ハイスクールD×D 終焉に抗う暁の太陽 作:ドラゴン大好きT
皆様、モンスターハンターワイルズを楽しんでいらっしゃいますか?禁足地での狩人生活を満喫していらっしゃいますか?
自分はPS5もゲーミングPCもないため、悔し涙を流しながら実況動画を観ています。
俺と一誠は前日、悪魔の仕事を初めて経験して、俺は無事に初めての契約も取ってきた。
しかし、一誠はうまくいかなかったようで、依頼者の願いを叶えることができなかった。
依頼者の願いはすべて、代価で命を奪ってしまうものだったらしい。たとえ願いを叶えても、依頼者の意向にそぐわない結果ばかりということで、今回の契約は破談になってしまった。
だが昨夜、一誠は朝まで家に帰ってこなかった。契約が破談になったというのに、依頼者とある漫画のバトルごっこをして過ごしていたそうだ。
確かに両親は部長の魔力で一誠がどんな時間に帰ってこようが心配しなくなった。
俺は違う。とても心配だった。依頼者に何か粗相をしていないか、帰り道でまた堕天使の連中に襲われてはいないか。一誠よりも早く召喚から帰った俺は気を揉んで待っていたんだ。
「なのにおまえは……依頼者とドラグ・ソボールのバトルごっこをしていて帰らなかった。連絡を一切せずに朝帰りを決め込みやがった」
「え、えっと、それはその……」
「このバカがぁぁぁぁぁッ!遅くなるなら連絡のひとつやふたつをしろよ!何のためにケータイを持っているんだ!このアホ!」
放課後、部室で俺は一誠を怒鳴りつけていた。
契約こそ取ることができなかったが、意外にも依頼者からの一誠の評価は高かった。
依頼者からの評価が高いことは喜ばしい。厳しい顔をしていた部長も、初めての事案に困惑していただけで怒りはしなかった。
だけど、俺はそうもいかない。昨日の夜はおかげでまた眠れなかったし、一誠の帰りを待つために深夜に家の前で一人で立っていたほどだ。
なのに、話を聞いてみれば、一誠は依頼者と朝まで遊んでいただけだという。ふざけるな。連絡もせずに朝帰りとか、不良少女かおまえは。
というわけで、俺は怒り心頭となって噛みついたわけだが、一誠も罵倒の連続を受けて黙っているような男ではない。
「そこまで言わなくてもいいだろ!俺は高校生で悪魔だ。深夜に帰ってきても問題ないだろ。シュージは俺の親かよ?」
「はぁ?てめえ、本当にふざけてんじゃ──」
俺がこめかみに青筋を立てて怒ったそのとき、机を軽く叩く音がした。
音の出どころに目を向ければ、部長が人差し指で机をトントンと叩いている。真面目な顔つきになって俺たちに視線を送っていた。
「二人とも、そこまでにしなさい。シュージの心配はわからなくもないけど、イッセーは悪魔としての仕事をしてきた。イッセーも遅くなるとわかっていたなら家に連絡くらいしなさい。これで話は終わりよ。二人とも、いいわね?」
有無を言わせない部長のプレッシャーに俺たちは黙り込む。一度顔を見合わせると、互いに腑に落ちない表情となって、再び顔を背けた。
その日の部活中、俺と一誠は会話もせず、他の部員たちは呆れたため息を吐いていた。
表向きの部活が終わり、悪魔としての活動が始まる夜。一誠は今日も依頼が入ったようで自転車を漕いで依頼者のもとに向かっていった。
あのあと、俺と一誠は口も聞かずに目も合わせていない。きっとしばらくはこんな感じだ。
だっておかしいだろ!?あいつ、一度どころか二度も堕天使に襲われているのに、何の連絡もせずに朝に帰ってきたんだぞ!俺がどれだけ心配したと思ってんだ!
なのに煽ってきやがって……!思いだすだけで腹立たしくなり、眉間にしわが寄る。
「大丈夫かい?かなりの喧嘩っぽくて、こっちまで心配になってきたけど……」
祐斗が心配そうに声をかけてくる。
ソファーに座っている俺にティーカップを差しだしてきた。なかには紅茶が入っていて、俺は差しだされたティーカップに口をつけながら言う。
「ああ、問題ないよ。わりと俺たちってすぐに喧嘩するし。知らん間に仲直りしてるから」
「兄弟ってそういうものなのかい?」
そういうもんなんだよ。紅茶を飲んでいると気分が落ち着き、表情が少しだけ和らいだ。
この間はテストの目前になって勉強を教えてくれって泣きついてきやがったからな。自分で勉強しろって追い返したら、一誠が薄情者って言ってきたからそれで喧嘩した。
……落ち着いて思いだすと、なんともくだらない喧嘩の理由だ。今回だって、一誠は悪魔としての仕事をがんばってきただけだしな。俺も心配しすぎだったのかもしれない。
「……先輩はお兄さんのことが大切なんですね」
紅茶をすすっていると、塔城さんがボソリとそんなことを言う。
「大切っていうか、ほおっておけないって感じだよ。一誠は昔から突っ走りがちだからな。やると決めたら、自分の危険も考えずに突貫するんだ。おかげで俺まで巻き込まれる」
「シュージは巻き込まれるというか、自分から巻き込まれにいっているんじゃないの?」
ま、まさかそんな……。半目になって言う部長から、俺は目を背けて苦笑いする。
「……ブラコン」
……。いま、聞き捨てならない単語が聞こえてきたんですけど。言った張本人の塔城さんはそ知らぬ顔で羊羹をかじっている。俺は口元をひくつかせて、乾いた笑みを浮かべていた。
「何か言いやがりましたかねぇ?昨日も俺に対してヘタレとか言ってたけど、学年的には俺のほうが先輩なんですけど」
「……悪魔では私のほうが先輩です」
ほんっと、口が減らないね!この後輩!無表情でまったくと言っていいほどに愛想のない後輩に、俺のなかで沸々とした感情が煮立ち始めた。
「こ、後輩ならさあ、先輩に対して敬いの気持ちとか少しはあってもいいんじゃない……?」
「……ガキっぽい先輩に敬意なんてありません」
その言葉を聞いた瞬間、ピキッという音が頭のなかで響いた。俺はその場で静かに立ち上がる。
部長と副部長は目を丸くし、祐斗は焦った様子でなだめようとしてくるが、俺はかまうことなく後輩の目の前まで近づく。
毒舌な後輩は訝しげな顔で俺を見上げてきた。
安心してくれ。ガキっぽいだなんて安い挑発を受けたからって、俺は後輩に手を出したり、メンチ切ったりするようなダサい男じゃないから。
ただ、ちょーっとイラッとしたから、言い返してやろうと思っただけだから……。
「塔城さん。いつもオヤツ食べてるよね。今日も最初にポテトチップスを食べて、そのあとにグミも食べて、いまは羊羹を食べてる。いまはそこまで影響ないかもしれないけど、今後は気をつけたほうがいいんじゃない?血糖値とかの健康面もだけど……将来かなり太るんじゃないかな」
俺がニコニコと笑ってそう告げると、賑やかだった部室が物音ひとつしないくらいに静まる。
部長と副部長は目を見開いて口を押さえ、祐斗は額に手を添えて顔をうつむかせていた。
これに懲りたら、少しは先輩に対しての態度を見直してね。俺はもとの席に戻ろうと、軽く息を吐いて塔城さんに背を向けた。
その直後、俺の手が凄まじい力で掴まれ、俺は痛みに顔をしかめて振り向く。
「……最低です。女子に対して体型のことを指摘するなんて。そういうところがガキだって言っているのがわかりませんか?」
先ほどよりも憮然とした表情の塔城さんが立ち上がっていた。彼女の眉は吊り上がり、その目は鋭く細められている。相当にお怒りだ。
ギリッと締められる手に激しい痛みを感じながらも俺は余裕の笑みを浮かべて言葉を返す。
「それはすみませんでしたねえ。俺なりに後輩の将来を案じて言ったんですけどぉ」
「余計なお世話です。どうせ普段からそんな感じで他の生徒にも余計な口出しをしているんでしょう。そんなんだから友達が祐斗先輩しかいないんじゃないですか?」
「祐斗以外にも友達はいますけどぉ。そっちこそ普段から無口で無愛想な後輩だってお噂がこっちの学年にまで流れていますよ。普段からそんな態度じゃ友達も少なそうですねえ!」
「私は無口だけど友達はいます。目つきワルワルでガキな先輩よりは絶対に多いです。先輩がそんなんじゃ祐斗先輩にもきっと迷惑がかかっているんでしょうね。少しは反省して普段の態度を改めたらどうですか?」
睨み合う俺たちの間にバチバチと火花が散る。
実際には火花なんて散っていないが、それぐらい互いに一歩も引かずに毒を吐いていた。
けど、そろそろ限界!手が痛すぎる!ブンブンと手を振って振り解こうとしても、後輩の手は俺の手をがっちりと掴んで離さない。
「この……ッ!その小さい体のどこにこんな馬鹿力を隠してやがんだよ!」
「……また体のことを言いましたね。私は小さくありません。まだ成長期がきてないだけです」
「じゃあいまは小さいんじゃねえか!ていうか、見た目のことならさっきおまえも俺の目つきのことを指摘しただろ!だったらお互いさまだ!」
どんどんヒートアップしていく俺と塔城。
なにやらこれ以上俺たちが暴れることはマズいらしく、部長と副部長が塔城をなだめ、俺は祐斗にはがいじめにされて止められた。
この日以来、俺は後輩にさんを付けるのをやめ、塔城と呼び捨てにすることにした。塔城も俺に遠慮することなく馬鹿だのガキだのストレートに毒を吐くようになった。
ちなみに、女子の食事と体型のことを指摘した俺は部長と副部長にもめっちゃ怒られた。
次の日、俺と一誠はふたりで家路についていた。
今日はどちらも悪魔の仕事が入らず、表向きの部活動も終わっているため、同じタイミングでの帰宅になった。
「はぁ……なんで俺が対応する依頼者はあんな変態ばっかりなんだ……」
「その依頼者も一誠にだけは、変態呼ばわりされたくないだろうよ」
一誠は昨夜も契約を取れずじまいだった。依頼者は猫耳を頭につけ、ゴスロリ衣装に身を包んだ筋骨隆々の大男。しかも語尾に「にょ」をつけた不気味さの権化だったという。名前をミルたん。
あるアニメの魔法少女に憧れた大男の願いは、自分を魔法少女にしてほしいというものだった。
だが当然、一誠は人を魔法少女にする方法なんて知らず、朝まで『魔法少女ミルキースパイラル7オルタナティブ』を鑑賞していたという。
「シュージは最初から契約を取ってきたんだろ?それも初めて悪魔を呼んだ人で」
「まあな。喫茶店の店長さんだったけど、特に問題なく契約を結べたよ。一誠はたぶん、変人に選ばれやすい悪魔なんじゃないか?」
「ちっくしょう……。俺は美人でエッチなお姉さんに呼ばれたいんだよ!せめて次の依頼者はまともな人でありますように……」
一誠は祈るように両手を合わせる。
連続で契約を破談にしてしまったことで、一誠も思うところがあるのだろう。帰り道で何度も無念そうにため息を吐いていた。
ま、人の願いを叶える悪魔が欲望だだ漏れなのはどうなんだろうとは思うけど……。
「話は変わるけどさ、なんでシュージは小猫ちゃんと喧嘩してんだよ?木場に聞いたぞ」
「喧嘩ってほどじゃねえけど。まあ、言い争いはしたな」
そりゃあ俺だって、女子に将来太るよなんて言ったら失礼だってことはわかってる。
けど、先に無礼な態度を取ったのは塔城だ。だいたい、あそこまで言う必要ないじゃんか!
「どうせ、シュージが余計なことを言ったんだろうなって想像はついたけどな。おまえ、口は悪いし皮肉屋だし、ネチネチ相手を責め立てるから人に好かれないんだよ」
「うっせえよ。ど変態の覗き魔よりは、皮肉屋の常識人のほうが好かれるに決まってんだろ」
ああん?おおん?と、一誠と俺は顔を突き合わせながらメンチを切る。昨日の喧嘩から俺たちは仲直り……しているわけではない。普通に会話をする程度には改善しているけども。
「はわう!」
突然聞こえてきた女性の声に俺たちは振り向く。
シスター服の女の子が手を大きく広げて、地面に派手に転んでいた。スカートもめくれてしまっていて、パンツもまる見えの状態だ。
「オォォォォッ!スパークリングホワイト!」
「言ってる場合か!」
喜びの雄たけびを上げる一誠の頭を叩くと、俺と一誠は転んだシスターに近づいていった。
「だ、だいじょうぶっスか?」
「あうぅ。なんで転んでしまうんでしょうか……
ああ、すみません。ありがとうございますぅぅ」
一誠が差し出した手を取り、起き上がった瞬間、シスターのヴェールが風によって脱がされる。
シスターはとびきりの美少女だった。
オカルト研究部の女性陣もびっくりするぐらいの美少女たちだが、この町には美人な女の子が集まる特殊なエネルギーか何かがあるのだろうか。
ブロンドの長髪が広がり、夕日に照らされて綺麗に輝いている。翡翠色の瞳と目が合った一誠はしばらく放心していた。
「あ、あの……どうしたんですか?」
「ほら一誠、見惚れるのもわかるけど正気を取り戻せよ」
「あっ。ゴ、ゴメン。えっと……」
見るからに外国人だな。近くに旅行鞄もあるが、シスター服を着て旅行というのは引っかかる。
俺の懸念は当たっていた。彼女は旅行に来たのではなく、この町の教会に赴任するために訪れたらしい。町に来たまではよかったが、日本語をしゃべれないうえに道に迷っていたと。
日本語がしゃべれないシスターと俺たちが会話できている理由は、悪魔に転生したからだ。
俺たちの言葉は聞いた人にとって一番聞き慣れた言語に変換され、逆に俺たちが日本語以外の言語を聞いてもすべて日本語に変換される。
つまり、いまの俺と一誠は超国際的な高校生になっているわけだ。まあ、あくまで耳にする言語だけだから、文法については対象外だが。外国の人と文通したいなら勉強するしかない。
そして、この町の教会といえば、町の外れにある廃れた教会だけだ。遠目でも目立つ教会だから場所は俺たちも知っているんだが……。
「教会には近づくなって部長に言われてるけど、どうするよ……?」
「けど、困っている女の子をほおっておくわけにもいかないだろ」
「……部長にこのことがバレたら、俺も一誠も絶対に怒られるぞ」
「部長に怒られるのは怖いけど……俺はひとりでもこの子を教会まで連れていくよ」
耳打ちで会話する俺たちを見て、シスターの顔色はどんどん曇っていく。見知らぬ土地で一人で放置される怖さは相当なものだろう。
事実、言葉のわかる俺たちと出会ったシスターは涙ながらに喜んでいたのだから。
一誠の意志の硬さを確認した直後、俺は頭を掻いて嘆息する。
「ふぅ……しょうがねえなあ。じゃ、二人でシスターを教会まで案内しますか」
「シュージ、それって……」
「二人で怒られてやるって言ってんだよ。教会が見える位置くらいまでなら、そこまで問題にもならないだろうし」
俺がニヤリと笑うと、一誠も笑みを浮かべる。
こうして、俺と一誠は美少女シスターを教会まで送ることになった。
教会へ向かう途中、公園の前を横切った俺たち。
「うわぁぁぁぁん」
公園内から子供の大きな泣き声が聞こえてきた。遊んでいる最中に転んでしまったのだろう。膝に擦りむいたような傷と血が滲んでいる。
近くにいたお母さんも気づいて、必死になだめていたのだが……。泣いている子供にシスターは駆け寄っていった。俺たちもあとに続く。
「大丈夫?男の子ならこのぐらいのケガで泣いてはダメですよ」
怪我をした子供を見過ごせないくらいに、彼女の心根は優しさに満ちているのだろう。
微笑むシスターはおもむろに自身の手のひらを子供の傷ついた膝にかざした。
直後、俺たちの目の前で驚くべき現象が起こる。
シスターの手から淡い緑色の光が発せられ、子供の怪我があっという間に治ってしまった。
「これって……」
「おそらくだけどな……」
俺と一誠は驚きつつも、シスターの力に思い当たる節があった。
──そう、神器だ。一誠の身に宿る赤い籠手と同じもの。治癒の能力もあるんだな。
「ッ……」
まただ。額の辺りが一瞬疼いた。異能の存在を知っている俺と一誠はまだ落ち着いているが、子供の怪我がいきなり治るという不思議な現象を目の当たりにした母親は驚いている。
「ありがとう!お姉ちゃん!」
子供は無邪気にも感謝の言葉をシスターに送る。母親も頭を下げて一応の礼をしていたが、その目はあまり好感の持てるものではなかった。
シスターは日本語がわからず、目を丸くしていたところに一誠が笑顔で通訳する。
「ありがとう、お姉ちゃん。だって」
シスターはうれしそうな微笑んでいたが、その笑みに少しだけ影が見えたような気がした。
特定の人間に宿る神器。いまだ知らないことも多いが、幸せなことばかりではなさそうだ。一誠が命を狙われた原因でもあるわけだし。
それからしばらくして、俺たちとシスターは目的の教会の付近まで来た。
見た目はボロい。旧校舎は古めかしい洋館って見た目だけど、教会は周りに雑草も生えていて手入れがされていないことが一目でわかる。
なにより、視界に映すだけで全身に悪寒が走る。額に汗が噴き出てくるぐらいには恐ろしい。
教会や神社は神様や天使に関係する場所だ。悪魔にとっては敵地にも等しい。悪魔の俺たちが近づくことはかなり危険な行為だったりする。
「ここまでだな。これ以上踏み込むと、部長に怒られるよりもマズいことになる」
「……だな。じゃあ、俺たちはこれで」
長居はできないと、別れを告げて俺たちは立ち去ろうとする。しかし、シスターはお礼がしたいと教会に招き入れようと声をかけてきた。
ごめんね。優しいシスターさん。だけど無理だ。
これ以上の介入は俺たちの命に関わる。
「俺は兵藤一誠。周りからはイッセーって呼ばれてるから、イッセーでいいよ。こっちは俺の弟のシュージだ」
「どうも、兵藤秀次です。シスターさん、お誘いを断っちゃってゴメンなさい。けど、俺たちもそろそろ家に帰らなくちゃいけないんだ」
「私はアーシア・アルジェントと言います!アーシアと呼んでください!お二人とも、必ずまたお会いしましょうね!そのときこそ、ここまで連れてきてくれたお礼をしますから!」
断りを入れつつ、俺と一誠はシスター・アーシアに別れを告げる。手を振って見送ってくれる彼女の優しさに俺たちまで温かな気持ちになった。
けど、俺たちは悪魔で彼女は教会のシスターだ。どちらのためにも今後は会わないほうがいい。
***
「二度と教会に近づいちゃダメよ」
その日の夜。悪魔の仕事の時間になって、部室に集まった俺と一誠は部長に叱られていた。
予想していた通りではあるのだが、部長の顔はこれまで見たことがないくらいに険しく、俺たちはこっぴどく怒られている。
教会は悪魔にとって敵地。だが、迷子のシスターを送るぐらいなら──なんて考えが甘かった。
俺たちの行動は危うく神側と悪魔側での問題に発展しかねないほどに危険なものだった。教会の関係者に悪魔が関わるということは、それほどまでにあってはならないことなんだと。
最悪の場合、教会の『悪魔祓い』が俺たちを滅ぼしに来る。それも神器を所有しているエクソシストが俺たちを狙ってくるかもしれない。
「人間としての死は悪魔への転生で免れるかもしれない。けれど、悪魔祓いを受けた悪魔は完全に消滅する。無に帰すの。──無。何もなく、何も感じず、何も出来ない。それがどれだけのことかあなたたちはわかる?」
「……すみません。正直、わかりません……」
「部長、申し訳ありませんでした。今後は俺も一誠も気をつけます」
部長の忠告に一誠は落ち込み、俺も猛省の意志を示すためにも頭を深く下げた。
俺はまだいい。だけど一誠を死なせるわけにはいかない。絶対にだ。今後は悪魔として、基本的なことから学んでいかないとな。
部長からのお叱りが終わったタイミングで、副部長が部室に現れた。一枚の紙を手に持っている副部長は普段とは違う硬い表情で告げる。
「討伐の依頼が大公から届きました」
主人公の性格は偏屈で皮肉屋です。
次回から戦闘開始。はぐれ者との戦いです。