俺の青春が田舎へ流された。   作:龍造寺

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原作開始前20話です。


原作開始前ー21ー20話ー謹賀新年、初詣デート、不思議な出来事。

2011・01・01・☀・10:30・吹寄家・玄関内。

 

今日は朝早く起きて、叔母さんと2人でおせち料理を食べた。こんな気持ちいい正月を迎えたの、いつぶりだ?…記憶にないくらいだ。…総武高校の頃は、正月早々、親父の愚痴聞かされてたっけ。…小町は褒められて、俺は下げられてた。…でも、今年はそんなの聞かされずに済んだ。叔母さんと2人だけの元旦だったけど、ちゃんとアドバイスもしてくれたし、お年玉までくれた。

 

母さんや平塚先生、戸塚、材木座には年賀状も出した。戸塚と材木座には前住所聞いてたから、変わってなければ届くはず。…平塚先生も同じだ。

 

今、俺は吹寄家の玄関にいる。なんでここにいるかって言うと、付き合い始めて数日後に、制理の両親に会ったんだ。偶然だったけど、その時に挨拶までしちまった。

 

…まだ結婚するわけじゃないのに、制理の両親から【娘をよろしく頼む】って言われた。…つまり、親公認のカップルになっちまったってわけ。…制理の弟にも【義兄さん】って呼ばれたけど…まあ、将来的にはそうなるわけだしな。

 

【義兄さんか…】

 

…そういえば、川崎の弟にも義兄さんって呼ばれたことあったな。あの時は何で呼ばれなきゃいけないんだって思ったけど、今は悪くない気分だ。

 

…話が逸れた。俺の場合、親公認って言っても、叔母さんにしか認められてないけど、年賀状で母さんには彼女ができたって報告した。…どうせ父さんも小町も、俺からの年賀状なんて見ないだろうし。

 

そんなこと考えてたら、制理がやってきた。

 

【八幡、お待たせ】

 

制理が振袖姿で俺を出迎えてくれた。…俺、その瞬間、目と言葉を奪われた。上品で清楚な印象の振袖で、色は淡い水色と青系のグラデーションがめっちゃ映えてる。…白や銀の雪の結晶模様が入ったデザインは、ホワイトクリスマスの思い出を連想させる。…あの夜を思い出すな。

 

帯は金色で華やかさをプラスしてて、髪飾りはシンプルな雪のモチーフ。…制理の清楚な魅力がめっちゃ引き立ってる。

 

【どうかな?】

 

【……めっちゃ似合ってる。綺麗だな】

 

【ありがとう。八幡のためにこの振袖を選んだんだ】

 

制理の振袖姿見て、心臓がバクバクしてる。…いつもの制服姿とは違う、別の美しさとか色気があって…。…俺、こんな可愛い子と付き合ってるんだ。

 

【八幡君、制理をうまくリードしてあげてね】

 

制理のお母さんにそう言われて、

 

【はい】

 

俺、即答しちまった。今度はお父さんが、

 

【初詣が終わったらどうするんだい?そのまま他のところでデートとか行くのかな?ただ、そこの初詣、時間かかるからな…。八幡君、何なら家に帰ってきて、色々話そうじゃないか?】

 

【父さん、語り合うって何を語るんだよ?】

 

弟まで出てきた。…確かに、制理の弟の言う通り、お父さんと何話せばいいんだ?

 

【初詣が終わったら、そのままデートに行くの。だから、お父さんとの会話は…またいつか】

 

制理がそう言って、俺を助けてくれた。

 

【アハハ、なんてな。ただ言っただけさ】

 

【全く、あなたって人は…】

 

…これが家族の会話なんだな。こんな普通のやり取りが、俺にはめっちゃ温かく感じる。…心がジーンとしてくる。

 

【じゃあ、初詣に出発しましょう】

 

【そうだな】

 

【それじゃあ、行ってきます】

 

制理の家族に見送られて、俺たちは辰姫神社に向かって歩き始めた。もちろん、手を繋いで。

 

すぐに叔母さんのアパートの前を通った。すると、窓から叔母さんが顔を出して、

 

【制理ちゃん、振袖、似合ってるわよ!八幡、ちゃんとエスコートしなさいよ!】

 

【静江さん、ありがとうございます】

 

【言われなくても分かってるから】

 

…ありゃ、叔母さん、アルコール入ってるな。…言われなくても分かってるって。まあ、あれは叔母さんなりのお節介だな。…でも、大声で言われると、ちょっと恥ずかしい。俺たちはそそくさと商店街の方へ向かう道を歩いていった。

 

 

2011・01・01・☀・11:00・稲羽市内・稲羽商店街。

 

 

稲羽商店街にやってくると、いつもより人が多い。雰囲気からして、都会に出てた稲羽の人間が里帰りしてきたんだろうな。…正月だし、帰省ってやつか。

商店街が寂れてる様子を見て、何か思うところがあるのかね。…まあ、都会に出た人間にはどうでもいいことかもしれないけど。

 

【普段と違って、結構人がいるんだな】

 

【そうね。里帰りで帰ってきてる人が多いから】

 

【里帰りか…】

 

千葉の実家が恋しいかって言われれば、全然そんなことねえな。母さんはともかく、父さんや小町には会いたくない。…不安そうな顔で制理が俺を見た。

 

【やっぱり、千葉の方が…】

 

【全然恋しくない。制理がいる稲羽の方が好きだからな】

 

【八幡…】

 

俺達は辰姫神社に向かって歩き続けた。…同じように神社に向かうカップルがいる。…都会に出た稲羽の人間だろうな。垢抜けてる感じがするから、すぐ分かる。

 

雪柳先生が言ってたな。稲羽の若者の大半が都会に出てっちゃうって。…雪柳先生も、1度都会に出て、先生になってから稲羽に戻ってきたって話してたっけ。

 

…俺と制理、高校卒業後はどうなるんだろう?俺は一応、大学行くつもりだけど、制理もだよな?

 

【制理、高校卒業後の進路って決めてるか?】

 

【高校卒業後の進路…一応、大学に行くつもりだけど、八幡はどうなの?】

 

【俺も一応、大学行くつもりだ。…できれば、同じ大学に行きたいかなって】

 

【同じ大学か…。八幡は、どこの大学に行くつもりなの?】

 

【国公立大学かな】

 

【私は東京の方の大学に行くつもりだよ】

 

【そうなのか】

 

【まあ、大学のこととか、2年生になってから考えてもいいかなって。今は漠然としたイメージしかないからね】

 

…そうだな。俺もまだ漠然としか考えてない。制理の言う通り、2年になってから考えてもいいか。…それより、今は初詣を楽しむことだけ考えよう。

 

【辰姫神社に着いたら、まずお参りして、それからおみくじでも引こうか?】

 

【うん!それで行こう】

 

俺と制理は辰姫神社に到着して、ちゃんと神社の作法に従ってお参りして、次におみくじを引いた。…俺、中吉だった。

 

【八幡、どうだった?】

 

【まあまあだったな。制理は?】

 

【私もまあまあだったよ】

 

俺達は引いたおみくじを木にくくりつけて、色々話しながら神社を出ようとした時、…なんか周りがおかしいことに気づいた。

 

…なんだ?周りの景色が止まって見える?…どういうことだ?隣の制理を見ると、彼女も止まってるように見える。

 

【せ、制理、大丈夫か!?】

 

俺、制理に呼びかけたけど、反応がない。…何だ?これは夢か?…夢にしてはリアルすぎる!

 

【何だ?これは!】

 

俺が大声で叫ぶと、どこからか声が聞こえてきた。いや、声だけじゃねえ、目の前にうっすらと鎧姿の武士の影が見える。

 

【…マジで何だこれ…】

 

本物を探求する者よ、おぬしが目覚める時も近い。春になれば自ずと目覚めるのであろう。扉を開く者が現れ…おぬしは目覚める

 

【扉を開く者が現れる?一体何のことを言ってやがる!?この現象は何だ!】

 

そう焦るな…。ただ、時間は止まっているだけだ。この先、稲羽に災いが訪れる。否応なしにそれに巻き込まれる

 

…巻き込まれるなんて嫌だぞ。何だよ、扉を開く者って…。

 

【巻き込まれるなんて嫌だぞ】

 

巻き込まれるのはもう確定事項だ。お前が❝稲羽に来た時点❞で、巻き込まれることは確定なんだ

 

【何だと!?】

 

だから、巻き込まれても良いように、我が力を授けると言っているんだ

 

【力を授ける?お前は何者だよ?】

 

我は、武蔵坊弁慶

 

…武蔵坊弁慶だと!?…確か、源義経の部下で、最期まで義経を守るために戦ったって言われてる弁慶だろ?…なんでそんなのが俺の前に現れるんだ?

 

我の力を手にすれば、災難を乗り越えられる力を手にできる。あとは❝扉を開く者❞との協力関係が、さらに強くする

 

…すると、俺の中に不思議な感覚が湧いてきた。神経が研ぎ澄まされた感じがする。

 

困難なことに巻き込まれた時、我の名前を叫べ。そうすれば、完全にお前は我の力を目覚めることになる…春になる頃に…………

 

…弁慶の声、最後まで聞こえなかった。弁慶が言い終わる前に消えて、時も動き出した。…一体、今のは何だったんだ?

 

【八幡?どうしたの?ぼーっとして?】

 

【制理……いや、ちょっと考え事してて】

 

…さっきのは何だ?俺だけが見てた夢?…そんなわけない。あんなリアルな体験、夢なわけねえだろ。

 

【もしかして、大学のことを考えてたの?】

 

【え?いや…】

 

【なんなら、一緒に勉強したりする?】

 

…俺が真剣に悩んでるみたいに見えたらしく、制理が一緒に勉強するか提案してくれた。…もちろん、オッケーに決まってる。

 

【制理、俺、一緒に勉強したい】

 

【うん。互いに分からないところがあったら、教え合おうね】

 

こんな会話をしながら、俺たちは辰姫神社を出た。…さっきの体験、気になるけど…今は制理との時間を楽しもう。

もう一度、アンケートを取ります。鳴上悠のヒロインは誰がよろしいですか?

  • 1ー里中千枝
  • 2ー天城雪子
  • 3ー久慈川りせ
  • 4ー白鐘直斗
  • 5ー小沢結実
  • 6ー松永綾音
  • 7ー海老原あい
  • 8ー雪柳綾奈
  • 9ー麦野静江
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