俺の青春が田舎へ流された。   作:龍造寺

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原作開始前21話です。


原作開始前ー22ー21話ー制理とのひと時。

 

2011・01・01・☀・11:30・稲羽市内・辰姫神社。

 

辰姫神社を出る時、制理が俺の方を見て、こんなこと聞いてきた。

 

【……八幡、今年はどんな年にしたい?】

 

【……制理と一緒に、もっと楽しい思い出作りたい年かな】

 

【私と一緒だね】

 

制理がニコニコ笑顔で答えてくれた。…その笑顔見てるだけで、俺、幸せだ。…そうだ、俺が言った通り、制理と今年1年でいろんな思い出作るんだ。そのためにはお金も必要だ。ジュネスのバイト、ちゃんと頑張らないとな。

 

神社の外に屋台が出てるな。ちょうど腹も減ってきたし、屋台で何か買って、鮫川河川敷でも行くか。焼きそばとたこ焼きを買って、制理と一緒に鮫川河川敷に向かうことにした。

 

2011・01・01・☀・11:45・稲羽市内・鮫川河川敷。

 

俺と制理は鮫川河川敷にやってきた。ここは俺たちの告白の場所でもある。…告白以来、初めてここに来たけど、昼間だけあって、いろんな人がいるな。…って、正月早々に釣りしてる連中もいるのか。

 

【正月早々に釣りしてんな】

 

【そうね。あの人たち、去年も確かしてたわね】

 

【正月早々、釣りの常連ってことか】

 

俺、釣りとかやったことないからよく分からんけど、正月からやってるってことは、面白いんだろうな。

 

俺達は鮫川河川敷の屋根付きの休憩所に向かって、そこでさっき買った焼きそばとたこ焼きを食べることにした。制理が【「たこ焼きでいい」】って言ったから、俺は焼きそばを食べることに。

 

普通の焼きそばに思えるけど、なぜかめっちゃ美味い。…昔、小町に言われたことあったな。【「別に家で食べればいいだろ」】って俺が言ったら、小町が「お祭り現場やみんなと食べるから美味しく感じるんだよ」って返してきた。その時は【「そんなわけねえだろ」】って思ってたけど…今ならそれが分かる。…何とも皮肉なもんだな。

 

そんなこと考えてたら、制理が声かけてきた。

 

【八幡、たこ焼き食べる?】

 

【たこ焼き、うん、食べようかな】

 

俺がそう言うと、制理がたこ焼きに爪楊枝刺して、俺の方に持ってきた。

 

【八幡、あ〜ん】

 

【あ〜ん】

 

制理にあ〜んしてもらって、たこ焼きを食べた。…たこ焼きの美味しさってより、制理にあ〜んしてもらったことが何倍も嬉しくて、ドキドキする。…熱いのもあって、ちょっと噛むの失敗したけど。

 

…思えば、総武高校の中庭で、しょっちゅうあ〜んしてるバカップルいたな。…あの時は、【「俺の視界に入るな」】とか【「爆ぜろ」】とか、そんなことばっか思ってたけど…。…独り身の人間から見れば、俺たちもバカップルに見えるんだろうな。…過去の俺みたいなこと、心の中で呟いてるかもな。

 

…まあ、そんなのどうでもいいか。今度は俺が焼きそばを制理にあ〜んする番だ。俺も制理の口に焼きそばを入れてみる。…なんだか、それだけで幸せな気分になる。

 

こうやって何気ない日常でも、制理と2人で過ごす景色って、なんだか特別に見えてくる。…どこか遠くに連れて行くのもいいけど、こうやって背伸びせずに、1歩1歩進むのも悪くないな。

 

…そうだ、せっかくの正月だし、制理の振袖姿なんだから、記念に写真でも撮っておこう。

 

 

【制理、写真撮りたいから、にっこりしてくれないか?】

 

制理がニッコリ笑ってくれたから、俺はすかさず携帯で写真を撮った。

 

【バッチリ撮れたぜ!】

 

【私も八幡を写真に収めたい】

 

【俺なんか撮ってもな…】

 

【そんなこと言わないで、ほら、笑って】

 

制理にそう言われたら、笑うしかない。…ちゃんと笑えたかな?制理が笑ってるから、うまく撮れたっぽい。…

 

俺の携帯、ほとんど何も入ってなかった画像フォルダに、制理の写真が数枚追加された。…これだけで、めっちゃ嬉しい。

 

こんな感じで、2人でまったり話してた。…気づけば、昼もとっくに過ぎて、2時も過ぎてた。

 

【結構話し込んだね】

 

【そうだな。時間を忘れて話してたぜ】

 

【こんなに話したの、私たちが出会って初めてだよね】

 

【まあな】

 

…最初は本当に用件だけ話してただけだったけど、色々あって、今じゃこうやって何でも話せるようになったな。

 

【それにしても、八幡って物知りよね】

 

【物知りって言うか、無駄に本ばっか読んでたからな】

 

【無駄じゃないよ。ちゃんと八幡の糧になってるから】

 

【そうだな】

 

…確かに、制理の言う通り、糧になってるのは事実だな。2学期の期末テスト、上位に入れたし。…ちなみに、学年1位は天城、2位が制理だ。里中曰く、いつも2人でトップ争いしてるらしい。…俺は9位だったけど、苦手な数学を天城や制理に教えてもらった甲斐があった。

 

…目標があるって、頑張れるもんなんだなって、改めて思った。

 

さてと、正月のデートはこれくらいにして、そろそろ帰るか。…いつまでも振袖じゃ歩きづらいだろうしな。

 

もう少しおしゃべりしてから、俺は制理を自宅まで送った。…送ったまでは良かったけど、制理の父親に捕まって、吹寄家のリビングに連れてかれちまった。…色々話聞かされたけど、吹寄家のおせち料理を分けてもらって食べさせてもらった。…俺達のおせちとはまた違う味がして、めっちゃ美味かった。

 

…おせち料理って、家庭によってこんなに違うんだな。…結構奥が深いなって、改めて感心した。

 

その後、制理の両親と色々話して、改めて制理が両親に愛されてるなって感じた。…俺の母さんは褒めてくれるけど、父さんからは褒められたこと、一度もない。小さい頃、俺が赤ちゃんの頃は褒めてたらしいけど、小町が生まれてからは全然褒めてくれなくなったって、母さんが言ってたな。…まあ、もう父さんに褒められなくても、何とも思わねえけど。

 

…そういえば、俺が出した年賀状、戸塚や材木座、平塚先生に届いてるかな。…俺、事情も話さずに黙って転校したから、怒ってなきゃいいけど。

 

…そんな感じで、1月1日は過ぎていった。

 

2011・01・01・☀・20:30・稲羽市内・八十神アパート・2ー1・静江の部屋・リビング。

 

吹寄家で色々お世話になっちまったな。制理の両親と、家族みたいな団欒をしてしまった。…比企谷家じゃ絶対ありえない光景だったから、俺、つい甘えてしまった。

 

制理の部屋にも行ったんだ。…彼女の部屋、スポーツ少女って感じだったな。バスケットボールやバスケットシューズが置いてあって、バスケ選手のポスターも貼ってあった。…俺、バスケのこと全然分からねえけど、こういうのも知ってた方がいいよな。…バスケの試合、見れるなら見てみようかな。

 

…それにしても、制理の部屋で、彼女とキスしたな。…制理の唇、柔らかかったな…。…思い出すだけで、顔が熱くなってくる。

 

そんなこと考えてたら、足元にあった酒瓶を蹴っちまった。

 

【い、痛ッ!酒瓶蹴ったじゃないか…叔母さん!?】

 

叔母さん、酒瓶抱きしめて、気持ち良さそうに寝てやがる。…どれだけ飲んだんだ、この人…。

 

俺は叔母さんが散らかしたものを片付けたりして、残りの時間を過ごした。…正月の夜って、こんな感じで終わるんだな。

 

 

2011・01・10・☁・22:30・八十神アパート・2ー1・静江の部屋・リビング。

 

明日から3学期が始まる。1月も、もう10日過ぎちまったけど、2日から今日まで、色々あったな。ジュネスでバイトしたり、叔母さんの取材の手伝いとかもした。…まあ、色々こき使われたけど、バイト代出してくれたから苦にならなかった。…叔母さんの仕事してる姿も見れたし。家にいる時の叔母さんとは全然違って、仕事できる女って感じで、改めて感心したな。

 

仕事場の新聞社で、他の同僚や後輩の鍋島未来さんって人も、叔母さんのこと信頼してたし。…鍋島さん、叔母さんのこと【「頼れる先輩」】って言ってたな。

 

年賀状はちゃんと全員に届いたみたいだ。材木座と戸塚からは、ちゃんとお返しの年賀状が届いた。…やっぱりあいつら、心配してくれてたみたい。平塚先生経由で何とかしようとしてたらしいけど、平塚先生がそこは止めたっぽい。

 

平塚先生からも年賀状届いた。…平塚先生、俺の現状を知ってるみたいだ。おそらく、雪柳先生が何か伝えたんだろうな。…平塚先生も、ずっと俺のこと心配してくれてたみたい。

 

母さんからも年賀状が届いた。母さん、叔母さんからちょくちょく俺の話聞いてたみたいだ。俺に彼女ができたこと、めっちゃ喜んでくれてた。…母さんに制理、会わせたいけど、稲羽と千葉じゃ距離がな…。

 

川崎からも年賀状届いてた。…材木座か戸塚のどっちかに俺の住所聞いて、送ってくれたんだな。…川崎も心配してくれてたんだ。

 

母さんと材木座からは、年賀状だけじゃなくて手紙も届いた。そこには近況が色々書かれてた。

 

まず、母さんの手紙。俺が稲羽に出てから、父さんは上機嫌らしい。小町は雪ノ下や由比ヶ浜に勉強教えてもらって、高校は総武高校に行くそうだ。…まあ、雪ノ下はともかく、由比ヶ浜が何を教えるんだ?…奉仕部は2人で続けてるらしいけど、2人とも俺の名前は一切出さないみたいだ。…俺の存在、抹消したってことか。…今更どうでもいいけど。

 

母さん、手紙に【「彼女を大切にしなさい」】って書いてた。…分かってるよ、母さん。

 

材木座の手紙には、総武高校の近況が書いてあった。俺がいなくなった当初、俺がいなくなったことで騒いでた連中がいたらしいけど、しばらくすると俺の名前すら出なくなったって。あのクラス…相模たちのグループ、俺のこと忘れてのうのうとしてるらしい。

 

由比ヶ浜や葉山のグループはどうかって言うと、葉山と戸部、海老名さんが俺のこと気にしてるらしい。…別に、あいつらが気にする必要ねえけどな。

 

雪ノ下と由比ヶ浜は、学校でも俺の名前一切出さないらしい。…意図的に出さないのか、記憶の底から消したのか、どっちか分からねえけど。…もうあいつらと関わることねえだろうから、記憶から消してもいいんだろうけど、そう簡単にはできねえな。

 

…でも、1つだけ感謝してる。あいつらが俺を稲羽に導く手助けをしてくれたことだ。

 

…携帯がメール受信した。見てみると、

 

【『明日、3学期の始業式だよ、忘れてない?』】

 

制理からだ。…始業式、忘れてねえって。

 

【『俺は忘れてないぞ。制理に会えるの楽しみにしてるんだ。明日迎えに行くから、一緒に行こう』】

 

俺は返信メールを送った。すぐに返事が返ってきた。

 

【『うん、一緒にね』】

 

俺、メール見ながらニヤニヤして、しばらく眺めてた。…制理、明日会えるのが楽しみだ。

もう一度、アンケートを取ります。鳴上悠のヒロインは誰がよろしいですか?

  • 1ー里中千枝
  • 2ー天城雪子
  • 3ー久慈川りせ
  • 4ー白鐘直斗
  • 5ー小沢結実
  • 6ー松永綾音
  • 7ー海老原あい
  • 8ー雪柳綾奈
  • 9ー麦野静江
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