石堂シュウ「私が…初星学園のプロデューサー…?」   作:のーば

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3年生イベント良かったですね……星南さん……………



第7話「嵐のあと」

 

──初星学園 学園長室

 

「と、いうことで。仮ではありますが防衛隊の配備が承認されましたので、ご連絡です。今後の災害発生時の連携についても迅速に取り組めるように交渉中です」

「うむ、初星学園としても、出来る限りの支援をさせてもらう予定じゃ」

 シャゴン案件があった翌日。早速、怪獣災害発生に伴う防衛隊の配備や、天川市の広域避難所となる初星学園との連携について、概ねの方針がまとまり、学園長にその事を報告しに来ていた。

 初星学園はあくまで市の一団体でしかないが、広域避難所として市内でも密接に連携をする必要がある、ということで、学園側からも支援する方針となった。これからはより学園側とも話を進めていけるので、自分としてはありがたい。

「諸々後手の対応になってしまって申し訳ございません。ご不在でしたのに……」

 昨日、学園長はたまたま仕事で天川市を離れていたらしく、気が気でなかったらしい。確かに、避難所にも見かけなかったが……道理で星南さんもあれだけ焦っていたわけだ。

「ワシこそ謝らねばならん。星南から大体は聞いておる。この短時間で被害を最小限に抑えてもらったのは防衛隊……他ならぬ石堂くんのおかげじゃろう」

「いえ……そんな。結局はアークに助けられてしまいましたから」

「……ワシも見てみたかったのう。人類を守る謎の巨人、ウルトラマンアークを」

「できれば、もう見なくて済むのが一番ですがね……」

 アークが現れるということは、即ち怪獣災害が起きているということになる。ユウマくんが戦う以前に、怪獣災害が起きないに越したことはないのだ。

「うむ。それはその通りじゃな……とにかく、今後もよろしく頼むぞ」

「はい。誠心誠意務めさせていただきます」

「あー……そういえばじゃが、プロデューサー科のほうはどうだね?早速プロデュース契約をしたと聞いておるが」

「そうですね……少し癖のある子だと思っていましたが、どうも放っておけない感じがしてしまいまして。つい、スカウトを。在籍している間に、なんとか支えてあげたいなと思っています」

「おお、すっかりプロデューサーの顔つきではないか。これなら安心じゃな。無理にとは言わんが、うちの生徒を支えてやってくれ」

 思えば、任務のついでの学園長の思いつきにしては、自分はかなり前向きに行動している。本来ならば立場だけを利用するところに、すぐ清夏さんと出会い、知識も半ばながらプロデュース契約まで進んでいるこの現状は、実は随分すごいことをしているんじゃないだろうか。

「こちらこそ、自由にやらせていただいて感謝しています。それでは、また」

 

──初星学園 廊下

「ふう……さて、どうしましょうか」

 プロデューサー科合同の今後の方針決め、学園長への報告も終わり、ようやくひと息つける状況になった。

 プロデューサー科としては、この事態に際して「出来る限り担当アイドルのメンタルケアに務めること」という最低限の決まり事があったのみで、ほかは市内のアナウンスに従う事になっている。

 星元市では怪獣災害が起きた直後でも市内は当たり前のように生活に戻っていたが、それはあくまで星元市だからだ。

 良くない言い方になってしまうが、星元市の対応の早さは怪獣災害"慣れ"をしていたからに他ならない。

 天川市としての対応は市内の安全確認及び簡易復興で数日間を要する状態で、初星学園としては本日は臨時休校となり、殆どの生徒は寮に待機、授業やレッスンも中止となった。尤も、避けられない仕事のために星南さんは走り回っていたようだが……彼女も働き詰めだろう。アイドル以前にまだ学生だというのに……心配だ。

 そんな心配をよそに、私も本日はプロデューサーとしてはオフとなる。防衛隊配備の件で朝早くからあちらこちらを走り回っていたので、防衛隊の仕事も概ね完了している。もはや夕方に差し掛かっているが、珍しくこの後の予定がないのだ。

 こういう時、私は何かをしていないと落ち着かない性分なのだが……まずは、せっかくの余暇だ。学園を出る前にプロデューサー室でコーヒータイムを挟んで、それから考えよう。

 そんな気持ちでプロデューサー室へと向かうと、そこには星南さんの姿があった。

「おや、星南さん。昨日の今日で奇遇ですね」

「あら、調査員さん」

「石堂で構いませんよ。その方が怪しまれなさそうですし……」

「……確かにそうね。石堂さんは災害対応を?」

「ええ、ひと段落ついて学園長に報告していたところです。そういう星南さんは、朝から色々と動いていたようですが」

「ええ……市内の生徒の活動が全てキャンセルになってしまうから、生徒会の子たちの事後対応をしていたの。勿論、私の仕事もあるけれど」

 本来、星南さんも一生徒として待機になっていてもいいのだろうが……やはりそうもいかない、という立場のようだ。

 いくら彼女が生徒会長で学園代表となる”一番星”という生徒を束ねる立場とはいえ、まだ未成年だと思うと、その気苦労は計り知れないものだろう。

 それにしても、星南さんは気づいていないかもしれないが、星南さんの態度が砕けてきている。信頼してもらえたのだろうか。

「今はひと段落といったところでしょうか?」

「ええ、まあ……」

 せっかくだ。私もこれから息抜きをするところなのだから、彼女も誘ってみよう。

「これから少し息抜きにコーヒーでもいかがでしょう。丁度私の部屋の前ですし」

「………… そうね、少し休憩させてもらおうかしら」

 

──初星学園 プロデューサー室

 

「こちらをどうぞ」

「ありがとう」

「……あら、いい香り。インスタントではないのね」

「流石です。手動とはいきませんが、私のこだわりでして。豆から挽いた出来立てですよ」

 流石は"一番星"……ということなのだろうか?学園長の孫娘ともなれば、コーヒーの違いくらいはわかるものなのかもしれない。

「いい趣味ね……いただきます」

 星南さんは優雅に香りを楽しみながらコーヒーを飲み始める。手持ちの豆からなるべく状態の良いものを選んだ甲斐もあってか、しっかりと味わってくれているようだ。

「……うん、美味しいわ。こだわっているというのも頷けるわね」

「ありがとうございます」

 自分のコーヒーを美味しいと言ってもらえるのは嬉しいことだ。今度、清夏さんにも振る舞ってみようか。

「そういえば、気になっていたのですが。生徒会内でもアイドルの仕事があるのですか?」

「実際は生徒会として、というわけではないのだけど……実は、生徒会の1年生のプロデュースをしているの。それで、その子たちの分をね」

「アイドル活動とプロデュース活動を兼任、ということですか。すごいですね……」

「貴方も同じでしょう。早速、プロデュース契約を始めたと聞いたけれど」

「……そうですね。半ば勢いでしたが、やらせていただいています。そういう意味では、星南さんは先輩にあたりますね」

「ふふ、先輩と呼ばれるほど大した経験は積んでいないわ。色々と制限もあるし」

 話を聞くと、星南さんはあくまでアイドル科の生徒ということから、プロデュース活動については厳しい制限を課されているらしい。部外者の自分よりも厳しい制限下でも、しっかりとプロデュース活動をやり遂げているのだから、畏敬の念を感じざるを得ない。

「それだけ後進の育成にも力を入れているのは、何か理由が?」

「そうね……色々と理由はあるけれど、一番は私が去った後の初星に、新しい星を輝かせること……かしら」

「自分が去った後、ですか」

 星南さんは、”一番星”の責務以上に、初星学園への強い情熱があるらしい。自分も、ここ数日でこの学園の生徒たちの空気感を味わってきたが、彼女はその中でも抜きん出ている。これこそが、彼女をトップたらしめている風格なのだろう。

「素晴らしいですね。私も見習わなければ」

「……私も貴方から見習わなければと思っているわ。実際、今こうして一息つけているのは貴方のおかげだもの」

「恐縮です。ですが、それが私の仕事ですから」

「……それだけ責任感があるのなら、きっと貴方の担当アイドルも安心ね」

「そうでしょうか?知識はあらかた仕入れましたが、やはり未経験なものですし」

「……技術や知識はもちろんそうかもしれないけれど、責任感や信じる気持ちみたいなものも重要なんじゃないかしら」

 信じる気持ち、か……確かに、私は痛いほど信じることの大切さを味わってきた。それが意味を持つのなら、誇っていいのかもしれない。

「信じる気持ち、ですか……確かに、そうかもしれませんね」

「応援しているわ。同じ駆け出しプロデューサーとして、ね」

「……今日あなたと話せてよかったです。私たちはある種、少し似ているところがあるようですし」

「そうね。最初少し疑ってかかったのが少し申し訳なくなるくらいには」

「ハハ、疑うのは当然だったと思いますよ。今は信頼してもらえているようで、何よりです」

「お互い頑張りましょう。コーヒー、ごちそうさま。美味しかったわ」

「ええ、また機会があれば是非」

 とても有意義な時間だった。自分も、プロデューサーとしてもう少し気を引き締めよう。

 まずは、清夏さんからもしっかりと信頼してもらえるように頑張らなければ。

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