石堂シュウ「私が…初星学園のプロデューサー…?」   作:のーば

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第22話

 

──初星学園内

 

「……はっ」

 目が覚めると、僕は校舎内の昇降口で倒れていた。確か、宇宙人に襲われそうになったリーリヤさん達を助けようとしたらアークのキューブを盗まれて、それで……

「そうだ、シュウさん達は!」

 確かシュウさんが駆けつけて、そこで意識は途切れた。なら、ここまで運んだのは……シュウさんのはずだ。

 シュウさんを探さないと。身体の痛みに耐えながら、昇降口から中庭へと出ると、シュウさんはすぐそこにいた。

「シュウさん!!」

 ……シュウさんは、僕が倒れていた直ぐそば、目の前で倒れていた。

 腹部の衣服が破れており、火傷のようなものが広がっている。一体何があったんだ……!?

 とにかく、保健室か!?この状態なら、防衛隊の医務チームに任せたほうが……!

 いや、まずは目の前にある保健室だ!僕はシュウさんをなんとか抱え、保健室へと向かった。

 

──初星学園 保健室

「誰もいない……」

 避難指示が出たのか、人が一人もいない。これなら、防衛隊がいるであろう講堂側に行ったほうが正解だったか……?

「Pっち!」

 急に保健室の戸が勢いよく開く。部屋に入ってきたのは……紫雲清夏さんだ。確か、シュウさんの担当で……

「あ、えと、え……っと」

 シュウさんと肩を組む見知らぬ人物であろう僕と、怪我をしたシュウさんの姿を同時に目撃した清夏さんは、キャパオーバーしたような表情でこちらを見る。

「その、怪我……大丈夫なんですか!?」

「……今すぐそこで倒れているのを見つけて運んできたばかりだから、ごめん、わからない……でも、呼吸はあるから意識を失ってるだけだと思う」

「良かっ……いや良くないけど……ああ、とにかくわかりました、防衛隊の人呼んできます!」

 気が動転しているのがわかる。清夏さんは慌てて部屋を飛び出していった。

「待っ……!」

 声をかけることも間に合わなかった。防衛隊に一度シュウさんを引き渡したほうがいいのは間違いないが……そうすると、確実に清夏さんにシュウさんの正体がバレてしまう。

 そんなこと言ってられないのは確かだが……まずは応急処置だ、自分もなんとか動けているのだから。

 なんとなくの応急処置をシュウさんと自分に施していると、防衛隊は直ぐに到着した。

「失礼、怪我人がいると学園生徒から報告が」

「(もう来ちゃったか……!とにかく、正体だけ誤魔化そう)」

「そ、そうです!」

「こちらの救護室にそのままお連れしても?」

「大丈夫です、ちなみに連絡してくれたの、女の子でしたよね?」

 今のところ清夏さんの姿は見当たらないが、連絡して駆けつけた人は別なのだろうか。

「そうですね……私は生徒からの連絡としか」

「あ、ならいいんです……ちょっとお願いがあって」

「ふむ」

 清夏さんがいないのなら、事情を説明するだけで済む。僕は隊員にシュウさんの事情を説明した。

「なるほど、科学局の……!わかりました、立場は伏せておきますね」

「助かります!」

 理解が早くて助かる。説明はものすごく拙かった自覚はあるけど、わかってもらえた。

「あなたは大丈夫でしたか?実は、先程のロボット騒ぎと黒いアークの件で他にも怪我人が出てないか回っているところで……」

 ……今、なんて?

「すみません、今なんて……」

「え、いや……見てませんでした?先程の黒いアーク」

 黒い、アーク……?それってまさか、ギルアークって、事じゃ……

 じゃあ、このシュウさんの負傷は……変身したのか、ギルアークに……!?

「……どうしました?顔色が真っ青ですが」

 隊員が顔色を伺ってくれたが、それどころじゃない。

 確かに僕が奪われたのはアークのキューブのみ。アライザーは奪われていない。そして、僕をあそこまで運んだのはシュウさん。そして少し離れたところでシュウさんは倒れていた。少し考えれば、その可能性に気づけたはずなのに……

 闇戦士ギルアーク。かつて同僚を目の前で失ったシュウさんの心の傷を利用し、レポ星人が生み出した『黒いアーク』。最初は暴走こそしたが、共にレポ星人を倒して、その後は……確かに、あの力がどうなったのかはサスカルさんも自分もわかっていなかった。

「あ、いえ……」

 曖昧な返事を残し、運ばれていくシュウさんを見送る。僕も避難所の方へと行かなければ。先程清夏さんが無事だったことを考えると、リーリヤさんも無事だと思うけど……

 

──初星学園 講堂

 

「……」

「……清夏、さっきからずっとあんな感じだな」

「無理もないわよ。プロデューサー、見つかったはいいけど怪我してたんですって」

「それは……まあ、ああもなるかぁ」

「今は、何も聞かないほうがいいと思うわ」

「だな。あたしは一旦家帰ろうと思う。ちびどもが心配してるだろうし」

「……あ〜っ、無力感ってこういうことを言うのかしら」

「そういえば、佑芽は?もう寮に?」

「さっきまでの清夏と同じよ。篠澤さんが見つからないんですって。手毬もそれに連れてかれたわ」

「手毬も?そっか、秦谷さんとかと仲いいんだもんな。咲季は手伝ってやんないの?」

「……今は清夏のこと放っておけないでしょ」

「……それもそっか」

 清夏がプロデューサーを探すために、防衛隊の人に色々わざとらしい演技したりして、清夏が避難所から抜け出すのを手伝ったりしてた咲季も、いざ戻ってきた清夏があの様子だったからか、すっかり参ってるのがわかる。

 今はもう警戒は解除されてるから、寮生は徐々に戻り始めてる。リーリヤちゃんもさっきまでいたけど、多分先に戻ったんだろう。清夏にかける言葉があたしにも思いつかないし、待つことにしたんだろうな……これは勝手な予想だけど。

 無力なんだなあ、ホントに。

 

──初星学園 講堂付近

 

 ひとまず、警戒態勢は解除された。清夏ちゃんが石堂さんを探しに行って、見つけて戻ってきたまでは良かったんだけど……

 石堂さんは怪我をしていたみたい。一緒にいて、私たちを守ってくれてた人も一緒だったみたいだけど……今のわたし達には、確かめようがない。

 それに、今でも信じられない。小一時間前まで、普通の日常だったのに……この間もそうだけど、日常は簡単に壊れてしまうんだ。

 会長にも、直接宇宙人に襲われたことは話していない。会長は、なにかを知ってたような反応だったけど……

 そういえば。石堂さんは、なんであの場所にすぐ駆けつけられたんだろう。そして、なんで武器を持って……?

 ふと、一週間前の会話を思い出す。

『にしても、羨ましいですね。あのウルトラマンアークに助けてもらえるだなんて。実は私、アークが戦っている時期に星元市に住んでたんです』

『なにか覚えてることがあれば知りたいなと思ったんですが』

 ……怪獣が現れたのは、石堂さんが清夏ちゃんのプロデュースをはじめてから。それから、怪獣騒ぎがある時、いつも石堂さんは避難誘導を率先して買って出て、わたし達とは行動してなかった。

 わたしの怪獣の件だって、一般人ならあそこまでわざわざ聞いたりしない……と思う。

 そして、わたし達を庇った男の人の事も知ってるみたいだった。

 まさか、石堂さんの正体って……

「葛城リーリヤさん」

 呼び止められ、振り向いた先には……さっきの男の人がいた。

「自己紹介が遅くなりました。飛世ユウマといいます」

 男の人改め飛世さんは、丁寧に名刺を差し出してくれた。

 怪獣防災科学調査所 星元市分所 飛世 ユウマ。それが、この人の名前だった。

 

 

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