「あ、え、えーと……市民の皆様……こ、こちらは現在十四分街で捜査活動を監督しているヤヌス区治安局長官です。わ、我々は現在、研究所を襲った主犯
「おい赤牙組の○○○○○○ども聞いてるか!? 俺はニュース記者だ! てめぇらすぐに足取り掴んで○○○○してやるからなコラ! そんでお前らの○をお前らの○○○○○○○してやる!」
「ちょ、記者さん落ち着いてくだs「そうですよね長官!」えぇ!? い、いや……コホン。ともかく、現在治安局の航空隊が鋭意調査中で、市民の皆さまにおいては──」
◆
とあるビルの一角にて。
ホロウという空間災害に見舞われる終末世界に残された、最後の灯火たる文明圏新エリー都。裏の世界で、名前の知られたプロフェッショナルがいた。
圧倒的カリスマにしてリーダー。いかがわしい格好は自信の表れ。ニコ!
「嘘でしょこのガラス防弾だったの!?」
いかなる状況でも冷静沈着。強靭な精神と高い戦闘能力を誇る、戦場の白き天使。アンビー!
「私達にこれを破る火力はない。"万事休す"ね」
ロストテクノロジーで作られた全身殺戮マシーン。恐るべき射撃の腕前と人の心を併せ持つ機械人。ビリー!
「うぅ……まさか弾丸が跳弾するなんて……! ガク……」
彼女達こそが、裏社会でその名を轟かすアウトロー集団"邪兎屋"である!
……まあ今はちょっと武装した男達に囲まれてピンチになっているが。
「邪兎屋ぁ。何故……どうして赤牙組の縄張りで盗みを働く? なんで……」
男達の後ろから銀髪の、オールバックの男が泣きながら聞いた。彼こそが赤牙組のリーダー、シルバーヘッドである。
「……くっ、命だけは助けなさい。お金ならいくらでも貸すから」
ニコは苦渋の思いで命乞いを決行した。その内容は彼女が考えられる最大限の権利の譲歩であった。
「あぁ? ふざけてんのか?」
「ッ……。そうよね。分かったわ。無利子で貸してあげる」
「そこは出すんだよ普通! てか最初は利子つけて貸すつもりだったのかよお前は!
くっ、あぁ、なんて言動してんだ。そんなになるまで追い詰められちまって……。こんなことになるなら最初から盗むんじゃねぇよぉ……(泣)」
シルバーヘッドは泣き崩れた。
「「「ボス!」」」
「くそっ、ボスをこんな目にあわせるなんて……」
「研究所襲って金庫奪ったくらいで血も涙もねぇ……!」
「どうしてこんなヒデェことができるんだ! ニコ!」
「いや、研究所から金庫を盗み出したのはあんたたちでしょ! あたしたちはそれを取り戻す依頼を受けただけ! なんでこっちが悪いみたいになってんのよ!」
ニコは激怒した。必ず、その謂れなき
「この……バカ野郎ォ! うちの縄張りでんなことされたらほっとけねぇんだよ! その金庫返してくれよぉ……」
シルバーヘッドは涙した。言葉の通じぬ獣に対して人の道理を説く無力感に苛まれていた。被害者面である。
「はぁ、話が通じないわね……。ん? ねぇアンビー。ビリーの側に立ってる奴がぶら下げてるのって……」
「GSⅡ型高ルーメン軍用閃光弾ね。爆発するとすごく眩しいわ」
「へぇ……。なら、ちょうどいいわね。やっちゃいなさいビリー!」
「っ頼むから目ぇ閉じるなよ!」
「なにっ」
"チーズ!"その言葉とともに、部屋中を眩い光が照らした。
「「「うあああああああ! 目が! 目がぁ!!」」」
「はいざんね〜ん! ざまぁ見なさいお馬鹿さん達〜! って、もう見えないんだったわね! ほほほほほほ!」
「てめぇ……もう殺すしかなくなったなぁ!!!」
もうすんごい煽るニコにブチギレたシルバーヘッドは即座に体勢を立て直し、刀を振り上げて走り出した。しかし
「ほほほほほ! 勘違いしないで、節穴のおっさん。あんたの相手はあたしたちじゃなくて……」
瞬間、一筋の光が部屋に差し込まれた。
「あっちだよ〜」
背後に浮かぶヘリコプターを指差し、ニコは得意げである。
「長官、こちらフクロウ4、正体不明の発光地点にて赤牙組を発見。指示を」ザザー
「て、テメェ……最初からこれを狙って……!」
「やっと気がついたの? じゃ、選びなさい。このままあたしたちとやり合って治安局に捕まるか、それとも撤退してみーんな安全に乗り切るか」
一転攻勢の膠着状態の中、ニコは自らの勝利を確信していた。もうここから負ける方が難しい。ここから負ける方法を考えられる者には、新エリー都最高の賢者の称号をあげたいと考えるくらいには調子に乗っていた。
もう何も怖くない!
「くっ……」
そんな最中、室内のテレビからレポーターの声が聞こえてきた。
「なにぃ? 赤牙組を追い詰めた!? だったらそこからやる事は決まってるよなぁ長官!? 最大火力で……正──義──実──行──だああああ!!!」
「「「──え?」」」
「フクロウ4、攻撃命令を確認」ザザー
ヘリコプターから無慈悲なミサイルが放たれ、部屋の中で爆発した。全員、成す術なく爆風に吹き飛ばされていく。
「後でクレームを出してやっからなあぁぁぁぁぁ!?」
そんなビリーの叫び声はホロウに消えた。
◆
「ってなわけで、二人と金庫の捜索を助けてほしいの! 一生のお願い!」
あるビデオ屋のスタッフルームに、そんな慌てた声が響いた。声の主は相当に急いでいたようで息を切らしている。
「こんにちはニコ。前から言ってるように、ちゃんとノックしてから入ってくれると助かるな」
「月に三回は聞くよねぇ。ニコの一生のお願い」
だがしかし、落ち着いた雰囲気の青年と、快活な印象を受ける乙女は、慌てた依頼人に対して余裕の態度を滲ませた。親しげな柔らかい雰囲気の中には、己の能力に対する確固の自負を元にする、職人のような凄みが通っている。そして
「うっ……。くっ、好きなだけからかってくれていいから、この危機を乗り越える為に力を貸して! 伝説のプロキシ──《パエトーン》!」
仲間の命とプライドがかかった必死の頼みを前に彼女達は
「「──今度は何をやらかしたのかな、ニコ?」」
確かな慈悲と責任感を持って答えた。
流石原作主人公だぜ。ふふ……
俺、ただの一般人なんですけど全部聞かなかった事に出来ませんか???*1
はっはっは! やあみんな俺だ。
扉番のボンプが扉閉めようとンナンナ頑張っている姿は可愛いよな。まあ閉めれてないから全部丸聞こえなんだが。それじゃ。
【やはり共生ホロウか。いつ出発する? 私も同行する】
【頑張れの舞を踊る】
ふぁっく、ゆー。べりーべりー。Fuck y○u。
俺この後バイトあるんすけど。エレンの代わりにシフト入ったんすけど。意外とあんまり時間無いんすけど。
クソっ、"折角ビデオを借りたは良いものの、一度タイミングを逃して以降返却期限ギリギリになるまでなんか見る気を失ってしまう病"がここで響いてくるとはな。*2
お陰でバイトが始まる前にここにくる羽目になって……。高校一年生にもなってこれですか。
いやてか、前世も含めたらもっと……。うん、これ以上は辞めよう。脳味噌が若いから仕方ない。
まあ同行は絶対無しだな。だってそりゃあちょっとねぇ、もう働くってレベルじゃねぇぞおい。*3
世間は許してくりゃあせんよ。*4
そもそも俺行く必要ないし。名だたるプロの集まりだし。
ここは申し訳ないが、こっそり頑張れの舞を踊ってひっそり帰ろう。すまんな。俺にはそーりーそろーりー立ち去ーりーしか道はないんだ。
ピコン!
俺の身体は勝手に踊り始めた。
( ゚∀゚)o彡°ガンバレガンバレ!
_(:3」∠)_ 彡 _(┐「ε:)_ガンバレガンバレ
ヽ(´ー`)ノガンバレー!
ちょっと外の状況を確認してくるよ。不審者がいないか警戒しないt」
∠( ゚д゚)/ ガンバレキメポーズ!
あ
「「……」」
「不審者だああぁ!?」
瞬間、身体の自由が戻った。
いや今戻されても困るんですけど!?
くっ、見てみろよ兄の方のパエトーンの顔を。本当に焦って怖がってるぞ……。 経営者であり、ホロウにて数々の修羅場を見てきた筈の青年をここまで動揺させちまって。
こうなったら……
踊り続けるしかねぇ!!*5
(゚∀゚)アヒャ
ヘ(゚∀゚ヘ)アヒャ
(ノ∀`)アチャ
(゚∀゚ノ)ノキャー
Σヽ(`д´)ノ ガンバレー!!
「?……??……???」
ヽ(´ー`)ノガンバレー
ω・`)ノガンバッテー
そして俺は踊りながら退店した。
空を見上げると、太陽が燦然と輝いて、広がる青を蒼とし、厚い雲の陰影を照り映えらせていた。ああ、なんて綺麗なんだろう。
澄み渡ったこの雄大な空の下だと、人がなんともちっぽけな存在であると感じる。
ああ、さっきのパエトーンの顔を見るに、情報量を極限まで高めることで脳をショートさせる作戦は成功したのだろう。情報と一緒に俺の尊厳的な何かまで飛び出していったように思われるが。
ま、なんとかごまかせ「てないわよ! ちょうどいいからあんたも手伝いなさい!」
後ろからニコの声が響いてきた。どうやらあいつには俺の天才的な機転が通用しなかったらしい。
くっ、その肌面積が功を奏したようだな(?)
答えは一つ。全力ダッシュ以外ありえない。
「この後バイトあるから無理!! それじゃあ!!」
「ちょ! 待ちなs……はっや……」
はっはっはっ!
待ちません。
「きゃっ」
あ、エレンとすれ違った。
〜数日後〜
拝啓。終末世界でお過ごしの中学の同級生の皆。同窓会を間近に控えている中、調子は如何ですか?
「はわわわわ」
「お、落ち着くんだカリンちゃん。まだ慌てるような時間じゃななななななななな」
ごめんなさい。同窓会には行けません。俺は今、デッドエンドホロウにいます。
そしてキャロットを持った仲間達とははぐれました。
「ォオオオオ!!!」
「ででででも、あれってデッドエンドブッチャー*6じゃ……」
「あわわわわわわわわ」
もう一度言います。
同窓会には行けません泣
助けてください泣
同窓会早すぎ問題。