2011・04・13・☔・19:55・八十神アパート・2ー1・静江の部屋・リビング。
叔母さんから電話あって、「もし帰れるなら帰る」って連絡もらった。…ただ、電話の向こう、忙しそうな声聞いてたから、帰ってこれるのか分からん。今日も先に帰ってきて、着替えやら何やら置いてからまた新聞社に戻ったんだろ。
せっかく好物作ったってのに、仕方ねえ。俺が食うとするか。テレビつけて、適当にチャンネル合わせた。
【次は、霧に煙る町で起きた、あの事件の続報です。稲羽市で、アナウンサーの山野真由美さんが民家の屋根で変死体となって見つかった事件。山野さんは生前、歌手の柊みすずさんの夫で議員秘書の生田目太郎氏と、愛人関係にあったことが分かっています】
不倫関係からの殺人事件に発展するって、刑事ドラマとか推理ドラマじゃよくあるよな。現実でもそういうことなのか?
❝現実は小説よりも奇なり❞
アンテナに吊り下げる殺人事件、犯人がまともな思考とは思えねえ。異性絡みの殺しに繋がるのも、まだ時期早々だと思うけどな。
【警察では、背後関係を更に調べると共に、関係者への事情聴取を進める方針です。番組では、遺体発見者となった地元の学生に、独自にインタビューを行いました】
第1発見者に記者、インタビューしてんのかよ。俺は呆れたように
【第1発見者にインタビューするなんて、記者は何を考えてんだよ…】
【最初に見た時、どう思いました?死んでるって分かった?顔は見た?】
【ええっと…】
女子学生はリポーターの勢いに押されて、戸惑ってるにしか見えない。俺はこういうのは不快にしか思えない。何故、第一発見者に話を聞こうとしているんだ?もし犯人が何かに気がついたら第一発見者が危ないんだぞ。そのことを分かっているのか?
【地元の商店街の近くで起きた、悲惨な事件。商店街関係者の多くは、客足がさらに遠のくのではと懸念しています】
【全く、奇怪な事件ですね~民家のアンテナに引っかけて、逆さまに吊るすってんだから。何かの見せしめか、犯人からのアピールと言ったところでしょうな~】
【犯行声明などは、出てはいないようですが】
【そもそも、死因は不明のままだし、容疑者の1人も見つかってないわけでしょ?事件か事故かもわからないなんて、ったく、警察は血税でなに遊んでるんだか…】
【では、いったんCMです】
コメンテーター、なんか適当なこと言ってやがるな、当事者じゃないからそんなことが言えるんだろうが。その点、アナウンサーの方はちゃんと機転が効いているな。まあ、あんなコメンテーターばかりだと疲れむだろうけどな。ただの女子学生、どこかで見たような気がするし、声もどこかで聞いたような、喋り方もなんとなく、あの先輩に似てなくもないよな……まさかな……。
2011・04・13・☔・23:50・八十神アパート・2ー1・静江の部屋・リビング。
リビング結局今日も叔母さん、帰ってこなかった。…せっかく好物作ったんだが、当の本人が帰ってこなければ意味ねえ。だから俺が1人で食い尽くした。
それにしても、制理の電話の時も言ったけど、何か妙な感じがする。…制理も何か薄々感じてた気がするな。
❝マヨナカテレビ❞
単なる都市伝説の噂とかじゃねえのか?…そういえば、俺が最初に稲羽に来た時、叔母さんがガソリンスタンドに寄って給油してた時…。…あの時、確か店員のじいさんがいたけど、もう1人の女性店員にそのじいさんのこと聞いたら、「お年寄りの店員はいない」って言われたんだよな。
『この町には不思議な運命が待っている』
俺のこと、『君は孤独を求める者だとか、その心にはまだ見る力が眠っているとか。今はまだ目覚めの時ではない。いずれその時が来れば』とか言ってた気がする。
山野アナの殺人事件が、不思議な運命と関係するのか?とにかく、❝マヨナカテレビ❞を観るしかねえな。23時59分45秒、俺はテレビの電源落として、何もついてねえ画面を見つめ始めた。…時計の秒針の音だけが聞こえて、午前0時を指した。…けど、何も映らねえ。
【やっぱり都市伝説じゃねえか。何も映らねえじゃないか…】
やっぱり都市伝説でした、ちゃんちゃんって……。花村のやつ、これで里中をいじるんじゃねえだろうな。
そう思って、テレビから布団の方に視線移した。その時、突然テレビの画面が映り出した。鮮明とはいかねえけど、人らしいのが映ってた。
【な、なんだと…マジで❝マヨナカテレビ❞が映っただと?】
いやいや、里中の話じゃ、映った相手が運命の相手だったよな?…これ、女性だよな?まさか制理?…いやいや、彼女はゆるふわスタイルじゃねえ。これって…この女性、どこかで見たような?…それも最近見た…ゆるふわ……まさか、小西先輩?
【な、なんで俺の運命の相手が小西先輩なんだよ……そんなことしたら花村に…】
頭振って、さっさと寝ようと思って布団に入った。…寝ようとしたら、
『汝、孤独を求めるものよ、汝の運命は動き出した。扉を開くもの現れ、汝の運命は時を刻みだした』
この声、あの時の!
【なんだよ!俺の運命が動き出したって何だよ!扉を開くもの誰だよそれ!】
『孤独を求める者よ、汝はすぐに扉を開くものだと思うに真実を求める戦いに身を置くことになるであろう』
【は?真実を求める戦い!?何のことを言ってる!】
『すぐにわかる、常にその戦いに巻き込まれていることに』
【すでに巻き込まれてる。どういう……】
俺がそう言いかけた時、携帯の着信が鳴って、部屋の景色が急に変わった。
ーーー
吹寄Side
2011・04・13・☔・23:45・吹寄家・制理の部屋。
雨の音が部屋に響く中、明日の授業の予習してたら、気がつけばこの時間になってた。…千枝から言われた❝マヨナカテレビ❞を見るんだった。
もうあと14分で午前0時。本当に都市伝説じみた❝マヨナカテレビ❞が映るのかな?…もし映ったら、八幡に連絡しないと。映る相手が❝運命の相手❞っていうのが、ちょっとだけど八幡が映ってくれれば何も問題ないよね。
【消えてるテレビを見つめるだったっけ】
自分の部屋にあるテレビの前に立って、何もついてないテレビを見つめる。…そこに映ってるのは自分自身。自分自身が映るなんて当たり前よね。問題は午前0時を迎えて、❝マヨナカテレビ❞が映り出すことよね。…もし何か映ったら、八幡に連絡しないと。携帯を握りしめて、いよいよ午前0時を迎える。けど、何も映らなかった。
【……何も映らない。やっぱり千枝が言ってたことは、都市伝説だったってことなんだよね…】
何も映らなかったことに安堵した。…そんな時、急にテレビが光り出して、何かを映し出したの。え?…そこに映し出されたのは、私たちと変わらないくらいの女子高生らしき人が、もがき苦しんでるような感じがするものだった。
【な、何よ、これ!?】
❝マヨナカテレビ❞って運命の相手じゃなくてホラー番組だったの!?…そんな都市伝説だったなんて、嫌なんだけど!
『汝、扉を開く者、孤独を求める者の導き手となりて、彼らの進む道を照らさん』
【導き手?扉を開く者、孤独を求める者…一体何のことなの?】
『月暦が変わりし、中来たるや、厄が降り掛かり』
甲府で聞いたことと何か関係あるの?…そうだ、八幡に連絡しないと。彼の番号を押す。…コール音が聞こえるけど、八幡が通話に出ることはなかった。…私の中で嫌な予感がよぎった時、意識が失われたのだった。
ーーー
2011・04・13・☔・??:??・??・??。
制理が電話かけてきたから携帯取ろうとした時、意識がなくなったような………周り見渡したら、ここは叔母さんのリビングじゃねえことは一発で分かる。霧が覆ってて、周りが何なのか分からん。…今更ながら、これって夢なのか?…すると、どこからともなく声が聞こえてきた。
『霧は真実を隠す……』
【だ、誰だ!?】
『誰だって!?気がつかないのかい?』
【気がつく?俺はお前なんか知らねえぞ?】
『知らないって白を切るのか…』
その声、ため息ついて、指をパチンと叩く音が聞こえた。…すると霧で覆われてたはずの景色が、何か見覚えのある景色に変わってきた。これってまさか!?…総武高校?
『これならわかるだろう?君にもね』
【……総武高校、こんなもの見せて何になるんだ?】
『稲羽の地でちょっと幸せになったくらいで、総武高校での出来事は忘れるつもりなのか?』
そう言って、謎の声の主が姿を現した。現したはいいけど、その姿は俺と瓜二つの姿だった。
【お、俺!?】
『そうだな、俺は君だよ、君。吹寄制理と付き合うようになって、憎んでいた気持ちを封印したのは他ならぬ君なんだから』
憎んでいた気持ち、雪ノ下や由比ヶ浜、葉山たちを憎んでたこと、妹の小町、親父、総武高校のほとんどのやつら。あいつらのこと憎んでたのは確かだ。でも、叔母さん、花村や里中、天城、制理、雪柳先生や他の人たちと関わるうちに、俺の憎んでた心がいつの間にか消えていく感じになってたんだ。花村たちと喋って過ごしてるうちに、憎んで人との距離保とうとすること自体が、なんか馬鹿馬鹿しくなった。…俺のことを認めてくれる。そんな人たちがいるのに、それを邪険にする意味がねえって、思ってた。
『稲羽で「本物」が手に入ったと思ったか?吹寄制理と付き合うことで本物が手に入ったのか?』
【何か言いたい!】
『稲羽の連中も所詮、雪ノ下や小町たちと、なんら変わりはしねえんだよ。信じてまた裏切られて傷ついて、それが何になるというのだ?』
【制理たちは、あいつらとは違う!】
『果たしてそうかな?』
もう1人の俺が指をパチンとまた鳴らすと、今度はいろんな声が聞こえてきた。…稲羽にいた人間たちの声だった。それだけじゃなく、雪ノ下たちの罵倒まで聞こえてくる。…俺、とっさにしゃがみ込んで耳塞いだ。…これは俺への精神攻撃だ。分かってても、古傷のトラウマが疼いてくる。花村、里中、天城、制理の罵倒まで、俺の心にグサグサ刺さってくる。…これは夢なんだ。あいつらはそんなこと思ってねえ。そう思いながら、俺は耐える。
『往生際の悪いやつめ、人間なんか信じないで楽になればいいんだ。憎んで憎んでこの世界ごと壊すような気持ちになるようにな』
【ふ、ふざけるな。俺はそんなこと思ってねえ!】
『思っていなくても、心のどこかでそう思ってたんだよ。だから俺という存在がいる。それに今日は雨の日だからな…お前に成り替わることもできる』
もう1人の俺、俺自身なのかと思いたくなるような笑みを浮かべて、俺の方を見てる。もう悪役上等みたいな顔になってやがる。こんなやつが俺か?俺であってたまるか!
『最期に俺からのプレゼント送ってやろう』
【プレゼントだと?】
もう1人の俺、またしても指パッチン鳴らす。…するとそこに雪ノ下と由比ヶ浜がいた。
【雪ノ下と由比ヶ浜!?】
『君の記憶から生み出したものだよ。その2人に殺されるなんてよかったじゃないか』
雪ノ下と由比ヶ浜、虚ろな表情してて、とても人間じゃねえ。…なんかゾンビ映画やパニック映画に出てくるようなもんだ。ヤバい、そう思ったけど、雪ノ下と由比ヶ浜に捕まって、俺は2人に馬乗りされて首絞められた。
なんて力だよ。こいつらこんな力あったのか?振りほどけねえ!息できねえ!くそっ、どうすればいい!
『八幡よ、我を名を呼べ』
この声、あの時に聞こえた声!確かベンケイ。俺は火事場のくそ力を出して、雪ノ下と由比ヶ浜を吹き飛ばした。…荒れた呼吸のまま
【ベンケイ…俺の元へ来い、ベンケイ!】
ベンケイの名前呼んだ途端、何故か気分が高まるというか、高揚していくのが分かった。俺を中心に渦が巻いて、雪ノ下、由比ヶ浜モドキを吹き飛ばす。…吹き飛ばされた2人、とても人間とは思えねえ姿になって、俺の方へ向かってきた。
【ベンケイ!化け物を射抜け!】
ベンケイ、化け物になった2人のモドキに弓で射抜く。流石だよな、ベンケイ…武蔵坊弁慶だもんな。…そういえば、俺の偽物はどこ行った?…俺、キョロキョロ見渡す。…すると、高みの見物してたみたいだ。
『まさか、❝ペルソナ能力❞を覚醒させるとは…やはり見込みがあったわけか』
【ペルソナ能力だと?】
『稲羽でこれから起こることに、君たちがどう関わってどうして行くのか見ものだね』
【これから起こることだと!】
『今にわかるさ、そう、慌てなさんな』
【結局、なんなんだお前は!?】
『お前から生まれ出たのは間違いないよ。あの❝お方❞の下僕になれたのだから』
【❝あるお方❞だと?】
俺、偽物の俺を見据えながらそう言った。❝あるお方❞って誰だよ!…俺のペルソナのベンケイで偽物の俺に攻撃仕掛けようとした時、背後から制理がやってきて
【八幡!】
【制理!どうして、ここに?】
【私にもわからないよ。気がついたら霧の中にいて】
『吹寄制理、お前も❝ペルソナ能力❞に目覚めたわけか』
【ペルソナ能力…諏訪姫…スワヒメのこと?】
『孤独を求める者、扉を開く者、その両者を導く者…ククッ、❝あのお方❞がおっしゃった通りに面白くなっちゃったわけか』
こいつ、ほんとに何者だ?俺から生まれたとか言ってやがるが、なんなんだ?
『比企谷八幡、吹寄制理!よく聞け!厄は既に訪れ、滅びへと向かいつつある。世界を滅びから救えるのは、お前たちしかいない。しかしその滅びを望んでいるのは誰かということを知ることになるだろう。そう、2人とも睨むな、いずれ君たちとは雌雄を決する時が来る。それまでに強くなれ。そろそろ夜明けか…すでに…滅びへと向かいだしている…滅亡か救済か…お前たちも選択肢にかかっている……』
【お、おい!待て…】
【は、八幡!これって!?】
偽物の俺の声がだんだん聞こえなくなっていく。…滅びへと向かい出してる?選択肢にかかってる?…一体何のことだ。
俺は意識が失われる前に、制理を引き寄せ、彼女の手を握り
【一緒に戦うしかないな】
【うん、そうだね……すでに私たち何かに巻き込まれちゃったね】
【ああ、でも制理と一緒なら怖くないな】
【私も八幡と一緒なら乗り越えていけると思う】
俺、制理と手を繋ぎながらそんなことを言って、意識が失われたのだった。
鳴上悠よりも先にペルソナ能力に目覚めたわけですが。八幡のペルソナはベンケイ(弁慶)、制理のペルソナはスワヒメ(諏訪姫)です。
序盤は、鳴上悠たちとは、別行動になるかも。
もう一度、アンケートを取ります。鳴上悠のヒロインは誰がよろしいですか?
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1ー里中千枝
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2ー天城雪子
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3ー久慈川りせ
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4ー白鐘直斗
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5ー小沢結実
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6ー松永綾音
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7ー海老原あい
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8ー雪柳綾奈
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9ー麦野静江