ハイスクールD×D 終焉に抗う暁の太陽   作:ドラゴン大好きT

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急いで続きを書き上げた。その結果──球技大会終わらせるだけで一話使っちゃった。


第26話 混沌の球技大会

 

 

球技大会当日。打ち上がる花火と校庭に設置されたスピーカーから発される生徒の元気な声が球技大会の熱気をさらに盛り上げていく。

だがしかし、校庭の一角に集まった俺たちオカルト研究部の部員たちは他生徒たちとは違って重苦しい雰囲気を醸し出していた。

理由はこの前、皆が知ることになった俺の噂話。あれのせいでいまも俺は皆と会話はおろか、目を合わすことさえ難しい状況となっている。

さらにもう一名。祐斗も周りとは会話を交わさず一人の世界に入ってしまっているせいだ。

オカルト研究部男子二名の異常事態に、他の部員たちも影響を少なからず受けていた。

 

「あー!皆!今日の球技大会がんばろうな!これまでの練習の成果を発揮して楽しもうぜ!」

 

「は、はい!がんばることもですけど、やっぱり楽しむことが一番ですよね!」

 

一誠がなんとかこの空気を変えようと元気な声を上げ、アーシアも若干のたどたどしさはあるがそれに同調していた。とはいえ、一時的な盛り上げで変わる空気でもなかったのだが……。

 

「部長ぉぉぉぉ!がんばれぇぇぇ!」

 

「会長ぉぉぉぉ!勝ってくださぁぁぁい!」

 

そんな空気でもやはり直前まで楽しみにしていた球技大会の当日だ。

まず初めに盛り上がりを見せたのは部長と生徒会長によるテニス勝負だった。

クラス対抗戦から始まったこの球技大会。

学園随一の美少女と呼び声高い部長とクールビューティー系美少女の生徒会長の勝負は、彼女たちの学年生徒だけでなく他学年の生徒までこぞって見に来ようと集まるほどの人気ぶりだ。

 

「いくわよ、ソーナ!」

 

「ええっ、よくってよ、リアス!」

 

新人たちによる顔合わせ会はとても成功したとは言えない状況だったが、どうやら部長と生徒会長の仲が悪いということはないらしい。むしろかなり親しげな様子であった。

白熱したテニス勝負は二人が全力を出した結果、ラケットが壊れて同意優勝で決着したが、全力の勝負をした部長と生徒会長は満足げだった。

そして、始まる部活対抗戦。種目はドッジボールで部長はなぜか勝負が始まる前から勝ったと豪語するほどに自信満々な様子だ。

 

(にしても──なんでこのヒトたちブルマなんだろう?)

 

オカルト研究部の女子部員の姿を見た俺は困惑気味に首を傾げていた。

体育関連で駒王学園の女子はハーフパンツかブルマの二つを自由に選択できる。でも大抵はハーフパンツを選択する女子が多い。

だってブルマは太ももの露出が激しいし、ヒップラインが強調されるからね。恥ずかしいと思う女子が大半のはずなんだが……。

 

「やはり猛者揃いか。オカルト研究部」

 

「……この先輩は真面目な顔で何を言っているんですか」

 

うんうんと頷く俺に怪訝な視線を送ってきたのは塔城だった。あ、塔城はハーフパンツなのね。

そんなこんなで準備を整えた俺たち。クラス対抗戦で一時的な盛り上がりを見せたとはいえ、やっぱり最高のテンションとは言い難い。

 

「皆!これを巻いてチーム一丸になろうぜ!」

 

そこで一誠が取り出したのは「オカルト研究部」と刺繍してあるお手製のハチマキだった。

 

「うん、イッセーって意外に器用ね。うまくできているわ」

 

「ええ。綺麗に刺繍されていますわね」

 

「……予想外の出来映え」

 

「へへへ、実はこっそり練習してました。シュージに教わりながらですけど」

 

だからそこで俺の名前は挙げなくていいっての。

一誠の発言を聞いた皆は俺に驚きの視線を向けてくる。

 

「シュージ、あなた裁縫できるの?」

 

「まあ……多少は。でも一般家庭レベルですよ」

 

「……でも、誰かに教えられるくらいにはできるってことですよね。まさか先輩に家庭的な面があるとは……」

 

元ヤンキーだが俺は炊事洗濯掃除全部できるぞ。一般家庭の範疇に収まる程度だけど。

皆の好奇な視線に耐えかねて顔を背けていると、アーシアが目の前に立って笑いかけてくる。

 

「シュージさん、ありがとうございます。おかげで球技大会がもっと楽しめます」

 

「え、ああ、うん……どういたひまして。でも俺だけじゃなく一誠にも言ってあげてっ……」

 

「イッセーさんもありがとうございます!」

 

「おお!どういたしまして!」

 

真っ直ぐで純粋な好意に直面した際、俺はどうにもダメになってしまう。一誠みたいに素直に受け取れないんだ。ひねくれているから……。

 

「そら、祐斗にも、やるよ……」

 

「……うん、ありがとう。いい出来映えだと僕も思うよ」

 

「そ、そうか……?そりゃあよかった」

 

ああ!ダメだダメだ!自分でもいまの自分が気持ち悪いことがわかる!これならさっきまでのダークで落ち着きのある俺のほうがまだマシだ!

 

そんなふうに悶えていると、オカルト研究部の名がアナウンスで呼び出しされた。対戦相手は野球部。種目がドッジボールだから少し厳しい相手になるかも?いやならんか。俺たち悪魔だし。

 

少しだけテンションが上がってきた俺は──祐斗の異変にまだ気づけていなかったんだ。

 


 


 

球技大会部活対抗戦。オカルト研究部VS野球部によるドッジボール勝負。

始まった当初は大した盛り上がりなど見せるわけがないと俺は思っていた。だが、予想に反してこの勝負は大盛り上がりの様相を見せている。

 

理由は──なんともくっだらねえもので。

 

「狙え!兵藤を狙うんだ!」

 

「うおおおっ!てめぇら、ふざけんなぁぁぁ!」

 

開始早々、一誠にボールが集中する。

理由は一誠以外の部員に当てるわけにはいかないからだ。

部長と副部長は駒王学園の二大お姉さま。当てようものなら学園中の男女問わずの生徒から袋叩きにされること間違いなし。

アーシアは二年生の癒し系天然美少女。これまた当てたら男子生徒たちから袋叩きにされる。

塔城は学園のマスコットロリ枠。見た目女子小学生に当てられますか?無理でしょうなぁ~。そもそも狙っても当たらないけど。

祐斗は俺を除く全男子の怨敵らしいが、当てたら学園中の女子に恨みの罵詈雑言を浴びせられる。死にたきゃどうぞ。

 

俺はそもそも開始から外野〜。一人は外野に入らなきゃってことで俺が早々に手を挙げた。

 

で、最後に一誠。──なぜか最近、オカルト研究部の美少女たちにやたら好かれている。

学園きってのエロ男で男女含めた全生徒の敵。

それが兵藤一誠という男の総評。

 

狙われないわけがない。いやむしろ当てなくてはいけない。急所に当ててぶち殺すべきだ。これは全学年全生徒の総意だ。よし、いまだ火の玉ストレートォッ!

 

「──ってとこかね。まあ最近は特にストレス溜まってただろうし、皆はこの機会に存分にストレス発散するといいぜ」

 

「シュージ!ボールいったわよ!」

 

よっしゃ仕事きた!内野の部長からのストレートパスを俺はキャッチし、野球部の背中に当てる。外野に行ったのはあの集中狙いから逃げるためだけど、サボる気なんざ欠片もねえぞ!

基本的には一誠を狙って外れたボールを塔城がキャッチして内野から相手を破壊。ボールが外野に来ることはまずないので俺の仕事は滅多にない。

負けるわけがない。というか相手も勝つつもりはないだろうな。

一方的な試合展開と相手の勝つ気のなさに気づき始めた俺が退屈さを感じ始めたときだ。

 

「クソォ!恨まれてもいい!イケメンめぇぇ!」

 

野球部の一人が一誠ではなく祐斗を狙った!

一誠しか狙わない展開に少し飽きていた俺は目を輝かせてしまったほどだ。

それでこそ勝負!祐斗を狙ったキミは無謀にして勇敢なチャレンジャーだ!たとえ皆から嫌われても俺だけは心の隅で褒めてあげる!

だが相手はあの祐斗だ。流石に避けられるだろうとこのときは思っていた。

 

しかし──どこか遠い目の祐斗はボールが飛んできていることにも気づいていなかった。

 

「何ボーッとしてやがるんだ!」

 

「……あ、イッセーくん?」

 

気の抜けた返事をする祐斗。一誠はそんなあいつを庇うように前に立ち塞がったのだが……。

 

ボールの軌道はフォークのように降下し、勢いは衰えずに一誠の下腹部に一直線。

 

そして、そのまま……。

 

「──ッ!!」

 

「うおっ……!それは流石にキツいわ……」

 

ボールは一誠の股間にヒット。ボールがボールに直撃する悲劇が目の前で起こり、俺も自分のことのように背筋がひやりとした。

根性の男一誠も金的にはたまらずダウン。塔城が物陰まで引きずっていき、アーシアの回復を受けることになった。

そして、一誠がやられたことで最初からやる気満々だった部長たちのやる気がさらに上がる。

三人が同時にいなくなったことで、急遽俺も内野に入ることに。

 

「イッセーの弔い合戦よ!」

 

「いや、まだ死んではいないっス」

 

気合の入った雄叫びを上げる部長に反して俺は冷静なツッコミを入れるが、やる気が増したオカルト研究部はその後も破竹の勢いのまま、部活対抗戦を優勝していた。

 


 


 

しばらくして、事前の予報通り雨が降ってきた。球技大会が終わったあとでよかったな。

なんて思っていたらだ。パン!と乾いた音が雨音に混じって響いた。

部長が祐斗を叩いたからだ。球技大会中もずっと心ここにあらずな状態で非協力的な態度を取り続けた祐斗に部長も我慢の限界だったのだろう。

まあ、叩くほどか?とも思うし──叩いてでも直らないようならかなりの問題だろう。

今回はまだ遊びだが、こんな様子で戦いに出たら祐斗だけでなく仲間たちにも被害が出かねない。

きっとそこんところも踏まえてのお叱りだ。

 

「どう?少しは目が覚めたかしら」

 

キッとした目つきで怒る部長に頬を叩かれたにも関わらず、祐斗は能面のような無表情だった。

 

「もういいですか?球技大会も終わりました。球技の練習もしなくていいでしょうし、夜の時間まで休ませてもらってもいいですよね?少し疲れましたので普段の部活は休ませてください。昼間は申し訳ございませんでした。どうも調子が悪かったみたいです」

 

「木場、お前マジで最近変だぞ?」

 

「キミには関係ないよ」

 

見るからに作り笑顔の祐斗は冷たく突き放した。それでも一誠は歩み寄ろうとする。

 

「俺だって心配しちまうよ」

 

「心配?誰が誰をだい?基本、利己的なのが悪魔の生き方だと思うけど?まあ、主に従わなかった僕が今回は悪かったと思っているよ」

 

「チーム一丸でまとまっていこうとしていた矢先でこんな調子じゃ困る。この間の一戦で俺らが感じ取ったことだろう?お互い足りない部分を補うようにしなきゃこれからダメなんじゃねぇかな?仲間なんだからさ」

 

一誠の言葉に祐斗は表情を曇らせる。だがそれは説得に絆されたものとは違うような気がする。

もっと暗く、ドロドロとした負の感情が宿った顔に俺には見えた。

 

「仲間か……」

 

「そう、仲間だ」

 

「キミは熱いね。イッセーくん、僕はね、ここのところ、基本的なことを思い出していたんだよ」

 

「基本的なこと?」

 

「そうさ。僕が何のために戦っているかを、ね」

 

それは内に秘めたものをさらに燃え上がらせ、なおも吹き荒らせようと熱を上げる炎。

 

「僕は復讐のために生きている。《聖剣》エクスカリバー。それを破壊するのが僕の戦う意味だ」

 

周囲も自分のことすら焼き尽くす復讐の炎。

祐斗はそれに焼かれているのだと俺は確信した。同時になぜ気づけなかったとも思う。

俺なら、気づけたはずだ。同じく復讐に走った俺なら、気づいてもおかしくはなかったのに。

 

(自分のことでまた手一杯になってたからか)

 

仲間に隠し事をし、それに負い目を感じ、噂と過去によってさらに深くなった溝。

それらの処理に俺の心は手一杯だった。だから祐斗の異変に気づいてやれなかった。

 

(でも──まだ間に合うかもしれない)

 

今度こそ──掴んでみせるよ。

 

「──離してくれないか」

 

言いたいことは言い終えたとばかりにその場から立ち去ろうとした祐斗。

 

──俺は祐斗の肩を掴んでいた。決して離さないように、がっしりと。

 

「キミも僕に用があるのかい、シュージくん。言いたいことがあるなら早く言ってよ。僕も忙しいからさ」

 

「……悪りい。咄嗟のことで掴む以外のことを考えてなかったわ」

 

ただでさえ、言葉下手な俺はこういうとき、何を言えばいいのかわからない。

 

復讐なんかやめちまえ。復讐に意味なんかない。

 

──そんな無責任なことは言えない。俺は復讐に意味があると思っているし、先に復讐を果たしてしまった俺が言ったところでな。

 

「じゃあ離してくれ。今日はもう誰とも話す気分じゃないんだ」

 

「──俺はこの間、部長たちに周りのことも見てくれって、そう言ったよな?」

 

「それが?」

 

「──あれ、おまえにも言ってたんだぜ。あのときも様子がおかしかったからな」

 

祐斗の様子がおかしいことは皆気づいてた。

 

様子がおかしい祐斗のことを、皆はずっと心配してたんだ。

 

もちろん俺も、心配してたよ。

 

「皆に心配かけるような様子でよ、言いたいことだけ言ってはいさよならか。ハッ、ずいぶんと身勝手な野郎だなおまえも」

 

「……心配してほしいなんて、僕は言ったかな」

 

「言ってなくても心配するのが仲間っていうもんなんじゃねえかな。俺も皆と会うまではそんなヒトたちに会えなかったから、まだよくわかんねえけど」

 

「だったら──僕はキミたちと仲間じゃなかったんだろう。シュージくんが何かを隠していることを知りながら、それでも僕は歩み寄ろうとも思えなかったんだから」

 

……。…………。

 

雨音だけが響いていた。誰も一言も話さない。

その直後のこと。

 

雷鳴が轟いた刹那──俺は祐斗の肩を思いっきり引っ張って体ごと振り向かせた。

 

そして、振りかぶった拳を突き出す──。

 

「ッ──」

 

結果から言うと、俺の拳は届かなかった。

祐斗が振り向きざまに抜いた剣を咄嗟に避けたことで狙いが僅かにズレた。

 

俺と祐斗は少し距離を離して睨み合う。祐斗の左頬は俺の拳が掠めたのか赤くなっていた。

そして──俺の左頬からも血が流れる。祐斗の剣は俺の頬を浅く斬り裂いていた。

 

「ハハハ、気が合うじゃねえか。どっちも言葉じゃ相手に通じねえと判断するやいなや、攻撃するなんてよ」

 

「……キミのそんな顔、初めて見たな」

 

ああ、そうだろうなぁ。何せ封じてたもんでよ。

誰にも見せる気なんかなかったんだぜ。引かれることなんてわかりきってたからよぉ。

 

それでも見せたのはな──俺なりの誠意だ。

 

『仲間』にまで隠し事をしてる俺だけどな。祐斗になら見せてもいいかって思ったんだわ。

 

「お、おい!おまえらもうやめろ!」

 

拳からギチギチと音が鳴り響くほどに握りしめる俺と無表情で構えを取る祐斗の間に入り込んだのは一誠だった。

 

さすがにこれ以上やったら一誠だけじゃなく皆も止めに入ってくるか。

 

「とりあえず、今日のところは見逃してやるよ。また今度な、祐斗」

 

「……」

 

あいさつくらい返せよなあ。俺が一人芝居をしてる悲しいやつみたいになるじゃねえか。

 

その場から無言で立ち去っていく祐斗の背中を、俺を含めた誰ももう追わなかった。

 

「じゃ、俺ももう今日は帰るわ」

 

「お、おい待てよ!」

 

俺も帰ろうとしたところで一誠が声を上げた。

振り向かない俺に問いを投げかけてくる。

 

「なんでいきなり殴りかかった!まさか本気で殴ろうとしたんじゃねえよな!?」

 

「逆に訊くが──本気じゃねえと思うか?」

 

「ッ──なんでだよっ!おまえら『友達』じゃなかったのかよ!!」

 

肩越しに皆に向けた俺の顔はいつもと何も変わらない無表情。でも逆にそれが怖がらせたらしい。一誠も皆も緊迫した表情になっていた。

 

一誠の最後の問いに答えることなく、俺はその場から静かに去っていった。

 


 


 

ゴボゴポと蠢く溶岩。むき出しになった岩肌と赤い血脈のように流れる火砕流。

見るだけで熱く煮えたぎる火山の大地。誰も踏み入ることができない紅蓮の地獄。

しかし次の瞬間、炎の世界が一瞬で消え去った。

 

新たに姿を現したのは冷気が渦巻く氷霧の断崖。

宙に浮かぶ大小さまざまな氷柱。生き物が棲息することなどできるはずもない死の凍土。

鳴り響く雷鳴はその地に踏み入る愚か者に裁きの雷となって降り注ぐ。

 

誰も近づくな。踏み入るな。知ろうとするな。

 

そこは神の領域。踏み入ることは死を意味する。何人たりとも。人ではないとしても。

 

──にも関わらず、天変地異が顕現する世界にその者は平然とした様子で座り込む。

 

なれこそは──汝こそが破滅の黎明。

 

破壊の象徴よ、黒き光の神であれ。

 

暁は凱旋ス。

 

終末を告げる、煌々の鐘の音を鳴らして。




最後の中二病全開の文言を書き上げられた理由。それは──


深夜テンションです。それ以外にありえません。
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