俺の青春が田舎へ流された。   作:龍造寺

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原作開始前19話です。


原作開始前ー20ー19話ー年の瀬。

 

2010・12・24・☃️・20:55・稲羽市内・八十神アパート2ー1・静江の部屋・リビング。

 

俺は先に帰ってきてた叔母さんに、制理と付き合うことになったって報告した。俺から告白しようと思ってたけど、向こうから先に告白されて、お互い同じ気持ちだったって分かって、めっちゃ嬉しかったって話した。

 

【八幡、おめでとう】

 

叔母さんが穏やかに微笑んでくれた。

 

【これも叔母さんのおかげだ。俺の背中を押してくれたから】

 

【ううん、私は背中を押しただけ。あとは八幡が自分で頑張ったことなんだから】

 

【うん…】

 

叔母さんが視線を落として、俺の手袋を見てきた。

 

【それも吹寄さんからもらったの?】

 

【ああ、俺のためにって】

 

【八幡、吹寄さんを大切にしなさいよ。泣かせたら私も許さないからね】

 

【わ、分かってる。俺も、制理に相応しい男になるって決めたから】

 

【ふっ、八幡、いい顔になったわね。ここに来た時に比べれば、随分と男らしくなった】

 

【叔母さんには本当に感謝してる。こんな俺を預かってくれて】

 

【ふふ、それを言うなら雪穂姉さん…アンタのお母さんに感謝でしょ。姉さんが送り出して、私はただ迎えただけだから】

 

【もちろん、母さんにも感謝してる。でも、叔母さんが色々アドバイスしてくれたから、今の俺がいるんだ】

 

【でも、これからが大変だから。吹寄さんを大切にして、彼女を幸せにしなきゃいけないからね】

 

【ああ、わかってる】

 

俺は、制理を幸せにするために頑張ると決めた。…勉学もバイトも、ちゃんと頑張らないとな。…制理と一緒にいる未来を考えると、自然とやる気が出てくる。

叔母さんがニヤニヤしながら、突然話題を変えた。

 

【今日は、私が赤飯を作ってあげたわよ。八幡が決戦で勝利した証ってことで】

 

【めでたい時に赤飯か…。いただきます】

 

【味わって食べてね】

 

俺は叔母さんが作ってくれた赤飯を食べ始めた。そういえば、クリスマスイベントの時、緊張しすぎてほとんど料理食べられなかったんだよな。…今、めっちゃ腹減ってる。…うまい。叔母さんの赤飯、シンプルだけど、めっちゃ温かい味がする。…あっという間に食べちまった。

 

明日から冬休みだ。色々計画立てなきゃな。1月1日は初詣で制理と一緒に行く約束もしてるし。あ、そうだ、明日、花村にジュネスのバイト入れるか聞いてみるか。…制理とのデート代、ちゃんと稼がないとな。

 

2010・12・24・☃️・21:25・稲羽市内・吹寄家・制理の部屋。

 

私は自分の部屋のベッドに寝転がって、抱き枕にぎゅっと抱きついてた。…やっと、やっと私の思いが通じて、八幡と付き合うことになった!…嬉しくて、抱き枕に顔を埋めてニヤニヤが止まらない。

 

これも、千枝と雪子、雪柳先生が協力してアドバイスしてくれたからだよ。…もちろん、花村にも感謝してる。何気なく八幡の好みとか、さりげなく教えてくれたし。…みんなが背中を押してくれたから、私、勇気を出して告白できたんだ。…本当に、ありがとう。

 

クリスマスイベントも楽しかったけど、何より八幡と一緒に帰ってきたのが一番嬉しかった。…手を繋いで歩いて、キスして…。…思い出すだけで、顔が熱くなっちゃう。

 

…学校の宿題、さっさと終わらせなきゃ。八幡と一緒に過ごす時間、もっと作りたいし。…あ、八幡を部屋に呼んだ時、こんな散らかってたら恥ずかしい!…片付けなきゃ。…冬休みの前半、それで時間潰れちゃいそうだな。

 

正月の初詣、やっぱり振袖を着ていくべきよね。…その方が、八幡も喜んでくれるだろうし。…どんな振袖がいいかな。…八幡、似合うって言ってくれるかな。

 

私は携帯を取り出して、アドレス帳に登録した【比企谷八幡】を見て、またニヤニヤしちゃった。…八幡の名前、私の携帯に入ってる。…恋人なんだ、私達。

 

ベッドから立ち上がって、カーテンを開けて窓から外を見てみた。…雪、結構積もってる。…明日は雪下ろししないといけないかな。…でも、今の私には、それすら全然苦に感じない気分。…八幡と付き合えたから、なんでも頑張れそうな気がする。

 

 

2010・12・25・☁・14:30・稲羽市内・八十神アパート・2‐1・静江の部屋・リビング。

 

俺はさっき、ジュネスで花村に会って、バイトできるか相談してきた。花村が父親に話してくれて、軽い面接を受けたんだけど…見事合格した。明日からジュネスのバイトに入ることになった。…今日は履歴書を書いて持っていかなきゃいけないけどな。

 

花村の父親、優しそうな人だった。パートのおばちゃんたちもいい感じの人たちだったし、なんとかなるだろ。…まあ、花村もいるし、同年代の奴がいるから、俺が浮くことはないと思う。…良かった。

 

まずはお金を貯めて、制理とどこか出かけたいな。…デート代、ちゃんと稼がないとな。…そういえば、俺、稲羽市内のこと、まだ全然知らないんだよな。デートできるような場所、あるか調べないと。…ジュネスのフードコート以外で、どこかいいところないかな。

 

俺はリビングのテーブルに置いてあった叔母さんのファッション雑誌を何気なく手に取った。…女性向けのやつ、いっぱいあるんだな。俺はメンズ用のファッション雑誌を見たいけど、叔母さんがそんなの持ってるわけないか。…ジュネスの雑誌売り場で見るか、稲羽商店街の四目内堂書店に行くかの2択だな。…デートするなら、ちょっとマシな服も欲しいし、ちゃんと調べないとな。

 

【制理とデートするなら、ダサいって思われたくないな…。…何着ればいいんだ?】

 

やっぱりジュネスの衣服コーナーに行って直接見て自分に合うかどうか確かめる必要があるか。

 

…さてと、さっさと冬休みの課題を終わらせちまうか。終わらせて、制理と一緒に過ごす時間を作りたい。俺は鞄から課題を取り出して、さっさと片付けることにした。…制理と過ごす時間を増やすためなら、課題くらいすぐ終わらせるぜ。

 

その前に

 

【…制理に、バイト決まったってメールを送るか」

 

『バイト決まった。明日からジュネスで働くぜ』

 

とメッセージを送る。課題をする前にトイレと。

 

ふと窓の外を見ながら俺は

 

【…昨日より雪減ったけど、まだ寒いな。…制理、風邪引いてないかな】

 

そんな事を考えながら課題をする前にトイレを済ませるの俺であった。

 

2010・12・29・☁・19:25・稲羽市内・ジュネス・バックヤード。

 

俺は今、バイトの真っ最中だ。今日は1日中バイト漬け。教育係の花村に色々教えてもらいながら、仕事を覚えてる。力仕事が結構腰に来るけど、制理のためだと思ったら、全然苦にならない。

 

…以前の俺なら、❝働いたら負け❞とか言ってたけど、そんなこと全然ねえな。制理の笑顔を守るためなら、俺、どれだけでも頑張れる自信が出てきた。

 

【八幡、ちょっと休憩しようぜ】

 

花村が声をかけてきた。

 

【もうそんな時間か?】

 

【へへ、もうとっくに夜だぜ】

 

【あ、そうなんだ。夕方の休憩以降、全然時間見てなかったからな」

 

【集中しすぎだっつの】

 

俺は花村からマッ缶を受け取って、すぐに飲んだ。…甘さが疲れた体に沁みる。…前飲んでた時より、めっちゃ美味しく感じる。…これが労働の後の味ってやつなのか。

 

【ホント、お前が入ってきてくれて助かったぜ。お前いなきゃ、俺がずっと力仕事ばっかだったからな】

 

【まあ、そうだよな。おばちゃんとか、女性ばっかりだもんな】

 

花村とそんな話をしていたら、学校の先輩である小西先輩が休憩に入ってきた。

 

【おつかれー。花ちゃんに八ちゃん】

 

【あ、小西先輩、お疲れっす】

 

【お疲れ様っす】

 

【2人、今日はずっと力仕事だったんでしょ?体とか大丈夫?】

 

【大丈夫っすよ、これくらい】

 

【俺も大丈夫ですよ】

 

【八ちゃん、こいつ友達いないからさ、仲良くしてやってね】

 

【あ、はい】

 

…花村、この小西先輩に惚れてるな。バイト始めてすぐ分かった。…でも、花村、片思いっぽいな。俺の件で協力してくれたんだし、こいつの恋愛にも協力してやろうと思う。…俺だけ幸せってわけにもいかねえしな。

 

小西先輩はお茶を飲んで、すぐに立ち上がった。

 

【もう休憩いいんですか?】

 

俺、つい聞いてしまった。

 

【うん?うん、お茶飲みに来ただけだから。2人とも、残り時間頑張ってね】

 

【小西先輩こそ頑張ってください】

 

【うん】

 

小西先輩は手を振って、バックヤードから出て行った。

 

【良かったじゃねえか、小西先輩と喋れて】

 

【ああ、俺も順序を踏んで、お前に追いつくぜ】

 

【なんだよそれ…】

 

【で、どこまで進展したんだ?】

 

…野次馬芸能記者みたいな顔して聞くなよ。

 

【どこまでって、別にそんなこと気にする必要ねえだろ?】

 

【キスくらいしたんだろ?】

 

…俺はクリスマスの夜、制理の家の前でキスしたのを思い出した。…顔が熱くなって、赤くなってるのが自分でも分かる。花村がそれを見て、ニヤニヤしながら言う。

 

【ウブだな、八幡。顔にすぐ出るから、めっちゃ分かりやすい】

 

【分かりやすくて悪かったな】

 

【それで、お前、1月1日の初詣、2人で行くんだろ?】

 

【は?そんなことお前に話したか?】

 

【ここいらのカップルがすることって、そういうことだろ?パートのおばちゃんたちが言ってたぞ】

 

【そんなプチ情報いらねえって】

 

そんな会話をしながら、俺たちは再び仕事に戻った。…制理との初詣、楽しみだな。

 

2010・12・31・☁・18:30・稲羽市内・ジュネス・バックヤード。

 

今日は大晦日。ジュネスはいつもより早く閉店だ。世間は明日から正月、2011年の幕開けってわけだ。叔母さんも2日前から正月の準備を始めてて、昨日は1日中、部屋の片付けしたり、いらないものをゴミに出したり、おせち料理の手伝いしたりしてた。

 

意外と叔母さん、おせち料理作れるんだなって感心した。…俺も手伝いながら、ちょっとだけ作り方覚えたし。

 

今日で年末の忙しい期間も終わり。俺の連続バイト週間も一段落だ。明日は制理と初詣に行く約束してるけど、その後どうしようか。ブラブラ散歩デートもありだな。…変なとこに連れてって嫌われたら嫌だし、ちゃんと計画立てないとな。

 

 

そんなこと考えてたら、花村が声かけてきた。

 

【よぉ、今年もお疲れさん】

 

【あ、お疲れ、花村…】

 

【あと少しで2011年だな。そして4月からは2年生か】

 

【そうだな。高校2年か。…まさか稲羽に来ることになるなんて、入学した当初は考えもしなかったぜ】

 

【まあ、誰だってそうだろうな。俺は親の都合でこっちに来たわけだけど…八幡、お前は違うみたいだな】

 

【まあ、そうだな…。俺は親の都合ってより、自分の都合って感じだ】

 

【お前がここに来た理由…雪柳先生からある程度聞いた】

 

【……そうか、雪柳先生が】

 

【スマン、あまり聞かれたくなかったことだよな…】

 

確かに、昔の話はあんまり人に聞かれたくない。でも、これからずっと稲羽にいるんだ。花村や制理たちには、ちゃんと話しておくべきだよな。

 

【いいや…。来た当初はそう思ってたけど、今は違う。むしろ、知ってほしい】

 

俺は花村に、総武高校でのことを話した。文化祭を失敗させないために、修学旅行のグループを壊さないために、俺があえて敵役を買って出たこと。…でも、そのせいで誤解されて、俺が完全な悪者扱いされたこと。戸塚や材木座、川崎あたりは庇ってくれたけど、俺はあいつらまで巻き込まれるのが嫌で、距離を取った。不登校って形で。

 

家でも、味方は母さんだけで、父さんと小町は俺が問題の原因だと決めつけて、理由も聞いてくれなかった。母さんは事情を知ってくれてたけど、家じゃ俺を守れないって思ったんだろうな。…だから、稲羽の叔母さんに俺を預ける選択をした。

 

【何回聞いても無くそ悪い話だよな】

 

【そう…。怒ってくれるお前が、俺は嬉しいぜ。…でも、今はそんなことがあったからこそ、お前や制理、里中や天城、雪柳先生と出会えたんだ】

 

【男相手に真顔でそんなこと言うお前もスゲーけどな…】

 

【自分でも驚いてるよ。…花村達がこんな俺を変えちまったんだからな】

 

【……でも、そんなとこがお前らしいと言うか。…なあ、俺はお前の味方だぞ。この先何かあったら、我慢せずに素直に話せよ】

 

【ああ】

 

こんな会話をしながら、俺達は今年最後のバイト時間を過ごしてた。…花村、いい奴だな。

もう一度、アンケートを取ります。鳴上悠のヒロインは誰がよろしいですか?

  • 1ー里中千枝
  • 2ー天城雪子
  • 3ー久慈川りせ
  • 4ー白鐘直斗
  • 5ー小沢結実
  • 6ー松永綾音
  • 7ー海老原あい
  • 8ー雪柳綾奈
  • 9ー麦野静江
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