ハイスクールD×D 終焉に抗う暁の太陽   作:ドラゴン大好きT

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オリ主も別にいい子ちゃんなわけではないので。内心ではわりと辛辣なことも思ってるし、言うときは言うタイプだと思っています。それが良い方向に向かうとは限らないとも。


第25話 噂と広がる溝

 

 

球技大会が迫る日の昼休み。いつも通りに祐斗と共に昼食を取るつもりだった俺は眼前に集まった多数のクラスメイトたちに頭を悩ましていた。

 

「エロ兵藤がリアス先輩と姫島先輩を脅して乱交まがいのことをしてるってのは本当か!?」

 

「それだけじゃないぞ!学園のマスコットアイドル塔城小猫ちゃんやアーシアちゃんにまで毒牙を剥いたらしいじゃないか!」

 

「学園の美少女たちにとっかえひっかえ手を出すなんて……汚らわしいにもほどがあるぞ!このエロ兄弟!」

 

「うるせーよ、ったく……。あと最後、ちゃっかり俺を巻き込んでんじゃねえ!」

 

もはや毎度のことになってきている気がするが、一誠を取り巻く美少女たちのことで俺はまたも質問攻めにあっていた。

だが今回は前よりも酷い。主に質問の内容が。

どうやら、一誠がオカルト研究部の女子たちをとっかえひっかえ食い散らかしているという噂が学校中に流布されているらしい。

アーシアに続いて部長までも一誠と共に登校するようになってしまい、彼女も我が家にホームステイしていると発覚してしまったことが今回の噂の要因になっているようだ。

 

「まず部長。じゃなくて、リアス・グレモリー先輩はホームステイしている。それはマジだ」

 

「やっぱり噂は本当だったんだ!」

 

俺の口からホームステイが明言された瞬間、男子生徒も女子生徒も大騒ぎ。男子生徒は悔し涙を流しながら悪態をつき、女子生徒は憧れの先輩を汚されたとショックを受けている。

 

「落ち着けって。ホームステイはしているけど、いま流れている噂はデマだぜ。確かにあいつは変態で手が付けられない野犬だが彼女たちに手を出すような度胸はねえよ。ましてやとっかえひっかえの乱交なんてできるか」

 

「だ、だが噂では奴は姫島先輩や塔城小猫さん、アーシアさんにまで手を出したと……」

 

「それこそ無理だろ。一誠が仮に手を出しても塔城なら秒殺するだろうし」

 

「いや秒殺って……」

 

確かに平均的な男子高校生の一誠に見た目小学生の塔城が抵抗できるとは、彼女をよく知らない人たちからすれば想像もできまい。

 

「まあとにかく、その噂は大嘘だ。そもそもホームステイしているのはアーシアと部長だけで他の部員たちは関係ないし」

 

「そ、そうなのか……。所詮、噂は噂か」

 

「だいたいそんな噂、どこから流れたんだ?」

 

噂の出所は不明。だが信頼ある情報筋から流されたという話だけが出回っているようだ。

 

ハッ、アホらしい。出所が不明な信頼ある情報筋なんてこの世にいるものか。噂を流した奴も相当なバカだけど流されたこいつらも大概だな。

 

……まあ、部長は一誠のベットで寝ているらしいから全部が嘘っぱちってわけでもないが。

 

「あ、兵藤弟と木場のホモ疑惑も流されてたけどそっちは本物なの?」

 

「殴るぞ、テメェ」

 

いやぁ久しぶりにピキッときたね。マジでぶん殴ってやろうかと思ったほどだ!

目を剥いて脅しかけるとその場にいたアホの群れは散っていった。チッ、今日の昼休みは部活の集まりがあるから早く飯食わなきゃいけないのに。無駄な時間を過ごしちまった。

 

「祐斗はもう食べ終わったか?」

 

「……」

 

「祐斗くーん?早く飯食べないと部活の集まりに遅れちゃうぞー」

 

「あ、ごめん。すぐ食べるよ」

 

祐斗の様子は変わらずおかしい。常に心ここにあらずって感じだ。

昼食を食べ終わると俺たちは特に会話を弾ませることもなく旧校舎へと向かっていった。

 


 


 

部室に入ると、部員とは別に顔見知りの人物がいらっしゃった。

ソファーに座るその方を見た瞬間、俺の背筋はピンと伸びてその場で正座をする。

 

そして、一切の迷いもなく頭を地面につけた。

 

「支取生徒会長!この度も学園に余計な混乱を招いてしまい大変申し訳ありませんでした!」

 

「シュ、シュージくん……?」

 

隣で祐斗が困惑した声を発しているが、俺がこの場で取るべき行動は土下座以外にない。

生徒会長がわざわざ部室に来た理由なんて、俺が考えられるなかでは一つしかない。一誠やオカルト研究部の部員に関するあの噂だ。

この学園に風紀委員会はなく、生徒会がそういったことを一手に引き受けているのが現状。風紀を乱しに乱す三人組や今回のような噂に生徒会は怒り心頭のはずだ。

直後、生徒会長の聞き慣れた冷たい声が俺に向かって投げかけれる。

 

「シュージくん、前にも言いましたよね。土下座をされても困りますと。それに今日、私がこの部室に足を運んだのはあの噂の話をしにきたわけではありませんから」

 

「──え?あ、そうなんですね。俺はてっきりあの噂について話しにきたのかと」

 

「ちょっと待って。噂ってなんのこと?」

 

慌てて立ち上がると、話についていけていない部長が俺と生徒会長に訊いてきた。

 

あんたも当事者の一人ですよ、我が王。

他人事みたいに普段通りに笑っている副部長も。

部室に来た瞬間、即土下座した俺を引いた目で見続けている塔城もだぞ。

 

この場にいる全員が関係者。被害者に含まれているんだからな。

 

「オカルト研究部の女子が全員、一誠のセ◯レになったって噂のことです」

 

『はぁ!?』

 

噂の件についてかいつまんで話せば女子部員たちはそれはもう顔を真っ赤にしていた。あらぬ噂とはいえ恥ずかしいとは思うらしい。

まもなく、一誠とアーシアが部室にやってきた。だが入室した二人が目にしたのは、顔を両手で覆う部長に、普段の笑顔が若干崩れている副部長、いつも以上に表情が死んだ塔城だった。

 

「え、なにこの空気……なんかあったんスか」

 

「おまえと部長たちにまつわる噂の件、部長たちは知らなかったみたいでな。全部話したよ。部長たちがおまえの性奴隷になったって──」

 

「うおおおおおいっ!!なんだそれ!?俺が聞いた以上にやべえ噂になってるよ!」

 

えー?俺は正直に話したつもりなんだけどなー。

乾いた笑みを浮かべる俺に対して、一誠は焦った様子でその場で弁明を始めた。

 

「その噂は松田と元浜が俺への嫉妬で流したらしくて……で、でもっ!学校に流れている噂は皆が聞かされたほど酷くはないっていうか……」

 

「いや十分酷いぞ。うちのクラスでも乱交がどうとか騒ぎになってるし。噂を聞いた連中は少なくとも皆のことをそういう目で見て──」

 

「もうやめて!聞きたくないわ!」

 

「ってか!シュージ、おまえ!なんでそんな最悪な伝え方をしたんだよ!」

 

耳を押さえて悲鳴を上げる部長といまにも掴みかかってきそうな剣幕の一誠を尻目に、俺はため息を吐きながら頭を掻く。

 

「理由は大きく分けて二つ。一つは皆があまりに周りに関心がなさすぎるから。あなたたちは学園でも超がつく有名人なんです。ひとたび普段と違う行動を起こせばそれだけで周りは大騒ぎになってしまう。自分たちの影響力を理解していただきたい。特に部長と一誠は」

 

「そ、そこまでかしら……?」

 

「少し前までわいせつ行為を繰り返して学校中の生徒から煙たがられていた一誠と、学園きっての美少女お姉さまの部長がいきなりお近づきになってホームステイまでしてる。事情を知らないやつからしたら何があったのか気にもなります。気にするだけならまだマシで、今回みたいに嫉妬の感情を向ける奴も出てきます。今回は一誠への嫉妬だけど、次は部長たちに怒りの矛先を向ける奴だって出るかもしれません。そういう奴らが暴走して部長たちに危害を加える可能性だってある」

 

そんな状況で「そこまでかしら?」って言葉が出てくる部長の周囲への無関心さが、俺からすれば恐怖でしかない。

 

「一誠と関わるなとは言いません。でもいまのあなたを見て周囲の連中が何を思うのか。周りにも目を向けて──警戒していただけたらなと。

頭がイカれてる奴はこっちの事情も鑑みずに自分の欲望を満たしにきますから。まあ、普通に学生生活を送ってるだけでとやかく言われる部長の心中もお察ししますが」

 

「ッ……わかったわ。気をつけます」

 

「いや、部長たちは全然悪くないんですが……むしろ責めるような言い方になっちゃって申し訳ないです」

 

悪いのは噂を流した奴ら。噂に踊らされてガヤガヤ騒いでる他生徒たち。そして──

 

「──そして一誠。おまえはいい加減、自分の立場くらいわきまえろ。これまでみたいな行動を繰り返していたら部長にも皆にも迷惑をかけんだ。この一年でおまえが築いた負のイメージはとても払拭できるもんじゃねえが、これ以上悪化させるようなら説教じゃ済まさねえぞ。今回の噂だっておまえの普段の行動が招いたんだ」

 

「う、ウッス……すみませんでした。反省してます」

 

部長たちは噂の被害者だが、噂の元凶である一誠が被害者面をするのは非常に不愉快だ。

 

「最後に……俺と一誠の友人が皆にご迷惑をおかけして本当に申し訳ありません」

 

俺は再度、頭を地面につけて謝罪する。

あと松田と元浜、噂を流したアイツらには歴史に残る大制裁を必ず与える。

 

「……ねえ、シュージは私たちと関わるようになったこと、あまりうれしく思っていない?」

 

「そんなことはないですけど……」

 

「なら──自分のせいで私たちに迷惑がかかるなんて思わなくていいのよ。あなたはグレモリー眷属の大切な仲間なんだから」

 

……。こんな俺にはもったいないお言葉だ。

 

その直後、緊張が解けた体に疲れがどっときた。

普段はあまり話すこともないから余計にな。

肩の荷が下りたような気分で首を回していると、一誠が問いかけてくる。

 

「それで……二つ目の理由は?」

 

「……噂のせいで一日中、生徒連中に問い詰められた腹いせだけど?」

 

「この野郎!腹いせに説教するなんて、面倒くさい先生みたいな真似しやがって!」

 

「俺だってなあ!ピーチクパーチク話しかけてくるやつらの相手をしてたらストレスぐらい溜まるんだよ!てめえこそちったあ反省しろや!」

 

部員たちはもはや見慣れた光景か。

煽り合いがどんどんヒートアップする俺たちを見て苦笑を浮かべていたり、呆れている様子だ。

すると、生徒会長が一つ咳払いする。

 

「噂の件については兵藤くんが話してくれましたので、私から言えることはもう何もありません。なのでリアス、そろそろ本題に入っても?」

 

「ていうか、もう俺たち完全に放置されてましたよね……」

 

あ、すみません。でも噂の件じゃないなら生徒会長って結局、何しにきたんだ?

 

てか、よく見たら生徒会長だけじゃないな。もう一人金髪の男子生徒がいた。

生徒会長の隣に控える男子生徒は放置されていたことが気に入らないのか不機嫌そうな顔だ。

 

「今日はお互いに新しい眷属を紹介する予定だったのよ」

 

新しい眷属──ってまさか!?部長の言葉に俺と一誠は慌てて生徒会長たちに目を向ける。

 

「ごあいさつさせていただきます。生徒会長の支取蒼那改め──上級悪魔シトリー家次期当主、ソーナ・シトリーです」

 

「俺は会長の『兵士(ポーン)』、匙元士郎だ。生徒会では書記でおまえらと同じ二年生だ」

 

あ、悪魔……。生徒会長たちも悪魔だった!

 

シトリー家。大戦を生き残った七十二柱のひとつで由緒正しい純血の上級悪魔。

シトリー生徒会長が学園の『表』の支配者。部長が『裏』の支配者となって、昼と夜を分けてこの駒王学園の実権を握っているんだと。

基本的には学校生活以外では干渉しないことになっているが、今回はお互いに新メンバーが増えたということで顔合わせの場となったらしい。

 

「会長と俺たちシトリー眷属の悪魔が日中動き回っているからこそ、平和な学園生活を送れているんだ。それだけは覚えておいてくれてもバチは当たらないぜ?」

 

つまり生徒会のメンバーは全員悪魔なのか。

同学年なうえに同性の悪魔。祐斗もいるがイケメンを一方的に嫌う一誠からすれば、匙くんのほうが親近感を持てるのだろう。

初対面にも関わらず、一誠は躊躇なく匙くんに話しかけにいく。

 

「同学年の悪魔、それも同じ『兵士』か!これは奇遇だな!」

 

「俺としては、変態三人組の一人であるおまえと同じなんてのが酷くプライド傷つくんだけどな」

 

「な、なんだと!」

 

「おっ?やるか?こう見えても俺は駒四つ消費の『兵士』だぜ?最近悪魔になったばかりだが兵藤なんぞに負けるかよ」

 

じゃあ負けてんな。一誠は兵士の駒を八つ全部消費して転生しているし。

挑戦的な態度を取る匙くんだったが、鋭い目つきの生徒会長に俺が思ったことと同じことを伝えられると一誠に驚愕の視線を向けていた。

加えて生徒会長はあのライザーとのゲームも見ていたらしい。

 

「じゃ、じゃあ弟のほうは……?」

 

「俺はリアス・グレモリーさまの『戦車』だよ。よろしくな、匙くん」

 

「よりにもよって『戦車』かよ!俺よりも一つ分価値上じゃねえか……!普段から何考えてるかわからない元ヤンキーのくせに、塔城さんと同じ『戦車』ってのも憎らしい……!」

 

「いきなり喧嘩売ってきやがったなてめえ。あと後半の嫉妬はなんなんだ……?」

 

匙くんの物言いに俺もカチンときた。にしても今日は怒ってばっかりだな。こっちは下手に出てやっているのにどいつもこいつもいい気になりやがって……。

 

「おまえよぉ、生徒会としてがんばっているからって他生徒のことを下に見てねえか?そんな様子じゃいまに足元すくわれるぞ」

 

「なんだと!そんなことねえし!おまえだって巷では『女の子を泣かせる鬼畜』、『弱い者をイジメる悪魔』、『キレたら何をするかわからないやべえ奴』って陰で言われてる輩じゃねえか!」

 

チッ、全部否定できねえ噂ばっかりじゃねえか。だから元不良ってバレたくねえんだよ。

ちくしょう、皆の顔が見れねえ……。目の前の金髪男とメンチを切り合っていると生徒会長が鶴の一声をあげる。

 

「いい加減にしなさい、サジ!あらぬ噂で兵藤くんを貶めるようなことをして、あなたは恥ずかしくないんですか!」

 

「うっ、会長……」

 

「兵藤くん、ごめんなさい。普段はこんな子じゃないのだけれど……」

 

「……いえ、大丈夫ですよ。全部が全部あらぬ噂なわけじゃないですし。『火のないところに煙は立たない』って言いますしね」

 

内に溜まった熱を息と共に吐き出すと、俺は部室から出ていく生徒会長たちの背中を見送った。

こうして、互いのルーキーを紹介し合う顔合わせの場は半ば強引にお開きとなり、俺と部長たちとの関係に明確な歪みが生じてしまった。

 


 


 

その日の夜。俺は一人、自室のベットに寝転んで何もすることなく天井を眺めていた。

 

匙元士郎が語った俺にまつわる噂。噂が広まるということはその原因も必ずあるということだ。

噂が嘘か真かと問われれば──すべて真実であると俺は答える。

中学の頃の俺は正真正銘のクズだった。なにより酷い話だが、俺はその過去を悔いてはいない。

まあ他にもやり方があっただろうなとは思うが。

 

だが、今回の一件で俺と部長たちとの溝がさらに深くなったことは疑いようのない話。

事実、あのあと部活中に俺は部員の誰とも話せなかった。

部長やアーシアは混乱を隠せていなかったし、副部長は軽蔑のまなざしを向けていたように思う。塔城は無表情でよくわからなかったが、あの話を聞いて軽蔑しないわけがない。

祐斗は……どうなんだろう。あいつもいまは色々と悩んでいるようだし。

 

「過去は消えない、か」

 

天井に向けた手を俺はじっと見つめる。

──俺が後悔している過去は中学よりもさらに以前のこと。小学生の頃の記憶だ。

俺は長年、悪夢に困らされている。直近では俺が殺したレイナーレが出てくる悪夢や、突然火の海に立たされる夢も見たが……それとは違う。

 

過去の辛い記憶が呼び起こす──フラッシュバックと呼ばれるものだ。

 

心的外傷後ストレス障害という病がある。

現在こそ症状は軽いが俺はその病を抱えている。

辛い過去を作った原因は俺にある。そのことだけはいまもはっきりと覚えている。

 

だが、俺は辛い過去の記憶の一部を──忘れてしまっている。

 

思い出さなければいけない。思い出したところで俺の過去が消えるわけではないが、それでもいつか必ず思い出さなければ。

 

そして必ず、あの子に謝らなければ……。

 

『キミは責任感の強い子だ。記憶を取り戻したいと思う気持ちは僕も汲んであげたい。だけど僕の仕事上、それをオススメすることはできない。ゴメンね、許してほしい』

 

白衣を着た優しい先生はそう言って俺に何度も頭を下げていた。

 

『あなたなんか嫌い!だいっ嫌い!もう、もう私と関わらないでっ!』

 

白い長髪の少女は泣き叫ぶように糾弾して俺の目の前から走り去っていく。

 

そのときの顔がどうしても忘れられない。吐き捨てるように告げられた拒絶が消えてくれない。

 

俺はあの日、彼女に手を伸ばした。だけどその手が何かを掴むことはなくて……。

 

そのあとの記憶は──。

 

「あー、シュージ。まだ起きてるか?ちょっと手伝ってほしいことがあるから入るぞ」

 

そのときだった。扉をノックする音の直後、一誠の声が聞こえてきた。

何度も言っているのに一誠は返事を待たずに部屋に入ってきやがる。

 

「うおっ、起きてるなら電気くらいつけろよ」

 

「おまえは返事を聞く前に入ってんじゃねえよ」

 

ごめんごめんと言いながら一誠は部屋の明かりをつける。悪魔な俺たちは真っ暗闇でも昼間のように見えているんだが、こればっかりは人間だった頃の名残りなんだろうか。

 

「んでなんだよ?部長とアーシアが一誠を取り合って喧嘩でもしたか?」

 

「いやいや、なんであの二人が俺を取り合って喧嘩するんだよ。そうじゃなくてさ。球技大会って各クラスや各部でそれぞれユニフォームとか着てるだろ?たぶんうちはそういうの用意していないんじゃないかなって思うんだ」

 

「それがどうした?」

 

「俺たちも用意したいなって。だからシュージ、俺に裁縫教えてくれ!頼む!」

 

突拍子もない頼み事に俺は面食らう。いや裁縫はできるけどさ……またいきなりだな。

ポリポリと首を掻きながら俺は考える。確かに今回みたいな学校行事では部活動やチームごとにオリジナルのアイテムやユニフォームを着用してもいいことになっている。

けど、それを俺たちで用意すんのか……。ただでさえ俺、いま皆と顔を合わせづらいんだけど。

 

いや──だからこそ、一誠は俺にこの話を持ちかけてきたのか。

 

(皆と俺の仲を取り持とうと、一誠なりに考えてくれた……のかな?)

 

真意は不明だ。だけど一誠は自然と人と仲良くなる天性の才があると俺は思っている。これを直接伝えたことはないんだけどな。

 

「……しょうがねえな。知っての通り、俺はスパルタだからな。みっちり教えてやる」

 

兄貴の心遣いに感謝しながら、俺は記憶の再興を止めて裁縫道具の準備を始めていった。




松田と元浜はリアスたちに名誉毀損で訴えられても仕方がないと思うの。積み重ねた性犯罪歴も大概だけど嘘情報を流すのもダメ。
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