ハイスクールD×D 終焉に抗う暁の太陽 作:ドラゴン大好きT
最近、8000文字超えで長いなと思うこの頃。
祭壇に隠されていた地下への階段を下りた先は、奥へ続く一本道だった。地下まで電気は通っているようだか、通路はとても陰気な雰囲気だ。
「たぶん、この道の奥……。あの人の匂いがするから……」
そう言って塔城は通路の奥を指差す。前から思っていたんだが、塔城はかなり鼻がいいみたい。
進んだ先には巨大な両開きの扉があった。この先が儀式場のようで、なかには堕天使とエクソシストの大群が待ち受けているらしい。
準備を整えた俺たちがお互いに顔を見合わせ、扉を開け放とうとしたときだった。
「いらっしゃい。悪魔の皆さん」
……この声。間違いない。奴だ。
儀式場のほうから声が投げかけられた瞬間、扉が重い音を立てながら勝手に開き始めた。
儀式場のなかは予想通り、多数の神父たちが埋め尽くしていて、全員が光の剣を手にしている。
「アーシアァァ!」
儀式場のさらに奥で十字架に磔にされたアーシアを確認して、一誠が叫び声をあげた。
彼女の隣には嫌らしい笑みを浮かべた天野夕麻──もとい、堕天使レイナーレがいた。黒いボンデージに身を包み、黒い翼を生やしている。
「感動の対面だけれど、遅かったわね。いま、儀式が終わるところよ」
次の瞬間、アーシアの体が激しく発光する。
さらにとても苦しそうに叫び始めた。明らかに異様な彼女の様子に一誠は駆け寄ろうとしたが、神父たちがそれを許さない。
一誠を取り囲む神父たちをふっ飛ばそうと、俺と祐斗と塔城もその場から飛び出す。
「……触れないでください」
「最初から最大でいかせてもらおうかな。僕、神父が嫌いだからさ。こんなにいるなら、遠慮なく光を食わせてもらうよ」
「走れ!一誠!早くアーシアを助けてこい!」
「助かる!三人とも!」
神父の一人を塔城が殴り飛ばし、祐斗も闇の剣を抜き放って神父たちと剣を交え、俺は走り抜ける一誠の背後を守るように追従する。
そうこうしているうちに、アーシアの体からひときわ大きな緑色の光が飛び出した。
「ッ……こんなときに……」
眩い発光体を見た瞬間、また額が疼いた。アーシアの体から出てきた光をレイナーレは掴み取り、狂喜に彩られた顔で愛おしそうに抱きしめる。
直後、緑色の閃光が儀式場を包み込んだ。
「うふふ、アハハハハハハ!ついに手に入れた!至高の力!これで、これで私は至高の堕天使となれる!私をバカにしてきた者たちを見返すことができるわ!」
儀式場を包んでいた緑色の光と同質なものを発する堕天使が高笑いする。何が起こっているのかはわからないが、あまりよくない状況だろう。
なにせ、磔にされたアーシアはうつろな顔でぐったりとしている。
急いで彼女のもとに向かおうとする一誠を、邪魔するように神父たちが立ちはだかるが、祐斗の闇の剣が神父の光の刃を食らい、武器を失った神父を俺と塔城が殴り飛ばす。
初めてにしてはいい連携。しかし、喜んでいる余裕は俺たちにはなかったんだ。
駆けつけた一誠が拘束している器具を解き、抱きかかえて呼びかける。だが、アーシアは生気のない顔で細く息をしていた。
まるで、いまにも死んでしまいそうな様子だ。
「
なんだって……。レイナーレがそう告げると、祐斗と塔城もしまったと顔を曇らせる。
つまり、神器を奪われたアーシアは本当に死んでしまうんだ。
「──っ!なら、
「返すわけないじゃない。これを手に入れるために私は上を騙してまでこの計画を進めたのよ?あなたたちも殺して証拠は残さないわ」
「……くそ、夕麻ちゃんの姿が憎いぜ」
一誠の一言を聞いて、レイナーレは嘲り笑う。
「ふふふ、それなりに楽しかったわよ。あなたとの付き合いわ」
「……初めての彼女だったんだ」
やめるんだ。一誠、そいつは彼女じゃない。
「えぇ、見ていてとても初々しかったわ。女を知らない男の子はからかいがいがあったわ」
「……大事にしようと思ったんだ」
そいつを大事に想う必要なんてない。
「うふふ、大事にしてくれたわね。私が困ったことになったら、即座にフォローしてくれた。私を傷つけないように。でも、あれ全部私がわざとそういう風にしてたのよ?だって、慌てふためくあなたの顔が可笑しいんですもの」
そいつは一誠を騙して襲った、外道なんだよ。
「……初デート、シュージと一緒にプランを考えたよ。絶対にいいデートにしようと思ったから」
「アハハハ!そうね!とても王道なデートだったわ!おかげでとてもつまらなかったわよ!」
「……夕麻ちゃん」
そう言ってやりたいのに、声が出ない。一誠の心から悲しそうな顔を見てしまったから。
「うふふ、あなたを夕暮れに殺そうと思っていたから、その名前にしたの。素敵でしょ?ねぇ、イッセーくん」
「ッ──いい加減にしろよッ!クソ外道がぁぁぁぁぁアアアアアアッッ!!」
これ以上ないほどに、醜悪で下卑た笑みで嘲るレイナーレに、俺はとうとう我慢の限界がきた。
血が昇りきった頭が痛い。吼えたのどが張り裂けそうになる。が、すべてがどうでもいい。
目の前のゲスを黙らせられるなら、俺は──。
『怪物』にでも何にでもなってやるっ!
「いきなり大声をあげたと思ったら、おまえはあのときの……。そう、イッセーくんの弟まで悪魔になっていたの。困った兄弟だわ」
「黙れよ。もうおまえの声も、言葉も、何も聞きたくねえ。レイナーレだったか?もう俺はおまえのことを絶対に許さねえぞ」
「腐ったクソガキが私の名前を気安く呼ぶんじゃないわよ!汚れるじゃない!」
バケモノみたいな牙を見せて怒るレイナーレ。
けれど、俺の怒りも半端ではない。もとよりこいつには復讐心を燃やし続けていたんだ。
ちょうどいい。今日こそ、復讐の日だ。
「秀次くん!気持ちはわかるけど落ち着くんだ!兵藤くん!ここでその子を庇いながらでは形勢が不利だ!一度上に上がってくれ!僕たちが道を開ける!さあ、早く!」
祐斗は神父を薙ぎ払いつつ、俺には落ち着くようにと言葉をかけ、一誠には指示を出した。
ぐったりとしているアーシアを抱きかかえ、一誠は悔しげな表情で涙を流している。
「
「シュージ……ありがとう」
俺の言葉に一誠は涙を振り払い、アーシアを抱きかかえて、その場から駆け出していく。
邪魔をしそうな神父たちは、祐斗と塔城が薙ぎ倒していた。二人のフォローもあって、一誠は儀式場の入り口まで問題なくたどり着く。
「木場!小猫ちゃん!帰ったら、絶対に俺のことはイッセーって呼べよ!絶対だぞ!俺たち、仲間だからな!」
熱い想いが込められた言葉を残して、一誠は儀式場から去っていった。
儀式場では大勢の神父たちと、祐斗と塔城が大立ち回りしている。当然、俺の周りにも大勢の神父が集まっていたのだが……。
「あなたたちはあっちの二人を相手しなさい。このクソガキは私がなぶり殺しにするわ」
レイナーレは嘲り笑って俺を見下し、周りの神父たちを追い払った。
「俺は……ずっとおまえに復讐したかった。兄貴を騙して近づいて、襲ったおまえに!」
「やれるものならやってみなさいよ。まあ、あなたみたいな下級悪魔如きは、私に触れることもできないでしょうけど」
「後悔すんなよ。兄貴を傷つけて、あげくにアーシアの大切なものまで奪ったおまえなんかに、俺は絶対に負けねえよ!」
拳を握りしめて俺はその場から飛び出す!レイナーレは手元に光の槍を出現させ、投げてきた!
光は悪魔にとって毒。
まともに食らえば、『戦車』の特性を持っている俺でもダメージは確実だと、部長はおっしゃっていた。中級以上の堕天使なら、俺を消滅させるほどの光の槍を使ってくるだろうとも。
こいつが中級堕天使かはわからねえ。けど、危ないものには違いない。
「だったら避けるまでだろ!」
真っ直ぐ突き進んでくる光の槍を、俺は横っ跳びで避ける!
さらに避けた先で俺は地面を殴り、粉砕した瓦礫を拾い上げると、レイナーレに向かって投げた。
「おまえは石ころでも食らってろ!」
「チッ、この私につぶてを投げるだなんて。最低限度の攻撃ってものがあるでしょうに」
『戦車』のパワーで投げられた石つぶては、野球選手も顔負けのスピードで飛んでいく。
しかし、レイナーレは黒い翼を羽ばたかせて宙に飛び上がり、石ころによる攻撃を回避する。
レイナーレは宙に浮かんだまま、手元に再び光の槍を出現させて、腕を振り上げていた!
「ならもう一度!」
足元に散らばる石ころを拾い上げ、投げてやろうと思った瞬間、レイナーレが光の槍を投擲した。
俺に向かって真っ直ぐ突き進んでくる光の槍。
これも避けて石ころを投げ返す。
その考えは……結果として、甘かった。
飛んできた光の槍を俺はちゃんと避けていた。
しかし、避けた光の槍は俺のすぐ近くの地面に突き刺さった瞬間、光り輝いて爆発した。
「ぐあっ!」
肌を焼くような痛みを感じたと同時に、俺は爆風によってふき飛ばされる。
ゴロゴロと地面を転がっていき、壁に打ちつけられるようにして止まった。起き上がろうと、地面に手をつけて体を起こそうとしたときだった。
「今度こそ、死ぬといいわ!」
光の槍を握ったレイナーレが飛んできた!急いで俺は立ち上がり、突き出される光の槍を避ける!
あの日、こいつに復讐してやると決めた日から、俺はトレーニングをするようになった。
腕立て。腹筋。スクワット。基礎的なものばかりだが、何もしないよりはマシだと思ったからだ。
「無駄よ」
けど、ダメなのかもしれない。
何度も突き出される光の槍を紙一重で回避していたが、レイナーレは俺の顎を蹴り上げ、怯んだ隙に光の槍を深く突き刺した。
「ぐっ、ぁぁぁああああっ!」
あまりの痛みに俺は叫び、目に涙を浮かばせる。
レイナーレの槍が貫いたのは──俺の右肩だ。
肩に突き刺さった光の槍が、俺の体の内側から焼いていくようにジュゥゥゥと音を響かせる。
深々と刺さった槍は俺の体を突き抜け、後ろの壁まで突き刺さっていた。
「ッ!秀次くん!」
「……どいてください」
俺の危機に気づいた祐斗が呼びかけてきた。
祐斗は神父を斬り払い、塔城も神父を殴り飛ばしながら、俺を助けようと近づいてきている。
「どう?これでわかったかしら。あなたのような下級悪魔が私に復讐なんて、できるわけわけないじゃない!はぁー、おっかしい」
苦しげな表情の俺を見て、レイナーレは嘲笑う。さらに槍を押し込み、なぶってきた。
「うっ、ぐぅぅぅぅ……っ!」
「ぶふっ!あなたもお兄さんと同じね。頭が悪くて弱いくせに、こんなところまで来てしまった。あなたはあの二人にとって、お荷物でしかない」
レイナーレは吹き出しながら、俺を助けようと奮戦している祐斗と塔城に視線を送る。
いかんせん神父の数が多いため、俺を救助することも難しいということだろう。レイナーレの言うとおりだ。俺は完全にお荷物になっている。
「
「バカしかいないだって……?」
「だってそうでしょう?あなたのお兄さんは私に簡単に騙されて、アーシアのような人間は私たちに利用されていることにも気づけない。
あなたもそう。
目の前で哄笑している堕天使を見て、俺は我慢できなかった。
「ぺっ」
右肩を光の槍で貫かれ、固定されていて動けなかった俺はレイナーレの顔にツバを吐きかけた。
奴は頬をピクピクとさせて睨めつけてくる。
「なによ……これは?」
「おまえなんかが、あの二人をバカにするんじゃねえっていう意味だ。ブサイクな面だが、ツバはお似合いだぞ。レイナーレさんよ」
「くっ、クソガキがぁぁぁぁああああっっ!」
嘲笑を返した俺にレイナーレはブチキレた。
何度も顔を拳で殴りつけ、槍を右肩から抜くと、今度は脇腹に突き刺す。痛みに絶叫する間もないくらいに俺は激しく痛めつけられた。
「あんたはなぶって、いたぶって、殺して!最後にあの悪魔どもとバカな兄の前にその首を供えてやるわよ!安心しなさい。全員、すぐにあんたと同じところに送ってやるから!」
ボロボロになって、血反吐を吐き出し、意識が飛びそうになるなかで、俺は思っていた。
こんな奴、許せるかって。二人をバカにされて。何にもできてない自分が許せねえって。
神器がないからダメだって言うのか。力がないから何にもできないのか。
俺が無力な『弱者』だから誰も守れないのか。
俺は『怪物』にすら、なれないのか。
ふざけんな。もう全部、ぶっ壊してやるって。
『Awakening Dragon!! Arise Disaster!!』
次の瞬間、尋常ではない額の疼きを感じた。まるで何かが額から飛び出したような感触があった。
同時に体の中で何かが暴れ、乱れるような感覚が走り始める。溢れる力に体が焼かれるような痛みさえ感じた。でもそれで十分だった。
飛びそうになる意識を、その痛みがふっ飛ばしてくれたからな!
「いい加減にしとけよ、クソ堕天使ッッ!!」
「は?ごはぁっ!?」
俺は血が流れ出ている口を噛みしめ、レイナーレに頭突きする!なぜか驚いて動きを止めていた奴は、俺の頭突きをまともに食らったんだ。
「は、はぁ?な、なんで……?あなたはそれを宿していなかったはずなのに……でも、この波動は
──セ、
──あん?神器だって?噴き出している鼻血をぬぐう余裕もないほどに、奴は動揺していた。
対する俺も疑問符を浮かべている。ふと額に異物感を覚え、俺は手を伸ばした。
さするように手を動かしてみれば、小さい突起のようなものが俺の額から飛び出ていた。
刹那──俺の頭のなかに情報が流れ込んでくる。これが神器であること、この神器の能力、使い方もすべて一瞬で把握してしまった。
「へぇ……これが
これを持っていたばかりに、一誠もアーシアも、目の前のクソ堕天使に狙われたんだからよ。
でもせっかく発現したんだ。使わせてもらう。
「よぉ、クソ堕天使さん。ブサイクな面が見るも無惨になっているところ悪いが……もっと酷いことになってもらうぜ」
「う、嘘よ!なんなのこの強大な魔力は!?さっきまで大した魔力は感じなかったのに!これじゃ上級悪魔級の魔力じゃない!」
全身から溢れている謎の力。これが魔力か?
まあ、いい。いまは目の前の堕天使をふっ飛ばすことが最優先事項だ。俺は両手を重ねて堕天使に向け、溢れている力を集中させる。
すると、集まった力がハンドボールくらいの火球となる。それをレイナーレに向けて放った。
「燃えてふっ飛べ」
『Blaze Activation!!』
「こんなものっ!」
撃ち出された火球を消そうと、堕天使は光の槍を投げてくる。しかし、火球に触れた光の槍はたちまち燃え消え、驚く堕天使に直撃した。
直後、凄まじい爆発が起こり、奴は全身を燃やしながら盛大にふっ飛んでいった。
「ハッ、ざまあねえ。兄貴とアーシアをバカにしたツケ、払ってもらった……ぞ」
そこまで口にした直後、体から一気に力が失われた。かなりボコボコにされてたからな。出血も酷いし、限界ってことなのかね。
ふらっとその場で倒れそうになる俺を、誰かが支えてくれる。
「だから落ち着いてって言ったのに……。ボロボロじゃないか」
見れば祐斗が肩を貸してくれていた。制服はボロボロになっていたが、怪我はなさそうだ。
「悪い……我慢できなかった。兄貴を傷つけて、アーシアもバカにしたあいつは、あいつだけは、許せなかったんだ……!」
「秀次くんって、意外に熱い男の子なんだね。僕たちも助けに来るのが遅くなった。ゴメンね」
僕たち?怪訝に思う俺であったが、右肩を持つ祐斗とは逆側、左肩を塔城が支えてくれていた。
塔城の服もところどころ破けている。
「……無茶しすぎ。頭は冷えましたか?」
「熱く燃えすぎて、火が出たぜ」
俺がニヒルな笑みを浮かべると、痩せ我慢をしていると気づいた塔城は嘆息する。でもそのあと、少しだけ微笑んだような気がした。
「ぎゃぁぁぁぁぁっ!熱い!熱ぃぃぃぃッ!」
凄まじい絶叫が儀式場にこだまする。堕天使は火だるまになって地面を転がっていた。
「あれ、秀次くんがやったんだよね?それにその角は……」
「……
「みたい。俺には宿ってないって部長は言っていたけど、そんなことなかったみたいだな」
俺の言葉を聞くと、祐斗も塔城も訝しげに首を傾げていた。部長が神器の有無を見誤るとはどうにも考えられないとのこと。
そうこうしているうちに、苦しむ堕天使を助けるために周りの神父が火を消化する。火が消えた堕天使はふらふらと立ち上がっていた。
黒髪の半分ほどが焼き消え、体の大半に大きな火傷痕がある。あのムカつく顔もまるでゲームのゾンビのようになっていた。
「お、おのれぇぇぇぇッ!下級悪魔がこの私をこんな目にあわせやがってぇぇぇッッ!」
激昂する堕天使は射殺すような眼光で俺を睨む。
直後、奴の全身を緑色の光が包んでいった。みるみるうちに回復していく火傷。あの力は……。
「それは、お前みたいな堕天使が持ってていいものじゃない。アーシアみたいな誰にでも優しくできる子が持つべきものだ。いますぐ返せ」
「ふざけるな!おまえたち!あのクソガキと悪魔たちを殺せ!私は上に向かったイッセーくんとアーシアの二人を殺してくるから!」
あのクソ堕天使……!マジで焼き殺してやる!
レイナーレは神父に指示を出したあと、儀式場から飛んで出ていった。
残った俺たちを大勢の神父が取り囲む。俺の負傷はかなり酷い。貫かれた脇腹からは血がいまも流れ出ている。立っているのもやっとだった。
祐斗と塔城も俺を庇いながらでは、思うようには戦えないだろう。顔を厳しくさせている。
だけど、兄貴とアーシアは絶対に殺させない!
限界がなんだ!出血がなんだ!立って戦え!
内心で自分を叱咤しつつ、歯を食いしばっていたときだった。俺たちの目の前の足元が光りだし、グレモリーの魔法陣を描いていく。
魔法陣からまもなく姿を現したのは、俺たちもよく知っている人物で──。
「遅くなったわね、皆」
「あらあら、神父がこんなにたくさん」
いや、悪魔だった。部長!それに副部長まで!
新たな増援に動揺する神父たちであったが、二人は容赦なく魔力と雷撃で蹴散らしていった。
戦いが終わったタイミングで、祐斗が部長に話しかける。
「部長、そちらの用事は大丈夫でしたか?」
「問題なかったわ。複数の堕天使が奇妙な動きをしているとは思っていたのだけれど。今回の件は堕天使全体のものではなく、一部の者たちが起こしたものだと判明したの。だから、私と朱乃の二人で少しお話してきたわ」
微笑む部長は懐から黒い羽を三枚取り出して、祐斗の問いに答えていた。話し合いだけでは終わらなかったみたいですね……。
すると、部長の視線が俺に向けられる。俺の額にあるものを見た部長の顔は驚きに満ちていた。
「シュージ、まさかそれ……
「は、はい。そのようですが……」
神器を所有している者は特有の波動があるって話だった。レイナーレも俺が神器を所有していると気づいた途端に動揺していたし。
けど、俺からは波動を感じられなかったって、部長は言っていたもんな。驚くのも無理はない。
「角の
「部長!そんなことより、一誠とアーシアが危ないんです!レイナーレって堕天使が二人を襲いに上に向かって──」
一誠たちの安否が心配だった俺は声を張り上げるも、ごほっと血を吐き出してしまう。
「シュージ、あなたも相当な怪我じゃない。無茶したのね。でもね、イッセーならきっと大丈夫」
「大丈夫なわけ──」
否定の言葉を発そうとする俺の口を、部長は人差し指で軽く押さえる。
「信じなさい。あなたのお兄さんは私の『
ウインクして言う部長に俺は顔を赤くさせた。
胸が高鳴り、頬にも熱が入る。俺も年ごろの男子なんで。ドキッとすることはあるんです。
ボロボロの俺は手を借りつつ、全員で一誠たちのもとへと向かっていった──。
主人公がリアスに抱いたものは、恋なのか!?
次回で1巻の内容は終幕です。主人公の神器、けっこうあっさり目覚めちゃったね……。