ハイスクールD×D 終焉に抗う暁の太陽   作:ドラゴン大好きT

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主人公のCV誰がいいかなとか考えてみたり…。


第14話 修行開始です

 

 

ライザーとのゲームが決まった翌日、俺たちグレモリー眷属は修行をすることになった。

学校も休むことになったのだが、部長は学園の裏の支配者なので、そのあたりもうまくごまかしてくれるとのこと。

最初の修行──というより、修行場に行くまでの道のりは険しい山道であった。

 

「ひーひー……」

 

「ぐ、ぐぬぬぬ……」

 

隣では一誠が息をきらしながら山を登っている。かくゆう俺も火が出そうなほどに顔を真っ赤にしながら山を登り続けている。

俺たちが登っている山はかなりの急斜面で、さらに荷物まで背負わされている。一誠は巨大なリュックサックを背負い、両肩にも鞄をかけている。部長と副部長の荷物も一緒に持たされていた。

そして、俺は荷車を引きながら山を登っていた。荷車に乗せられた荷物はすべて食料。ジャガイモや玉ねぎなどの野菜類だ。

 

これが重いんだなあ!

 

「ぐぅおおお!腕が!足が!引きちぎれる!」

 

「ほら、シュージ。叫ぶ元気があるならもっとがんばりなさいな」

 

遥か前方から聞こえてくる部長の声。無茶言わないでくださいよ!『戦車』のパワーがあってもこの量はキツすぎますって!

しかも荷車を引いているわけだから、力を一瞬でも抜いたら俺の体ごと傾斜を猛スピードで下ることになる!修行の前に体力が尽きそうだ。

 

「部長、山菜を摘んできました。夜の食材にしましょう」

 

「よくやったわ、祐斗。シュージの荷車に積んでおいて」

 

ひぃぃぃぃ!まだ重くするつもりなの!?

摘んできた山菜を俺が引いている荷車に置くと、祐斗は涼しげな顔で通り過ぎていった。

 

「祐斗も一誠と同じくらいの荷物を背負っているはずなんだけどなあ。意外に体力おばけか?」

 

「……『戦車(ルーク)』なんですから、それぐらいで音を上げないでください。それではお先に」

 

ぼそりと告げて俺を追い越していく塔城。

俺と同じ『戦車』だから一誠の倍以上に大きな荷物を背負っているが、何の問題もなくスイスイ山を登っていきやがる……。馬鹿力め。

 

「……ついでにこれもどうぞ」

 

「コラ!食べ物を投げるんじゃありません!」

 

どこからか拾ってきた果実のようなものを、塔城は振り向きざまに投げてよこしてきやがった。

塔城が投げた果実は見事な放物線を描いて荷台に入り、さらに俺の荷物が重くなる。

まあ、いまさら果実のひとつやふたつが増えても重さは大して変わらないだろうが……。

 

山を登りきり、俺たちは目的地の別荘に着く。

普段は魔力によって隠されているらしい。

ベットなどの家具一式も揃えられていて、娯楽の要素はないようだが人が生活するには十分だ。

すでに疲労困憊の俺は椅子に座り込み、一誠はリビングの床に倒れてしまったが、他のメンバーはすでに準備に取り掛かっている。

 

「覗かないでね」

 

「マジで殴るぞ、この野郎!」

 

ジャージに着替えるために浴室へと向かう祐斗が冗談を言うと、一誠がわりと真面目にキレた様子で睨みを返していた。

着替えるために二階へ行った女性陣も戻ってきたところで、いよいよ本格的な修行が始まった。

 


 


 

ジャージに着替えた俺たちは別荘の外に出ると、敷地内の広い場所でまずは木刀を使用した模擬戦から始めた。

 

「よっはっ」

 

「おりゃ!おりゃぁぁ!」

 

祐斗が指南役として、俺と一誠に剣術を教える。

一誠は力任せに木刀を振り回していた。まさに気合だけの剣って感じだ。

対する祐斗は最小限の動きで攻撃を捌いている。技術と確かな経験の差が二人にはあった。

 

模擬戦が始まってから五回目、祐斗の反撃によって一誠の木刀はまた叩き落とされる。

 

「そうじゃない。剣の動きを見るだけじゃなく、視野を広げて相手と周囲も見るんだ」

 

視野を広げろ、なんて言われても一誠も俺もそう簡単にできることじゃない。どうしても武器のほうに目がいってしまう。

木刀とはいえ、当てられたら普通に痛いからな。痛みに慣れることも訓練のうちか……。

 

「次はシュージくん。五本でイッセーくんと交代だよ。がんばって」

 

「わかった。できるだけのことはしよう」

 

疲れた様子で地面に座る一誠と代わるように、俺は木刀を握って立ち上がる。

祐斗は木刀を正面に構え、俺も真似して正面に構えてみる。

 

「それじゃ……先手は貰うぞ!」

 

剣を振るったことなんてないけど、まずはやってみないことには慣れることもできない。

 

「ふん!」

 

俺は真正面から祐斗に斬りかかる。斜めに振り上げていた木刀を力任せに振り下ろした!

 

ビュンという豪快な音が空気を裂く。

 

「さすが『戦車(ルーク)』のパワー。まともに受け止めることは難しいよ。──でも単純だ」

 

俺が振るった木刀を祐斗は横にスライドするように躱し、横に薙ぐように斬り払う。

一瞬の斬撃を見切ることなどできず、木刀を持つ俺の手が叩かれた。

しかし、俺は武器を手放さない。叩かれた衝撃に身を引き締めはしたが。

 

「『戦車』の防御力か。それなりに力を込めて叩いたつもりだったんだけど」

 

「剣を握ったのは初めてだけど、まずは武器を離さないことも大事かなって。でも、これが真剣だったらいまので終わってたな……」

 

「そういう危機感を鍛えるためにも模擬戦は大事だからね。とはいえ、相手から一本取るのがこの模擬戦の目的」

 

次の瞬間、祐斗の顔色が少し変わる。真剣さを帯びたっていうか、さっきよりも本気度合いがよりいっそう増したっていうか……。

 

「次は手を折るつもりでいくから、覚悟してね」

 

背筋が冷たくなる言葉を俺は聞いた。

その後の祐斗の攻撃は力が増して、速さが増し、手数も増した。手加減を辞めたというより、俺の防御力を考慮して模擬戦のレベルを一段上げたといったところではないだろうか。

しかし、祐斗の速度に追いつけない俺は反撃することもできずに滅多打ちにされてしまう。

 

五回目の模擬戦を終えた頃には、俺は地面に膝をついてしまっていた。

 


 


 

祐斗との模擬戦を終えて軽く休憩したのち、俺と一誠は別荘に戻って副部長に魔力の使い方を教えてもらっていた。

模擬戦には参加していなかったアーシアも俺たちと混ざって一緒に学んでいる。

修行の第一段階は俺たちの内に宿る魔力を体の外に放出し、球体を生み出すというものであった。

 

「そうじゃないのよ。魔力は体全体を覆うオーラから流れるように集めるのです。意識を集中させて、魔力の波動を感じるのですよ」

 

一誠はかなり手こずっているようで欠片も手のひらに集まっていない。

神器を初めて使ったときに感じた謎の力。

あれが魔力だというなら、神器を使えば俺も一誠も魔力を生み出すことができるのだろうか。

 

「できました!」

 

一誠の左隣からアーシアの声がしたので見てみると、手のひらに緑色のソフトボールくらいの魔力の塊ができていた。さすがだな。魔力の扱いなら一誠よりも遥かに上だ。

 

「あらあら。やっぱり、アーシアちゃんは魔力の才能があるかもしれませんわね」

 

「あ、俺もできたかも……」

 

副部長に褒められているアーシアに視線を向けていた直後、俺のほうにも変化が起きた。

神器を使用していたときの感覚を思いだし、副部長に言われたことを参考にイメージしていると、俺の手のひらにも魔力が生み出された。

 

──ただ、その大きさが異常だった。

黒紫色のバランスボールくらいの魔力の塊が宙に浮かんでいる。

 

「えっ、ぇぇぇえええっ!なにその大きさ!」

 

「凄いです!シュージさん!」

 

皆も驚いた顔になっていて、生み出した俺もぽかんと口を開けて驚愕する。

 

「あらあら……これは素晴らしいですわ。もしかしてとは思っていましたけれど……。少し失礼しますね」

 

あらかじめ断りを入れ、副部長は人さし指を俺の額に軽く触れさせて目を閉じる。

しばらくして目を開けると、副部長はさらに驚いた顔で俺の顔を見つめてきた。

 

「やっぱり、かなりの魔力量ですわね。現在は部長と私に次ぐほどのものです」

 

「部長と副部長に次ぐって……俺に魔力の才能があるってことですか?」

 

「魔力の才能があるかはこれからですわ。ただ潜在キャパシティはかなりのものですし、これからも伸びる可能性は大いにありますわね」

 

おお……!うれしい話だ。でも、なんでこんな魔力を元人間の俺が持っているんだ?アーシアが魔力の才能に秀でていたし、別に気にするようなことでもないかもしれないが……。

 

「うふふ、ですがまだまだですわよ」

 

「え?」

 

「シュージくんの体全体を覆っている魔力量から考えて、その大きさでは小さすぎますわ。まだすべての魔力を集中しきれてないの。むしろ余分な魔力が体を覆ってしまっていますわね。これからもがんばりなさい」

 

「は、はい。わかりました」

 

「う、嘘だろ……それでまだまだとか……」

 

「本当に凄いです!」

 

自分の力にまだ先があることを知った俺は驚き、副部長はにこりと笑う。アーシアは純粋に称賛してくれていたが、一誠は焦りのある顔でうらやましげな視線を俺に送っていた。

 

一誠は魔力の塊を作り出せず、米粒サイズの魔力しか生み出せなかった。家族間でも魔力に差が生まれるというのは本当らしい。

 

焦ってトラブルを起こされても困るし……ここは俺なりの方法で気づかってやるか。

 

「ドヤァ」

 

「ドヤ顔すんな!悪人面!」

 

「なんだとド変態!昨日も風呂に入っていたアーシアの裸を見たんだってな!夜も朝も母さんたちを騒がせやがって!」

 

「俺だって見ようとして見たわけじゃねえ!昨日のあれは不可抗力だったんだよ!」

 

茶化し合いではなく、言い争いを始める俺たち。アーシアは顔を真っ赤にしながらやめるように言い聞かせ、副部長はテーブルの上に水の入ったペットボトルを用意する。

 

「では、その魔力を炎や水、雷に変化させます。これはイメージから生み出すこともできますが、初心者は実際の火や水を魔力で動かすほうがうまくいくでしょう。アーシアちゃんとシュージくんは次にこれを真似してくださいね」

 

そう言うと、副部長はペットボトルに手をかざして魔力を水に送る。──直後、刺状になった水がペットボトルを内側から破ってしまった。

 

「魔力による形状と性質変化ってところかな。難しそうだ」

 

「私たちにできるでしょうか……」

 

「とりあえず、がんばってみよう。できなかったらどうしてできないかを考える。それでもできないなら副部長にアドバイスを貰えばいい」

 

俺がフォローするように言葉をかけると、アーシアは喜んだ表情で「はい!」と返事していた。

 

「イッセーくんは引き続き魔力を集中させる練習をするんですよ。魔力の源流はイメージ。とにかく頭に思い浮かんだものを具現化させることこそが大事なんです」

 

副部長のアドバイスを聞いた直後のこと。

一誠が何かを閃いたようにその場で立ち上がり、訝しげな副部長に耳打ちする。どうやら一誠なりに何かを思いついたようだ。

俺とアーシアには教えてくれなかったが、一誠の発想を聞かされた副部長は微笑み、大量の玉ねぎやジャガイモ、人参を用意してすべての皮を魔力で剥くように指示を出していた。

焦りのある顔ではなく、なぜかいやらしい顔つきになった一誠に多少心配を寄せつつも、俺は自分の次の修行に集中していった。

 


 


 

魔力の使い方を指導されたあと、俺と一誠は再び外に出て塔城との組手を始めていた。

いまは一誠と塔城が模擬戦をしていて、俺は休憩中なのだが……それも終わった。

 

「……弱っ」

 

塔城のパンチでふっ飛ばされ、一誠は本日十回目の巨木との熱い抱擁に成功していた。

 

「……打撃は体の中心線を狙って、的確かつ抉り込むように打つんです」

 

その場で正拳突きを実演してくれる塔城。

一誠は何度もふっ飛ばされながらも強くなろうと必死に学んでいる。

さて、一誠の次は俺の番だ。立ち上がった俺は両の拳を握りしめ、顔の前で構える。

ボクシングの構え方を参考にしているんだけど、俺に格闘技の経験は皆無だ。

 

「……足は少し開いて膝を軽く曲げることで重心を前に傾けるといいですよ」

 

「こんな感じ?」

 

「……そんな感じです。あとは実戦で自分が戦いやすい構え方を見つけてください」

 

塔城は小柄だけど立ち技や寝技など、格闘技なら大体のものが得意らしい。さらに『戦車』の特性である馬鹿力も組み合わさって……近接戦闘はべらぼうに強い。

 

「……『兵士』のイッセー先輩にはそれなりに手加減しましたが、先輩にはしませんから」

 

「いや、多少はしてくれよ。ゲームの前に死にたくないんですけど」

 

俺の訴えは完全に無視され、塔城は真っ直ぐ距離を詰めてくる。祐斗ほどじゃないにしろ、塔城もけっこう素早い。体が小さいゆえにスピードも小回りも利くってわけだ。

俺は男子高校生の標準くらいの身長。はたから見たから男子高校生が女子小学生をイジメているように見えるかもしれないが……実際は逆だ。

 

「……日頃から小さい小さいってバカにしてきたツケはここで強制的に払わせます」

 

「日頃の恨みを模擬戦でぶつけるやつがあるか!このバイオレンス小娘!」

 

「……凶暴なのは先輩もでしょう」

 

懐をあっさりと侵略してきた塔城は俺の鳩尾目がけて拳を突き出す。当たったら痛いではすまされない。絶対に吐く自信がある。

俺は回避のために後ろに飛び退くが、塔城も距離を開かせないためにさらに近づく。

逃げ続けていては訓練にはならないと、俺は右足を跳ね上げた。そのまま勢いを乗せて向かってくる塔城の顔を蹴り飛ばす!

 

「……いい蹴りです。狙いも悪くありません」

 

「完璧に受け止めておいてよく言うよ」

 

塔城は両腕をクロスして俺の蹴りを防いでいた。直後、苦笑いして動きの止まった俺の軸足を無表情の塔城は蹴り払った。地面に顔から転んだ俺の足を掴み上げ、寝技を極めてくる。

 

「……狙いは悪くありませんが、狙っていることがわかりやすいんです。これじゃ受け止めてくれって言っているようなものですよ」

 

「痛てててッ!アキレス腱が伸びる!」

 

「……『戦車(ルーク)』は防御力があるので、単純に殴るよりこういう関節技のほうがダメージを与えられるかなと思いまして」

 

その後も組手という大義名分を得た塔城は俺のことを容赦なく叩きのめしていった。

 


 


 

「うおおおお!美味ぇぇぇ!マジで美味い!」

 

「食いながら叫ぶな。唾が飛ぶだろ」

 

一日目の修行を終え、俺たちは全員揃って夕食をいただいていた。

 

祐斗が取ってきた山菜を使ったおひたしに、部長が釣った魚や仕留めてきた猪を使った料理など、テーブルには選り取り見取りの豪華な食事が並べられている。

 

「あらあら。おかわりもあるからたくさん食べてくださいね」

 

今回の料理は副部長とアーシアが作ったらしい。

皆も箸を止めずに食べていた。修行のあとのご飯は格別だと俺も思うな。

 

「朱乃さん、最高っス!嫁に欲しいぐらいです!」

 

(新手のナンパかよ……)

 

「うふふ、困っちゃいますね」

 

調子に乗った一誠の言葉に俺は苦笑いして口元をヒクつかせていたが、言われた本人の副部長は機嫌を損ねるどころか微笑ましそうに笑っている。

 

まあ、素直な称賛のほうが作った側はうれしかったりするものだよな。だけど、今回がんばったのは副部長だけじゃないんだよ。

 

夕食を作ってくれたもう一人の功労者こと、アーシアがしょんぼりしていたところを俺は見かけ、スープの入った皿を手に取る。

 

「これ、アーシアが作ったんだってな。一誠も飲んでみたら?おいしいぞ」

 

「ん?そうなのか、アーシア」

 

「え、あ、はい!」

 

先に口をつけた俺に続くように一誠もごくりとスープを飲み干すと、美味い美味いと称賛する。

それを聞いたアーシアも顔を明るくさせて喜び、俺は小さく微笑んでいた。

 

「塔城は本当によく食べるな」

 

「……そう言う先輩だって食べてるじゃないですか。普段から私のことを大食漢だってバカにしてくるくせに」

 

「俺は食ったぶんだけこれからトレーニングして体を引き締めるからいいんだ」

 

「……私は成長期だから食べたら食べただけ、いろいろと育つんです」

 

ジト目で黙々と料理を平らげていく後輩から俺は目を背ける。俺も食事量は多いからなあ。

このあともちゃんとトレーニングしよっと。

 

「さて、イッセー。今日一日修行してみてどうだったかしら?」

 

優雅にお茶を飲んだあと、部長が一誠に訊いた。

先ほどまで美味な料理に舌鼓を打って満足げな顔をしていた一誠だが、部長の問いかけを聞いた途端に一転して落ち込み始めた。

 

「……俺が一番弱かったです。シュージとはそこまで差がないと思っていたんですけど、『戦車(ルーク)』の防御力とパワーに加えて魔力もすごくて……」

 

「あなたとシュージとアーシアは実戦経験が皆無に等しいわ。それでもアーシアの回復、あなたのブーステッド・ギア、シュージの神器(セイクリッド・ギア)は無視できない。それは相手も理解しているはず。最低でも相手から逃げられるぐらいの力は欲しいわ」

 

戦術的撤退や一時の戦線離脱が最終的な勝利に繋がることもあると部長は言う。

にしても、一誠はそこまで落ち込んでたのか。

俺からすれば神滅具なんていうチートを持っている兄貴がうらやましいくらいだが……。

 

持っていないものをねだるよりも、有るものをいまは鍛えるべきだ。

食事もある程度片付き始めた頃、部長が思いついたように言う。

 

「食事を終えたらお風呂に入りましょうか。ここは温泉だから素敵なのよ」

 

部長の言葉に全員が目を輝かせていたが、一人だけ熱量の違う目をした男がいた。

そう、一誠だ。いやらしく目尻を垂らし、鼻の下をこれでもかと伸ばしきっている。

兄貴が何を考えているか大体わかってしまう自分に俺は嫌気が差した。

 

「僕は覗かないよ、イッセーくん」

 

「バッカ!お、おまえな!」

 

祐斗が笑顔で牽制の一言を食らわせた直後、微笑む部長がとんでもない発言をする。

 

「あら、イッセー。私たちの入浴を覗きたいの?なら、一緒に入る?私は構わないわ。朱乃はどう?」

 

「イッセーくんなら別に構いませんわ。うふふ。殿方のお背中を流してみたいかもしれません」

 

「アーシアは?愛しのイッセーのならきっと大丈夫よね?」

 

副部長はいつも通りの笑顔で同意し、アーシアはうつむきながらも小さくうなづいていた。

うちの女子部員ってこんなにもオープンな方ばかりだったんだね……。アーシアは一誠が好きだからというのもあるんだろうけど。

 

だとしても混浴はどうかと思う。付き合ってもない男女がやることじゃねえって。

 

「最後に小猫。どう?」

 

「……いやです」

 

うん、それが普通の反応だよね。

 

「じゃ、なしね。残念、イッセー」

 

最後に拒否されたことで混浴の夢が潰えた一誠。

しかし、悔しげな顔で机に突っ伏しながらも、その瞳はいまだ燃えているように思える。

 

混浴がダメなら、せめて覗きは!とでも言いだしそうな雰囲気を一誠は漂わせている。

 

「……覗いたら、恨みます」

 

「そもそも、俺がいるこの状況で覗きに行けると本気で思ってんのか」

 

塔城と俺の絶対零度の視線を受けて、図星を突かれた一誠は肩を震わせた。

 

「愚兄、腹ごなしに外で模擬戦といこうか。相手してくれよ」

 

「じゃあ僕も混ざろうかな。特訓が終わったら、三人で裸の付き合いをしよう」

 

「ふざけんなぁぁぁぁっ!てめえら男共と付き合うくらいなら俺は一人で風呂に行く!」

 

泣きながら逃げようとする一誠を取り押さえ、俺と祐斗は腹ごなしの特訓を始めた。




修行編は今話を含めて二、三話で終わらせようかなと思っています。
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