そのサドルを俺だと思って大切に扱えよ】

 

 

どっちにしろあげるしかねぇじゃねぇか!

 

 

いやいやいや! 全然駄目だから! 普通に困るって! てか何でサドルを欲しがんの!? サドルだぜ!? 俺の!

 

まさかこいつ、この場でたった一人の変態さんなんじゃ……!

 

ん?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……」ジッ

 

シノの奴、よく見たらサドル持ちながら俺の方見てない? 時が止まってるのに今にも襲いかかってきそうな気迫を感じるんですけど怖いんですけど!

 

いや、待てよ? もしかしてこいつ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

サドルのことが滅茶苦茶大好きなんじゃ?

 

……なんてことだ、自分で言っててなんだが滅茶苦茶しっくりくる。ふふ、どうやら今日の捜査でシノの推理力が移ってしまったようだな。

 

ヨシ、全裸の覚悟で協力してくれてるんだ。俺のサドルで喜んでくれるならあげよう。また買えばいいんだし。

 

 

ピコン!

 

「欲しいならくれてやる。大切に使え」

 

「えっ! いいの!? やったー!」

 

俺がサドルを渡す旨を伝えると、シノは幼児のように屈託の無い、朗らかな笑顔を見せた。さっきまでの気迫が嘘の様だ。

 

「ンナ!(シノさん、良かったですね!)」

 

「えへへ、うん!」

 

そんなに喜んでもらえるならこっちもあげた甲斐があるってものだ。

 

「しかし、シノが生粋のサドルマニアだとは思わなかったな」

 

「え?」

 

「また今度機会があればプレゼントするからな」

 

「いやちが「ンナ!(お待たせしました! 解析完了です! 匂いを辿りましょう!)」

 

「でかした。ヨシ! 行くぞ」

 

「……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そうだね!」(まあお兄さんからプレゼント貰えるなら何でも良いや!)

 

Happyend!

 

 

 

 

で、クレタの匂いを追跡して歩いた訳だが。

 

「……本当に、匂いはこの先に続いているんだな?」

 

「ンナ……(残念ながらそうですね……)」

 

匂いを辿った先は、結構大きい共生ホロウだった。確かにここなら潜伏にうってつけだ。

 

「一応こんな事もあろうかとキャロットを持ってきてたけど……ここまで大きなホロウだと厳しいね」

 

「ナァ……(匂い追跡をしようにも、空間の変異に気が付かず迷子になってしまう危険がありますねぇ……)」

 

「……」

 

どうやら、またもや俺の前に難題が立ちはだかったようだ。……まったく、今回は壁が多いな。まあ俺が素人だからしょうがないけど。

 

人手も装備も能力も、足りひんねんな……。一応ホロウ実習は受けてるが、こんな特殊なケースは想定されてないし(言い訳)

 

【このまま突撃しよう。多分見つけられる】

 

【パエトーンを頼ろう。確実に見つけられる】

 

だから次はパエトーンに頼る! 何となく察してたよ、また壁にぶつかる事をな! その度にシノやビルドが助けてくれたんだ。二度ある事の三度目を起こすってやつだ!*6

 

ピコン!

 

「ここは伝説のプロキシ、パエトーンに頼ろう」

 

「パエトーン? 確かに彼、もしくは彼女ならホロウ探索にピッタリだけど、インターノットで募集するのは犯人にバレるリスクがあるんじゃ? そもそも偽物もいっぱいいるし、タイムリミットまでに本物に連絡がつくかどうか……」

 

「……確かに」

 

どうやら、自分でも気付かない内に大分焦ってたみたいだ。全然そこまで考えれてなかった。最初はあんなに警戒してたのに……。

 

「こういう時は、パエトーンと個人的に連絡を取れる仲介人と出会う事がセオリーだけど。う〜ん、そんな人いるかな……」

 

パエトーンと個人的に連絡が取れる仲介人、か。う〜む……。

 

 

あ、そういえば

 

 

『ぶっ飛ばすわよ!?』

 

 

「丁度良い奴がいたわ」

 

「へ?」

 

取り敢えず路地裏にイクゾー!

 

デッデッデデデデ!

 

 

 

 

 

 

 

チャリーン!

 

「お兄さん、何でいきなりディニー硬貨を「ディニーの落ちた音!!」うわっ!?」

 

「ナンナン!?(何ですか!?)」

 

身を隠すのにうってつけな路地裏でディニーを放り投げたところ、どこからともなくおっぱいホクロ(ニコ)が現れた。

 

「ようニコ。昼ぶりだな」

 

「ハッ!?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

これは、これは私のお金よ! 落ちたんだから! 落ちてたんだから!!」

 

こいつ、正気を失ってやがる!!

 

「分かったから落ち着いてくれ。それはあげるから」

 

「ふしゅー! ディニー! あたしのディニー!」

 

まるで、三日間何も食べられなかった人の前に食料が置かれた時みたいな必死さだった。これを食わなきゃ死ぬかのような、まさに必死の形相。

 

 

「う、うわぁ……」

 

「お前、この数時間の間に何があったんだよ……」

 

「ふへへへへへへへへへ」

 

ニコ……強く生きるんだぞ……泣

 

 

 

 

閑話休d「で、何か頼みたい事があってあたしを呼んだんでしょ? 言ってみなさい」

 

うわぁ急に落ち着くな!

*1
白祇重工、ボンプ、DecideZoneZero……まさか!

*2
誰だよ

*3
一一話〜一三話

*4
宝生永夢ゥ!

*5
サドルの事です!!

*6
??




次か次の次の話で開始前終了です!
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