石堂シュウ「私が…初星学園のプロデューサー…?」   作:のーば

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第14話「変わりだした日々」

 

──初星学園 アイドル科1-1教室

 

「ねえ」

「ん?どしたの手毬っち」

 二匹目の怪獣──ネロンガがアークに倒されてから、数日。前回よりも早く、あたしたちは日常に戻っていた。

「リーリヤ、見てない?」

「あ〜……次のレッスン、リーリヤと組むんだっけ?」

 レッスンもすっかりいつも通り。翌日の授業が休講になったりはしたけど、レッスンだけはすぐに再開されるようになった。そして、今日にはもう完全にいつも通りだ。

 明日はペアで行うダンスレッスンがある。たしか、リーリヤと手毬っちが組むことになっていた。

 ちなみにあたしは、気を回してくれたトレーナーがペアを組んでくれる予定である。表向きはサボりの監視ってことになってるけど、昨日プロデューサーとトレーナーが話しているのを盗み……たまたま聞いた。

「今日なんかずっと変だったし。授業終わったと思ったらそそくさと出ていったけど、紫雲も知らないの?」

「そうなんだよね〜、授業以外でもあんな感じで困っててさ」

「どういうこと?」

「この間の怪獣が出てからずっとなんか上の空っていうか……」

 実際、ここ数日のリーリヤは少し変だ。

 話しかけても、ずっとボーッとしている。何度か話しかけると気付くが、少し経つとまた戻ってしまう。

 確かにこの間、リーリヤは危険な目に遭った。目の前で怪獣が現れたなんて、生きていたのが奇跡に近い。

 その奇跡の理由が、おそらくウルトラマンアーク。連絡と心配でそれどころじゃなかったけど、プロデューサー曰く、怪獣と戦う時にアークが人を初星学園の前に運んでいたように見えたらしい。リーリヤは気づいたら学園の前に倒れていたって言ってたから……多分、リーリヤはアークに助けてもらったんだろう。滅多にない経験がたくさんあったから、上の空なのも仕方ないかな〜……と、個人的には思う。

「ついにやる気無くした?」

「いや〜それはないんじゃない?毎日ランニングは続けてるし」

 多分、手毬っちなりにリーリヤが心配なんだろう。実際のところ、自分も心配だ。

「どうだか……」

「連絡しとこっか?手毬っちってチャット繋がってたっけ」

「知らないなら別にいいよ。自分で探す」

 ……繋がってないんだ。あとで連絡先渡してあげよう。

「オッケー。一応連絡しとくね」

「そういえば、昨日はサボってなかったね」

「ああ、あたし?」

 急に自分の話になって少し声が裏返る。流石、手毬っちはよく見てるなあ。

「……このままいなくなるかなって思ってたけど、どういう風の吹き回し?」

「まあ、ちょっとね〜」

 ああも用意されちゃあ、後に引けない。ただそれだけなのだ。

「ふーん……まあ、いいけど。それじゃ」

「うん。じゃあね〜また明日〜」

 本音を言えば、まだプロデューサーのことを信用したわけじゃない。

 ただ、あの人がどこまで本気なのかを見極めたくは、なってる。颯爽と現れて、自分の気づかれたくないところまで気づいて。リーリヤだったら、「王子様みたい」とか言うのかな。

 実際プロデューサーは、この間のやりとりも人気がないところを選んでたし、”秘密”が関わる話は、周りに漏れないようにしている。

 この間は連絡読んでなかったりしたけど、相談の連絡はすぐ返してくれるし、昨日のトレーナーとの話だって、自分に気を遣ってくれたのはわかるし……

 ……よくよく考えたら、あたし、ちゃんと心打たれてない?

「いやいや、そんなことないから!」

 考え始めた邪念を振り払おうと頭を振る。そうだ、まずはリーリヤに連絡しないと。

 いくら様子がおかしいとはいえ、自分からの連絡ならほぼ読むだろうし。

 それにしても、相当様子がおかしいのは事実。なんたって──

 

 

 

──昨日 初星学園寮 リーリヤと清夏の部屋

 

「ふぅ〜、早めにシャワー復活してよかった〜」

 前回の怪獣災害のあとは、しばらく防衛隊が設置してくれた簡易シャワーでしばらく生活することになったけど、今回は比較的早めにライフラインが復活した。そのおかげで、まだちょっとしか経っていないのに、寮のシャワーが浴びれてありがたい。

「……」

「おーい、リーリヤ?」

「……」

 返事がない。リーリヤはただ机に座り、考え事に耽っている。

「この時間アニメ見るんじゃないの〜?」

 いつもなら、この時間のリーリヤはテレビの前に張り付いている。最近始まった……なんだったか覚えてないけど、頭身が小さいロボットのアニメを見ていたはず。

「おーい」

 あまりにも気づく気配がないので、リーリヤの肩に手を置く。

「わあっ!?どうしたの、清夏ちゃん」

「どうしたのって……さっきから呼んでたけど」

「そ、そうなんだ。ごめんね、ボーッとしてて……」

「この時間アニメ見るんじゃないの?ほら、あのロボットのやつ」

「へ、まだ……もうこんな時間!?」

 ずっと考え事をして時間が経過していたことに気づいたリーリヤは、慌ててテレビをつける。

 ……これは重症かもしれない。

 

 

 

 授業中、レッスン中もボーッとしてトレーナーに注意されてたし……変なのは自分じゃなくてもわかるだろう。リーリヤは、大丈夫なんだろうか。

「『手毬っちが探してたよ〜、連絡先共有としとくね』っと」

 一応連絡を入れたけど、ランニングしてたら読まないだろうし……あたしも探そうかな。

 やっぱり心配だなぁ。リーリヤのこともなんとかしたい。でも、自分もそれどころじゃないのは確かだし……

 プロデューサーに相談してみようか。それもいいかもしれない。頼りになるし。

 ……すぐ頼りになる人としてプロデューサーが選択肢が入ることには、あえて知らないふりをしよう。





※一応の補足
時系列的には、1-1が親睦会をしたタイミング(1年1組のアイドルたち)より少し後、定期試験よりは前くらいです。
手毬は清夏と打ち解けるのに少し時間かかってそうですよね。本来だったら咲季がすくい上げた後だったんでしょうかね?
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