ハイスクールD×D 終焉に抗う暁の太陽   作:ドラゴン大好きT

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人生二度目のコロナ陽性…マジしんどかった。
一度目は発症したときに動けなかったから今回は多少マシでしたが。皆さまもお気をつけて。インフルも流行っているみたいですから。


第29話 変なやつ

 

 

聖剣使いゼノヴィアとイリナ、上級悪魔グレモリー眷属によるタイマンの模擬戦。

 

会談がこじれにこじれた結果、致し方なく始めた決闘だったが……なんとか死者の一人も出さずに無事に終えられた。

 

「起きたんならさっさと帰れや、聖剣使い」

 

勝負が終わってしばらく経ったあと、ゼノヴィアが意識を取り戻した。しっしっと手を振る俺を紫藤イリナは睨みつけてくるが……当然だろ?いつまでも敵を自分の住処においておくかよ。

 

「……まだ私は戦えるわ。一対一の決闘、次は私とあなたで──」

 

「言っとくが、もうやる気はねえぞ。こっちだって暇じゃねえんだ。管理地に変なのが入ってきたもんだからそれの後処理やら、今後のあれこれを考えなくちゃならねえ」

 

エクスカリバーの奪還について関わるなとこいつらは先の会談で伝えてきた──が、それは今回の一件に直接手出しはするなって話だろ?

 

「堕天使の幹部が何考えてるか知らねえが、リアス・グレモリーの領地で勝手をしている以上、それに対応する準備くらいは整える。それとも堕天使が手を出してきても俺たちは無抵抗に殺されろってか?駒王町に住む人間が殺されても指をくわえて眺めていろと?」

 

「自己防衛くらいならば……上も文句は言ってこないはずだ」

 

そりゃあよかった。いまだふらふらなゼノヴィアは紫藤イリナに肩を担がれながら立ち上がる。

その直後だった。ゼノヴィアの視線が俺ではなく一誠に向けられる。

 

「ひとつだけ言おう。──『白い龍(バニシング・ドラゴン)』はすでに目覚めているぞ」

 

白い龍?誰だそいつ。また面倒くさそうな……。

ゼノヴィアが出した名前に俺は疑問を抱き、伝えられた一誠はたじろいでいる。

 

「いずれ出会うだろうが、その調子では絶対に勝てないだろうね。私に勝ったその男と共に戦ったとしてもだ。それでは──」

 

「ちょっと待て」

 

そのまま去ろうとするゼノヴィアと紫藤イリナを俺は呼び止めた。少し聞きたいことがあってな。

 

「おまえら、本気で堕天使の幹部に勝てると思ってんのか?模擬戦とはいえ俺に負けるようなやつが勝てるとは……いや、これも余計なお世話か。忘れてくれ」

 

「……私も、奴を倒せるとは思っていない。だがエクスカリバーを破壊する方法はある。エクスカリバーを堕天使の手から消す。それさえ達成できれば教会としては十分だ」

 

「なるほど……そういう腹づもりか」

 

納得する俺だったが、今度はゼノヴィアが俺をじっと見つめてきた。

なんだ?と思ったがゼノヴィアは何かを言うこともなく紫藤イリナと共に立ち去った。負け惜しみをするタイプでもなさそうだしな……。

 

「……立場的に無事は祈ってやれないが、せめて勝てるといいな」

 

「シュージ?」

 

「っ──なんでもねえよ」

 

命を懸けて戦い抜くと決めたやつらに、その覚悟にケチをつけるような無粋はしない。そんなことができるほど俺は高尚な奴じゃない。

 

だから、できることなら生き残ってくれ(死なないでくれ)

 

二人の結末に密かに思いを馳せていたときだ。

部長が大声で祐斗の名前を呼んだ。どうやら勝手にこの場を去ろうとしている祐斗を部長が止めようとしているようだ。

 

「私のもとを離れるなんて許さないわ!あなたはグレモリー眷属の『騎士』なのよ。『はぐれ』になってもらっては困るわ。留まりなさい!」

 

「……僕は、同志たちのおかげであそこから逃げだせた。だからこそ、彼らの恨みを魔剣に込めないといけないんだ……」

 

チッ、こっちは何も解決できてなかったな。ふらふらと立ち去ろうとする祐斗を見て、俺は苛立ちを覚えながら声を発する。

 

「その助けられた命を無駄に散らそうってんだから救いようがねえ。その同志たちも哀れだな。助けた奴がこんなバカ野郎じゃ」

 

「ッ──!」

 

俺の発言を聞いた瞬間、血相を変えた祐斗が一瞬で距離を詰めてきた。

怒りの形相で俺の胸ぐらを掴み上げると、近くの木に叩きつけるように押さえつけてくる。

 

「キミに……ッ!キミが僕たちの何を知っているって言うんだ!知ったようなことを言って!キミには何の関係もないはずだ!」

 

「──ああ、知ったことじゃねえし関係ねえよ。頭に血がのぼって普段の実力の欠片も出せずにボロ負けするようなバカの考えなんかこれっぽっちも理解するつもりはねえ!」

 

俺は祐斗に頭突きを食らわせた。痛みに手を離した祐斗の胸ぐらを掴んで顔を突き合わせる。

 

「俺はテメェの過去を知らねえ。だからエクスカリバーになんでそこまでの恨みを抱いているのかも知らねえよ。同志に、昔の恩人に何かあったんだろうなってことは察してるがな」

 

「だったら離してくれ!僕がこうして生きているのは同志のおかげなんだ!そんな同志をエクスカリバーや教会の連中は殺した!だから僕はエクスカリバーを破壊して皆に──」

 

「っだとしても!いまのテメェがこうして生きているのは部長のおかげでもあるんじゃねえのか!部長に拾ってもらった恩を返すこともなく、同志に助けられた命を捨てようとしてる。いまのテメェはそんなバカ野郎だろうが!」

 

なによりなと、俺は右手を振り上げて拳を握る。

 

「俺の恩人に恥かかせてんじゃねえぞ!このクソボケがァッ!」

 

振り抜いた拳は──祐斗の鼻先で止めた。昔だったら問答無用でぶっ飛ばしてた。

でもやめた。俺たちが殴り合いの喧嘩をすると部長に迷惑をかけるからな。それに俺だってあの頃より少しは成長してる……はずだ。

 

「俺は、おまえの復讐を止めるつもりはねえ」

 

俺がそう言うと祐斗は目を見開き、部長たちは驚いた様子で言葉にならない声を発した。

いまの祐斗に何を言っても止まらねえだろうし、そもそも他人の復讐心を止められるほど俺は真人間でもねえからな。

 

「だけどおまえの勝手な行動が部長に迷惑をかけるってことだけは忘れんなよ。いまのおまえじゃエクスカリバーはおろか分かれた聖剣一本にも勝てない。この事実を踏まえておまえがやらなくちゃいけねえことを一から考え直せ」

 

俺の言葉を聞き終えると、祐斗は何も言わずに立ち去っていった。

 


 


 

次の休日。俺は普段通りのトレーニングを終えると次の期末テストに備えて勉強をしていた。

 

学年トップを取ってやろうなんて思っちゃいないが成績を落とすと先生が騒ぐ。それが面倒だから毎日それなりに勉強はしている。勉強といっても授業で出たところの復習くらいだが。

 

そんな普通の学生の休日を過ごしていると、携帯に一誠からメールが送られてきた。内容は『詳しい内容は皆が集まってから話すから駅近くのファミレスに来てほしい』というもの。

 

「詳しい内容は皆が集まってから話す、ねえ」

 

こういうときの一誠はとにかく厄介だ。くだらない考えのもと動いていることもあれば、突拍子もない行動をしている場合もある。要するに一誠の行動を読むのは大変面倒くさい。

 

ので、仕方なくファミレスに足を運ぶ。くだらねえことだったらぶん殴ればいいし、突拍子もない行動であれば注意をする。わけのわからない目的だった場合は……とりあえずぶっ飛ばすか。

 

私服に着替えて待ち合わせの駅近くのファミレスを目指して大通りを歩いていたときだった。

 

「──チッ」

 

俺は自分の目で見たものを理解して、怒りの感情を表すように舌打ちする。

この大通りのすぐそばには小さな路地裏がいくつも存在している。大通りはそれなりに賑やかだが路地裏は小汚いしかなり暗い場所だ。

そして、暗い路地裏では面倒な奴らがたむろして非合法なこともやっていたりする。だからある程度の常識があるやつはまず近づかないし、一般の人は入ろうともしない。

 

なのにだ。いましがた、何の備えもなさそうな女が一人で路地裏に入っていきやがった。

 

しかもその後ろを明らかに普通じゃない野郎どもがいやらしい笑みを浮かべて追っていた。もうその先なんて想像に難くない。

 

(襲われるな。あの女)

 

さてと──俺は先を急いでいる。知らねえ女を助ける暇なんて俺にはないんだ。

そもそも路地裏なんて危ない場所に女が一人で入るなんて馬鹿すぎる。どうなってもあの女の自業自得だし、俺に助ける義理はない。

 

(義理もなければ、暇もない。見返りだってねえのに、なんだって俺は……)

 

自分の馬鹿さ加減に呆れながら、俺は女と野郎どものあとを追って路地裏に入っていた。

路地裏の先では案の定、先に入った女を囲むように複数人の男が立ち塞がっている。女はタジタジな様子で困った顔をしていた。

泣いてねえだけマシか。それとも泣くこともできないくらい慌ててるのか?

 

「あー、そこの兄さんら。道の邪魔だ。悪いけど三秒以内に退いてくれ」

 

「あぁ?なんだてめえ……って」

 

俺の声に反応して男たちは振り向き、そのうちの一人が顔を近づけてきた。たぶん大学生くらい。全員がチーマーのような格好をしている。

顔を近づけてきた男はたいそう愉快そうに大声で笑い始めた。うわっ、タバコくさ!

 

「てめえ、まだ高校生のガキだろ。てめえみてえなガキはこんなところに入ってきちゃダーメですよー。帰ってママの尻でも追っかけてな」

 

「女の尻を追っかけてたのはテメェらだろ。それに言ったはずだ──三秒以内に退けと」

 

にっこり笑った俺が路地裏の壁を横殴りすると、見事にその場所に拳がめり込んだ。どころか壁にピシピシとヒビが入っていく。わーすっごーい。ここまでいくとは思わなかったなー。

 

いやマジで。そこまでいくとは思ってねえよ!?壁の修理代金とか請求されたらどうしよう!いやこの建物の管理人とか知らねえけどさ!

 

「な、なんだこのガキ……ッ!?」

 

「ラストチャンスな。三秒以内に失せろ。じゃねえと──別におまえらを攻撃するつもりなんか微塵もなかったけどな」

 

脱兎の如く路地裏の先に走って消えた野郎どもの背中を見ながら俺は軽く息を吐く。

俺は『戦車』の転生悪魔でその特性は馬鹿げたパワーと防御力だ。こんなパワーで一般人を殴ったら手加減してても殺しちまうよ。それよりヘコんだ壁と割れた建物どうしよう……。

 

「あ、あの……どうもありがと──」

 

「礼はいらねえよ。──んなことよりてめえッ!何考えてこんなところに平然と入ってやがる!?女が一人で路地裏なんかに入るんじゃねえ!危ねえだろうが!」

 

俺が牙を剥いて怒ると、目の前まで近づいてきていた女はビクリと震えた。

そいつはたぶん俺と同年代か少し年下くらいの女ではっきり言ってかなりの美少女だった。

長い銀髪を三つ編みにしており、青い瞳がキラキラと輝いている。あとこういうことは一誠みたいですっげぇ嫌だけど……おっぱいもデケえ。そりゃ付け狙われるわ!

 

「はぁ……何考えてんだろ、俺」

 

「え、えっと……」

 

「あー、とにかく。ここはおまえみたいなやつが入っていい場所じゃねえ。さっさと大通りに戻りやがれ」

 

伝えるべきことは伝えたので俺はさっさとトンズラする。壁のヒビ?なんのことですかー。俺は知りませんよー。関係ありませーん。

さっさとトンズラしようとしたのに……そんな俺の手を女は掴んできやがった。

 

「……なんだ」

 

「私、この町に来たのが初めてでこの道に入っちゃいけないなんて知らなくて……」

 

「路地裏は普通、どんな町でも一般のやつは入らねえほうがいいぞ」

 

「そ、そうなんだ……。それで実は私、いま道に迷っちゃってて……よかったら道案内してくれないかな?」

 

……。…………。………………。

 

ピシッと壁にヒビが入る音が聞こえた。でもおかしい。その音は俺のすぐ耳元で聞こえたんだ。

──で、すぐに気づいた。ああ、これは壁にヒビが入る音じゃない。俺にヒビが入った音だと。

 

「おまえ……バカなのか?」

 

「え?いやぁ……そこまで直球に言われたことはないんだけど……アハハ」

 

「ッ──笑いごとじゃねえっ!おまえ!さっきまで襲われかけてただろ!?それも男に!なんで男の俺に道案内を求められるんだよ!?」

 

「えっ……?私、襲われかけてたの?」

 

は、はぁ……?何コイツ、自分が襲われかけてたことにも気づいてなかったってか?そんなにもコイツはバカなのか!特級バカか!

 

「ぐぎぎ……こ、この際、襲われかけてたことに気づいてなかったことは、いい!だけど!俺は素手で壁に穴を開けたんだぞ!?そんなどう考えてもやべえヤツに道案内を求めるとか……」

 

「でも、キミは私に暴力を振るったりしないでしょ?それにさっきの人たちにも直接手を出すつもりはなかった」

 

──っ!さも当然のことのように言う女に俺はこれまでとは違う衝撃を受けた。

 

コイツ……なんで俺があいつらに手を出すつもりがなかったってわかったんだ?

 

「……さっきまでおまえは男に襲われかけてたんだぞ。なのに男の俺に助けを求めるなんてどうかしている。俺がおまえを襲うかもしれない。とは考えないのか?」

 

「私を助けてくれたのに?助けた相手をわざわざあとで襲うなんてこと、キミはするの?」

 

「……そりゃしねえけど。そういう話じゃねえんだよ。なんで男の俺を信用できるのかって話だ」

 

「それって、見ず知らずの女の子をよく知りもせずに助けたキミにも言えることじゃない?」

 

……。女の言い分に俺は黙り込んでしまった。

もともと俺は口喧嘩は強くない。人とのコミュニケーションが苦手だからな。

 

「はぁ……わかった。道案内、してやるよ」

 

「やった!」

 

渋々納得する俺を見て、女は跳ねて喜ぶ。

変なやつだなと、はっきり思ったよ。同時にどこか懐かしいような気もする。

 

その懐かしさは思い出したくても思い出せない。

 

「で、どこに行きたいんだよ?俺も忙しいから直接の案内は無理だぞ。口頭だけだ」

 

俺がそう言うと女は自分の携帯を見せてきた。

携帯に映し出されていた場所は俺にも見覚えがあった。──というより、ありすぎた。

 

「駅近くのファミレスらしいんだけど、道がわからなくなっちゃって……」

 

「はぁ……俺もちょうどそこに予定があるから直接道案内してやれるけど」

 

「本当!よかったー。私、方向音痴みたいですぐに道に迷っちゃうんだ」

 

……俺もちょうどそこに予定があるからなんて、ナンパの常套句だと普通は疑うけどな。

剛毅なのか、天然なのか……ただのアホか。なんとも心配になるやつだ。

 

「それと、さっきは助けてくれてありがとう」

 

仕方ねえなあと、道案内をする気で俺が歩き始めたときだった。

女は朗らかに笑って礼を伝えてきた。本当に変なやつだな。本当に……変なやつだ。

 

「……さっきも言ったが礼はいらねえ。予定があるからさっさと行くぞ」

 

調子狂うぜまったく……。顔に昇る妙な熱をうっとうしく思いながら俺は女と一緒に駅近くのファミレスまで歩いていった。




本当は祐斗の過去まで書くつもりだったけどキリが良かったので今回はここまでで。なので次話はできるだけ早めに投稿します。
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