ハイスクールD×D 終焉に抗う暁の太陽   作:ドラゴン大好きT

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使い魔…死に設定にならないようにしたいなぁ。


番外編 使い魔をゲットしよう

 

 

三限目の授業が終わり、兵藤秀次は次の四限目の授業の準備を黙々と進めていた。

四限目が終われば昼食の時間。三限目と四限目の間の準備時間は、勉強に疲れた学生たちの気がいくらか緩み始める時間帯でもある。

かくゆう秀次も授業の準備を終えると、頬杖をついてぼーっと窓の外を眺めていた。

そのときだ。教室の扉が力強く開かれ、三名の男子生徒がズカズカと入ってきた。

先頭に松田、続く元浜、最後に兵藤一誠と、学園でも有名な変態三人組だ。彼らの来訪に秀次のクラスメイトたちは思わず身を固め、各々敵意や警戒心の強い視線を浴びせていた。

しかし、彼らはそれらの視線を気にせずにある人物のもとへ迷いのない足取りで向かう。

 

そして、目的の人物──秀次の前に立つ三人組。彼らの登場に秀次も眉根を寄せた。

 

「三人揃って何の用だ?」

 

「話がある。ついてきなさい、シュージくん」

 

ニヤニヤと笑う松田に不可解なものを見る目をする秀次だったが、妙な直感が働いた彼はおとなしくついていくことにした。

三名について向かった先は謎に一年生のフロア。

それも──女子更衣室の前であった。

 

「……もう一回聞くぞ。何の用だ?」

 

「ふふふ、理由は不明だが最近、我々の覗きスポットが悉く潰されてしまっていてな。俺たちの性への欲求はもう限界寸前だ」

 

「俺たちはいつも穴から覗いたり、窓の外から覗いていたりするわけだが今日は違うぞ」

 

「覗きスポットから見えないなら──俺たちが女の園に直接入ってしまえばいいんだ!」

 

三人組の主張に秀次は頭を抱えて黙り込む。

特に最後の発言をしたのが実の兄だというのだから頭が痛い。

なぜそんなにも、さも大発見をしました!と言わんばかりの活気のある表情をしているのかと小一時間は問い詰めたいところだ。

ちなみに、彼らの覗き行為が最近減少傾向にあるのは秀次が過去に行ったおとり捜査が原因だ。

あたかも自分も覗きに興味があるように思わせ、彼らの秘密の覗きスポットを知ると、それをすべて生徒会に知らせて潰させた。

まあ、それが理由で現在、秀次も覗き行為に加担させられそうになっているのだが……。

 

「さあ行こう!俺たちの楽園(エデン)はもう目の前だ!」

 

「ふへへ……一年の更衣室ってことは、あの小猫ちゃんもここで着替えているわけで……ふへへ!もう辛抱たまらん!」

 

「シュージが俺たちの趣味に賛同してくれたときは正直本物か疑ったけど、ようやくシュージも一人前の男になったんだと思えば納得できたよ」

 

準備万端の三人組は鼻息を荒くし、女子更衣室の扉からすでに目が離せなくなっていた。

──ゆえに、般若顔となった秀次が背後で拳を握りしめたことにも気づけない。

 

「さあいざ行かん!楽園へ──」

 

「行かせねえよ。ゴミクズ性犯罪者どもが」

 

『え?』

 

真面目な生徒ではなく、荒くれ者としての本性を秀次があらわにした直後──

 

『ギャァァァァァァアアアアアッッ!!』

 

変態三人組の悲鳴が響き渡った。後に着替えに着た一年生女子と小猫は血まみれの男子生徒らしきものを引きずる真顔の秀次を見かけていた。

 


 


 

その日の放課後。顔が三倍に腫れた一誠と見るからに不機嫌そうな秀次を除き、普段通りの部員たちが部室に集まると、部長のリアスがとある話を始めた。

 

「使い魔……ですか?」

 

「そう、使い魔。イッセーとシュージとアーシアはまだ持っていなかったわよね」

 

使い魔。使役することで悪魔の手足となり、主の手伝いから、情報伝達、対象の追跡など、幅広く活躍してくれる貴重な存在。同時に悪魔にとっては基礎的な契約相手でもある。

存在そのものは聞かされていた三名も、実際に持つことになるのはこれが初めてだ。

仲間たちがすでに使役している使い魔たちの紹介を受けていると、転移の準備が整ったらしく部室中央の魔方陣が光り輝いていった。

リアスたちが転移した先はやたら背の高い巨木が立ち並ぶ薄暗い森だ。

 

「ここは悪魔が使役する使い魔がたくさん住みついている森なのよ。ここで今日、三人には使い魔を手に入れてもらうわ」

 

「ゲットだぜ!」

 

まさに何が出そうな雰囲気。そう思っていたところで謎の人物が奇声と共に彼らの前に現れた。

彼の名前はザトゥージ。使い魔マスターを目指して修行中の青年悪魔らしい。

今回は彼にアドバイスをもらいながら使い魔を手に入れるわけだが、彼が紹介してくる相手は龍王の一角『天魔の業龍(カオス・カルマ・ドラゴン)』ティアマットだったり、猛毒を吐き散らす不死身の怪物ヒュドラだったりと、なんとも危険な生物ばかり。

 

「殴っていいっスか。部長、このヒト殴っていいっスか?」

 

「龍王に猛毒を吐く不死身の魔物か。会いに行ってみるのも悪くなさそうだ」

 

「悪いだろ!相手はラスボス級のドラゴンだぞ!いまだ誰も使い魔にできたことはないとかいう化け物なんだよッ!」

 

意外にも乗り気な様子の秀次に、直前まで怒り心頭だった一誠は引いた目線を送る。

秀次はライザーとのゲームを経て少し考えが変わったようで、強い相手と戦うことで自分をさらに強くしたいという思いがあった。さらに強い使い魔を得られるなら一石二鳥だろうと。

なお、戦って死ぬ可能性はこの際無視である。

 

「そっちの男子は話がわかるね。キミが求めるのはどんな使い魔なんだい?」

 

「できるだけ強いやつがいいな。見た目はよっぽど変な奴じゃなければなんでもいい」

 

「かわいい使い魔とかいないスかね。エッチな女の子系とか」

 

両極端な二人の意見……というより、一誠の要望が気に入らなかったらしいザトゥージは独自の使い魔理論を語り出した。

そっち方面に興味がない一誠と秀次は内心でウザいと辛辣な評価を下していたが。

しかし、かわいい使い魔を欲しいとアーシアが言った途端、ザトゥージも態度を豹変させる。にっこり笑顔で彼女の意見を承諾した。

そんなこともあって龍王と不死身の怪物を使い魔にするのは別の機会に見送られた。

 


 


 

場所を移動したリアスたち一行は、泉近くの物陰で気配を消して身を潜めていた。

彼らが狙っているのは神聖な泉に住み着く水の精霊ウンディーネ。

ザトゥージの説明によると、清い心と美しい姿を併せ持つ乙女らしい。これを聞いた一誠は妄想をはかどらせてウンディーネの登場を待ちわびる。必ずや使い魔にしようと意気込んでいた。

 

「俺、ウンディーネを使い魔にしたら、まず最初に膝枕をしてもらうんだ。それでそのままエッチなスキンシップをしてもらって……うへへ」

 

「おまえ、本当にブレないな」

 

呆れた様子の秀次が送る冷たい視線を気にすることもなく妄想を口にする一誠。

 

しかし、現実はそう甘いものではなかった。

 

泉から現れたのは水色の長髪をたなびかせ、透明な羽衣を身に纏った巨漢。

丸太のように太くたくましい腕と脚、獣の牙でも通さなそうな分厚い胸板、顔は傷だらけで視線は鋭く、まるで歴戦の戦士を思わせる。

ウンディーネ。その正体は泉を求めて同族と争い合う水の精霊だった。

しかもザトゥージ曰く現れたのは女性型らしい。男性型はさらに上位の格闘家なのだろうか。

追加で現れたウンディーネと最初にいたウンディーネが争う始末に一誠は激しく涙していた。

 

「ディーネちゃんのこと使い魔にしないの?」

 

「ニヤニヤ笑ってんじゃねえ!ぶん殴るぞ!」

 

「お二人とも、今日はいつにも増して仲がいいですね」

 

「あれは仲がいいと言えるのかな……」

 

「……犬が互いに吠え合っているようにしか見えません」

 

ウンディーネを使役することを諦めたリアス一行はザトゥージの案内のもと森の奥へと進む。

なんでも現在、使い魔の森に蒼雷龍という激レアなドラゴンの幼体が飛来しているのだという。

リアスですら見たことがないらしく、成熟すると絶対に使役できない上位のドラゴンらしい。女の子系の使い魔を求めていた一誠も幾度も想像を裏切られたことで辟易していた。

この際ドラゴンでもいいかなんて考えていると、ザトゥージがとうとう発見する。

 

蒼雷龍(スプライト・ドラゴン)!あれだよ!」

 

蒼い宝石のような輝きを放つ鱗に覆われた小型のドラゴンが巨木の枝で羽を休めていた。

 

「綺麗だな」

 

「成長するとあの子も十メートル以上にまで成長するらしいから。すごいよね、ドラゴンって」

 

蒼雷龍の美しさにその場の全員が目を奪われていたときだった。

 

「キャ!」

 

「こ、これは!」

 

「あらあら、いけませんわ」

 

「……ヌメヌメ、キモい」

 

ゲル状の謎の何かに襲われる女子部員たち。

その正体はゲームでお馴染みのスライムであり、ヒュドラの話を聞いていた一誠と秀次の脳裏に毒持ちの可能性が過ぎるが──

 

「ふ、服が……融けてます!」

 

その効果は意外も意外。取りついた相手の服を融かすというなんとも珍妙な能力だ。

制服どころか下着すら融かすスライム。突如として目の前に広がった光景に一誠は鼻血を流しながらも脳内に刻みつけようと目を見開く。

しかし、彼の視線にいち早く気づいた小猫が大事な部分を隠しながら一誠を殴った。

 

「……見ないでください」

 

「そ、そんなこと言ったって……。そのスライムが危険かもしれないじゃないか……」

 

一誠の言い分を小猫はすでに聞いておらず、彼女の目線はもう一人の男子へと向けられる。

 

「シュージ先輩、あなたも──」

 

「おわっ、この!」

 

「何やってんだ。おまえは」

 

スライムが顔に張り付いてしまったらしい祐斗を秀次は呆れ顔となって見ていた。

小猫としては別に見られたいわけではない。むしろ見ていたら容赦なく殴るつもりだった。

しかし、まったく見られないというのも複雑だ。一応女子が襲われている非常事態なのだが、あえて見ないようにしているのか。

そうこうしているうちに今度は巨木の幹から触手らしきものが現れ、衣服が融けかけの女子部員たちの体に絡みついていく。

 

「こちらは名称は特にないが、服だけを融かす特性を持つスライムだ。それとただの触手だな。こいつらはよくコンビを組んで獲物を襲うんだ。獲物って言ってもスライムは衣類。触手は女性の分泌物目当てで、目立った害はないんだが……」

 

ザトゥージの説明を聞いた瞬間、一誠の脳裏に電流が走る。

 

「部長、俺、このスライムと触手を使い魔にします!服を融かす!女性の分泌物を食べる!俺の求めていた人材です!」

 

「あのね、イッセー。使い魔は悪魔にとって重要なものなのよ?ちゃんと考えなさい!」

 

「考えました!やはり、使い魔にします!」

 

「せめて考える姿勢くらい取りなさい!」

 

意気揚々とスライムと触手を使い魔にしようと画策する一誠にリアスは顔を赤らめていた。

しかし、彼女たちとて気持ちの悪い生き物にいつまでも体を弄られる趣味はない。朱乃は炎の魔力でこんがり焼き、小猫は引きちぎっては地面に叩きつけ、リアスは滅びの魔力で消し飛ばす。

秀次も神器の炎で焼き払い、祐斗も魔剣でスライムと触手を斬り払う。スライムと触手が必要だと判断しているのは一誠のみであった。

残ったスライムと触手はアーシアを襲っているものたちだけ。

彼らだけは死守しようと一誠はスライムと触手がまとわりついたアーシアを抱きしめる。

 

「どきなさい、イッセー。こういう役に立ちそうにない生き物は焼くの。邪魔だわ」

 

「いやだい!いやだい!俺はこのスライムと触手を使い魔にするんだい!」

 

仲間たちの冷たい視線を浴びながらも、一誠は将来ハーレム王になった際に使えるであろうスライムたちを必死に守ろうとしていた。

 

しかし、次の瞬間──どこからともなく飛来した蒼雷龍が一誠たちの目の前で帯電する。

 

「え、おまえ何を──」

 

「クワー!」

 

大きな鳴き声と共に放たれた蒼い雷撃は一誠を激しく感電させ、真っ黒焦げにしてしまった。

一誠が抱きついていたアーシアは無事のようで、理由はザトゥージが教えてくれた。

 

「蒼雷龍は外敵と定めた相手にしか雷撃のダメージを与えないんだ。その娘さんは敵ではないと思ったのだろう」

 

そう語るザトゥージも黒焦げであり、ついでに祐斗まで黒焦げにされている。被害を受けていない男子は秀次のみであった。

 

「シュージ、あなたは攻撃されなかったのね」

 

「みたい、ですね。なぜでしょう?」

 

頭を捻る秀次であったが、それを遮るように一誠が慟哭の声を上げた。

 

「スラ太郎ォォォォォッッ!触手丸ゥゥゥゥゥ!うわあああああああッッ!」

 

彼が泣き叫ぶ理由──。それは、蒼雷龍の雷撃によって見るも無残な姿となったスライムと触手が理由であった。厳密に言うと元スライムと触手で現在はただの炭と化しているが。

ドラゴンのオスは他種族のメスも好む。スライムたちがアーシアを襲っていると判断した蒼雷龍は彼らを攻撃したというわけだ。

 

「……スラ太郎と触手丸はいい奴だった……。

一番の仲間……。それをおまえは黒焦げに……」

 

「ガー」

 

「……俺は怒ったぞ。スプライト・ドラゴォォォォォォンッッ!」

 

守ろうとした対象。今後一生のパートナーにするべく名前まで決めていた。そんな彼らを滅ぼした蒼雷龍に一誠は怒り狂っていた。

あまりの怒りっぷりに周囲の木々はざわめき、一誠の体を薄い魔力のオーラが覆った。彼の迫力に部員たちは気圧され半分、呆れた様子半分といったところだ。

 

「究極!無敵!地上最強と称えられたドラゴンの力!その身で受けて消え失せろ!」

 

愛する仲間を滅ぼした憎き敵に魔力で覆われた拳を突き出そうとしたその瞬間。

 

「いじめちゃダメです」

 

子ドラゴンを抱きしめたアーシアが諌めるように一誠に言い放った。妹同然の彼女にそう言われてしまっては一誠も下がるしかない。

蒼雷龍はすでにアーシアに懐いているのかじゃれついていた。

 

「蒼雷龍は心の清い者に心を開くとも聞く。完全にその子に気を許していそうだね」

 

ザトゥージの説明に全員が納得する。アーシアの善性は皆知っている。

当初は一誠の使い魔にする予定だったが、どう見てもアーシアに懐いているので蒼雷龍は彼女の使い魔になることになった。

使い魔契約が完了したところで、蒼雷龍は早速アーシアにじゃれついていた。

 

「うふふ、くすぐったいです。ラッセーくん」

 

「ラッセー?」

 

「はい。雷撃を放つ子ですし、イッセーさんからも名前をいただきました。雷撃を放ちながらもイッセーさんみたいに元気な子であって欲しいと思ったので。……迷惑でしたか?」

 

「いや、それはいいけどさ……。まあ、いいや。よろしくな、ラッセー」

 

気軽に触れようと一誠が近づいた瞬間、蒼のスパークが辺りを照らす。

無慈悲の雷撃を受けた一誠は再び黒焦げとなり、口から黒煙を上げていた。

 

「言うの忘れたけど、ドラゴンのオスは他生物のオスが大嫌いだ」

 

「たぶん『気安く触るな』って言ってんだな」

 

ザトゥージの説明を聞いた秀次はそう結論する。やはり彼だけが雷撃の影響から逃れていた。

祐斗でさえ攻撃されており、蒼雷龍が自分以外のオスを敵対視しているのは間違いないのにだ。

 

「これってどういうことなのかしら?」

 

「うーん……実は兄ちゃん、男じゃなかったりして。さすがにんなわけねえか」

 

「産まれてから俺はずっと男だっての。まあ仲良くしてくれるならそれにこしたことはない。俺からもよろしくな、ラッセー」

 

自分は攻撃されないと確信した秀次が蒼雷龍に手を伸ばした──そのときだった。

 

伸ばされた彼の手を蒼雷龍はあからさまに避けたのである。さらに秀次から逃れるようにアーシアの背中に隠れてしまった。

これには秀次もぽかんと頭を殴られたような衝撃を受け、その場で動きを止めていた。

 

「なるほど。敵対ではなく、そもそも関わり合いになりたくなかったわけか」

 

それはある意味、一誠たち以上に嫌われているのではないだろうか。

ザトゥージが出した結論を聞いた秀次は落ち込んだ様子で体育座りをしていた。普段から周りから煙たがられる立場ではあるのだが、まさかドラゴンにまで存在を否定されてしまうとは……。

 

「ハハハ、関わり合いになりたくないって……」

 

「シュ、シュージさん……」

 

「アーシアいいって。今回ばかりはフォローされたら余計にみじめになる」

 

「いや、そうじゃねえって!頭!頭の上に!」

 

様子のおかしい仲間たちを不思議に思う秀次。

彼らの視線は自分の顔よりも少し上。頭上に注がれていた。

同時に頭に妙な重さがのしかかっていることに気づいた秀次は自分の影を見つめ、頭から翼のようなものが生えていることを確認する。

 

「あ?なんじゃこりゃ」

 

秀次は腕を頭のうえに伸ばし、頭の上に乗っているであろうものを掴む。そのまま掴んだものを顔の前まで持ってきた。

 

「きゃう?」

 

「……へ?」

 

それを見た瞬間、秀次は言葉を失った。なぜなら自分が掴み上げていたものの正体は──。

 

「これって、ドラゴン!?」

 

「きゃうー」

 

「うぶっ!」

 

蒼雷龍より一回り大きいくらいの体格で、二本の脚と大きな翼を持った黒曜石の如き黒色の鱗に全身を覆われたワイバーンタイプのドラゴン。

ドラゴンらしき生き物はいきなり秀次の顔に飛びついてきた。なかなかに鋭い爪が顔に食い込み、秀次はなんとかそいつを引きはがす。

 

「なんだこいつぅ!?」

 

「おおっ!そいつはアイトワラスだぜ!いまとなってはかなりレアなやつだ」

 

「アイトワラス?」

 

なにそれ?と首を傾げる秀次と一誠とアーシア。

すると、リアスが語りだした。

 

「リトアニアの伝説の精霊よ。屋外では黒いドラゴンに姿を変え、屋内では黒猫や黒い雄鶏に姿を変えるの。本で見たことはあるけれど、生で見るのは私も初めてだわ」

 

「大昔は悪魔たちがこぞって使い魔にしていたらしい。だが、大戦で契約していた悪魔たちが滅んでしまったときにアイトワラスたちも姿を消したそうだ。そいつが住み着いた家は裕福になるって話から、幸運の象徴と言われているんだぜ」

 

ザトゥージから追加で説明を受けた秀次はアイトワラスの黒い瞳を見つめる。

 

「幸運の象徴か……」

 

「部長。こいつ、シュージに懐いているみたいですし、シュージの使い魔にしたらいいんじゃないですか?」

 

「やめておいたほうがいいわ」

 

まさかのリアスの即答に提案した一誠も秀次もずっこけそうになる。秀次もまさに使い魔にしようと思っていたところだったのだ。

 

「なんでですか?住み着いた家に幸福をもたらすなら、いい奴なんじゃ?」

 

「アイトワラスが家を裕福にさせるのは、近所の家から金品や食品を盗んでくるからなの」

 

リアスの答えを聞いた秀次は体を硬直させる。それはつまり──。

 

「おまえ、泥棒してくるってこと!?」

 

「きゃう?」

 

つぶらな瞳で見てくるアイトワラス。だがその実態は近所から金品を盗み、契約者の家を幸福にする大泥棒なのである。

そんな厄介なやつは使い魔にできないと、秀次も考えを改めようとしたところで、ザトゥージが驚くことを口にした。

 

「けど、グレモリーさん。こいつ、この少年に懐いちまってるぜ。アイトワラスは家に入ると、追い出すのは困難な厄介な奴だ」

 

「つまり、シュージに懐いてしまった以上、ほおっておけば勝手に我が家に来ると。どうやら、突き放すことも難しいようね……」

 

「ま、マジかよ……」

 

しばらくの間、彼らは話し合い──結果、アイトワラスは秀次の使い魔にすることになった。

ただし、契約中は絶対に盗みを働かせないことを条件としてだ。

朱乃の助けを借りながら契約儀式を無事に終え、アイトワラスは秀次の使い魔になった。

 

「それで、名前はどうするの?」

 

契約が完了した瞬間、飛びついてきたアイトワラスを撫でていた秀次にリアスが問いかける。

他の部員たちも気になる様子で視線を送るなか、秀次は考え込むようにしばらくアイトワラスを見つめていた。

 

「──じゃあ、イトで」

 

「アイトワラスのイト?ちょっと安直な気もするわね。何故、その名前にしたのかしら?」

 

「幸運を繋ぐ糸でイトって名前にしてみました。運ぶものが盗品じゃなくて、幸運だったらいいなと思いまして……」

 

名付けなんて初めてのことだ。家ではペットを飼うこともなかったから。

それでも、名前に込めた意味を少しでも全うしてくれればなと秀次は小さく微笑んでいた。

 

「よろしくな、イト」

 

「きゃうー」




兵藤秀次の使い魔
名前 イト
種族 精霊のアイトワラス
見た目 屋外では黒い小型のワイバーン。屋内では黒猫や黒い雄鶏に姿を変えるという。

毒効かない一誠ならヒュドラを使い魔にするのも意外といけそうじゃない?まあ彼は後にスキーズブラズニル手に入れるけども。
今作もオリ主の使い魔はアイトワラスのイトに。モンハンのクロスオーバーだから、アイルーでもいいんじゃないかって毎回悩んでます。

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