石堂シュウ「私が…初星学園のプロデューサー…?」 作:のーば
みんなも、読もう!
飛世さんから聞いた話は、信じられないことばかりだった。
飛世さんは石堂さんの友人で、石堂さんから依頼を受けて、SKIPとして怪獣と接触したわたしを監視してくれていたらしい。石堂さん自身も過去にそういった仕事をしていたから、プロデューサー科に身を置きながらも、怪獣災害の調査をしてくれていた。そしてその二人が、宇宙人が接触してきたところに駆けつけてくれたけど……というのが、さっきの顛末だった。
引き続きわたしのことは見てくれることと、石堂さんの事も含め、清夏ちゃんをはじめとしたみんなには口外しないでほしいことを告げて、飛世さんは去っていった。
正直、まだ飲み込めていない。なにせ、まださっきの襲撃すらちゃんと理解できていないのに。
日本で暮らし始めてから、まだ数ヶ月。こんなに生活に異変が絡むと、そろそろ非日常へのワクワクよりも恐怖が勝つ。
……でも、今更こんなに怖がってる場合じゃなかったんだろうな。既に2回、死んでもおかしくなかったなら、この先何度だってそういった危険と隣合せなんだ。
そう思うと、身が震えた。
──初星学園 テント前
「痛……ッ」
なんとか救護班を騙し、テントから出ることには成功したが……清夏さんは避難所だろうか。
いつかバレるとは思っていた。だが、よりによって自分からそれを明かせなかったことは、彼女の信頼を大きく損なったはずだ。なんとか、話だけでもできればいいが……
「……!石堂さん!?」
「リーリヤさん……よかった。無事でしたか」
「ぶ、無事でしたかって……!石堂さん、すごいケガだって……!」
「この程度で倒れていられませんから」
「……そんなに大変なんですね、怪獣災害の対応って」
「……!なぜ、それを」
「全部、飛世さんから聞きました。飛世さんのお仕事と、石堂さんとお友達で、石堂さんの依頼で助けてくれていたことも」
「ユウマくんが……そうでしたか」
宇宙人に狙われていた以上、リーリヤさんにはいつまでも秘密にはしておけなかったが……ユウマくんは話したのか。
「……ユウマくんがどこまで説明したかは分かりませんが。私……石堂シュウの正体は、宇宙科学局から派遣された調査員です」
「……宇宙科学局!?」
驚くのも無理はない。
「ええ。だからこそ今回の事件、ここまで被害が出てしまったのは私の責任なんです」
「でも、石堂さんも飛世さんもわたしたちのこと……!」
リーリヤさんが言いかけているところで、物音と共に言葉を止める。
「あ……」
リーリヤさんの視線の先には、清夏さんがいた。
「……やっぱり、普通の人じゃなかったんだね」
「……清夏さん」
「ちょっと前から怪しいとは思ってた。だって、どう考えても普通のプロデューサーじゃないもん」
「……」
「否定しないんだ」
「……ええ」
「じゃあ、これまでもずっと……あんな危険なことを?」
「……ええ、否定しません」
「……ッ!」
「清夏ちゃん!」
清夏さんは、自分の言葉を殺すように口を噤んだ後、その場から逃げるように走り去る。
追いかけようにも、今の自分では歩くのが精一杯だ。
「……」
……自分には、彼女が何を言いかけたのか、なんとなく理解できる。何故、と言いかけたのだろう。
清夏さんは、本人が思っている以上に責任感が強い。だからこそ、その責任感と自分のトラウマの間で苦しんでいたし、自分はそれを取り除きたくてプロデュースを志願した。
それなのに。いずれこうなることはわかっていたのに。
「石堂さん、わたし清夏ちゃんを──」
「……いえ、自分で探します。自分の言葉で伝えなければならないことがありますから」
「で、でもそんな身体じゃ……」
「大丈夫です。見つけたら連絡します。あなたにも、後でしっかり説明をしなければなりません」
「……わかりました」
リーリヤさんにも申し訳ない。きっと彼女も、色々思うところがあるはずなのに。
「一つだけ、いいですか」
「はい」
「清夏ちゃん、きっとすごく石堂さんに感謝してると思います。わたしが見てても、石堂さんのことを話す清夏ちゃんは、とっても嬉しそうでした。それに、石堂さんが本気で清夏ちゃんを支えてくれているのは、わたしにもわかります。だから……」
「……ありがとうございます。任せてください」
ありがとう、リーリヤさん。直接伝えるのはもう少し後にして、まずは……ちゃんと話をつけよう。私の、担当アイドルと。