2010・11・28・☀・14:45・八十神アパート前。
愛家を出て、俺は吹寄と一緒に叔母さんのアパートの方まで歩いて帰った。
【比企谷君、それじゃまた月曜日】
吹寄がそう言うと、住宅街の方へ歩いていった。俺、彼女が見えなくなるまで見送っちまった。
【さむっ、部屋に入るとするか】
2010・11・28・☀・14:50・八十神アパート・2ー1・静江の部屋・リビング。
俺は急いで叔母さんの部屋に入った。部屋に入ってからも、吹寄の言葉が頭から離れねえ。『キラキラ輝いてた』って…。
俺、そんな風に見られてたのか?吹寄って、ほんと真っ直ぐな奴だな。俺みたいなひねくれた奴にも、ちゃんと向き合ってくれる。
…でも、吹寄の『内面を見てくれる人が良い』って言葉、なんか刺さったな。俺、吹寄の内面…ちゃんと見れてるかな?バスケの時のアクティブさ、家でのだらしなさ、クラスのための真剣さ…。吹寄って、俺が思ってた以上に魅力的な奴だな。
2010・11・28・☀・19:30・八十神アパート・2ー1・静江の部屋・リビング。
俺は叔母と晩ご飯を食べてた。今日のメニューは俺が作った豚の生姜焼きと味噌汁、ご飯だ。
叔母さんが『八幡、料理うまいね~』なんて言いながら食べてる中、突然爆弾発言が飛び出した。
【八幡、吹寄さんと仲良いらしいね】
…ぶっ!口に含んでた味噌汁を吐き出しそうになりながら、必死に飲み込む。危ねえ、静江の服にかかるところだった。
【い、い、いきなり何言い出すんだよ!?】
【うん?図星かな?何、慌ててるのかな、八幡?アンタ、吹寄さんを狙ってるのかな?】
叔母さんがニヤニヤしながら俺をからかってくる。俺は慌てて否定した。
【そんなんじゃねえよ!】
…って否定したけど、正直、内心めっちゃ動揺してる。昼間に吹寄の前で涙を見せちまったり、頭を撫でられたり『キラキラ輝いてた』なんて認められたり…。
帰ってからも吹寄のことばっかり考えてるじゃないか。雪ノ下や由比ヶ浜に抱いたことのないこの気持ち…これって、恋ってやつなのか?
【八幡、アンタの恋人になってくれる人は吹寄さんみたいな子がいいわよ。アンタをグイグイと引っ張っていくような】
【だから違うって言ってるだろ!】
俺は必死に否定するけど、顔が熱い。身体まで熱い。鏡見なくても分かる、俺の顔、今めっちゃ赤いだろ。叔母さんのニヤニヤが止まらねえ。…くそ、俺、めっちゃ動揺してるじゃねえか。吹寄のこと、こんなに意識してるなんて、自分でも驚くわ。
2010・11・30・☔・08:15・八十神高校・1ー2組。
朝、学校に来て自分の席に座ってると、雨のせいか教室が少し薄暗い。外はしとしとと雨が降ってる。
稲羽市、最近雨が降り続くと霧が多いけど、今日も雨か。俺がぼーっと外を眺めてると、里中と天城がやって来て、自分の席に座った。
【おはよー、比企谷君】
【おはよう、比企谷君】
【2人共、おはよう】
俺が挨拶を返すと、里中がニコニコしながら話しかけてきた。
【最近さ、比企谷君って制理と仲良いよね?】
天城も頷いて続ける。
【うん、私から見てもそう思う】
【そ、そうか?】
俺、動揺しながら答える。吹寄と仲良いって、花村にも言われたけど、里中と天城までそう感じてるのか?
【そうだよ。制理って、比企谷君と話してる時さ、表情を見てたら嬉しそうだもん。他の男子には見せない表情だよ】
【うん、私達3人で話してる時も、比企谷君の話題になるもんね】
里中と天城がそんなこと言うもんだから、俺、ますます混乱する。吹寄が俺と話してる時、嬉しそうな表情?他の男子には見せない?俺の話題になる?…何だよ、それ。
【ほらっ、里中も天城も吹寄も、叔母さんと仲良いだろ?そういう話の流れだろ?】
俺、必死に誤魔化そうとするけど、里中が首をかしげる。
【そうかな?】
天城も不思議そうに俺を見る。
【どうしてそう思うの?】
2人の不思議そうな表情が、俺をさらに混乱させる。今まで女子が俺に向けてきた視線とは全然違う。総武高校じゃ、俺を見る目は『気持ち悪い』とか『関わりたくない』って感じだった。
でも、里中と天城の目は…嫌なモノを見る視線じゃねえ。むしろ、好意的な視線だ。
俺、どうしたらいいんだ…?吹寄のこと、意識しすぎてるのも分かってる。
でも、里中と天城にまでこんなこと言われたら、俺、余計に吹寄を意識しちまうじゃねえか。…俺、吹寄のこと、好きなのか?いや、そんなわけねえだろ。俺みたいな奴が、吹寄みたいな真面目でアクティブで…魅力的な奴を好きになるなんて…。
でも、吹寄の笑顔とか、真剣にクラスのために頑張る姿とか、バスケの時の無邪気な表情とか、家でのだらしなさとか…全部、頭から離れねえ。…やばい、俺、ほんとに吹寄のこと好きになってるのかもしれねえ。
吹寄制理の視点。
2010・12・02・☁・21:15・吹寄家・制理の部屋。
私はいつものように、勉強を終えてからお風呂に入った。これは私のルーティンで、昔から変わらない習慣だ。机の上には教科書とノートが広げられたまま。明日の授業の予習も一通り終わったし、クラスの書類整理も済ませた。いつも通りの夜のはずなのに…なんだか落ち着かない。
最近、変わったことと言えば…いとこの星奈が送ってくる服や下着を、ちゃんと身に付けるようになったことくらいかな。星奈はグラビアアイドルだから、いつも流行りの可愛い服とか、ちょっと大胆な下着とかを送ってくる。でも、私はそういう流行り物に興味がなくて、いつも放置してた。…
でも、最近は『比企谷君に見せたい』って思うようになって、試しに着てみたりしてる。自分でもびっくりするけど、鏡の前で『これ、似合うかな?』なんて考えちゃうんだから。
比企谷君…。今の私は、比企谷君のことを考える時間がどんどん増えてる。
文化祭で一緒に準備をした時、バスケを一緒に楽しんだ時、クラスの仕事を手伝ってくれた時、雪柳先生から預かった書類をわざわざ届けてくれた時…。比企谷君はいつも、さりげなく助けてくれる。真面目で、ちょっと冷めた態度だけど、ちゃんとクラスのために動いてくれる。オムライスを作ってる時の比企谷君、キラキラしてて…かっこよかったな。
花村や他の男子たちには、こんな気持ちを抱いたことなかった。花村は明るくて良い奴だけど、ちょっと軽いし、他の男子たちも、私のことちゃんと見てくれてる感じがしない。でも、比企谷君は違う。私の頑張りをちゃんと見て、認めてくれる。…それが、すごく嬉しかった。
でも、比企谷君が千枝や雪子、雪柳先生や他の女子と話してる姿を見ると、胸が苦しくなる。自分でもびっくりするくらい、モヤモヤするんだ。今までこんな気持ちになったことなかった。星奈が恋の話をしてきた時も、『ふーん』って流してただけなのに…。文化祭以来、気づけば比企谷君を目で追ってる私がいる。教室で、廊下で、放課後の校庭で…。比企谷君が誰かと話してると、つい気になっちゃう。
…私は、比企谷君に恋をしちゃったんだ。
自分でもその気持ちを認めた瞬間、顔が熱くなった。…私、恋なんて初めてだ。千枝や雪子には、小学生の頃から何でも話してきたけど、こんな気持ち、話せるかな?千枝なら『制理、恋したんだ!やっとだね!』ってからかうだろうし、雪子は『比企谷君、良い人だよね』って優しく聞いてくれるだろうけど…。でも、恥ずかしくて言えない。
比企谷君って、ちょっと不器用で、冷めた態度を取るけど、実は優しいよね。文化祭の時、私が『キラキラ輝いてた』って言ったら、比企谷君、泣きそうになってた。あんな比企谷君、初めて見た。…可愛かったな。あの時、頭を撫でちゃったけど、比企谷君、びっくりしてた。…もっと触れていたかったな、なんて思っちゃって…。私、変かな?
でも、比企谷君って、恋愛とか興味なさそうだよね。告白されたことないって言ってたけど…本当かな?千枝も雪子も『比企谷君、頼れる』って言ってるし、クラスの女子の間でも評判良いのに。…もし、比企谷君が他の子に告白されたら、どうしよう。…嫌だな、そんなの。
私はベッドに寝転がって、天井を見上げた。外は曇ってるけど、雨が続くと霧が濃い気がする。稲羽市、最近霧が多いよね。何年か前まではこんなことなかったはずなのに。
比企谷君、あの八十神アパートの2階の1号室に静江さんと一緒に住んでるんだよね。
静江さんが羨ましいな……
…はぁ、比企谷君のこと考えすぎて、眠れそうにないや。
もう一度、アンケートを取ります。鳴上悠のヒロインは誰がよろしいですか?
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1ー里中千枝
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2ー天城雪子
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3ー久慈川りせ
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4ー白鐘直斗
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5ー小沢結実
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6ー松永綾音
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7ー海老原あい
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8ー雪柳綾奈
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9ー麦野静江