石堂シュウ「私が…初星学園のプロデューサー…?」 作:のーば
来るのか燐羽実装……!
──初星学園 学生寮前
いつもの寮への帰り道だからこそ、すぐに異変に気がついた。
明らかに見慣れない人たちが学園に出入りしている。服装を見る限り、防衛隊の人……のはず。
「……防衛隊が学園に来るって、何があったんだろう」
「もしかして、怪獣が現れたとか?」
「怪獣だったらもう避難になってると思うよ、清夏ちゃん」
「だよね〜……何なんだろ」
何にせよ、不穏な感じなのは間違いない。とっとと部屋に戻ろう。
「君達、ちょっといいかな」
不意に呼び留められる。服装の感じから、さっきから見ていた……防衛隊の人みたいだ。
「あの、どうかしたんですか?学園でなにかあったとか……?」
「通報があったんだ。宇宙科学局からね」
通報?学園内から?
「宇宙科学局って……?」
「まあ、調査機関のようなものだと思ってもらえれば。それで、君達にも聞き取り調査をしたいんだ」
「は、はぁ……?」
「ここ数日、怪しい人を見たりしていないかな?」
「いや、見てないと思います、けど……」
なんなら、今あなたが一番怪しいです!って……それは良くないよね。相手は真面目なんだから。
「フム……そうですか。都合が良かった」
「……え?」
「待て」
防衛隊の人の言葉を遮るように、背後から誰かが話しかけてきた。
「まだ調査は始まってないはずですよ」
「……おや」
話しかけた方は、なにか銃のようなものを持っている。今起きていることの意味がわからなくて、ただ立ち尽くす。
「お前は誰だ!」
「いやあ……そちらから出向いてくれて助かるよ、飛世ユウマ」
「なっ……」
防衛隊の人……?は、ユウマと呼んだ人の方へ振り返り、そちらへと歩いていく。
「何故僕の名前を知ってる……!」
「わからないか?思い当たっていただろう」
「……!まさか、お前がアークを狙っていた……!」
「そうとも。だが、気づくのが少々遅かったようだ」
……よくわからない、でも、ただひとつわかることは。
あたしたちの目の前で、なにかとんでもないことが起きようとしている。
──初星学園内 校舎裏
「クソッ、ユウマくんに連絡がつかない……!」
急いで学園に戻ってきたはいいが、ユウマくんと連絡がつかない。もしかすると、既に接敵しているのか……!
先程連絡した通りなら、リーリヤさん達は寮へ帰っているはず、寮か!
寮へと向かい、全力で校舎裏を走る。程なくして寮の前へと辿り着いたが……!
「ユウマくん!」
既にガッツ星人とユウマくんは接敵し、胸ぐらを掴まれていた。すかさずジャケットからエネマガンを取り出し、ガッツ星人に向けて放つ。
ユウマくんはリーリヤさんと清夏さんを守るために戦っていたようだ。だが、今は考えている余裕はない!
「チッ、間に合ってしまったか……だが!」
ガッツ星人はユウマくんをこちらへ投げ飛ばす。
「ぐあっ!」
「ユウマくん!大丈夫ですか!?」
「し、シュウさん……!すみませ、ん……」
そのままユウマくんは項垂れてしまう。
「ユウマくん!」
自分がもう少し早く戻れていれば。後悔する隙もなく、ガッツ星人を睨みつけると、ガッツ星人の手には信じられないものが握りしめられていた。
それは、ユウマくんがアーク……ルティオンと融合するために必要な、立方体型のアイテム……アークキューブだった。
「目的は果たした!既にアークの力は我が手中にある!」
ガッツ星人がキューブを天にかざすと、強い地響きが鳴る。
「あれ、は……!」
ガッツ星人が呼び出したのは、黄金に輝く巨大な機体……宇宙ロボット。ギヴァスを思わせるその巨体に、ガッツ星人は飛び上がり乗り込んだ。
『今、俺は最強の力を得る!』
程なくして巨大ロボットの胸部が輝き出す。それと同時に、直立状態は解け、不気味に動き出す。
最悪だ。想定していたどころではない、最悪のシナリオへと向かいつつある。
ユウマくんはアークの力を奪われ、今目の前でリーリヤさんと清夏さんは恐怖に震えている。
……あまりにも無力な自分に苛立ちを覚える。ここまで自分は何もできないのか。
だが。それでも、最善を尽くすしかない。
「石堂さん!」
「……星南さん」
騒ぎを聞きつけてか、星南さんがやってきた。
「……あのロボットは!?」
「宇宙人の侵略兵器と思ってください。すみませんが、星南さん。あの二人をお願いします」
「え、ええ……でもあなたは!?」
「……なんとか食い止めてみます」
少なくとも、ユウマくんをこのままにはしておけないし、自分には防衛隊を率いて脅威を退ける大切な使命がある。
ユウマくんを抱え、その場を後にしようとすると……
「待って、Pっち!」
背中から、清夏さんの声が突き刺さる。
「一体、何がどうなって──」
「すみません、後で話します。とにかく、今ここにいては危険です。避難を」
「ちょ、待っ──」
清夏さんの言葉を遮るように、私はその場を後にした。