2011・04・13・☁・10:35・八十神高校・2ー2組。
なんかずっとクラス内も学校内も、山野アナの事件のことばかり話してやがるな。…何もない中田舎で事件、それも殺人事件が起これば、そうなるか。…千葉に住んでた時は、事件起きても「ふーん」くらいしか思わなかったけどな。
というか、教科担任が事件のことばっかり話すって、どうなんだよ。授業内容、2年生これからどうしていくか話せってんだよ。…制理や天城は、先生の話真剣に聞いてるみたいだし、隣の鳴上も聞いてるっぽい。里中はなんか眠そうにしてるし、花村は既に撃沈してるな。
殺人犯、俺思うけど、他方面から来た人間なのか?関係ないとこから来たやつが、こんな住宅街に死体アンテナにかけたりしねえだろ。
まず土地勘がねえと無理だから、この稲羽に住んでる人間が犯人の可能性、高いと思う。下見もやりやすいだろうし。窓の外見て、叔母さんはこの時間帯も仕事してんだろうな。帰ってきたら、叔母さんの好物でも作って待ってるのもいいかもな。お疲れ様の意味でだけど。
2011・04・13・☁・11:40・八十神高校・2ー2組。
この時間、最悪だぜ。…昼休み前の授業とかありえねえ。なんか文句言いたそうな奴がいてるのが、もう問題だろ。…表情に出すと何を言われるか分からねえから、顔出さずに心の中でため息吐く。
【静かにせんか!! 高校生にもなって私語厳禁も守れんとは……常識というものが分かるか? あぁ? いいか、倫理の『倫』という字にはな、『人が守るべき道』という意味がある。ワシのありがたい授業で、貴様らの腐った根性を正してやる!】
モロキンと平塚先生、互いに熱く持論を語るけど、平塚先生は厨二的な言葉で苛つくこともあったけど、意味は分かった。
でもモロキンは、トゲのある言い方で素直に「はい、そうですか」って聞けるもんじゃねえ。クラスの連中の表情、早く授業始めろよって感じで、みんな呆れ顔だ。
鳴上の隣の里中、こっそり「また始まった……」って呟いてるな。
【特に、殺人事件なんぞに野次馬心出しとる奴は、覚悟しておけ! 教科書!】
…別にそんなこと言う必要ねえだろ。誰だって学区内で殺人事件が起きたんだ、無関心でいられるほど余裕ねえって。…それにしても、前列の席の制理…モロキンのツバ飛んできそうだよな。…クラス委員長の悲しい性だよな…。
2011・04・13・☁・15:30・八十神高校・2ー2組。
やっと授業終わり、放課後だ。…鳴上、帰る準備してて、花村が話しかけてるみたいだな。
【どうよ、この町に慣れた?】
【慣れたな】
【へぇ~】
鳴上、たった1日で慣れたって言うのかよ!?
【1日で慣れるって、すごいだろ!?】
【そうか?】
【すげーな、鳴上。ここって都会に比べりゃ何もないけどさ、逆に『何もない』がある…っての?】
【何も無いがあるって、俺の時も言ったよな?】
【そうだったか?まあ、いいじゃねーか、ほら空気とか結構ウマいし、あと食いもんとか……あ、ここの名物、知ってるか?】
その辺のセリフ、俺が転入してきた時に花村が言ってたやつじゃねえか。それを鳴上にも言うのかよ。…まあ、花村に勧められたビフテキは好きになったけどな。
【いや、知らないが?】
【❝ビフテキだぜ❞。すごいっしょ、野暮ったい響き】
花村、鳴上をジュネスに招き入れるつもりだな。俺も最初は分からなかったけど、こいつがジュネス稲羽店の店長の息子って知ったのは後だ。それで縁故でバイトできるようになったけどな。…やっぱり格安で食える場所知ってるとか言って、ジュネスに連れていくつもりだ。
【……奢るぜ、今朝助けてもらったお礼だ】
【いいのか?】
【いいって、気にすんな】
そう言った時に里中もやってきて
【あたしには、お詫びとかそーゆーの、ないわけ?❝成龍伝説❞】
成龍伝説って、里中が愛してやまないカンフーもののDVDじゃねえか?確か以前花村が借りるとかなんとか言ってたけど…あれ?返してなかったのか?
【う……メシの話になると来るなお前…】
【花村、まだあのDVD返してなかったのか?】
【いや、あのDVDは…】
【比企谷君、聞いてよ、花村のやつが!】
里中、花村に成龍伝説のDVDにヒビ入れたらしい。花村、本人はバイト代入るまで待ってって言ったみたいだな。
原因、昨日の自転車でゴミ収集所に突っ込んだ時にヒビ入ったんだろ。…まあ、その通りだったけど。
【雪子も制理、比企谷君もどう?一緒に奢ってもらお?】
【は、あ、俺も?俺はパスだな。今日はバイトあるし】
【私もいいよ、太っちゃうし。それに、家の手伝いあるから】
【そうだっな八幡、今日シフト入れてたか。それで天城って、もう女将修行とかやってんの?】
【そんな、修行なんて。忙しい時、ちょっと手伝ってるだけ。それじゃあ、私行くね】
天城、そう言って教室出てった。天城と入れ違いに制理がやってきて
【雪子、旅館の方が忙しいみたいね】
【制理は行くでしょ?一緒に奢ってもらお?】
【私は良いけど…】
制理、俺の方見てくる。俺がバイトだって聞いてたのか。
【たまには花村たちと行ってもいいんじゃないか?」
【……そうね、そうする。花村、千枝と鳴上君におごるんだったら私にも奢ってね】
【何これ、全部奢る流れ…】
【頑張れ、花村】
俺、花村の肩ポンポン叩いて、あとはよろしくって言って、先にジュネスへ向かった。…それにしても、天城は大変だよな。…ただでさえ事件関係者が宿泊してたって噂になってる宿だ。風評被害にならねえといいけど…そんなわけにもいかねえか。
吹寄Side
2011・04・13・☁・15:50・稲羽市・ジュネス・フードコート。
八幡はジュネスのバイトあるからって先に行っちゃった。…いつも2人だけにしてくれる千枝や花村には感謝してるし、今日は鳴上君を入れて4人で花村に奢ってもらおうかな。
安い店でも奢ってもらうの、嬉しいし。…そう思って来てみたら、ジュネスのフードコートだったってオチ…。
そういえば、八幡、今日は商品補充係だって。商品補充も大変だって言ってたっけ。後で「本当にお疲れ様」って言ってあげよう。
フードコートに連れてこられた時から、千枝イライラしてるね。…そして花村、人数分の食べ物と飲み物持ってきた。
【安い店ってここかよ……ビフテキなんかないじゃんよ】
千枝、ビフテキ食べられないから怒ってたのね。
【お前や吹寄におごるんなら、あっちのステーキハウスは無理だっつの】
【だからって、自分に連れてくることないでしょーが】
【自分ち?どういうことだ?】
【鳴上、別に自分ちってわけじゃないんだ。親父がここの店長ってだけだからさ。俺もさ、親父が新しくできたここの店長になるから、都会から半年前にここに転校してきたんだよ】
【なるほど】
【ちなみに八幡のヤツもそう転校してきたんだぜ。俺が転校してきて1ヶ月後ぐらいだったかな?】
【そういえばそうだったね〜。でもまさかそんな比企谷君と制理が付き合うことになるなんて、その時は思わなかったけどね】
【ずっと一緒にいた感じもするけど、八幡も転校生だったんだよね】
八幡が雪柳先生に連れてこられてクラスに紹介された時、なんか人を避けてる感じがしてたのよね。
「自分にあまり構わないで、干渉しないで」って雰囲気だったかも。
それ分かってたから、雪柳先生は積極的に彼に関わろうとしてたし、私もクラス委員長だったから、積極的に関わろうとしてたんだよね。
最初は彼、そっけない態度で、他人と関わろうとせず、距離詰めようとしなかったけど。静江おばさんも八幡のこと心配して、色々やってたみたいだよね。
それが実を結び始めたのは学校の文化祭だったわ。彼、調理班でひたすら料理作ってたけど、それがクラスメイトに受けが良くて、八幡も褒められたことに驚きつつも、私たちとの距離がだいぶ縮まったなって思った。同時に、私が彼を意識し始めたのも文化祭だった。
【ホントは、八幡と天城がいて鳴上の歓迎会をしたかったけど、仕方がない。んじゃコレ、歓迎の印ってことで】
【サンキュー!花村】
そう言って鳴上君、飲み物受け取る。私と千枝の分もおごるって。…花村、ニヤニヤしてるけど、そういうこと分かってるんだから、言わなくていいのよ。私と千枝も飲み物受け取って、4人で乾杯して、他愛もない世間話した。
【ここってさ、できてまだ半年ぐらいだけど、行かなくなったよねー、地元の商店街とか。店とかどんどん潰れちゃって……】
【千枝!それは言わないことだよ】
【あ、ごめん】
【吹寄、別に気使わなくていいぜ。まあ、別にここのせいってだけじゃないだろ?】
【都会でも地元の商店街とか潰れてるところあるからな、大型ショッピングモールができただけじゃないと思う】
【まあ、そうだよな……】
花村、そう言って視線落とす。…何か言いたいこともあるんだろうけど、それを言ってどうにかなるわけでもないし。
もう一度、アンケートを取ります。鳴上悠のヒロインは誰がよろしいですか?
-
1ー里中千枝
-
2ー天城雪子
-
3ー久慈川りせ
-
4ー白鐘直斗
-
5ー小沢結実
-
6ー松永綾音
-
7ー海老原あい
-
8ー雪柳綾奈
-
9ー麦野静江