ハイスクールD×D 終焉に抗う暁の太陽   作:ドラゴン大好きT

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やっぱり原作主人公は、主人公力が強いなと。
一誠と比べるとあらゆる魅力が本作主人公は足りておらず……。イベント発生力もヒロインへフラグを立てる運命力も足りてません。


第8話 殴り込みです!

 

 

部室に戻った俺たちはまず、一誠の足の傷を治療することになった。だが、光の弾丸を身に受けた一誠のダメージは思いのほか酷く、すぐに完治できるようなものではなかった。

 

足の傷の治療を受けながら、一誠はあの家で何があったのかを俺たちに話してくれた。

 

一誠が依頼者の家に出向いたときには、すでにあの神父が家主を殺したあとだったらしい。

一誠もそのまま殺されそうになったが、アーシアが身を挺して庇おうとしてくれた。その直後に俺たちが救援に駆けつけたというわけだ。

 

「部長、俺はあのアーシアって子を!」

 

「無理よ。どうやって救うの?あなたは悪魔。彼女は堕天使の下僕。相容れない存在同士よ。彼女を救うってことは、堕天使をも敵に回すことになるの。……そうなったら、私たちも戦わねばならないわ」

 

アーシアの救助を希望する一誠を、部長はハッキリとした言葉で引き留めていた。

悪魔祓いにも二通りの存在がいるらしく、教会に属した正規の者たちは神や天使の力を借りて光の力を行使する。もう一方は堕天使の力を借りて悪逆の限りを尽くすはぐれ悪魔祓いだ。

悪魔を倒すことに生き甲斐や悦楽を覚えた彼らは教会から追放されるか、裏で処分される。

 

そんな彼らを、先の戦争で力と軍勢を失った堕天使は拾い集めることにした。悪魔を殺したくてたまらないフリードのような輩と、悪魔が邪魔で仕方がない堕天使は協力し、悪魔や悪魔を召喚する人間を虐殺しているとのこと。

 

問題なのは、そんな連中と行動を共にしているアーシアだ。彼女もはぐれ悪魔祓いや堕天使の仲間というのが、部長たちの見解だった。

 

……そんなわけがない。あんなに優しい子が、誰かを殺すことに快楽を感じるような連中と心を通わせているわけがないじゃないか。

 

けど、俺たちがいくら言葉で説明したって彼女が敵じゃないという証拠がない現状では、部長は助けに動くつもりはないようだった。

 


 


 

事態が急変したのは、それから次の日のこと。

パン!という乾いた音が部室に鳴り響く。一誠の頬を部長が平手打ちしたんだ。なぜこんなことになったのかというと──。

 

足を怪我した一誠は今日、学校も悪魔の仕事も休むことになっていた。

一誠はひとりで公園にいたらしいのだが、そこに予想打にしない人物が現れた。昨夜、助けることができずに見捨ててしまったアーシアだ。

 

正直、この話には俺も驚かされた。まさかあの場から無事に生きていたとは……。

それから一誠とアーシアはハンバーガーを一緒に食べたり、ゲームセンターで遊んだりと、まるでデートのような一日を過ごしていた。

 

怪我をしたから休んでたんじゃないのかよ!?

と、ツッコミたくなる気持ちはさておき……。

幸せな一日を過ごすなかで、一誠はアーシアの辛い過去を知ることになった。

 

生まれてすぐに親に捨てられたアーシア。教会兼孤児院で育っていた彼女はある日、一匹の怪我した子犬を治癒の力で治療したという。

 

その力を目撃した者は彼女を教会の本部へと連れていき、怪我や病の治療を求めて訪れる信者たちを助けさせた。しだいに彼女は癒しの力を持った「聖女」として崇められるようになる。

それでもアーシアは生来の優しさで、傷ついた者ならば誰でも癒していた。自分の力で誰かを助けられることに喜びすら感じていた。

 

だがある日、アーシアは偶然にも傷ついた悪魔を癒してしまった。悪魔をも癒す力を持っていると知った教会の者たちは態度を一変させ、今度は彼女を「魔女」として迫害した。あげくに教会から見捨てられ、行き場を失った彼女がたどり着いた先ははぐれ悪魔祓いの組織だったそうだ。

 

多くの人を救った彼女を、信者は裏切り、信仰する神も助けてはくれなかった。アーシアの味方は誰ひとりとしていなかった。

 

そんな彼女のたった一つの願いは友達。

心を許せる友達が欲しかったと、アーシアは一誠に打ち明けたそうだ。一誠は当然のようにその場で友達になることを誓ったという。

 

二人は幸せな関係となり、これからも友達として幸せに生きていく──それを邪魔するように、ある堕天使が二人の前に姿を現した。

 

一誠の元カノ、天野夕麻。本名をレイナーレ。

奴は組織から逃げだしたというアーシアを連れ戻しにきた。嫌がるアーシアを無理やり連れ戻そうとする奴から、一誠は必死に守ろうとした。

 

だが力及ばず、一誠は一方的に痛めつけられた。

怪我はアーシアが治療してくれたが、それを見たレイナーレは一誠を殺されたくなければ組織に戻れと脅した。その結果、アーシアは仕方なく奴についていった。

 

***

 

事の詳細を報告した一誠は、アーシアを助けるために教会に乗り込もうと提案した。

しかし、今回の件に関わるつもりのない部長は首を縦に振らず、危険を承知で向かおうとする一誠の頬を叩いたというわけだ。

 

「なら、俺一人でも行きます。やっぱり、儀式ってのが気になります。堕天使が裏で何かするに決まってます。アーシアの身に危険が及ばない保障なんてどこにもありませんから」

 

「あなたは本当にバカなの?行けば確実に殺されるわ。もう生き返ることはできないのよ?それがわかっているの?」

 

冷静に振る舞ってこそいるが、部長の顔は厳しいものだ。だが、一誠にも譲れないものがある。

 

「あなたの行動が私や他の部員にも多大な影響を及ぼすのよ!あなたはグレモリー眷属の悪魔なの!それを自覚しなさい!」

 

「では、俺を眷属から外してください。俺個人であの教会へ乗り込みます」

 

それはつまり、一誠は『はぐれ悪魔』になってでもアーシアを助けに行くつもりだ。部長としては当然、そんなことは認められない。

友達を見捨てたくない一誠の気持ちは俺も痛いほどにわかる。だけど、部長が反対する理由も筋が通っている。

今回、アーシアを助けるために堕天使と戦えば、堕天使側と悪魔側の戦争にまで発展するかもしれない。組織ぐるみの犯行なら、なおさらだ。

いくら強い部長たちでも、一つの勢力との戦いでは勝ち目がないだろう。言い争いを続ける二人だったが、副部長が部長に近づいて何かを耳打ちすると、言い争いは唐突な終わりを迎えた。

 

「大事な用事ができたわ。私と朱乃はこれから少し外へ出るわね」

 

副部長と部長の表情は険しく、俺たちにそう伝えて部室から出ていこうとする。出ていく直前に部長は一誠に関係する二つの話をしていった。

 

一つは『兵士』の駒の特性についてだ。兵士には昇格──プロモーションという特性がある。

相手陣地の最深部に到達すると、王以外のすべての駒に変化することができるというもの。これは悪魔の駒の『兵士』にも適用される。

一誠はまだ悪魔になって日が浅いため、最強の駒である『女王』への昇格は無理らしいが……。

 

もう一つは神器についてだった。部長は優しく諭すように一誠の頬に触れて言う。

 

「──想いなさい。神器(セイクリッド・ギア)は想いの力で動き出すの。そして、その力も決定するわ。あなたが悪魔でも、想いの力は消えない。その力が強ければ強いほど、神器(セイクリッド・ギア)は応えるわ」

 

想いの力……。神器を持っていない俺には関係のない話だな。話が終わると、部長と副部長は魔法陣でどこかへ転移していった。

部室に残ったのは一誠、祐斗、塔城、俺の四人だけとなった。一誠は腹を決めるように大きく息を吐きだし、部室から立ち去ろうとする。

 

「一誠、本当に行くつもりか?」

 

これまでずっと黙って話を聞いていた俺だが、ソファーに座り込んだまま一誠を呼び止めた。

部室の入り口で立ち止まった一誠は振り返り、憮然とした顔を俺に向けてくる。

 

「当然だろ。アーシアは俺の友達だ。見捨てることなんて、絶対にできない」

 

「会ったのはせいぜい三回程度だろ。それに友達になったことだってその場の勢い。同情心みたいなものだろうよ。アーシアは一誠を守るために、レイナーレについていった。なのに一誠が助けに行ったってどうしようも──」

 

「いい加減にしろよ!」

 

我慢の限界だと言わんばかりに一誠は怒鳴る。

つかつかと近づいてくると、俺の胸ぐらを掴み上げて、その場で強制的に立たせる。

互いの息がかかるような距離で顔を突き合わせ、俺たちは睨み合っていた。

 

「バカにしてんのか!俺を止めたいならもっと言い方があるだろうが!」

 

「なら、お望み通りに言い方を変えてやる。一誠がひとりで行ったところで無駄死にするだけだ。他人と家族。どちらの命を優先するかと聞かれたら、俺は家族の命を優先する」

 

「ッ──ふざけんな!おまえがそこまで非情な奴だなんて思いたくなかった!シュージだってアーシアのことは知ってんだろ!なのに他人だなんて言いやがって……!いまのおまえは最低だ!」

 

「なんとでも言えよ。一誠がアーシアを助けに行くために死ぬ覚悟があるくらい、俺は一誠を死なせないためなら非情になりきれるってことを知ってほしかっただけだ」

 

一誠の剣幕と俺の冷徹な物言いに、さすがの祐斗と塔城も戸惑っている。これ以上、俺たちが言い争いをしていれば止めに入るだろう。

 

ったくよ。本当にしょうがねえ兄貴だぜ。胸ぐらを掴んでいる一誠の手を取って俺は言う。

 

「ま、一誠の覚悟はわかった。俺も行くよ」

 

「……は?お、おまっ!まさか、はじめからそのつもりであんなことを言ってたのか!?」

 

酷く動揺している一誠に俺は肩をすくめる。

 

「できることなら、行ってほしくないってのが本音だ。マジで死ぬかもしれないしな。でもアーシアのことは俺も助けたい。一誠のことを二度も助けてくれた。俺にとっては恩人だからな」

 

「俺のことを試しやがったのか……」

 

一誠は俺の胸ぐらを掴んでいた手を離し、頭を掻きむしって不満そうにつぶやく。

だがその直後、何かに気づいたようにハッとした表情になると、一誠は俺に問いかけてくる。

 

「でも、シュージはその……いいのかよ?おまえは戦いとか、苦手なんじゃないのか?特に今回みたいなのは昔を思いだして……」

 

「……それとこれは関係ねえだろ。さっさとアーシアを助けに行くぞ」

 

一誠の心配に俺は眉をひそめ、部室から出ていこうとする。過去に触れられるのはあまりいい気分がしない。それが兄貴であってもだ。

 

「ちょっと待った。僕も行くよ」

 

祐斗からの予想外の一言に俺たちは言葉を失う。だけどすぐに衝撃から立ち直った俺は首を横に振って、祐斗の申し出を断ろうとした。

 

「祐斗……気持ちはうれしいけど、今回は俺たちが勝手に行こうとしているんだ。俺たちだけで行くのが筋ってもんだろう。友達を俺たちの勝手な行動で危険に巻き込むわけには……」

 

「僕はアーシアさんをよく知らないけど、キミたちは僕の仲間だ。協力するよ。それに個人的に堕天使や神父は好きじゃないんだ。憎いほどにね」

 

「……そっか。ありがとう」

 

「木場!サンキューな!」

 

感謝の言葉を伝えた俺たち。けど、祐斗が一瞬だけ見せた憎悪の込められた表情が気になった。

でも、俺も同じ気持ちだ。レイナーレ。奴は一誠と俺を殺して、さらにアーシアまで連れ去った。ますます気に入らない。

 

「それに部長もおっしゃっていただろう?『私が敵の陣地と認めた場所の一番重要なところへ足を踏み入れたとき、王以外の駒へ変ずることができるのって』って。これって遠まわしに『その教会をリアス・グレモリーの敵がいる相手陣地だと認めた』ってことだよね。部長は兵藤くんに行ってもいいって遠まわしに認めてくれたんだよ」

 

「やっぱり、あのプロモーションの説明にはそういう意味もあったんだな」

 

「えっ!シュージは気づいてたの!?」

 

「じゃなきゃ一緒に行くなんて言わねえよ」

 

驚く一誠に俺は呆れた視線を送り、祐斗は苦笑していた。てことは、あの時点で祐斗は俺たちをフォローするつもりだったってことか。

それに、部長も一誠の意志を汲むつもりだった。ここから消えたのは何かしらのアクシデントが起こったってことなのかもしれない。

不在の部長たちを心配していると、塔城が俺たちのもとへ歩み寄ってくる。

 

「……私も行きます。三人だけでは不安です」

 

後輩からの申し出に一誠は感無量の涙を流していて、俺もフッと笑みがこぼれてしまった。

 

「本当にありがとう。このお礼はちゃんとする。この間の詫びと今回のお礼に、これが終わったら何か買ってこようか?」

 

「……駅前のケーキ屋さん。新作が出たらしいんです」

 

はいはい。じゃあそれな。こうして俺たち四人はアーシア救出のため、教会に向かっていった。

 


 


 

時刻は夜。教会の近くまで来た俺たち四人は、身を潜めて様子を窺う。

 

「確か儀式?をするためにアーシアをレイナーレはつれていったんだよな?」

 

「ああ。アーシアの神器(セイクリッド・ギア)が計画に必要だとかなんとか……」

 

アーシアさんの神器、『聖母の微笑(トワイライト・ヒーリング)』には治癒の力がある。どうせよからぬことにその力を使うつもりなんだろう。

 

堕天使はすでに準備を整えているようで、無策で飛び込むのは危険だ。何の準備もせずに乗り込もうとした俺たちとは違い、祐斗は教会の見取り図を持ってきてくれていた。ありがたい。

 

怪しいのは聖堂。儀式を行うなら聖堂の地下だろうと祐斗は想定していた。

 

「いままで敬っていた聖なる場所、そこで神を否定する行為をすることで、自己満足、神への冒涜に酔いしれるのさ。愛していたからこそ、捨てられたからこそ、憎悪の意味を込めてわざと聖堂の地下で邪悪な呪いをするんだよ」

 

どこの世界も人の恨みは根深いな。

入り口から聖堂までは一直線。問題は地下への入り口が不明なことと、待ち受けているであろう刺客の存在だった。タイミングを見計らって、俺たちは教会に侵入する!

入り口を走り抜けた先。聖堂内は長椅子と祭壇のほかに、頭部を破壊された聖人が十字架に磔にされた彫刻もある。悪趣味だな。

まもなく、待ち受けていた刺客が拍手を鳴り響かせて俺たちの前に姿を現した。

 

「ご対面!再会だねぇ!感動的だねぇ!」

 

柱の物陰から現れたのは、狂気的な笑みを浮かべた神父の格好をした男。確かフリードという名前だったはず。イカれたはぐれ神父だ。

凶悪な殺気を振りまき、神父は懐から拳銃と刃のない棒状の柄のようなものを取り出した。

その直後、柄から光の刃が出現する。

 

「てめぇら、アーシアたんを助けにきたんだろう?ハハハ!あんな悪魔も助けちゃうビッチな子を救うなんて悪魔さまはなんて心が広いんでしょうか!てか、悪魔に魅入られている時点であのクソシスターは死んだほうがいいよね!」

 

「おい!アーシアはどこだ!」

 

死ぬという単語を聞いて、焦った様子の一誠が訊くが、さすがに答えるわけ……。

 

「んー、そこの祭壇の下に地下への階段が隠されてございます。そこから儀式が行われている祭儀場へ行けますぞ」

 

「いや、答えるんかい!」

 

おまえ、刺客に向いてないよ。

堕天使も門番はもっと正常な思考ができるやつを配置するべきだったな。まあ、攻め込む側の俺たちとしては助かるが……。

 

一誠は神器の赤い籠手を装着し、祐斗も鞘から剣を抜く。俺も拳を握りしめて構えを取り、塔城は──うわぁ。マジですか。

 

「……潰れて」

 

塔城は自分の何倍の大きさの長椅子を持ち上げ、神父に向けてぶん投げる!対する神父は小躍りするような奇妙な動きで回避したり、光の剣で一刀両断していた。そこに祐斗が斬り込む。

 

「んー!んー!邪魔くせぇ!しゃらくせぇ!てめえら、なんでそんなにウザいのよ!もうチョベリバ!死語でゴメンね!死後に許してちょ!」

 

祐斗の剣を受け止めた神父は、音のない光の弾丸を乱射する。相対する祐斗は自慢のスピードですべて避け、何度も斬り込んでいく。

神父と祐斗の斬り合いを俺は見つめていた。

 

「やるね。かなりキミ強いよ」

 

「アハハ!あんたもやるねぇ!『騎士(ナイト)』か!無駄のない動きだぜ!」

 

ここだ。二人の動きはまだ俺の目では捉えきれないが、祐斗と神父はつばぜり合っている。

俺は拳を握ってその場から駆け出し、動きの止まった二人に走り寄る。だが神父は近づいてくる俺に気づくと、光の剣を握っている手とは反対の手に持っていた銃を俺に向けてきた。

 

「はい、バァァァァカ!あのときと同じ!今度こそ、ど頭撃ち抜かれて死んじゃえよ!」

 

銃口から音もなく光の弾丸が撃ち出される。

 

そう。これでは前回と同じだ。だから、俺は足に力を込めて地面を踏みつける。発射された光の弾を空高くジャンプすることで避けた。地面に着地した俺はさらに速度を上げて神父に向かう。

 

「誰があのときと同じだって?」

 

「うぜぇ!だったら斬り殺してやるよ!黒髪男子のなますってなぁ!」

 

怒りの形相で俺を斬ろうとする神父だが、奴の光の剣を受け止めていた祐斗の剣から黒い霧のようなものが発生する。

 

「な、なんだよ、こりゃ!」

 

それは闇と呼ぶにふさわしいもの。出現した闇は祐斗の剣を覆っていき、黒色の剣となる。これには神父も驚き、動揺していた。

 

「──『光喰剣(ホーリー・イレイザー)』、光を喰らう闇の剣さ」

 

「て、てめえも神器(セイクリッド・ギア)持ちか!?」

 

さらに剣から発生した闇は、つばぜり合っている神父の光の剣を侵食する。まさに光を喰らう闇の剣だ。めちゃくちゃかっこいい!──っと。

 

「祐斗のことばかり気にしていていいのか?」

 

「うぜぇうぜぇ!チョーうぜぇっ!さっさと死にやがれってんだよ、悪魔のクソガキがぁ!」

 

どんどん距離を詰める俺に神父は苛立ち、光の弾丸を俺に向けて乱射する。

しかし、祐斗の闇の剣に気を取られているのか狙いが甘く、俺は顔の前で腕をクロスする。

光の弾丸は俺に当たった瞬間、霧散して消えていった。俺は腕の隙間から神父を睨みつける。

 

「てめえ、一誠の足に二発もこんなもんを撃ち込みやがって。俺の兄貴にちょっかいかけたんだ。ふっ飛ばされる覚悟はあるんだろうな!」

 

俺は何発もの光の弾を受け止めながら神父に突進する。『戦車』のパワーと防御力をなめんな!

 

だが、神父は俺にぶつかられる直前で握っていた拳銃を盾にしていた。拳銃で俺の突進を受け、衝撃を若干殺した神父は後ろに引き下がる。

 

だけど残念だったな。おまえは一人。こっちは四人いるんだよ。

 

「動けぇぇぇ!神器(セイクリッド・ギア)ァァァァ!」

 

『Boost!!』

 

俺の背後から一誠も走ってきた。籠手についた宝玉から力強い音声が鳴り響く。

一誠の神器、『龍の手(トゥワイス・クリティカル)』は所有者の力を一定時間、倍にする力を持っている。ありふれたものだとレイナーレは小馬鹿にしていたようだ。

 

確かに一誠の力が倍になったところで、たかが知れている。だけど、人間ひとりをふっ飛ばすくらいの力は十分あるはずだ。さらに──、

 

「プロモーションッ!『戦車(ルーク)』ッ!」

 

「プロモーション!?てめえは『兵士(ポーン)』か!」

 

「『戦車』の特性!ありえない防御力とバカげた攻撃力だ!」

 

驚いた様子の神父は一誠に銃口を向け、引き金を引くが──光の弾丸は発射されなかった。

一誠の左ストレートが神父の顔面に食い込む。

神父はふっ飛んでいき、後ろにあった長椅子に大の字になって倒れていた。

 

「あのときはよくもアーシアを殴ってくれたな。一発殴れてスッキリした気分だ」

 

「……あらら、クズ悪魔に殴られたうえ、わけわからんこと言われてますよ。銃も光の剣もぶっ壊されちまったしよ……。ざっけんな」

 

神父の殴られた右頬は腫れ、口の端からは血が流れ出ている。それに握っていた拳銃も光の剣の柄もボロボロになっていた。

神父はゆらゆらと立ち上がり、口から血をぺっと床に吐き出す。口元の血を拭うと、鬼の形相となって俺たちを睨みつけていた。

 

「ふざけんなよッ!!クソがっ!てめえら、悪魔の分際でチョーシくれやがってぇぇぇっ!殺す!絶対にだ!ぶっ殺す!徹底的に切り刻みまくってやるよ、クソがぁぁぁぁ!」

 

ブチキレた神父は懐から二本目の柄だけの剣を取り出していた。だが、神父の周囲には俺と一誠と祐斗と塔城が囲うように立っている。

 

「頭がイかれてる神父さん。劣勢だぜ。まあ、俺たちとしてはあんたを徹底的にボコってもいいんだけどな」

 

「おーおー。これはもしかしてピンチってやつですかね?んー、俺的には悪魔に殺されるのはカンベンと思う心情なので、退散したいねぇ。悪霊退治できないのが心残りだけどよぉ、でも死ぬのは嫌だよね!」

 

そう言うと、神父は懐から丸い物体を取り出して地面に叩きつけた。瞬間、眩い閃光が目の前に広がっていき、俺たちの視界を奪う。

目くらましかよ!やられた!視力が戻ったときにはすでに、神父の姿はどこにもなかった。

 

「おい。そこの雑魚悪魔、イッセーくんだっけ?俺、おまえにフォーリンラブ。絶対に殺すから。絶対だよ?俺のことを殴ったうえに説教たれたクソ悪魔は絶対に許さねえ。そっちの黒髪のクズ悪魔もだ。俺を挑発した罪は重いぜぇ」

 

どこからともなく、神父の声が聞こえてくる。

けれど、いくら周囲を見渡してもその姿は確認できなかった。逃げられたうえに、どうやら俺と一誠は目をつけられてしまったようだ。

 

神父の捨て台詞に嫌なものを感じながらも、俺たちは祭壇の隠し階段に足を向けた。




フリードの口調ってやっぱり難しい。
ただの暴言じゃないんですよね。味のある単語センスだと思います。
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