ハイスクールD×D 終焉に抗う暁の太陽   作:ドラゴン大好きT

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今話で修行編はラストになります。次話からレーティングゲームになりますが…リアスたちは勝つことができるのでしょうか。


第16話 真っ直ぐな想い

 

 

熱く燃え上がる夢のなかで、人影と巨大な何かの影は話し合っていた。

遠く離れているためか、声は聞こえない。

 

話を聞くためにはもっと近づかなくては──。

二つの影が話している内容を聞きたく思い、俺は一歩ずつ足を踏み出していく。

地獄の風景を目に映しながら俺はマグマのなかに入り、かき分けるようにして進んでいった。

 

──熱い。何もかもが焼き尽くされていく。

そもそも俺はなぜこんなことをしてまで、話を聞きたいと思っているのか。

自分の行動に疑念を持ちながら、なんとか影たちの声が届きそうな距離まで俺は近づいた。

 

「まだ早い」

 

ノイズが酷い声が耳に入った直後のこと。

俺はまたもや炎に飲み込まれて──焼け死んだ。

 

***

 

修行七日目。今日は部長と副部長、アーシアと俺の四人で魔力の特訓をやることになった。

 

「では行きますわ。雷よ!」

 

副部長が頭上に手をかざした瞬間、眩い閃光と共に稲妻が空を走る。

落ちてくる雷を避けるように俺はとにかく走る。まともに当たればダメージは確実だ。

事実、俺が回避した雷は轟音を響かせて、地面にクレーターを生み出していた。

 

「あらあら、特訓のおかげでだいぶ体力がついたみたいですね。でも、私の雷は一発だけでは終わりませんわ」

 

嗜虐的な笑みを浮かべる副部長。悪魔の翼を生やして飛び上がると、空に雷雲を生み出した。

直後、いくつもの雷が俺に向かって降り注ぐ。

黄色い稲光が地面をふき飛ばし、俺は必死になって地上を走り回っていたのだが──。

 

「シュージ、避けてばかりではダメよ!魔力を使って反撃しなさい!」

 

「魔力を使って反撃……!」

 

部長の指示に俺は額に汗をにじませる。

修行が始まって七日が経過した現在まで、魔力を扱う修行も俺は頻繁にこなしてきた。眷属内でも有数の魔力量を持っていると判明したからだ。

 

同時に、俺に魔力を扱う才能はないということもすぐに判明することになった。

 

「魔力の塊……!魔力の塊……できた!」

 

逃げ回りながら手中に生み出した魔力の塊。

その大きさは──以前生み出した魔力の塊の半分にも満たないものであった。

あまりに不出来な結果に舌打ちをしたあと、俺は魔力の塊を副部長に向けて放つ。

だが、撃ち出した魔力は狙いとは見当違いの方向へ飛んでいってしまい、霧散してしまう。

このお粗末な結果に俺は肩を落とし、副部長も雷を落とすことをやめて地上に降りてきた。

 

「やはり、ダメでしたか。魔力の質も量も優れているのに制御と操作がまるでなっていませんわ」

 

「イメージの問題ではなさそうなのよね。魔力を生み出す想像力はあるはずだから、足りていないのは魔力を操る意識かしら。確かシュージは魔力を変化させることはできるのよね?」

 

「はい。でも、炎や雷に変化した魔力の出力も安定しないんです」

 

悪魔は魔力を扱うことで超自然現象を発生させ、現実世界に変化を起こす。

 

重要なのものは三つ。世界に変化を起こす魔力。変化を起こすためのイメージ。

そして、変化を起こし、制御するという確信。

精神面の強さ──自負と言い換えてもいい。

俺に足りていないものだ。変化を起こす魔力を操る技量、意識が足りていない。

技術的な才能も必要だが、意識的なものは経験を積んでいくことでも得られるとのこと。

 

「魔力を操る意識かぁ……」

 

「才能はヒトによって差が生じるものだけど、技術や経験は磨くことができるわ。魔力を持ってさえいればね。幸いにしてあなたは大量の魔力を持っている。これからも練習あるのみね」

 

「一緒にがんばりましょう!シュージさん」

 

「フォローありがとな。アーシア」

 

修行初日とは一転、今度はアーシアが俺をフォローしてくれていた。

アーシアもすでに小規模ながらに雷や水、火を魔力で起こせるようになっている。俺と違って出力も安定していることから技術も申し分ない。魔力の才能でアーシアは俺よりも上というわけだ。

 

「魔力の操作っていうと、魔力を使って身体能力を上げることもできるんですか?」

 

「もちろんよ。私たちが同じ悪魔の男性やエクソシストと単純な力比べをしてしまったら負けてしまうものね」

 

「うふふ、私たちはか弱い女の子ですからね」

 

か、か弱い……?うふふと笑い合う部長たちに、俺とアーシアは引きつった笑みを向けた。

あなた方がか弱い女の子だというのは、さすがに無理があると思います。納得しかねるよ……。

 

「通常、魔力はオーラのように体から発しているものですが、それを全身に巡らせることで身体を強化するのです」

 

「魔力は血液にも宿っているの。血液を生み出す心臓から血管を通って、全身を巡っていき、最後は心臓に戻って循環する。このイメージがうまくできれば身体能力も向上するわ。シュージとアーシアも練習してみましょうか」

 

俺とアーシアに部長と副部長は魔力の扱い方を懇切丁寧に教えてくれる。

ライザーとのゲームまで残り三日。もし負ければ部長はライザーと望まぬ結婚をさせられ、こういった時間も失うことになる。

──絶対に負けられねえ。勝ってみせる。

 


 


 

深夜。皆が寝静まったあと、俺は初日から続けている神器の特訓に取り組んでいた。いや、皆が寝静まっているというのは誤りか。

 

「今日も来たのか。飽きないの?」

 

「……私もトレーニングしているのでお気になさらず」

 

両手に浮かぶ炎から視線を移し、俺はジャージ姿の塔城に話しかけていた。

皆に隠れて神器の特訓をしようとしたが、初日で塔城に見つかってしまった。すると、その後も塔城は俺の特訓を見に来るようになった。

 

「……万が一のことを考えているんです。先輩が神器(セイクリッド・ギア)の練習中に倒れたら、こんな夜中に誰が助けるんですか」

 

「あー、なるほどね。でも意外だな。俺のことを心配してくれるんだ。塔城って」

 

「……バカで目つきが悪くて口も性格も悪い先輩ですが、いちおう仲間ですので」

 

「おまえの口と性格も大概だろ!ったく……」

 

無表情で毒を吐く塔城に言い返して、視線と意識を俺は炎に戻す。

初日から始めた神器の特訓だが、目立った進展はないといっていい。周りが林だから安易に炎を撃ち出すわけにもいかず、両手に発生させるだけに留めていた。

だが、これではライザーには勝てない。

不死身を突破するためにさらなる火力が欲しい。戦い方にも幅が必要だ。もっと、もっと……。

 

『魔力は血液にも宿っているの。血液を生み出す心臓から血管を通って、全身を巡っていき、最後は心臓に戻って循環する』

 

行き詰まりを感じ始めていた俺だったが、昼間の部長たちとの修行を思いだした。

あれは魔力の扱い方だったが、もしかすれば神器にも応用できるのではないだろうか。

だとするなら、必要なことは……。

 

「イメージと意識か」

 

俺は目を閉じて意識を深く集中させ、自分の体を流れる血と魔力を感じ取ろうとする。

心臓から生まれた血液が、血管を巡って全身に行き渡っていき、最後には心臓に戻ってくる。

イメージするものは何人も焼き尽くす炎の力。

ちょうどいいお手本を俺は見たじゃないか。

 

「……いけそうだな。よし」

 

イメージが完成した俺はジャージの上着を脱ぐ。

俺がノースリーブの黒シャツ姿になると、それまでずっと黙って見ていた塔城が目を細め、警戒心の強い眼差しを送ってきた。

 

「……何しているんですか?」

 

「そんな変態を見るような目を俺に向けないでくれます……?何の理由もなく服を脱いでるわけじゃねえから!」

 

ジト目の後輩に理由を説明するためにも、俺はイメージしたものを実践する。

 

「──血は炎」

 

そう口にした瞬間、俺の両腕から炎が発生する。

これまでは火球程度の炎しか生み出すことができなかったが、これで俺は両腕に炎をまとわせることができるようになった。

 

これの手本元が奴──ライザー・フェニックスだということが、ものすごく嫌だけど……。

両腕に炎をまとった俺を見て、塔城は珍しく目を丸くして驚いていた。

 

「……すごいですね。先輩の魔力が優れていることは朱乃さんから聞いていましたけど……」

 

「体を巡っている魔力を神器(セイクリッド・ギア)の能力で炎に変換させたんだ。これなら接近戦でもけっこう活躍できそうだな」

 

拳だけじゃなく足からも炎を出せるはずだ。靴がダメになりそうだからやらないけど。

思いついたことが成功して、俺はうれしさに拳を握りしめていた。

 

「……私は魔力があまり優れていないので、先輩のようなことはできません。身体能力の強化ぐらいであればできますが……」

 

そう言う塔城の手のひらには、野球ボールくらいの白い魔力の塊が生み出されていた。

 

「魔力の差って、けっこう激しいんだな。一誠も米粒くらいの魔力しか生み出せないみたいだし。でも、俺も魔力をたくさん持っているわりには全然扱えないよ。まだまだ練習あるのみだ」

 

「……先輩はどうしてそこまで強くなろうとしているんですか?いえ、仲間のためだっていうのはわかっていますけど……」

 

塔城の問いかけに俺は自分の拳を見て黙り込む。

なぜ、強くなろうとしているのか。

悪魔になりたての頃は、一誠を殺したレイナーレを殺すため──つまり復讐のためであった。

なら、いま強くなろうとしている理由は?一誠を守るために?仲間の足を引っ張らないために?

たぶん、どれも違うと思う。同時にどれでもあると答えられる。

 

けど、一番の理由はきっと──。

 

「部長を奪われたくないんだろうな。俺は」

 

炎が揺れて赤々と燃える拳に、俺は部長の紅い髪を幻視していた。

俺の言葉を聞いた直後、塔城が首をかしげた。

 

「……先輩ってリアス部長が好きなんですか?」

 

「好きか嫌いかでいえば好きなんじゃね」

 

「……適当ですね」

 

「ごまかしているわけじゃないぞ。部長をヒトとして好きなのか、女性として好きなのかが、正直よくわかってないんだ。俺、まだ恋愛経験っていうものがなくってな」

 

いきなり口を押さえられたときとか、部長の裸を見たときはさすがにドキッとしたけどな。

あのときのことを思いだして頬を掻いていると、塔城は俺の顔を見つめて意外そうに言う。

 

「……シュージ先輩、これまで彼女ができたことないんですか?好きな人も?」

 

「意外か?俺、目つきはこんなだし、普段はぶっきらぼうなやつだからな。まあ、他にも理由はあるんだろうがあまりヒトには好かれないな」

 

「……顔自体は悪くないと思うんですけどね。先輩も私のことを言えないくらいには、表情が乏しいヒトですから」

 

一誠の弟だからあいつも覗きをしてる!と、噂を焚き付けられたこともあったな。あまりにくだらない噂だったため無視し続けたが。

女子に寄り付かれない理由が一誠だというなら、ありがたいような、ありがたくないような微妙な気分になる。

 

「一番の理由は俺自身にあるしな。きっと」

 

「……そうですね。先輩はダメダメです」

 

「そんなことは俺が一番よくわかってる。だからヒトに好かれないし、嫌われるんだろうよ」

 

「……ダメダメですけど、良いところもありますよ。家族を必死に守ろうとするところとか、家族をバカにした相手に怒るところとか、仲間想いなところとかも」

 

うぇっ!?いきなり褒めてきた塔城に俺はびっくりして肩を跳ねさせた。ヒトから褒められることには慣れてないっていうか……。

 

「あ、ありがとぉう……?」

 

「……なんで疑問形なんですか。本当に変な先輩ですね」

 

「と、とりあえず今日は修行もおしまい!俺はもう寝るぞ!」

 

気恥ずかしさから赤くなった頬を隠すように、俺は塔城から顔を背けて歩きだす。

後ろについてくる塔城が笑っているような気がしたが、そんなのは無視だ無視!

別荘内に戻った俺たちはそれぞれの寝室に戻ろうとしていたのだが、リビングで話し合う一誠と部長の姿を目撃した。

 

「何してんだろ。あっちはあっちで作戦会議でもしてんのかな?」

 

「……そういう雰囲気ではないと思いますが」

 

なぜか暗がりに隠れてしまった俺たちは、二人が話し合う姿をこっそりと盗み見ていた。

火を灯したキャンドルを置いた机を挟んで、部長は神妙な様子で一誠に話している。

 

「私はグレモリーを抜きとして、私をリアスを愛してくれる人と一緒になりたいの。それが私の小さな夢。……残念だけれど、ライザーは私の事をグレモリーのリアスとして見ているわ。そして、グレモリーのリアスとして愛してくれる。それが嫌なの。それでもグレモリーのとしての誇りは大切なものよ。矛盾した想いだけど、それでも私はこの小さな夢を持っていたいわ」

 

……難しい話だと、俺は思った。部長がグレモリーという家の看板を背負っている悪魔だということは、眷属になってすぐの俺でも知っている。

御家の事情なんか知ったことか。部長の意志を尊重しろよ!──そう言えるだけの立場と力がいまの俺たちにはない。

だからこそ、今回のゲームに勝つしかないんだ。

 

「俺は部長のこと、部長として好きですよ」

 

そのときであった。一誠がさも当然のことのようにそう言った。

俺も塔城も部長でさえも黙っているなかで、一誠は言葉を紡いでいく。

 

「グレモリー家のこととか、悪魔の社会とかよくわからないし、俺にとってリアス部長はリアス部長であって……。小難しいことはよくわからないですけど、俺はいつもの部長が一番です!」

 

部長の御家とライザーの御家を納得させるには、今回のゲームに勝つしかないと俺はそればっかり考えていた。そうすれば部長を助けられると。

 

でも、一誠のように真っ直ぐな想いを口にするだけでも部長は救われたんじゃないだろうか。

 

俺は結局、自分のことばかりに目を向けていて、部長のことに目を向けられていなかった……。

俺は部長のことを、自分の『王』としてしか見ていなかったんだと、一誠の言葉を聞いてこのとき初めて思い知った。

 

「……イッセー先輩は普段は最低ですが、ここぞというときはキメますね」

 

「そうだな。普段はどうしようもない変態だが、やるときはやる男だよ、一誠は。それに一誠の優しさはいつも真っ直ぐだ。俺とは違う」

 

腕を組んで壁に背中を預けた俺はうつむく。

できないことはできない。やれることをやるだけだと俺は修行中、自分に言い聞かせてきた。

一誠はそんなことも考えずに、自分が思うように行動するのだろう。

そんな兄のことが少しだけうらやましかった。

 

「部長、俺、ダメです。山に来てから……てんでダメっス」

 

そのとき、一誠が悔しげに弱音を吐き始めた。

どれだけ修行をしても自分は祐斗のような剣士にはなれない。塔城のような格闘センスもない。

副部長のような魔力の強さも、アーシアや俺のような才能の片鱗もない。神滅具を持っているからと強がりもしたが、今回の修行で一誠は自分の無力さに気づいてしまった。

自分は弱いと。戦いの才能がないと。一誠は涙を流して自分の弱さを吐き出し続けていた。

すると、部長は立ち上がって泣きじゃくる一誠を優しく抱き寄せる。

 

「自信が欲しいのね。いいわ、あなたに自信をあげる。ただ、いまは少しでも体と心を休ませなさい。眠れるようになるまで私がそばにいるから」

 

優しく包み込むような温かさのある声。一誠が落ち着くまで部長は頭を撫で続けていた。

二人から俺と塔城は目を背け、ただ黙ってその場に潜み続けていた。

男の涙を、主と下僕の感動的な場面を、これ以上盗み見るつもりにはなれなかったから。

しばらくすると、泣き止んだ一誠はリビングから立ち去っていった。俺と塔城も頃合いを見計らってその場から立ち去ろうとしたときだ。

 

「ふたりとも、そこで何をしているのかしら」

 

リビングから部長の声が投げかけられる。

ふたりとも、といった時点で部長が誰に声をかけているかは明白だった。

俺と塔城は隠れていた場所から出ると、部長の前まで近づいていって頭を軽く下げる。

 

「すみません。盗み聞きするつもりはなかったんですけど、俺たちが出るようなタイミングでもないと思ってしまったので……」

 

「……すみませんでした。まさかイッセー先輩があそこまで思い悩んでいるとは知らずに……」

 

「ふたりとも、たまたま出くわしたってことね。仕方ないわ」

 

そう言う部長は赤いネグリジェに身を包み、紅の髪を一本に束ねていた。メガネまでかけていて、普段とは見た目の印象がずいぶんと違う。

 

「それで、シュージの秘密の特訓の成果はあったのかしら?」

 

……。にこやかな笑みを浮かべた部長が口にした一言に俺はぎょっとして体を強張らせた。

俺は固まった表情のまま、神器の特訓を知っていたもう一人の人物に顔を向けるが、塔城もびっくりした様子で首を横に振っている。

 

つまり、そういうことなんだろう。

 

神器(セイクリッド・ギア)のことまで気づいていたんですか」

 

「あれほどの魔力のオーラを発していればね。あなたの神器(セイクリッド・ギア)は詳細な情報はおろか、名前すらもわかっていないの。勝手な行動は慎んでほしかったというところが正直なところなのだけど」

 

「俺も、一誠と同じなんですよ。自分の強さに自信がない。だから、自分なりに鍛えてみようと考えて行動に移しました。部長に何も伝えずに特訓していたことは、本当に申し訳ありません」

 

「……その件については、私も黙認してしまいました。すみません」

 

っ──。俺が報連相を怠ったことを謝った直後、なぜか塔城まで謝りだしてしまった。

塔城が俺の特訓を黙って見逃していたのは、俺が黙っていてくれと言ったからなのに……。

 

「ふたりとも、もういいわ。シュージなりに自分の力を鍛えようとしたことは私もうれしく思っているもの。小猫もシュージを心配したからずっとついて見ていたんでしょうし」

 

今日はもう休みなさいと、俺と塔城は特に怒られることもなく解放されることになった。

寝室に戻ろうとする直前、俺は部長のことを真っ直ぐ見て言葉を発していく。

 

「部長、一誠のことを助けてくださって、まことにありがとうございます」

 

「どうしたの?さっきのことなら、主として私は当然のことをしたまでよ。そこまで仰々しい言い方をしなくてもいいのに……」

 

「さっきのことも含めての感謝です。一誠の命を救ってくれたこと、弟の俺からも改めて感謝を伝えておきたいなと思ったので。そして、このご恩を俺は忘れません。必ず返します。リアス・グレモリーさまの『戦車(ルーク)』として」

 

俺はこのヒトのことが好きだ。主として、俺たちの命を拾い上げてくれた恩人として。

『王』として好きなんだ。だから、『下僕』の俺は全身全霊で部長のことを守ろう。

 

グレモリー眷属の『盾』として。

 

「シュージ……ありがとうね。あなたの心意気は十分に理解したわ。ゲームのときも頼りにしているわね。おやすみなさい」

 

「はい、おやすみなさい。部長」

 

就寝のあいさつを交わして、俺たちはそれぞれの寝室に戻っていった。

下僕と主。その立ち位置を再認識して──。

 


 


 

次の日。八日目の朝から始まったものはブーステッド・ギアを使用した一誠と祐斗の模擬戦。

山に入ってから一切禁止されていた神器の使用を許可され、一誠は戸惑いながらも神器の力で自分の能力を倍化させていく。

倍化を始めて二分後、一誠と祐斗の模擬戦が始められた。祐斗の木刀による初撃を一誠は籠手に覆われた左腕でガードするも、続く上からの強襲には対応できずにまともに食らってしまった。

頭部を突かれたにも関わらず、一誠は怯まずに祐斗に殴りかかるが攻撃は当たらない。

それからまもなくして、リアスは一誠に魔力の一撃を撃つように指示を出す。その結果は凄まじいの一言でしか表せないものになった。

米粒ほどの魔力の塊が巨岩ほどの大きさに変化して、祐斗に当たることこそなかったが、遥か後方にある山を一つ消し飛ばしてしまった。

一誠に攻撃を加えていた祐斗の木刀はへし折れ、神器を使って放った一誠の攻撃は上級悪魔クラスにまで昇華していた。

 

「あなたはゲームの要。イッセーの攻撃力が状況を大きく左右するの。あなた一人で戦うのなら、力の倍化中は隙だらけで怖いでしょうね。けど、勝負はチーム戦。あなたをフォローする味方がいる。私たちを信じなさい。そうすれば、イッセーも私たちも強くなれる。勝てるわ!

あなたをバカにした者に見せつけてやりましょう。相手がフェニックスだろうと関係ないわ。リアス・グレモリーとその眷属悪魔がどれほど強いのか、彼らに思い知らせてやるのよ!」

 

『はい!』

 

自分の無力さを嘆いていた一誠も今回のことで自信を取り戻し、他の部員たちも彼の真の強さを目の当たりにしたことで身を引き締めた。

全員でライザーとその眷属に勝利する──。

決意を新たにした彼らは残りの山籠り修行も順調にこなしていき、来たる決戦当日を迎えた。




リアスからブーステッド・ギアの能力を聞いた主人公が最後の模擬戦のなかで『譲渡』の力を覚醒させるように促す展開や、一誠のドラゴンショットを見た小猫が焦って猫魈の力を使うかどうか悩んでいるところに主人公が来る展開、主人公が必殺技を作る展開も全てボツになりましたね。
最後は見ての通り駆け足になるし、文字数も一万超えになりそうだったので。

あと、話の途中で出てきた「血は炎」はタグに他作品の技、技術有りって追加したほうが良いですかね?
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