2011・01・01・☀・10:30・吹寄家・玄関内。
今日は朝早く起きて、叔母さんと2人でおせち料理を食べた。こんな気持ちいい正月を迎えたの、いつぶりだ?…記憶にないくらいだ。…総武高校の頃は、正月早々、親父の愚痴聞かされてたっけ。…小町は褒められて、俺は下げられてた。…でも、今年はそんなの聞かされずに済んだ。叔母さんと2人だけの元旦だったけど、ちゃんとアドバイスもしてくれたし、お年玉までくれた。
母さんや平塚先生、戸塚、材木座には年賀状も出した。戸塚と材木座には前住所聞いてたから、変わってなければ届くはず。…平塚先生も同じだ。
今、俺は吹寄家の玄関にいる。なんでここにいるかって言うと、付き合い始めて数日後に、制理の両親に会ったんだ。偶然だったけど、その時に挨拶までしちまった。
…まだ結婚するわけじゃないのに、制理の両親から【娘をよろしく頼む】って言われた。…つまり、親公認のカップルになっちまったってわけ。…制理の弟にも【義兄さん】って呼ばれたけど…まあ、将来的にはそうなるわけだしな。
【義兄さんか…】
…そういえば、川崎の弟にも義兄さんって呼ばれたことあったな。あの時は何で呼ばれなきゃいけないんだって思ったけど、今は悪くない気分だ。
…話が逸れた。俺の場合、親公認って言っても、叔母さんにしか認められてないけど、年賀状で母さんには彼女ができたって報告した。…どうせ父さんも小町も、俺からの年賀状なんて見ないだろうし。
そんなこと考えてたら、制理がやってきた。
【八幡、お待たせ】
制理が振袖姿で俺を出迎えてくれた。…俺、その瞬間、目と言葉を奪われた。上品で清楚な印象の振袖で、色は淡い水色と青系のグラデーションがめっちゃ映えてる。…白や銀の雪の結晶模様が入ったデザインは、ホワイトクリスマスの思い出を連想させる。…あの夜を思い出すな。
帯は金色で華やかさをプラスしてて、髪飾りはシンプルな雪のモチーフ。…制理の清楚な魅力がめっちゃ引き立ってる。
【どうかな?】
【……めっちゃ似合ってる。綺麗だな】
【ありがとう。八幡のためにこの振袖を選んだんだ】
制理の振袖姿見て、心臓がバクバクしてる。…いつもの制服姿とは違う、別の美しさとか色気があって…。…俺、こんな可愛い子と付き合ってるんだ。
【八幡君、制理をうまくリードしてあげてね】
制理のお母さんにそう言われて、
【はい】
俺、即答しちまった。今度はお父さんが、
【初詣が終わったらどうするんだい?そのまま他のところでデートとか行くのかな?ただ、そこの初詣、時間かかるからな…。八幡君、何なら家に帰ってきて、色々話そうじゃないか?】
【父さん、語り合うって何を語るんだよ?】
弟まで出てきた。…確かに、制理の弟の言う通り、お父さんと何話せばいいんだ?
【初詣が終わったら、そのままデートに行くの。だから、お父さんとの会話は…またいつか】
制理がそう言って、俺を助けてくれた。
【アハハ、なんてな。ただ言っただけさ】
【全く、あなたって人は…】
…これが家族の会話なんだな。こんな普通のやり取りが、俺にはめっちゃ温かく感じる。…心がジーンとしてくる。
【じゃあ、初詣に出発しましょう】
【そうだな】
【それじゃあ、行ってきます】
制理の家族に見送られて、俺たちは辰姫神社に向かって歩き始めた。もちろん、手を繋いで。
すぐに叔母さんのアパートの前を通った。すると、窓から叔母さんが顔を出して、
【制理ちゃん、振袖、似合ってるわよ!八幡、ちゃんとエスコートしなさいよ!】
【静江さん、ありがとうございます】
【言われなくても分かってるから】
…ありゃ、叔母さん、アルコール入ってるな。…言われなくても分かってるって。まあ、あれは叔母さんなりのお節介だな。…でも、大声で言われると、ちょっと恥ずかしい。俺たちはそそくさと商店街の方へ向かう道を歩いていった。
2011・01・01・☀・11:00・稲羽市内・稲羽商店街。
稲羽商店街にやってくると、いつもより人が多い。雰囲気からして、都会に出てた稲羽の人間が里帰りしてきたんだろうな。…正月だし、帰省ってやつか。
商店街が寂れてる様子を見て、何か思うところがあるのかね。…まあ、都会に出た人間にはどうでもいいことかもしれないけど。
【普段と違って、結構人がいるんだな】
【そうね。里帰りで帰ってきてる人が多いから】
【里帰りか…】
千葉の実家が恋しいかって言われれば、全然そんなことねえな。母さんはともかく、父さんや小町には会いたくない。…不安そうな顔で制理が俺を見た。
【やっぱり、千葉の方が…】
【全然恋しくない。制理がいる稲羽の方が好きだからな】
【八幡…】
俺達は辰姫神社に向かって歩き続けた。…同じように神社に向かうカップルがいる。…都会に出た稲羽の人間だろうな。垢抜けてる感じがするから、すぐ分かる。
雪柳先生が言ってたな。稲羽の若者の大半が都会に出てっちゃうって。…雪柳先生も、1度都会に出て、先生になってから稲羽に戻ってきたって話してたっけ。
…俺と制理、高校卒業後はどうなるんだろう?俺は一応、大学行くつもりだけど、制理もだよな?
【制理、高校卒業後の進路って決めてるか?】
【高校卒業後の進路…一応、大学に行くつもりだけど、八幡はどうなの?】
【俺も一応、大学行くつもりだ。…できれば、同じ大学に行きたいかなって】
【同じ大学か…。八幡は、どこの大学に行くつもりなの?】
【国公立大学かな】
【私は東京の方の大学に行くつもりだよ】
【そうなのか】
【まあ、大学のこととか、2年生になってから考えてもいいかなって。今は漠然としたイメージしかないからね】
…そうだな。俺もまだ漠然としか考えてない。制理の言う通り、2年になってから考えてもいいか。…それより、今は初詣を楽しむことだけ考えよう。
【辰姫神社に着いたら、まずお参りして、それからおみくじでも引こうか?】
【うん!それで行こう】
俺と制理は辰姫神社に到着して、ちゃんと神社の作法に従ってお参りして、次におみくじを引いた。…俺、中吉だった。
【八幡、どうだった?】
【まあまあだったな。制理は?】
【私もまあまあだったよ】
俺達は引いたおみくじを木にくくりつけて、色々話しながら神社を出ようとした時、…なんか周りがおかしいことに気づいた。
…なんだ?周りの景色が止まって見える?…どういうことだ?隣の制理を見ると、彼女も止まってるように見える。
【せ、制理、大丈夫か!?】
俺、制理に呼びかけたけど、反応がない。…何だ?これは夢か?…夢にしてはリアルすぎる!
【何だ?これは!】
俺が大声で叫ぶと、どこからか声が聞こえてきた。いや、声だけじゃねえ、目の前にうっすらと鎧姿の武士の影が見える。
【…マジで何だこれ…】
「本物を探求する者よ、おぬしが目覚める時も近い。春になれば自ずと目覚めるのであろう。扉を開く者が現れ…おぬしは目覚める」
【扉を開く者が現れる?一体何のことを言ってやがる!?この現象は何だ!】
【そう焦るな…。ただ、時間は止まっているだけだ。この先、稲羽に災いが訪れる。否応なしにそれに巻き込まれる】
…巻き込まれるなんて嫌だぞ。何だよ、扉を開く者って…。
【巻き込まれるなんて嫌だぞ】
【巻き込まれるのはもう確定事項だ。お前が❝稲羽に来た時点❞で、巻き込まれることは確定なんだ】
【何だと!?】
【だから、巻き込まれても良いように、我が力を授けると言っているんだ】
【力を授ける?お前は何者だよ?】
【我は、武蔵坊弁慶】
…武蔵坊弁慶だと!?…確か、源義経の部下で、最期まで義経を守るために戦ったって言われてる弁慶だろ?…なんでそんなのが俺の前に現れるんだ?
【我の力を手にすれば、災難を乗り越えられる力を手にできる。あとは❝扉を開く者❞との協力関係が、さらに強くする】
…すると、俺の中に不思議な感覚が湧いてきた。神経が研ぎ澄まされた感じがする。
【困難なことに巻き込まれた時、我の名前を叫べ。そうすれば、完全にお前は我の力を目覚めることになる…春になる頃に…………】
…弁慶の声、最後まで聞こえなかった。弁慶が言い終わる前に消えて、時も動き出した。…一体、今のは何だったんだ?
【八幡?どうしたの?ぼーっとして?】
【制理……いや、ちょっと考え事してて】
…さっきのは何だ?俺だけが見てた夢?…そんなわけない。あんなリアルな体験、夢なわけねえだろ。
【もしかして、大学のことを考えてたの?】
【え?いや…】
【なんなら、一緒に勉強したりする?】
…俺が真剣に悩んでるみたいに見えたらしく、制理が一緒に勉強するか提案してくれた。…もちろん、オッケーに決まってる。
【制理、俺、一緒に勉強したい】
【うん。互いに分からないところがあったら、教え合おうね】
こんな会話をしながら、俺たちは辰姫神社を出た。…さっきの体験、気になるけど…今は制理との時間を楽しもう。
もう一度、アンケートを取ります。鳴上悠のヒロインは誰がよろしいですか?
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1ー里中千枝
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2ー天城雪子
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3ー久慈川りせ
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4ー白鐘直斗
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5ー小沢結実
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6ー松永綾音
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7ー海老原あい
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8ー雪柳綾奈
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9ー麦野静江