石堂シュウ「私が…初星学園のプロデューサー…?」 作:のーば
突如として天川市に出現したネロンガは、アークによって倒されたものの、多くの疑問を我々に残していった。
まず、姿が通常のネロンガと大きく異なっていたこと。通常のネロンガよりも体表は黒く、角の形状も異なっていた。
それに、行動も不可解な点が多かった。電力を吸い取っていたのは状況としては間違いないが、周囲の電気を少しずつ吸収していたのは、何故なのだろうか。元来ネロンガは貯蓄電力の大きい発電所などを狙うものだが……
戦闘についても不可解な点があった。アークのエネルギーを直接吸収していたような……結果として攻撃スタイルは大きく変わらなかったことが幸いし、ソリスアーマーの活躍で倒されたが、やはり危険な個体だったのは間違いない。
ユウマくんの見立てでは、稀にある変異種のようなものかもしれない、ということだった。爆散した細胞をSKIPに回収してもらっているので、詳細な分析についてはSKIP本部に任せるとしよう。
学園に戻った後は、真っ先に清夏さんのところへと向かった。ちょうどリーリヤさんが合流しており、クラスメイトと共にリーリヤさんへ説教しているところだった。
どうやら、リーリヤさんはちょうどネロンガが出現したすぐそこにいたらしいが、気づいたら学園の前で倒れていたんだとか。おそらく、アークが運んでいたのがリーリヤさんだったのだろう。
状況が状況とはいえ、自分が連絡を怠ったことも災いし清夏に大きな心配をかけてしまったことは反省だ。自分もリーリヤさん並に叱られてしまった。当然といえば当然だが……
怪獣災害となると、つい周囲の安全を優先してしまう。宇宙科学局、そして防衛隊に身を置く人間としては至極当然の対応だが、担当アイドルのいる初星学園のプロデューサーとしては失格と言わざるを得ない。
今の自分は、清夏さんを担当するプロデューサーだ。調査員としての責務を全うするのは当然のことだが、一方で清夏さんにとっては自分しかいない存在だということを、忘れないようにしたい。
とりあえず、コーヒーを飲んで落ち着こう。まとめなければならない資料が山積みだ。
(以下、追記)
防衛隊の報告では、ネロンガから天川市で検出された周波数と同じものが発せられていたことがわかった。ネロンガが原因だった……と考えるのは早計だが、これで落ち着いてくれると、有り難い。
しかし、引き続き調査は進めていく予定だ。ユウマくんの言っていた「気がかりな点」も引っかかる。
……何かが、動き出しているような予感がある。今まで現れていなかった地域への怪獣の出現、特殊な個体のネロンガ。そしてアークの正体に勘付いているかのような行動。
……ユウマくんの懸念が杞憂であり、かつてのオニキス=ゼ・ズーのような案件でないといいのだが。