石堂シュウ「私が…初星学園のプロデューサー…?」 作:のーば
ようやく書類をまとめ、一息ついた。今日は一段と忙しい一日だった。淹れたばかりのコーヒーがなんとも心身に沁み渡る。
そもそもここ数日は、"どちら"の仕事も多忙を極めていた。
毎日のように清夏さんのプロデュース方針でトレーナーと相談しては、困りごとを亜紗里先生にも共有し、フィードバックを方針に反映し、まとめて、清夏さんとコミュニケーションをとる。
それが終われば今度はユウマくんが睨んでいる件の調査と、ネロンガの細胞データとの裏付け。
実に多忙だった。しかし、充実しているのも事実。今乗り切らねばならない案件なのはどちらも同じなのだから、全力で取り組まねばなるまい。
それにしても、清夏さんから相談を受けたが……まさかリーリヤさんがそこまで深刻な精神状態になっていたのは予想できていなかった。あの時アークが助けたのはリーリヤさんだ、と確信を得た時点で動くべきだったのかもしれない。
後でトレーナーに話を聞くと、今日はペアを組むレッスンでペア相手のクラスメイト……月村手毬さんと少しトラブルになってしまったようだ。
自分も資料でしか把握していないが、月村さんは中等部時代にはナンバーワンユニット『SyngUp!』に所属していたようなので、ストイックな一面があるのだろう。確かに、心ここにあらずな状態の人間とペアを組んだら、トラブルになるかもしれない。
とはいえ、後々双方がしっかり謝罪しているようで、後を引くような事態にはなっていないそうなのだが……かなり落ち込んでいるようなので、明日早速声をかけに行こうと思う。すでに顔見知りなのがありがたいところかもしれない。
心が落ち着かないときこそ、コーヒーを差し入れたいところだ。そういえば、リーリヤさんはスウェーデン出身であった。スウェーデンは素晴らしいことに元々コーヒー文化がかなり発達している国でもあり、日常的な習慣としてフィーカ(所謂”一服"に近いコーヒー休憩のこと)というものがあるくらいだ。もしかしたらリーリヤさんも良いコーヒーへの理解者である可能性がある。気合を入れて良いコーヒーを仕入れておこう。
一方で、ユウマくんの睨んでいる件も随時調査が進んでいる。考えたくはないが……状況と調査記録から見ても、何かが怪獣を呼び寄せている可能性が高い。尤も、それが宇宙人の類なのか、オニキスのようなエネルギー体なのかはまだ掴めていないのだが……早く特定できれば、それだけ被害も少なくできるはずだ。