俺の青春が田舎へ流された。   作:龍造寺

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原作開始前25話、原作開始前最終話です。


原作開始前ー26ー25話ー甲府への小旅行。

 

2011・03・28・☀・07:35・稲羽市内・八十神アパート2ー1・静江の部屋・リビング。

 

あれから学年末テスト、バイト、生徒会の仕事で忙しく過ごしてた。3月14日のホワイトデーには、お世話になった人たちにお礼のプレゼント渡したり、制理には手作りクッキーと小旅行のチケットをあげた。…小旅行のチケットって言っても、ジュネスの当たりくじで引いただけだけどな。それでも制理、喜んでくれて、俺も嬉しかった。

 

小旅行は今日、3月28日月曜日にすることにした。

3月14日過ぎると、本当に学年末って実感する。卒業式が終わって3年生がいなくなったから、学校も幾分静かになったな。

 

1年生最後の担任との2者面談。俺にとっては2回目だ。最初は転校してすぐで、今回が2回目。雪柳先生には、ちゃんと大学進学の意思を伝えた。もちろん制理も大学進学だ。2年生になったら、その目標に向かって勉強しないといけなくなるけど、2人で頑張るから苦にはならねえ。…嫌とも思わない。2人で支え合ってやっていくつもりだ。

 

終了式も終わって、いざ春休み。…大体の人間は遊びのこと考えるんだろうけど、俺は花村と同じくバイトに明け暮れてた。…もちろん小旅行のためもあるけど、制理に何か買ってあげたいって気持ちもあるからな。

 

バイト三昧の日々を終えて、ついに小旅行の日を迎えた。何日か前から準備して、今日って日を迎えたわけだ。

 

…小旅行って言っても日帰りだけどな。さすがに高校生の男女が旅館やホテルに泊まるのは、法律上まずい。…そんなことしたら、叔母さんや雪柳先生、制理の家族にも迷惑がかかる。

 

日帰りで甲府に行ってみようと思う。チケットも甲府旅行の2枚だったし。…大学生や大人ならもっと遠くに行って何日も旅行できるんだろうけど、俺たちはまだ高校生だからな。

 

【八幡、ちゃんと制理ちゃんをエスコートしなさいよ】

 

【分かってるって】

 

【小旅行先は甲府だっけ?】

 

【まあな】

 

【甲府の町も歴史的建造物は結構あるから、歴史好きにはたまらないと思うよ。…特に武田信玄とか好きならね】

 

【そうだな】

 

俺、武蔵坊弁慶のことも調べたいけど、ここから日帰りで行ける場所じゃねえからな。

 

【ゆっくりデート楽しみなさい。私は先に出るから、戸締まりよろしくね】

 

【ああ】

 

叔母さんは仕事に行っちまった。…俺もゆっくりしてる時間ねえな。さっさと戸締まりして、出かけることにしよう。

 

 

2011・03・28・☀・08:30・高速バスの内部。

 

家を出て、すぐに制理を迎えに行って、2人で八十稲羽駅まで歩いた。八十神山から吹く風がいろんな匂いを運んできて、春になったんだなってつくづく思う。桜のつぼみが徐々に開花してて、しばらくすれば花が咲くだろ。…千葉だとこの時期ならもう桜が咲いてたな。こっちはまだ寒い時期があったから、開花は千葉より遅いってことだ。

 

八十稲羽駅で列車で甲府を目指そうと思ったけど、運良く甲府に行く高速バスがあったから、2人でそのバスに乗った。

 

バスに乗って10分くらい経ったかな。…高速バスに乗ってる乗客、結構な人数いるな。…まあ、大体が家族連れだけど。

 

【バスで旅行って、修学旅行以来ね。…あ、ごめん、八幡】

 

【修学旅行のことはもう何も思ってない。過去の記憶の一部ってことにしてるから】

 

【でも…】

 

俺は隣に座る制理を抱き寄せた。

 

【俺は大丈夫だから。制理との旅行を楽しみたいんだ。…そんな顔しないでくれ】

 

【は、八幡…恥ずかしいこと…】

 

制理、顔真っ赤にしてた。…言ってる俺も、キザなセリフ言ってるなって自分で突っ込んじまった。…甲府までは1時間くらいで行けるみたいだから、こういうゆっくりした時間もいいよな。

 

外の景色見てたら、制理が寝ちまった。…彼女の寝顔見て、俺、改めて思う。…俺はこの笑顔を守るために頑張るんだ。この先、困難が待ち受けてようとも。…そんなこと考えてたら、俺も眠くなってきた。…朝早く起きたし、ちょっと寝てもいいよな。

 

俺も眠ることにした。

 

2011・03・28・☀・09:35・山梨県・甲府市。

 

高速バスを降りて、甲府市内を散策する。…今日のために勉強してきたからな。

 

甲府って言ったら、戦国時代で有名な大名、武田信玄って答える人間は多いだろ。…実際、俺もそうだ。

 

武田信玄の居城は躑躅ヶ崎館だ。…躑躅ヶ崎館は武田信玄の父、武田信虎が作って、信玄、勝頼と3代にわたって居城だった。…まあ、武田勝頼は躑躅ヶ崎館から新府城って城を作って、そこを居城にしようとしたけど、織田・徳川連合軍に敗れて、武田家は滅亡しちまった。

 

その後は北条やら徳川やら、豊臣の家臣たちが旧武田領を治めてたけど、江戸時代の中盤に徳川一族が治めるようになった。…その流れで新府城から甲府城に移って、新府城は廃城になったってわけだ。

 

甲府のブランドは、ぶどう、ワイン、とうもろこし、梨とか色々揃ってるな。…まあ、高校生の俺たちがワイン飲めるわけねえけど。

 

本当はいろんなとこ巡りたいけど、日帰り旅行だから、行けるとこは限られる。

 

躑躅ヶ崎館跡は制理が行きたいって言ってたからそこは確定で、俺は新府城跡も巡りたい。…まずは、交通機関使って武田神社(躑躅ヶ崎館跡)に向かうことにした。

 

2011・03・28・☀・10:20・山梨県・甲府市・武田神社。

 

躑躅ヶ崎館、別名で武田城とも呼ぶらしい。今は武田神社になってて、境内には藤村記念館や武田放物殿がある。…館跡は国指定の史跡になってるな。

 

…ちゃんと歴史の勉強してきたからな。

 

…まあ、堅苦しい話は後にして、今は制理との史跡巡りデートを楽しもう。

 

…思えば、去年の修学旅行は京都だったな。同じような寺社巡りしてたけど、依頼をどう成功させるか、あいつらのグループを壊さずに進むかで頭いっぱいで、全然覚えてねえ。…覚えてるのは、夜に抜け出して、平塚先生と雪ノ下とラーメン食ったことくらいか。

 

…いかん、何を今思い出してんだ。制理が神社でもらったパンフレット見ながら、

 

【私、戦国大名の中で武田家が一番好きなんだ】

 

【へえ、そうなんだ。他にも有名な大名いるじゃねえか。北条とか上杉とか…織田とか】

 

【武田家が治めてた場所に住んでるのもあるけど、それ以上に魅力を感じてるんだ】

 

【魅力か…】

 

…ご当地の戦国大名や武将を好きな人間は多いだろ。地元の人間なら愛着も湧くよな。…千葉だと、戦国大名や武将なら誰になるんだ?…里見って答える人もいるか。…まあ、北条や佐竹の陰に隠れてるけど。

 

それに比べれば、武田家は歴史にガッツリ出てくる。上杉謙信との川中島の戦い、織田信長との長篠・設楽原の戦い(武田勝頼)、徳川家康との三方ヶ原の戦い…。教科書で出てくる戦いの名前も、これくらいはよく見る。

 

制理、武田家について色々話してくれた。…言葉は悪いけど、にわか歴史好きとは違って、俺の知らないことまでよく知ってるな。

 

…それにしても、パンフレットよく見ると、武田信玄、若い女性を側室にもらってるな。…名前は諏訪御料人。…諏訪頼重と側室の小見氏の娘だ。…諏訪御料人、諏訪御前とも記されてる。この人が武田勝頼を生んだのか。…信長の野望シリーズだと、諏訪姫として登場するな。

 

…武田信玄、正妻の三条の方と不仲だったのか…。それで諏訪御料人と武田勝頼を溺愛したってわけか…。

 

…って、パンフレットに集中しすぎたな。…あれ?制理?…さっきまでそばにいたはずなのに?

 

【制理?どこ行ったんだ?】

 

来た道と先の道を見ながら、俺の勘が【『先の方に行った』】って言ってる。先の道を急いで進むことにした。

 

 

2011・03・28・☀・10:45・山梨県・甲府市・武田神社。

 

吹寄制理Side

 

八幡とパンフレット見て楽しんでた。そんな中、私を呼ぶ声がしたの。…その声、周りの人には聞こえてなくて、もちろん八幡にも。…この声、私にしか聞こえてないのかな?

 

そう思いながら、謎の声に導かれるまま、ある場所まで来ちゃった。…謎の声は女の人の声で、私を呼んでる。

 

【〘汝、我が力を手にする時が迫りたり〙】

 

【力を手にする時が来る?…どういう意味なの?】

 

【〘月暦が変わりし、中来たるや、厄が降り掛かり〙】

 

…月暦が変わりし?中来たるや…厄が降り掛かり?…これってどういう意味?

 

【〘厄、降りかかりし時、我が名前を叫ぶべし〙】

 

…頭の中に『諏訪御料人…諏訪御前』って流れてきた。…

 

諏訪御料人って、武田信玄の側室で、武田勝頼の母親じゃない。…そんな人が、なんで私に呼びかけてくるの?

 

…厄って何?私に災いが降りかかってくるってこと?…答えてよ、諏訪御料人!

 

…そう言っても、私の呼びかけに答えてくれることはなかった。

 

…なんかゾッとして、疲れが出てきた感じがした。そんな時、後ろから八幡の声がした。

 

「制理!どこだ?…って、制理!そんなとこにいたのか!」

 

八幡の姿見て、安心したのか、フラッとして彼に支えられた。

 

【だ、大丈夫か?】

 

八幡の表情、心配そうで…。近くの休めるベンチまで連れてってくれて、自動販売機で飲み物買ってきて、私に飲ませてくれた。

 

【制理、大丈夫か?】

 

【うん、大丈夫…。飲み物飲んで、少し楽になったから】

 

【強行スケジュールだったからな…。疲れが出たのかもな】

 

【ううん、ちょっと興奮しすぎて、その反動が来ただけだから。…八幡、心配しないで】

 

【興奮って…。さっきの制理、血の気引いたような顔してたんだからな】

 

…私、血の気引いたような顔してたの?…不思議な体験したから、こうなったのかしら?…八幡にさっきの体験、話してもいいのかな?

 

…ううん、こんなこと話しても信じてもらえると思えない。…謎の声、八幡には聞こえてなかったんだから。

 

私がこんなことになったから、八幡、心配して予定変更してくれた。史跡巡りから、食べる方にシフトチェンジしちゃった。

 

甲府市内の食べ物屋さん巡って、お腹満たせた。本当はもっと史跡巡りしたかったけど、私が不思議な体験して、体調崩しちゃったから、それもできなくなっちゃった。

 

八幡、『また後で来よう』って言ってくれた。その後で、『高校卒業して、大学入学する前に、泊まりがけの旅行に行こうか』って。

 

…ふふっ、八幡、私のこと気遣ってくれてありがとう。…贅沢言うなら、あなたの故郷の千葉県に旅行に行きたいかな。

 

甲府への小旅行、予定より早く切り上げて、稲羽に帰った。…もちろん、甲府のお土産は買ったよ。甲府の名物の信玄餅、八幡と一緒に買った。私は家族に、八幡は叔母さんに。

 

小旅行は終わったけど、高校2年生になったら、学業も生徒会も忙しくなるだろ。でも、八幡と一緒なら乗り越えていけると思う。

 

…それにしても、諏訪御料人だと思われる人物が言ってたこと。…今の言葉で訳せば、【『4月の半ばになったら災いが降ってくる』】って感じ?…災いって、一体何のことかしら?

 

図書館とか本屋で調べてみる価値はあるよね。…もちろん、生徒会の仕事がない時に調べることにする。

 

2年生のクラスは持ち上がりだから、八幡達と一緒だけど、担任が変わるっぽい。…雪柳先生から変わってほしくなかったけど、強引に諸岡先生が入ってきたって話だよ。…一体何のつもりなんだろう。

 

ーー

 

小旅行のお土産の信玄餅、叔母さんにプレゼントしたら喜んでくれた。…まさか俺がプレゼント買ってくるなんて思わなかったらしいけどな。

 

小旅行の後は、バイト三昧と生徒会の二足のわらじ状態だ。

 

バイト増やしたのは、制理とのデート代やプレゼント代のためだけじゃなくて、原付バイクの免許取って、原付バイクを手に入れるためだ。…これは花村からの助言だ。花村も2年になって、しばらくしたら原付バイクの免許取るらしい。…その時に俺も取ろうと思ってる。…将来的には車の免許も取るつもりだ。だから、バイトで金を貯めなきゃな。

 

…それにしても、引っ越し業者のトラック、よく見るな。…若者が都会に出てってるってことだろ。雪柳先生が言ってた、『若者が都会に出るのを止めることはできない。でも、戻ってくることはいつでもできる』って。…さすが、八十神高校の先輩で、都会から戻ってきた若者の言葉は重いな。

 

俺と制理も、大学行くために都会に出る。…大学卒業して、その後はこっちに戻ってこようと思ってる。…もう二度と千葉のあの家には戻らないって決めた。

 

…そのことは、後々母さんに話さないといけねえな。

稲羽の平穏が崩れたのは、4月に入ってからだ。…ある週刊誌の不倫疑惑のスクープだった。…不倫問題で稲羽の平穏が崩れるわけねえだろって思うけど、報じられた人間が“稲羽”の人間だからだ。

 

男は市議会議員秘書、女は稲羽のテレビ局、サンテレビジョンの女子アナ。…最初は疑惑だけで、そこまで大事になってなかったけど、市議会議員秘書の妻がその不倫を暴露してから、日本中に広がった。

 

それから、稲羽が別の意味で目立つことになっちまった。…まあ、俺が目立つわけじゃねえけど。

 

この不倫騒動が稲羽を揺るがす事件になって、俺達まで巻き込まれていくなんて、この時の俺はまだ知らなかった。

 

…そして、都会から転校生がやってくることも、まだ知らない。




原作開始前の話はこれにて終了です。次からは原作が始まります。都会から鳴上悠が転校してきますしペルソナ4の物語が始まるのです。

甲府への時間とかは、稲羽のモデルが富士吉田市ではないかと一部のファンの人達には言われてます。

稲羽が富士吉田市だと仮定しての時間でやってます。おかしな点もあるとは思いますが、そこはご了承ください。

もう一度、アンケートを取ります。鳴上悠のヒロインは誰がよろしいですか?

  • 1ー里中千枝
  • 2ー天城雪子
  • 3ー久慈川りせ
  • 4ー白鐘直斗
  • 5ー小沢結実
  • 6ー松永綾音
  • 7ー海老原あい
  • 8ー雪柳綾奈
  • 9ー麦野静江
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